畑薙第一ダムの駐車スペースは公式にはほとんどないけど、
実際はダムの上などにたくさん止めれるので心配は御無用。
最初に他の車の列と違うところに止めるのは勇気がいるけど、
その後の人たちがたっぷり来るので気にせず止めましょう。
いつも通り車中泊。
トイレに行くのを中止して慌ててパッキング。 バスの列に並ぶと意外と簡単に椹島行きのバスに乗ることができた(7:30)。 バスの中でどこの小屋に泊まるのかを全員に確認。 山小屋の送迎用という位置付けなのも関係あるのだろう。
バスに乗っている人たちの90%は千枚小屋方面、
5%が聖方面、残りの5%が私たちと同じ赤石方面。
この地域では椹島を基点にして荒川、赤石を周るコースは定番だけど、どの本を見ても必ずといっていいほど千枚小屋から左回り。
自分でもつい最近まで当然のように千枚から登ろうかと思ってたけど、ふと逆回りでもいいことに気がついた。
左回りがなぜ多いのか理由は不明だけど、
私と同様になんとなく左回りにしようと思っている人は多いんじゃないか、
と思って赤石からにしたのだが、その予想は的中!
後で確認するとやはり千枚小屋はとても混んでいたらしい。
(どの日でも千枚小屋は混んでいたらしいけど)
「100人の団体がこの小屋に泊まりに来る」
というそれらしい情報(デマ?)もあったけど、
それなりにゆとりをもって就寝。
途中、小屋の別棟(昔の小屋の建物で、現在は素泊まり客用)
に移った人もいて、さらに快適に寝ることができた。
4:00起床。 外に出て他の人たちと一緒に日の出を撮影。 赤石小屋からは赤石岳の頂上が見えるけど、 方角的には荒川岳側に朝焼けが見える。
登山者がたむろすると必ずと言っていいほど説明屋さんとか自慢屋さんが出現するけど、 この時も似たような感じになって、あるおじさんが 「悪沢岳は北岳に次いで日本で3番目に高い山だ」 などと言っている。 「3番目は奥穂でしょ? それは南アルプスで北岳、間ノ岳に次いで3番目、 っていう意味じゃないの?」 と思ったけど、いつも通り勇気と自信のない私は黙っていた。
4:50に朝食。
日の出まで待っていたかったけど、
まだまだ行程が長いので出発時間を優先した。
5:20出発。
赤石岳への登りはちょっとした急登。
小赤石岳で会った登山者(千枚岳方面かららしかった)
に「ここの下りは危ないですか?
よく事故があるって言われたんですけど」
と聞かれるが「慎重に下ればそれほど危険ではないと思いますよ」と答えた。
赤石岳 |
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おじさんの話だと「昨日は二人しか泊まらなかったよ。 楽しみにしてたのに」 「私たちは登ろうとしたんですけど、 大雨が降り始めて断念しました」 「えー?頂上付近は晴れてたよ」。 なんとそんなことがあろうとは思えなかったほどの雨だったのに...
私たちの一人2本のストックを見て 「2本は便利だけど、 ここから赤石小屋への道のような急な岩場の下りでは危険。 年に数回怪我人が出てヘリを呼ぶけど、 2本のストックでぎりぎりまでがんばって、 手をつかずに大怪我する人がいる。 ヘリを呼ぶと大変だよ。 民間のヘリをお金出して呼べばすぐに来てくれるけど、 警察のなんかは天気が悪いとか なんやかんや言ってなかなか来ない。 3日くらい待たされることもありますよ、 というとみんな民間にするけどね」。 登山者は自分の身を自分で守る最大限の努力をする義務があるのだろう。
小屋のトイレは溜め込んでヘリで下界に下ろすシステムだと貼紙がしてあるので、ヘリの頻度を尋ねると
「そんなのお金がかかってしょうがないからシーズンに1回だよ」とのこと。
いろいろ登山者が考えないといけないことがあるなぁ...
「今日はどこに泊まるの?」
「荒川小屋の予定にしてましたけど、
早すぎるので中岳頂上避難小屋にしようして、
明日予約している二軒小屋にしようと思ってます」
「オー!二軒小屋に泊まるとはリッチ!」。
この人たちから見てもリッチな客に見えるんだなぁ...
10:30荒川小屋に到着。
小屋のすぐそばにある水場で水を補給。
ポカリスウェットの粉を入れている隣のおじさんがうらやましい。
小屋で粉を売ってくれればいいのに。
カレー、ラーメン、缶詰みかん、ジュースを買う。
山小屋って便利かも。
あまりにも早く目標地点に到着してしまったので、 「赤石小屋では今日荒川小屋に泊まる、 って言ったんですけど、次の小屋まで行ってもいいですか?」 と頼んでみると 「あぁ、どんどん次の小屋に行ってよ。 今日は人があふれそうで心配なんだよ」。 何にしても人の役に立つならいいかな?
荒川岳 |
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避難小屋は保健所の指導で調理が許されないので、 インスタント的なものしか出てこない。 そもそもその食事さえも出ることを知ってる人は少ない (私たちは事前に電話をかけて知っていた)からなのか、 泊まる人は他の小屋に比べるととても少ないし、 泊まっている人の中でも食事を全部頼っていたのは私たちだけ。
「明日の目的地は?」と聞かれて
「二軒小屋です」と答えると
「予約はしてあります?」。
二軒小屋からの送迎バスは宿泊者のみ
(以前はそうではなかったらしい)になったので、
当然の確認だと思う。
実際次の日の千枚岳付近の二軒小屋方面への分岐点にも、
ずいぶんしっかりした注意書きの看板が立っていた。
ビールを飲んでから、
荒川前岳が3000m峰であることを思い出して往復してくる。
天気は最悪で頂上の立て札しか見えなかった。
地図を見て聖岳や光岳の計画をたてて時間を潰すが、
それも飽きてしまって、
赤石頂上小屋のおじさんから言われた忠告
「夜は混んでて、いびきで寝れないから昼寝するのが一番」
に従って昼寝。
17:00に夕食(親子丼、緑のたぬき、コーヒー)を食べる。
17:30に小屋の前で夕焼けに赤くなる悪沢岳を撮影。
自分の足元の荒川中岳と比較すると
「この山を荒川三山から分けて別の山(悪沢岳)としたい」
という深田さんの無謀とも感じられる提案も、
まんざらでもない気がしてきた。
気を取り直して外で撮影続行。
三脚上のカメラが揺れてるかと思えるくらい風が強い。
隣で一眼レフで撮影しているおばさんが、
コントラストのない部分でピントを合わせているからなのか、
何度もAFが合わない音(レンズのピントのサーボ音)
が聞こえる。
うーむ、教えてあげた方がいいのだろうか...
5:00食事。
撮影終了後すぐに朝食をとりたかったので、
おじさんに少し前から暖め始めてもらっていたけど、
日の出が遅れたのでずいぶん遅くなってしまった。
小屋のおじさん、わがまま言ってすいません。
メニューはカレー、中華丼、コーヒー。
コーヒーを飲んでるとおじさんが封筒を持ってきて、
「これを二軒小屋に運んでもらえませんか?」
と聞いてくるので、「もちろんいいですよ」
と答えると「これはお礼のコーヒー代です」。
悪い気もしたが、
超軽量のボッカに雇われていい気分がしないでもない。
5:34出発。 悪沢岳への登りが始まるととてつもない風が右から左に吹きつけてくる。 登山道は左右にジグザグに登っていて、 左に登る時にはスイスイ歩けるけど、 右に向いたとたんにびくとも動けなくなってしまう。 先に歩いてるおじさんを見て、 「なんとゆっくり登る人なんだろう」 と思ってたらこんな事情があったとは...
悪沢岳 |
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千枚岳の手前で向こう側から団体が歩いてくる。
こちらはほとんどよける幅がないくらい登山道が狭いけど、
相手方にはゆとりがあったから当然止まるかと思ったら、
どんどんこちらに向かってくる。
何とか草むらに体を倒して避けようとしていると、
相手方の先頭のサブリーダー(添乗員?)
らしき人が何か大きな声で話している。
当然こちらが待っていることへのお礼かと思いきや、
自分のお客に一生懸命に咲いている花の説明をしている。
そんなことを人に教えるよりも山を歩くマナーを自分が学ぶべきじゃないの?
大人数ツアーの全てが悪いわけではないけど、
繭をしかめたくなるようなことがそういうグループに多いのも事実...
8:10千枚岳頂上。 ここからの下山道はあまり人が歩いていないからか、 あまり歩きやすい道ではない。 虫もたくさんいて、 昼食も楽しく食べれないので手短に済ませて下山。
ウーム、これだったら椹島に下ったほうがよかったかなぁ。 椹島ではたぶん食事もとれるし、 何よりも下山のバスに間に合えば、 今日中に家に帰ることができる。 そういえば昨日一緒に中岳避難小屋に泊まったおじさんが、 早朝に出発して椹島から帰ると言ってたっけ。
昼寝をして16:00に入浴。 みんな同じことを考えていた登山者でお風呂はギュウギュウ詰め。 ここ数日の汗が流せるだけでも満足しよう。 ちなみにお湯はかなり熱かった。 (日焼けのせいもあるだろうけど)
18:00に夕食。
塩見岳、蝙蝠岳から下山してきた夫婦
(宿の人が紹介してくれる)と席をともにする。
あの下山道は思ったよりも大変だったようだ。
写真集などの本を見て、21:00就寝。
6:30起床。7:00朝食。
食後に昨日の郵便ボッカのお礼にコーヒーをいただく。
なんか山屋の仲間入りしたような気分!
(中岳避難小屋でもコーヒーをもらったのでちょっと悪いけど)
白籏史朗さんの写真集などを見ながら時間を潰して、
8:30にチェックアウト。
バスの出発時間までは、
まだ時間があるので付近の人口湖を散歩。
10:00他の宿泊客と一緒に1BOXに乗って椹島経由し、 吊橋を見ていくという夫婦 (バスと電車で来ていて、 畑薙第一ダムからのバスへの時間潰しらしかった) を降ろして、畑薙第一ダムへ。
苦労しながらもなんとか彼らの車同士で引き上げることが完了すると、
一人が「はいこれ」と言って千円をくれた。
「こんなのいりませんよ」と言って返そうとすると、
関係者全員がなぜか逃げて散っていく。
まぁ、それが感謝の形なのだからありがたく頂戴した。
行きの反省を生かして、帰りはゆっくりと山道を運転。
無事に帰宅。