1979年6月、第10回世界石油会議に参加するためブカレストを訪問した。ルーマニアはまだチャスエスク大統領独裁下にあり、世界石油会議の開会式にもチャスエスク大統領が挨拶した。政府高官が移動するときは全てに優先する独裁国特有の行動様式は不気味であった。ブカレスト郊外の農村博物館(Muzeul Satului)にルーマニア独特の木造教会が復元されてあった。この木造教会は1965年の映画ドクトル・ジバゴに出てくる教会やロシア北部オネガ湖畔にあるクレオグラジェンスカヤ教会と同じ系譜のものだろう。
木造教会
古いレンガ造りの教会
荷馬車
ブカレストの北方にはドラキュラ公爵の城があると聞いたが訪問する時間はなかった。ヨーロッパで地震に遭遇したのはここが初めてであった。レンガ造りの建物内での恐怖感は相当なものである。
チャスエスク大統領の開会宣言のあと、パンフルートの演奏があった。その音色にほれ込み、買い求めようとしたがかなり高価なものであきらめた。6000年の歴史のある楽器とのことで長さ25センチから長さ4センチ位の竹筒を28本位横に束ねてミツロウで固めただけのシンプルな形をしている。竹は日本産が使われるそうである。
その後、チャスエスク大統領も民衆の蜂起で失脚し、残酷な殺されかたをしたが、むべなるかなという思いである。
1979
2002/5/24追補