規制委員会へのパブリックコメント

グリーンウッド


@ 「原発は自国に向けた核兵器」と言われる。規制委員会の対策ではテロ、遠隔操縦航空機、ミサイルに脆弱である。これではこれら悪意ある勢力の創意工夫にたいし抵抗力ある原発は設計できないということを意味するのでは?したがって脱原発しか手はないのでは?参考文献ーエネルギーと戦争

A 津波対策として高い防潮堤を設けよということだが、脇や背後から回り込む津波、防潮堤の下を貫通する海水取水管を通って原発敷地に流れ込む津波対策に明確な指針が示されていない。

B 原子建屋に水密扉をつけたとて換気用ルーバーがつき、換気ダクト、配管、ケーブルの貫通部があり、配管は保温剤がまかれているため、水圧でつぶれ、水は隙 間から流れ込む。スイッチギア、バッテリーなど低い位置にあるものは水没する。これら重要機器は水没しない高所に移設すべき。そうしなければ福島事故の再 現は防止できない。

C BWRの格納容器は小さく、運転員に対応する時間を与えない。また開口部が上にあるため、上部開口部から未洗浄の水素ガスが漏れやすい。ベントフィルターは水スクラバー付だが、この圧力損失のため、上部蓋の フランジ部が過熱でゴムシールがやけてしまえば漏れる。巨大な設備になるので基礎も原子炉建屋と一体化しなければならない。

D 非常用コントロール・ルームをつくれというが、既設リアクターにセンサー用の新しいノズルを溶接することもできない。既設センサーが壊れたらやはりメクラになる。

E 圧力容器の水位計を差圧式とは別の原理で計測する水位計を設置せよとの要求がない。とはいえ、仮に既設圧力容器に穴をうがちノズルを溶接することなど技術的には不可能。ということは新基準では大して安全性は向上しないということになるが。

F 多重化してもその分岐点は多重化できない。

G 遠隔目視直接計測、遠隔手動操作のできるようにすべき。

H 非常冷却水注入ポンプまたは消防ポンプ車を持てといっているが、冷却水をBWRの圧力容器に注入出来る吐出圧であるべきことが規定されていない。低い圧でよしとするならば、圧力 容器の圧を抜くための減圧弁を遠隔手動でできるようにしなければならない。仮に減圧できてもその間に蒸発で水が失われ、燃料棒が露出するケースが想定さ れていない。PWRの場合は蒸気発生器の圧に等しいだけ必要となる。もし低い場合は蒸気発生器の圧をまず下げなければならない。

I 非常冷却水注入ポンプまたは消防ポンプ車の給水パイプを既設の復水貯蔵タンクからの給水系に切り込んでも低圧復水ポンプのメカニカルシール・パージ水もこ こから取水しているため、パージ水ライン経由で呈している当該ポンプ内部に流れ込み、最終的に復水器に流出し、炉心に到達する量が減る。高圧復水ポンプ、原子炉給水ポンプなどのメカニカ ルシール・パージ水は制御棒駆動系(CRD系)水を専用のプランジャーポンプで逆止弁経由で給水しているとすれば、停電しても逆流の可能性は低い。とはい え専用の緊急冷却水配管を格納容器近傍にある給水ラインの逆止弁下流に切り込 むべきである。

J 原子炉循環ポンプのパージ水は制御棒駆動系(CRD系)水を専用のプランジャーポンプで逆止弁経由で給水しているため、停電しても逆流の可能性は低い。

K 使用済燃料プール冷却水供給の消防ポンプなどの代替法用意の要請が欠けている

L メクラ運転をさけるための可搬式バッテリーの常備の要請がない。

M 圧力容器減圧弁駆動装置を内圧の上がってしまった格納容器内で開弁するに必要な窒素供給ボンベの常備すべき。

N  BWRの圧力容器下部には多数の核計装貫通穴があり、下端は開放されているため、メルトダウンの時、未洗浄の水素ガスが格納容器内に漏れ出る。まずこれをPWRのようにシンブル管を採用して閉鎖系にすべきである。

O PWRの場合、格納容器は窒素置換しないため、水素爆発の圧力に耐える設計圧でなければならない。アイスコンデンサー付きのPWRは設計圧が低いので運転中は窒素がすのように閉鎖\\。

P 地震や津波のモグラたたき的規制にすぎず、ソレノイドコイル断線、ケーブル火災、などの通常故障時対策はあまり盛り込まれていない。不十分な対策と思わないか?

Q 制御棒のスクラム失敗対策が貧弱。たとえばホウ素注入ポンプは窒素あつで注入できるようにすべき。

R100万kW 級原発には配管10,000d(170 km)、熔接点数65,000点、ケーブルの長さ1,700 km、各種弁30,000台、モーター1,300台、ポンプ360台、モニタ20,000ヵ所、熱交換器140基等があり、複雑系である。神ならぬ規制委 員会諸氏が起こりうるすべての失敗 のシナリオを予見できる能力があるとは思えない。従って想定外は完全に除去できないだろう。委員諸氏はこの事実をどう考えるか、一般大衆の誤解がないよう にメッセージを発する必要があ るのではないか?

以上は規制委員会の範囲だが次の点はどうなるのか?
 
(1) 使用済み燃料の中間貯蔵も70%に達し、すでに数年分しかないと言われている。再稼働するにあたり、最終処分場が決まるまでの安全な貯蔵法を規定し、それまでの貯蔵容量をもつべしと規制するのが委員会の責務ではないか。

(2) 原発事故の被害と頻度の分布はべき分布することが分かっており、規制委員会の基準は被害を低減し、頻度も下げると思われるが発生頻度はゼロとはならない。 べき分布は平均値がないから保険料率の計算はできない。したがって保険会社は最大補償額を限って保険引き受けをする。その時の被害補償は当然電力会社の責 任だが、電力会社が破綻したら誰が保証するのか。政府がするのか?米国のプライス・アンダーソン法のような明確な法的責任は明確でない。制委員各位は規制 すべき項目、数値を予測する能力があると自信があるか?予測できなかった責任をどうとるのか?聞くところによると免責だというが、それなら委員の腐敗はど のように防止するのか?

(3) 原発10基分の火力新規建設と同額を以上の対策に投資してまで再稼働すべきかの判断は電力会社がするものと思われるが?LNG購入価格のバーゲイニングパワー獲得のための石炭火力の増設、海洋、地熱 エネルギーなどの安定電源開発に使うべきではないのか。

(4) 21米国、ドイツ、中国は石炭+天然ガス火力は電力の70%程度を賄っている。したがって二酸化炭素排出規制は国際間で平等にすべきと主張する権利がある。そ うすれば日本はもっと安い石炭を使えるため原子力を使う必然性は低くなる。人為的温暖化論は理論的仮説にすぎない。むしろ有限の化石燃料の争奪戦争防止と いう意味のほうが大きい。しかしシェールガスの発見でそのような危惧は遠のいた。このような判断も規制委員会の権限を越えると思うが。


詳しくは「原発敗戦

意見聴取期間は平成25年2月7日(木)から平成25年2月28日(木)までの22日間(期間内必着)とかで送ろうとしたときには閉め切られていた。

January 18, 2013
Rev. September 9, 2013

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