家庭向け非常用発電


グリーンウッド

私がその生涯で記憶しているニューヨーク大停電は少なくとも2回あった。前回は出生率 が向上したそうだが、今回はどうだろう。日本の電力会社は米国特有の自由化による必然であって日本では発生しないというが、神戸地震で高速道路が倒れ、東 海村のファットマン効果事故が 生じたことから類推されるように、彼らは政治的に発言しているだけで、おなじことはいずれ日本でも発生しないとはいえない。蓄電が出来ない電力網というも のは本質的にそういうものなのだ。それもまた楽しからずや。パラサイト気分を 脱し、自律的にリスクに立ち向かうように人々を教育するよい契機となろう。

グリーンウッド氏はそういうリスクにも対応できかつ、かつ環境に配慮するためと用意した家庭用風力・太陽電池ハイブリッド発電ですくなくとも夜間の照明は問題な い。問題は冷蔵・冷凍庫である。照明をロウソクにし、既設の擬似正弦波のDA インバーターを正弦波のそれに交換すれば、現有システムでも1日位は冷凍・冷蔵庫を維持できるが、数日間は無理である。以下各種対策を検討してみよう。

1.バッテリー増設

バッテリーには寿命があるし、ディープサイクルバッテリーは高価である。停電が長期に渡ればやはりお手上げとなる。

2.風車の増設

風が吹き抜ける隣家との隙間にもう一台の風車を設置するには隙間はなく、騒音問題もあり、今の1台が限度である。

3.ソーラーセルの増設

風が強いところなので屋上には設置したくないし、庭に設置できるとしても自然の林は維持したい。なにより下がったとはい えまだ高価である。

4.携帯用ガソリン発電機の交流出力利用

ホンダやヤマハが売っている携帯用60cc、7,000rpm、2.5PS、4サイクル・ガソリン発電機を用意してイザ というとき、 定格出力400-600ワットの50/60Hz交流で冷蔵・冷凍庫を維持するのがコスト的に一番安い。価格も6−8万円である。中古なら半値以下であろ う。レジャー用の発電機としても使えるので一挙両得である。

2005/4に日本信販がガソリン2リットルに潤滑油40ccまたは2vol%(夏季50ccまたは2.5vol%)の 混合油を使う中国製のガソリン燃料携帯発電機を29,800円で売り出した。63cc、6,000rpm、2サイクル2極回転磁界、60Hz、850Wの 交流出力をもつ。周波数(ガバナーの設定値)は出荷時に設定されている。直流出力はないのでバッテリー充電には自家用車用に持っているバッテリーチャー ジャーを使う必要がある。

ガソリン燃料携帯発電機

非常用備蓄品コンテナーに保管しておいた。ところが2011/3に東北太平洋地震で福島原発事故で電力供給不足になった東電が輪番停電するというので取り 出したが点火栓でスパークが飛ばずついに動かなかった。安物買いの銭失い。

5.携帯用ガソリン発電機の直流出力利用

日本製携帯用ガソリン発電機はAC発電機の出力を整流器で直流に変換してくれる機能を内臓しているのでこの直流出力を家 庭用風力・太陽光ハイブリッド発電のバッテリーにも非常用としてつなぎこめる。風力とソーラーセルの不足分を補充できる。夜間のエンジン運転は必要ない し、もっとも現実的であろう。

6.携帯用ガソリン発電機と定置式マキガス化炉の組み合わせ

今は第一次オイルショックと第二次オイルショックの間の平安な時代であるが、確実に第二オイルショックはやってくる。北 海の油田はピークを過ぎたし、中国に原油輸入は日本のそれを越えた。ガソリンが無い時どうしようか。マキのガス化炉を自作すればいい。

7.マイクロガスタービ発電

模型ヘリコプター向けに市販されている小型ガスタービンを使うことも考えられる。燃料は潤滑油を5%混ぜた灯油である。 Jetcat社からPHT-3というパワー ユニットが4,000ドルで売り出されている。ドイツ製だが米国での需要が大きいようだ。

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PHT−3 パワーユニット

PHT-3パワーユニットのローター軸出力は多分数百ワットであろう。熱効率は数%と推定されるが、緊急用だから問題な い。ジェットエンジンは多量生産されている自動車用レシプロエンジンに装着する過給器(ターボチャージャ)に灯油燃焼器をつけたものと推定される。エンジ ンの軸出力から2段のベルト減速とギア減速の組み合わせでタービン回転数84,000rpm時にローター軸回転数が1,260rpmになるように設計され ている。ローター軸に風車発電の交流発電機を直結し、整流器でDC変 換して家庭用風力・太陽光発電装置のバッテリーにつなぎこめばシステムは完成する。システムは50万円で構築できるのではないか。

起動燃料はプロパンガスであるが、これは登山用のコールマンカートリッジを使う。タービン起動モーター、灯油燃料ポン プ、点火栓電源、デジタルコントローラーも含め、すべてNiCAD電池駆動によるリモートオートスタート・ストップである。PHT−3 パワーユニットは 空を飛ぶために出力対重量比を大きくとってあるので構造的には脆弱である。Jakadofsky PJW(R)とかPAHL GPH66などが最近売り出されている。いずれも空気吸入口にギヤセットをつけていてPHT-3より頑丈そうである。

自動車エンジンターボチャジャーをベースに、別途自作することも考えられるが、これはマ キ・ガスタービン発電機を参照してください。

米国のCapstone社が30kWで500万円のマイクロガスタービンを売っているが家庭用には大きすぎる し、高価すぎる。

2012年2月IHIは700Wのガスタービン発電機をロボット用として販売開始した2015年までに製品化するという 価格は200万円を予定している。

August 27, 2003

Rev. February 17, 2012


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