西部デンツーへようこそ!
パソコンと英語会話教室の西部デンツーへようこそ。
当教室は1995年から久留米地域の生涯学習を支援する目的で運営しています。 アットホームで、かゆいところにも手が届くような、そんな教室を目指しています。
パソコンと英語会話についてお手伝いできることがきっとあると思います。
どうぞお気軽にご利用ください。
増山拝
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増山拝
現在使われているパソコンのOSは、ほとんどWindows。
MacOSなどもあるが、ほとんどはWindowsである。
ただし、これはパソコンの場合の話し。
実は、パソコン以外の、組み込み用OSには、純国産のOS「TRON(トロン)」が広く利用されていることをご存じだろうか。
TRON は、1983年頃、坂村健教授(当時は東京大学助手)が提唱して開始された日本独自のOS開発プロジェクトだ。
TRONとは「The Real-Time Operating System Nucleus」の略である。
日本語でいうと「リアルタイムで機器を作動させるOSの中心部分」という意味になる。
坂村教授は電球から人工衛星まであらゆるモノにコンピュータが入り込み、ネットワークでつながると予想していた。
それぞれの機器に組み込まれたコンピュータの動きを統一するために、OSを標準化させる、というビジョンを提示したわけだ。
このような考えは、現在では「IoT」(Internet of Things:モノのインターネット)と呼ばれ、すでに広く実用化され始めている。
つまり坂村教授の発想は30年以上前、未来を先取りしていたという事になる。
一般的には分かりやすく『どこでもコンピュータ』という言い方で表現されていた。
こんなに優れたOSのTRONプロジェクトだが、発足当初から悲劇に見舞われる。
1985年の日航ジャンボ機事故で犠牲になった方の中に、「TRONプロジェクト」を手がけていた天才エンジニア17人が乗っており、全員亡くなった。
TRONプロジェクトは「どこでもコンピュータ」実現のため、6つのサブプロジェクトに分かれて進行していた。
たとえば、
I-TRON(アイトロン)は、家電機器や産業ロボットなど、あらゆる機械で使用する組込み用OS。
B-TRON(ビートロン)は、ビジネス・事務処理向け、現在で言うパソコン用のOS、というように。
B-TRONは先進的なOSで、当時のOSの多くが文字でコマンドを入力する方式だったのに対し、B-TRONはマウスを使ってアイコンをクリックしソフトを起動する、今のパソコンと同じ方式をすでに実現していた。
1986年、旧通産省や旧文部省は、日本の学校教育用標準OSとしてB-TRONの導入を検討すると発表する。
このニュースは大きく取り上げられ、NEC以外は、多くのパソコン・メーカーが次々に参入した。
NECは、マイクロソフトのOS「MS-DOS」を使ったパソコン「PC98」シリーズで、すでに成功を収めていたからだ。
NECは、教育用パソコンの標準化自体にも反対の立場だったが、最終的には、MS-DOSでもBTRONでも動くパソコンを作ることで合意した。
しかし、この話はうまく進まなかった。
小学校の教育用パソコンへTRONの導入が決まりかけていたとき、アメリカからスーパー301条に引っかかるとして圧力がかかる。
1980年代後半は、日本の経済力が急激に伸びた時期で、アメリカとの貿易摩擦問題が発生していた。
この動きに当然、トロン協会はアメリカに対し文書による抗議を行なった。
その結果、1年ほどしてTRONは制裁対象から外れるが、メーカー100社近くがTRONから手を引くことになる。
厄介なゴタゴタに関わりたくなかったということだろう。
結局、実際に学校教育で導入されたのは、PC-9801をはじめとするMS-DOS搭載のパソコンで、TRONは排除されてしまう。
TRONがパソコンOSとして普及するチャンスはここで潰されてしまったことになる。
しかし、6つのプロジェクトの中で「I-TRON」は現在でも生き残って発展している。
I-TRONは、「家電機器」「ロボット」などに組み込むコンピュータ用のOS。
I-TRONには2つの仕様があって、
大規模組み込みシステム向け「ITRON2」
小規模組み込みシステム向け「μITRON」(マイクロアイトロン)
このうち、μITRONは省エネ・高速処理に優れ、様々な機器に採用されて搭載数世界一のOSに成長を遂げる。
μITRONはここまで発展できたのは、1つに「仕様が無償で公開されて」「誰でも自由に入手でき」「自由に変更を加えることができた」という点にある。
もう1つは、メモリ(記憶容量)が小さく動作速度もそれほど速くないシステムに最適なOSだった。
現在では、アメリカの電気電子学会IEEEによるリアルタイムOSの国際標準規格になっている。
また、世界各国でリアルタイムOSの教科書として採用もされているようだ。
前回お話しした宇和島の嘉蔵さんをはじめ、まだまだ日本は捨てたもんじゃない。そんな事例はたくさんある。
2020/07/31