シリアル番号 | 1072 |
書名 |
夫の悪夢 |
著者 |
藤原美子 |
出版社 |
文芸春秋 |
ジャンル |
随筆 |
発行日 |
1010/4/25第1刷 |
購入日 |
2010/10/30 |
評価 |
良 |
鎌倉図書館蔵
著者が「国家の品格」726の著者である藤原正彦の妻にして鎌倉在住の東大名誉教授田丸謙二先生の長女。
その華麗なる一族のスナップショットを楽しめる。
著者の祖父は節郎氏は南部藩士で東大卒業後、ハーバーの助手として20世紀最大の発明といわれる空中窒素固定法を確立した研究者にして理研、東京工業大学、学術振興会の設立者である。祖母は会津藩出身で東京女子高等師範学校をでてすぐ節郎氏と結婚して会津には帰らなかったという。
本書のハイライトは藤原正彦の父、新田次郎の作品「点の記」の映画化だろう。2009年に公開された。 監督は新田次郎の作品「八甲田山死の彷徨」と「聖職の碑」の映画化のときカメラマンだった木村大作である。著者は監督に自分のの3人の息子をエキストラとして売り込む。そして陸軍陸地測量部員として採用された。行きがかりの駄賃で著者自身が主役柴崎芳太郎(浅野忠信)の上司である古田(役所広司)の妻として出演するくだりである。撮影は明治村で行われた故。夫妻は英国にいたこともあり、英国にゆかりのある人々の会に出席した。そのとき山好きの皇太子にあった。この映画化の話をしたのが契機となり皇太子が試写会に くることになったという。ここが本書のクライマックスである。
なるほど、著者は「夫の悪夢」と認識した次第。