世俗合唱曲 | |||||||
Secular Choral Works | |||||||
第10回全ドイツ教員集会開会の祝典歌
ボンのベートーヴェン記念像除幕式のための祝典カンタータ ベートーヴェン100年祭に寄す ヘルダーの“解放されたプロメテウス”への合唱曲 芸術家達に寄す さらば楽しまん(ガウデアームス・イギトゥール) |
S26
S67 S68 S69 S70 S71 |
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男声四部合唱曲集 むかしむかし王様が 祖国ドイツ すべての峰に憩いあり 暗い海が私を包み 陽気な軍隊 乾杯の辞 巨人 |
S72 S73 S74 S75 S76 S77 S78 S79 |
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四大元素
鍛冶屋 労働者の合唱 ハンガリー・カンタータ”東より、太陽の門より” 光を、もっと光を 天使の合唱(ゲーテの”ファウスト”第2部より) ワイマールのヘルダー記念碑除幕式のための祝典合唱曲”来世の光” ワイマール民謡”ワルトブルク城の前で” 朝の歌 |
S80
S81 S82 S83 S84 S85 S86 S87 S88 |
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音楽を奏でて 男性合唱のために 歓喜の歌 カール・アウグストはわれらと共に ハンガリー王の歌 挨拶 |
S89 S90 S91 S92 S93 S94 |
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ボンのベートーヴェン記念像除幕式のための祝典カンタータ S67 1845年 | |||||||
1845年、ベートーヴェンの生誕75年の記念式典のための作品です。記念式典は1839年より企画され、リストはベルリオーズと共に実行委員として参加しました。ところが参加どころか、実行委員の中央にいたらないところがあり、式典を成功させるために、かなり細かいところまでリストが手をまわしたとのこと。さらにはリストは私産から1万フランを提供するなど、この式典の実現にリストは非常な貢献をしました。というのもリストにとってベートーヴェンは言ってみれば英雄であり、憧れの対象であったのです。幼少の頃、ベートーヴェンに自分の演奏を祝福されたという思い出とともに、リストの楽聖に対する敬意は終生かわることはありませんでした。 記念式典の目玉はベートーヴェン像の製作でした。式典当日は、リスト指揮によるベートーヴェン“運命”、リストのピアノ独奏、そしてこの“ベートーヴェン・カンタータ”が初演されました。 邦訳された書籍ではエステバン・ブッフ著 『ベートーヴェンの「第九交響曲」』 湯浅 史 土屋良二 訳 鳥影社 の第七章 一八四五年ボンの祝典 に詳しいです。同書よりP 言ってみれば1845年のボンのベートーヴェン祭は、リストが“ある人物を英雄視する、神話化する”最初の行為でした。二人目はワーグナーになります。ガイドラインを書けば、 1.リストは自分の芸術的理想にドイツ芸術(ベートーヴェン、ゲーテ)を掲げる。 2.ヴィルトゥオーゾとしての完全な成功。1840年ハンガリーで英雄的待遇 3.1845年 ベートーヴェン祭典 英雄となったリストが、英雄ベートーヴェンを讃える。 →ベートーヴェンの神話化。 4.1848年 ワイマール宮廷楽長に就任。ゲーテの跡を継ぐ。 5.新ドイツ楽派の推進。ワグネリズムの推進 6.1870年代以降 ワグネリズムの勝利。 →ワーグナーの神話化。 詩はベルンハールト・ヴォルフにより、ベートーヴェンの栄光、才能を称えるような内容です。曲は大きく4部に分かれます。 “作曲家としてはシュポーアや他の現在のドイツ人作曲家に劣る”P175 “コーレイはこのときのフランツ・リストの姿を描いて「これほど気高く、これほど静かに光り輝く表情を浮かべた顔を今までに見たことがないように思う」と述べている。”P ≪世俗合唱曲とは≫ 宗教合唱曲がカトリックの典礼用の合唱曲、あるいはキリスト教を題材とした合唱曲であるのに対し、世俗合唱曲は主に同時代の詩人達の作品をテキストとして用いた合唱曲です。といっても19世紀のロマン派の作曲家にとって、2つのテキストは自分の音楽芸術を表現するための題材としては同じ位置にあるようで、結果、作品の内容に大きな音楽的差異があるわけではありません。 Cantate zur Inauguration des Beethoven-Monuments 1845 (27:33 DEUTSCHE HARMONIA MUNDI 05472 77535-2) |
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むかしむかし王様が S73 1844年 | |||||||
独唱と男声合唱の曲です。この曲は出版されるのは現代に入ってからで1986年のことです。テキストはゲーテのファウスト第1部の“ライプツィヒ市のアウエルバッハの酒場”でメフィストーフェレスが歌う詩をつかっています。王様が飼っていた蚤の話しでもあるため、“蚤の歌”とも言われます。同じ詩を使って、ベートーヴェン、ブゾーニ、ムソルグスキーも作曲しています。この場面はメフィストーフェレスが、学生達をからかい、その魔力を発揮するという場面です。 ピアノ伴奏のリズムも、何か人を嘲笑するような感じがあります。合唱よりも独唱の方がメインとなっている曲です。 Es war einmal ein Konig (2:58 GLOBE GLO5070) |
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巨人 S79 1842年 | |||||||
フランツ・フォン・ショーバーの詩“タイタン”につけられた世俗的合唱曲です。男声独唱と男声合唱とピアノ伴奏によって演奏されます。1842年より作曲が始められ、異なるバージョンが4つうまれました。 ≪タイタンとは?≫ ギリシア神話に出てくる巨神達のことです。有名なものでクロノス、プロメテウス、アトラスらがいます。彼らはオリンポスの神々よりも前に世界を支配していたのですが、ゼウスと戦って敗北しタルタロス(地下界)に幽閉されました。ブルフィンチによれば巨神ティテュアスが体を伸ばすと 9エーカーの野を覆ったそうです(1エーカーは約4047平方メートル。)。タイタンの名前は現代では、元素の“チタン”、そして土星の衛星として聞かれ、その他“巨大で、雄大な”ものに、好んでその名は冠せられます。まず豪華客船タイタニック号を思い出します。タイタニック号が海底に沈んだことは、地下界に落とされたタイタンと同じ名を持つことがいけなかったのかも? ≪巨神の歩行≫ 巨神の歩行を思わせるリズムで、ピアノが力強く不協和音を連打します。ピアノ伴奏の上に男声ソロがほとんど起伏のない旋律を歌います。僕は、この起伏のない旋律から、後の傑作“ファウスト交響曲”の合唱を思い起こしました。そして冒頭の不穏さが浄化されるようにメロディックな部分へとつながっていきます。後半は男声ソロと男声合唱によって歌われます。 Titan (10:13 HUNGAROTON HCD31923) |
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四大元素 S80 1844〜45年 | |||||||
男声合唱に、ピアノまたはオーケストラによる伴奏を伴います。この曲は交響詩“前奏曲”の原型のような曲です。もちろん別の曲であって異なる旋律も多いですが、全体的に交響詩“前奏曲”の合唱曲版という感じがします。合唱曲“四大元素”はフランスの詩人ヨーゼフ・オートラン(1813−1877)の詩、交響詩“前奏曲”はラマルティーヌの詩によります。合唱曲は次の4つに分けられます。 1.大地 La terre 2.北風 Les Aquilons 3.海の水 Les flots 4.空 Les astres 交響詩“前奏曲”も、人生を4つのパートに分けて描き出すような作品でした。大雑把に言えば、静かな導入、嵐、憩い、勝利といった感じです。オートランとラマルティーヌ。作詞者もタイトルも異なりますが、リストの作曲の目的は、人生、あるいは世界といったものを構成する“要素”をそれぞれ音楽で表現し、統一的な世界観を描き出そうとしたのだと思います。 交響詩“前奏曲”の作曲は1848年になりますが、もともとリストは交響詩“前奏曲”を、この“四大元素”のための音楽形式上の意味での本当の序曲として作曲しました※1。作品内容としてもすでに“四大元素”の時点で交響詩“前奏曲”の世界はある程度確立されている、と言えます。
1839年に#2の“北風”が作曲され、1844年にリストとダーヴォビルによって2台のピアノ伴奏で演奏されます。その後1845年に#1と#3が作曲されました。#4の作曲年代は不明とのこと。1848年にはコーンラディによって管弦楽版が作られます。 ≪四大元素≫ 古代ギリシアの哲学です。アリストテレスを筆頭に、古代ギリシアの哲学者は人間が住む月より下の世界は、4つの元素、つまり“地”“火”“水”“空気”から成っていると考えていました(リストの四大元素と異なりますが・・・)。四大元素のテーマは作曲家達に好まれ、他にミヨーが同名のカンタータを、ジャン=フェリ・ルベルが管弦楽曲を作っています。 Les quatre Elemens (33:05 HUNGAROTON HCD31923) |
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鍛冶屋 S81 1845年 | |||||||
1845年リストのスペイン〜ポルトガルツアーの時に作曲されます。2月12日にリスボンで完成され、リストはそのまま4月の第2週にはフランスに戻ります。リストは1845年5月24日にフランス東部のバーガンディにあるマコンでリサイタルを行い、そこで詩人ラマルティーヌと会います。(リストとラマルティーヌはその後、ラマルティーヌの住む城に滞在し、そこでリストはラマルティーヌの姪のヴァレンティンと深い関係にまでなります。)※1マリア・エックハルトによるとリストはラマルティーヌにこの曲をピアノで弾いて聴かせたとのこと。 詩はラムネ神父によります。ピアノ伴奏を伴う、テノールとバス、男声合唱のための曲です。リストは、この“鍛冶屋”の他に“農夫”“水夫”“兵士”※2の合唱曲を作り、これら労働者を称える作品集を作ろうと思っていました。けれどもラムネ神父が“鍛冶屋”の他の詩を書かなかったため、他の3つは作られませんでした。その後コンラーディによって管弦楽化され、リストが修正したという版もあるようです。 非常に特徴的な、マーチのような伴奏に力強い男声合唱が入ります。特徴的なピアノ伴奏は“鍛冶屋”をイメージしているようです。ウォーカーが紹介しているのですが、ゲーレリヒによるとワーグナーはジークフリートのミーメの鍛冶のモティーフをリストの“鍛冶屋”から着想したとのこと※3。それだけでなく親しみやすい旋律も豊富で、“四大元素”や“交響詩前奏曲”にも通じる旋律が見え隠れします。ヴィルトゥオーゾ・リストらしい合唱曲です。
Le Forgeron (10:12 HUNGAROTON HCD31923) |
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労働者の合唱 S82 1843年 | |||||||
ピアノ伴奏を伴う、バス、男声4重唱、男声合唱のための曲です。詩は労働を称えるような内容で、フィリップ・カウフマンによって書かれました※1。カウフマンはリストの子どもの教師だったとのこと。ドイツのフリーメーソンのゾーリンゲン支部のために1843年9月に作曲されました。詳しくはわかりませんがリストはフリーメーソンのメンバーでした。その後1848年に出版に向けて改訂されましたが、出版社側に出版を断られてしまったとのこと。 この曲は“英雄行進曲”としてピアノ独奏曲(S510)、ピアノ連弾曲(S587)に編曲されています。またコンラーディによって管弦楽化されました。でもリスティアンにとって最も、この旋律に親しみが多いのは、交響詩“マゼッパ”の後半としてでしょう。1924年には混声合唱曲としてアントン・ヴェーベルンによって編曲もされています。
Arbeiterchor (33:05 HUNGAROTON HCD31923) |
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天使の合唱“バラよ、すばらしきもの”(ゲーテの”ファウスト”第2部より) S85 1849年 | |||||||
ハープ(またはピアノ)伴奏の、混声合唱です。メインは女声の合唱となります。ハープの音を伴奏にした美しい作品です。詩はゲーテの“ファウスト”第2部のクライマックスからのものです。1842年にリストはワイマール宮廷楽団の客演楽長となり、1848年に常任楽長に就任。以後リストはワイマールの芸術・文化の中心的人物として活躍します。そして1849年8月28日のゲーテ生誕100年記念に向け、この“天使の合唱”を作曲しました。ゲーテ生誕100年にはベートーヴェンの第九交響曲を指揮したとのこと。“天使の合唱”が実際に演奏されたかはちょっとわかりません。 ファウスト第2部の本当の最後に“神秘の合唱”がありますが、リストはこちらを“ファウスト交響曲”最終楽章の合唱曲に作曲しました。 ≪天使の合唱“バラよ、すばらしきもの”≫ ファウスト第2部のクライマックスです。“時よとまれ!お前はいかにも美しい!”という約束の言葉を口にしたファウストはついに息絶えます。約束どおりメフィストーフェレスは、ファウストの魂を地獄へと持っていこうとします。ファウストの体から魂が抜け出すのを待っていると、天上から天使達の合唱が聞こえてきます。天使達はバラの花を撒きながら、ファウストの魂を救いにきたのです。メフィストーフェレスは散々悪態をつきますが、ファウストの魂は無事、天上へと運ばれていきます。 Chor der Engel(Goethe:Faust,Part 2) (10:18 HUNGAROTON HCD31103) |
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ハンガリー王の歌 S93 1883年 | |||||||
この曲は1883年にブダペスト歌劇場でのフランツ=ヨーゼフ1世への歓迎のために作曲されましたが、その時は演奏されなかったようです。テキストはコルネル・アブラニーによります。辞典では全6曲あることになっているのですが、僕が持っているCDでは短い1曲になっています。この曲は短いブロックが集まったような感じなのですが、全体としてもとても短いです。6曲ではなく、リストの楽譜によくあるように、6つのパターンの編成での演奏が指示されているのでしょうか?それとも短いブロックをそれぞれ6つのパターンの編成で歌うような指示なのかも。ちょっとよくわかりません。 この曲はそのままピアノ独奏曲S544にも編曲されています。冒頭のあとに来る静かに歌われる部分で、ピアノ独奏曲版ではなかった、管楽器による下降する旋律がとても効果的です。ピアノ独奏曲版では楽曲の唐突な展開に戸惑いますが、合唱曲を聞くと理解できます。 Magyar kiraly−dal(Ungarisches Konigslied) (2:45 HUNGAROTON HCD12748) |
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