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池田鉄道の話


池田鉄道の話
Last Update 2018-01-24
安曇追分駅で大糸線から分岐していた私鉄


 池田鐡道は、1926年(大正15年)9月21日に開業して1938年(昭和13年)
6月6日に廃止された大糸線沿線の私鉄です。
 営業期間は、わずか13年で大糸線の安曇追分駅と池田町間6.94Kmを結んでい
ました。
 当初は電車が走っていましたが、赤字続きで途中からガソリンカーに切り替えら
れました。それも戦時体制によるガソリン不足と旅客数の減少により、やむなく
廃線になりました。
 路線の跡を確認できる場所は今ではほとんどないそうですが、わずかに会染駅・
南池田駅・信濃池田駅・北池田駅のホーム跡と、信濃池田駅に残る池田鐵道本社の
建物が昔をしのばせてくれます。



池 田 鐵 道 略 年 表

1924年(大正13年10月)
 池田鐵道発起人が地方鉄道の敷設免許を申請
1925年(大正14年 8月)
 池田鐵道株式会社設立 資本金50万円
1925年(大正14年11月)
 工事計画と監督を信濃鉄道に委託
1926年(大正15年 1月)
 建設工事開始
1926年(大正15年 9月)
 全線6.9km開通 営業開始 電気動力
1927年(昭和 2年12月)
 信濃鉄道が営業管理開始 (昭和3年6月1日まで)
1937年(昭和12年 3月)
 ガソリンカー導入 ガソリン動力併用開始
1937年(昭和12年 8月)
 電気動力廃止 ガソリンカーのみで運行開始
1938年(昭和13年 4月)
 株主総会にて会社解散決定
1938年(昭和13年 6月)
 運輸営業廃止
 



駅  名
安曇追分
十 日 市
會  染
柏  木
南 池 田
信濃池田
北 池 田
営業キロ
0.0
1.5
3.0
4.1
5.1
6.0
6.9



池 田 鐵 道 1933年 昭和8年9月15日改正 時 刻 表
八年九月十五日改正          安 曇 追 分 ・ 北 池 田 間 (電車)  (連) 池 田 鐵 道 線    三等車ノミ・連帯車ノミヲ示ス
粁程
運賃
駅    名
北    池    田    行
列 車 番 号
1
3
51
5
7
9
11
13
15
17
19
21
23
25
27
29
31
33
35
37
0.0
安曇追分  発
6:25
7:21
7:51
8:39
9:51
10:58
11:58
0:40
1:20
2:34
3:32
4:11
4:48
5:45
6:32
7:11
8:02
9:12
10:12
11:10
1.5
4
十 日 市  発
6:27
7:23
7:53
8:41
9:53
11:00
12:00
0:42
1:22
2:36
3:34
4:13
4:50
5:47
6:34
7:13
8:04
9:14
10:14
11:12
3.0
8
會  染  発
6:30
7:26
7:55
8:44
9:56
11:03
12:03
0:45
1:25
2:39
3:37
4:16
4:53
5:50
6:37
7:16
8:07
9:17
10:17
11:15
5.1
13
南 池 田  発
6:34
7:30
7:59
8:48
10:00
11:07
12:07
0:49
1:29
2:43
3:41
4:20
4:57
5:54
6:41
7:20
8:11
9:21
10:21
11:19
6.0
15
信濃池田  発
6:37
7:32
8:03
8:52
10:03
11:10
12:10
0:53
1:32
2:46
3:44
4:24
5:00
5:56
6:44
7:23
8:15
9:24
10:23
11:22
6.9
18
北 池 田  着
6:39
7:34
8:05
8:54
10:05
11:12
11:12
0:56
1:34
2:48
3:46
4:26
5:02
5:58
6:46
7:25
8:17
9:26
10:25
11:24
.
粁程
運賃
駅    名
安   曇   追   分   行
列 車 番 号
2
4
50
6
8
10
12
14
16
18
20
22
24
26
28
30
32
34
36
38
0.0
北 池 田  発
5:55
6:55
7:35
8:09
9:20
10:25
11:35
0:15
0:58
1:40
3:08
3:55
4:30
5:20
6:09
6:55
7:45
8:50
9:45
10:27
0.9
3
信濃池田  発
5:58
6:59
7:38
8:12
9:23
10:29
11:38
0:18
1:01
1:43
3:13
3:58
4:33
5:23
6:13
6:58
7:48
8:53
9:48
10:30
1.8
5
南 池 田  発
6:00
7:01
7:40
8:14
9:25
10:31
11:40
0:20
1:03
1:45
3:15
4:00
4:35
5:25
6:15
7:00
7:50
8:55
9:50
10:32
3.9
10
會   染   発
6:04
7:05
7:44
8:18
9:29
10:35
11:44
0:24
1:07
1:48
3:19
4:04
4:39
5:29
6:19
7:04
7:54
8:59
9:54
10:36
5.4
14
十 日 市  発
6:07
7:08
7:47
8:21
9:32
10:38
11:47
0:27
1:10
1:52
3:22
4:07
4:42
5:32
6:22
7:07
7:57
9:02
9:57
10:39
6.9
18
安曇追分  着
6:09
7:10
7:49
8:23
9:34
10:40
11:49
0:29
1:12
1:54
3:24
4:09
4:44
5:34
6:24
7:09
7:59
9:04
9:59
10:41

参考文献
   池田町誌 歴史編U  池田町
   信州の鉄道物語    信濃毎日出版社
   大糸線の80年      郷土出版社




池 田 鐵 道  廃線跡を訪ねる
 2012年に池田町教育委員会により池田鉄道の全ての駅跡に標柱が立て
られ信濃池田駅跡には説明板も設置されました。
 JR安曇追分駅から始まる軌道跡は、水田の基盤整備事業や住宅・工場の
建築により終点の北池田駅跡まで まったくと言っていいほど確認できませんが
高瀬川橋梁跡と十日市駅跡の中間に小河川に架かる橋梁の遺構が残されて
います。
 駅ホーム跡については、会染駅・南池田駅・信濃池田駅・北池田駅で確認
することができますが、その一部あるいは全部が個人の所有となっている場所
がほとんどです。以前から知られる信濃池田駅跡の本社建物は荒れ果てては
いるものの残されています。
 特筆すべきは会染駅駅舎の建物が残っていたことと、確認はできていません
が北池田駅駅舎らしき建物が残っていることです。
 なお会染駅跡周辺(駅舎建物も含めて)については、田中宏一郎氏に写真
撮影のご協力とあわせて くわしいご教示を頂きました。



安 曇 追 分 駅 付 近
JR大糸線・安曇追分駅駅舎
 大糸線でも建築当初の姿をとどめる数少なくなった木造駅舎の一つです。
 池田鉄道の起点駅で車庫がおかれていました。
 今も駅舎正面の柱に残る「建物財産票」には、大正15年8月と記されています
 ので池田鉄道開業の1ヵ月前に竣工したものと考えられます。

国鉄時代の安曇追分駅 建物財産表
昭和が消され、手書きで大正と書かれています(部分拡大)


安曇追分駅構内 線路配置略図(現状)

JR大糸線・安曇追分駅ホーム
 信濃大町方面を望む。

池田鉄道で使用したホーム跡か?
 現駅構内の東側に残るホーム跡、貨物取り扱いの名残かもしれない。

 JR大糸線・安曇追分駅の東側から旧高瀬川橋梁方面を望む。
旧 高 瀬 川 橋 梁 付 近
旧高瀬川橋梁・架橋地点 左の橋は新高瀬橋
 高瀬川左岸(池田町)から安曇追分方面を望む。

旧高瀬橋 (道路橋)
 池田鉄道の高瀬川橋梁は、長さ約200メートル 3連のトラス橋で廃止後は
 その橋脚が、写真の旧高瀬橋の一部に利用されていました。
 この橋も、2000年の新橋竣工後に撤去されました。
( 写真は1999年 デジタル撮影 ・今回更新前から掲載 )

旧高瀬川橋梁・架橋地点 から十日市方面を望む。
小 河 川 の 橋 梁 遺 構
高瀬川橋梁と十日市駅の中間地点です。
水田の基盤整備事業や宅地開発を逃れて、よくぞ残ってくれましたと言いたい遺構です。
両岸の橋台と橋脚が残り、いずれもコンクリート製です。右が十日市駅方になります。

線路と直角方向からの撮影

Photo1は下流側、Photo2は上流側からの撮影
河川幅の均3分の1を橋脚が占めており、しかも上流側は水切り構造となっています。
小河川としては、きわめて特異な構造ではないでしょうか。
Photo1
Photo2

十 日 市 駅 付 近
十日市駅跡付近から安曇追分方面を望む。

 十日市駅を偲ばせるものは何も残っていません。
 単式ホームの棒線駅だったそうです。

池田鉄道・十日市駅跡 標柱
十日市駅構内 線路配置略図


十日市駅跡付近から会染方面を望む。
會 染 駅 付 近
会染駅跡付近から十日市方面を望む。

池田鉄道・会染駅跡 標柱
会染駅構内 線路配置略図


西側から望む 会染駅跡 全景
 生垣の向こう写真中央部から左にホーム跡、写真右端に駅舎。

会染駅ホーム跡
 会染駅には列車交換設備が設けられ、ホーム形状は島式1面でした。
 Photo1からPhoto4まで順に南(十日市方)から撮影。
 Photo4は、北(柏木方)のホーム端
Photo1
Photo2
Photo3
Photo4

会染駅駅舎(兼駅長宿舎)跡
 写真の真ん中の建物、増築等で改造されていますが、現在まで残ったことに感激です。

会染駅跡付近から柏木方面を望む。
柏 木 駅 付 近
柏木駅跡付近から会染方面を望む。

 柏木駅を偲ばせるものは何も残っていません。
 ここも単式ホームの棒線駅だったそうです。

池田鉄道・柏木駅跡 標柱
柏木駅構内 線路配置略図


柏木駅跡付近から南池田方面を望む。
南 池 田 駅 付 近
南池田駅跡付近から柏木方面を望む。

池田鉄道・南池田駅跡 標柱

南池田駅構内 線路配置略図


南池田駅ホーム跡  単式ホームの棒線駅
 写真は東側から撮影、Puoto1は、柏木方から Puoto2は信濃池田方からの撮影
Photo1
Photo2

南池田駅跡付近から信濃池田方面を望む。
信 濃 池 田 駅 付 近
信濃池田駅跡付近から南池田方面を望む。

 池田鉄道本社の所在地
 列車交換設備が設けられていましたが、ホーム形状は確認できません。

池田鉄道・信濃池田駅跡 標柱と説明板

信濃池田駅構内 線路配置略図


池田鉄道 説明板 (池田町教育委員会)

西側から望む 信濃池田駅跡 全景、右端は本社建物

信濃池田駅ホーム跡 柏木方から撮影

池田鉄道本社建物跡
 Photo1は西側から、Photo2は東側から撮影
 いろいろな用途に使われ かなり改造されてはいますが、屋根や軒下等は
 原型を留めているようです。現状は荒れるにまかせている感じです。
Photo1
Photo2

信濃池田駅跡付近から北池田方面を望む。

北 池 田 駅 付 近
北池田駅跡付近から信濃池田方面を望む。

池田鉄道・北池田駅跡 標柱
北池田駅構内 線路配置略図


北池田駅 全景

北池田駅ホーム跡
 平行してふたつのホーム擁壁跡がのこっていますがホーム形状は
 確認できません。
Photo1
Photo2




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