原発事故時の避難計画

 

2013/2/18、森永先生から電話がかかってきて、政府が推し進めている原発30キロ円形圏内の避難プラン作成は全く意味がない。なぜなら円形に汚染 されないからで、汚染度はその時の風向と降雨によって決まる。そもそも人口過密地帯ではそのような広域避難プランは道路と車の制約で不可能だ。それより先 生がチェルノブイリ事故の前の1984年に書いた講談社のブルーバックス「放射能を考える 危険とその克服」にあるようにある学校などに教材として放射能測定器を置き、教育につかうとともに、自主的避難の目安にしたらいいと一文を草し、産経新聞に送ったということ であった。

私はその通り、加えて30kmというのはたまたま福島のケースでチェルノブイリ級の炉が完全に破壊される場合は300kmが危ないわけだから30kmその ものも、モグラたたきとおなじ愚かな反応ですねと応じた。

なぜ政府は測定器を学校に配布するということをしないのかつらつら考えるに、そんなことしたら反対運動につながるからだろうと怒っていた。またどうせ新し い安全神話をつくるのだろうと。

それを聞いた直後、NHKが今日の安倍首相の演説を放映していたが、再稼働して安全文化を作るのだといっていた。神話が文化になっただけ。ハッハッ ハッ!!安倍さんは今が一番幸せな時だろう。そのうちに石もて追われる身になるとは知りたくもなし?

ドイツではどうなのかケルン在住の望月氏に聞くと、ドイツ政府は、原発事故時には、連邦放射線保護庁(BfS)の次の文書

Radiological Fundamentals for Decisions on Measures for the Protection of the Population against Accidental Releases of Radionuclides of 27 October 2008

のp.4のTable 4.3にしたがって住民を避難させる。原発を中心としたXXキロメートル円形圏という発想はまったくなく、あくまでも、その時の風向と降雨によって決まる mSV 値を基準として判断する。住民避難には次の三種類を想定している:
- Evacuation
- Long-term resettlement
- Temporary resettlement
それぞれの mSV 値は表中に記載されているという。

私が「やはりドイツは論理的だ。日本は円形と言ったり、安全文化と言ったり、感情に訴えるいやな社会だ。この日独の違いを日本は文系支配だ からなんていうとまた嫌われるかなー]と書いたところ望月氏が「やはりドイツは論理的」という褒め言葉も何の役にも立たない。というのは、いくらこの基準 に従って周辺住民を避難させても、人口密度がウクライナの7〜10倍あるドイツでチェルノブイリ事故クラスの事故が起きたならば、ガン死亡者の数は170 万人〜1200万人と推定されるからです(ドイツ連邦経済省などの研究報告書)。IPPNW and GFS: Health Effects of Chernobyl - 25 years after the reactor catastrophe, April 2011 ... total 67 pagesのp.67の“Excursus: Consequences of a super-GAU in Germany”にかいてあるという。日本の人口密度はドイツのそれの 1.5 倍だから、日本でチェルノブイリ事故クラスの事故が起きた場合のガン死亡者の数は単純に上記の数を 1.5 倍すると、255万人〜1800万人と推定されるという。再稼動すれば255万人〜1800万人のガン死亡者のリスクが発生するがそれには目を瞑ろう(つぶろう)とはNHKが放映した首相演説では言っていない。

原氏は30km円形圏は放射能が漏れた場合の「汚染要注意地域」としての目安になる、と言う点では意味があり、原発新設の場合の「地元」として建設是非に 口出す権利を有するようになると言う点ではメリットがある。要は使い方次第という。円形避難計画と同時に安価な放射能測定器を1,000人に1台国費で配布 するという森永案を併用すればよろしいということになる。JAXAはシリコン(Si) と テルル化カドミウム(CdTe) イメージング素子で構成する独自の 「Si/CdTe 半導体コンプトンカメラ」 を開発している。これを暗視スコープ程度まで小型化すればよいのではないかと森永先生にはなしたところ、コンプトンカメラはすでに開発されているが価格は さがるとしても鉛遮蔽で超重いものになりそうで実現できないだろうという。

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  February 28, 2013

Rev. March 3, 2013 


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