紀伊風土記の丘
(大日山、岩橋千塚古墳群)
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<1月8日(月曜日)晴れ>

ボクの細道の最初の場所をいろいろ考えたが、まずは地元からということで、ささやかに風土記の丘から、大日山をのぼってスタートすることにした。
昨夜来の雨は上がっていたが、北の方にたくさんの雪を落としてきた雲はまだ厚く、北風がきつかった。
軽くなった雲は、足早に空を駆け抜けていく。本格的な冬を感じる。
芭蕉の旅立ちは、村人が並んで送ってくれたが、私の場合は何もない。(当然だ)
和歌山市の施設では、この風土記の丘がいい。道もよく手入れがされ、綺麗でそれでいて変化に富んでおり、いろいろ楽しめる。妙な施設はない方がゆったりと遊べる。紀伊風土記の丘
休みでもあり、たくさんの人がジョギングやウォーキングを楽しんでいた。
ただし、子供の姿は少なく中年が多かった。このような歴史ある施設を、きちんと見せ、人類の遺産について、考えを巡らす癖を付ける必要がある。和歌山も世界に誇れる歴史があることを、正しく知るべきである。

今日、私の本来の目的は、大日山に登ることであった。
大日山は5世紀から7世紀の初めに築造されたという大古墳群「岩橋千塚(いわせせんづか)古墳群」の一角にある。
これらの古墳群は、和歌山平野一帯に勢力のあった紀氏一族の墳墓と考えられている。紀伊風土記の丘紀氏といえば、日前宮の紀氏さんのご先祖様であろう。タイムマシンがあれば、当時これらの古墳群をどう作り、どんな葬儀をしたのか見てみたい。
そんな墳墓の一つの将軍塚の内部を覗いた。
将軍塚へは麓の駐車場からは約30分で着く。墳墓は掘り起こされ内部が開放されている。
この墓に入ったお方も、後生にこうして掘り起こされあばかれ、あげくに毎日のぞかれてはたまったものではないだろう。亡霊も出ようがない。
郡長塚には、40分で着いた。墳墓からは和歌山市内がよく見渡せる。
こうしてみると、高層ビルがないので安心して見ていられる。
紀伊風土記の丘 紀伊風土記の丘
(かまどで土器を作っている)
紀伊風土記の丘 紀伊風土記の丘

私は考えが古いのかも知れないが、飛び抜けた高さの高層ビルはどうもなじめない。
重くたれ込めて薄ら寒かった空も、よく晴れてき、一気に眺望が開けてきた。
長持石を見て大日山周遊道路に入る。道はよく整備されておりチリ一つない。こうした日常的なこだわりがうれしい。
和歌山の施設で一番いいというもう一つの理由に、このメンテナンスのよさがある。

山頂と園路との分岐点には、トイレと休憩所があり、登りの疲れをしばしいやせる。郡長塚からは、10分程度で着く。
そのすぐ上が大日山の142mの頂上である。
大日山の山頂へは、登り初めて約1時間で着いた。いつものようにコーヒーをわかす準備をしていると、小さなかわいい犬をつれたおじさんがやってきた。(私もおじさんではあるが、私よりは少し年がいっている)紀伊風土記の丘
聞けば、全国すべての山を登ろうと頑張っているらしい。どんべえカップ麺を作り出した。コーヒーを飲みながら、いろいろ話をした。
こうしたところで同好の志と出会い、話をするのは実に楽しいものである。犬もおとなしく昼食を食べていた。
犬は私には吠えなかったが、あとから来た人にはかわいい声で吠えていた。
大日山山頂は、眺望はよくないが平坦地で、昼食にはもってこいの場所である。周りに灌木があり風を防いでくれ、さほど寒さは感じなかった。

おじさんの話では、国土地理院に載っている一番低い山は大阪の天保山の4mだそうである。
堺の方で、退職して毎週どこかの山に登っているという。
その小遣い稼ぎに、アルバイトをしているというが、
「高い山ばかりが山ではない。日本の山の住所録に載っている山をすべて踏破するのが目的」
で、現在は16300山あるうちの700くらいを登っているという。
「究極の遊びやね」おじさんはそういって笑った。
いろんな話をしながら山頂で30分ほどを過ごし、おじさんより一足先に下山にかかった。

金竜神社のコースをとって5分ほど下ると、途中に大日如来を祀る古墳がある。
この辺からは落ち葉を踏みしめながらの下りで、いかにも山道という感じで心地よい。大日如来から金竜神社は、これも5分ほどで着く。金竜神社を見たとき、タイムスリップをしたような錯覚に陥った。資料などで見る古代の祭壇そっくりで、大理石に座布団を敷いて祀っており、何となくレトロな雰囲気が漂っている。巫女がこの社の前で舞を舞ってもおかしくないムードがある。こうした昔のままの雰囲気は好きである。
日本独特の「神」への祀りは、これからも続けていってほしいと思う。
大きな神社のように金儲け主義ではない、ひっそりとした神々の存在は、人々の心のよりどころとして必要不可欠なものである。
次の六地蔵には、金竜神社から10分ほどである。地蔵さんの前では大工さんが賽銭箱を作っていた。
六地蔵から程なく鳥居があり、そこはもう大日山の麓になり、民家が見えてくる。
総行程の時間は、休憩も含めて約2時間で、危険もなく気軽に散策できる、おすすめのコースである。

登りはじめは寒かったが、下り立ったときには少し汗ばんでいた。
紀伊風土記の丘
(大日如来像)
紀伊風土記の丘
(古色ただよう金竜神社)
紀伊風土記の丘
(六地蔵。その前で賽銭箱を)
紀伊風土記の丘
(「神秀山」と書かれた碑)

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