SONATA IN B MINOR  ピアノソナタロ短調  
Arrau,Horowitz,Richter 
アラウ、ホロヴィッツ、リヒテル

演奏 ウラディミール・ホロヴィッツ     
タイトル 『ホロヴィッツ・プレイズ・リスト』
データ
1955,77,79,81年録音 VICTOR 09026-61415-2
輸入盤
収録曲
  1.ピアノソナタ ロ短調        S178         30:00
  2.バラード 第2番           S171          15:15
  3.コンソレーション第3番      S172 NO.3      4:25
  4.葬送曲                S173 NO.7     10:27
  5.メフィストワルツ 第1番       S514         12:16
感想
悪魔的とも呼べるソナタです。ホロヴィッツは独自の世界観を表現しています。このアルバムの中で文句なく素晴らしいのは“メフィストワルツ”です。論理的で男性的、肯定的、ファウスト的なブレンデル、感情的で女性的、グレートヒェン的、共感的なボレット、それに対しホロヴィッツは矛盾に満ち、中性的、メフィストーフェレス的、否定的な演奏です。これらはフランツ・リストの中に混沌として内在する特徴であって、3者はどこに焦点をあてるかによって異なったリストを聴かせてくれると思います。


演奏 ウラディミール・ホロヴィッツ
タイトル 『グレート・ピアニスツ ホロヴィッツ  ピアノソナタロ短調』
データ
1932/33/34/35年録音 NAXOS 8.110606
収録曲
1. スカルラッティ ソナタロ短調 L.33  - 4:22
2. スカルラッティ ソナタト長調 L.487 - 2:08
3〜5. ハイドン ソナタ変ホ長調 Hob.XVI/52 - 14:41
6. シューマン アラベスク ハ長調 作品18 - 6:17
7. シューマン 幻想小曲集より “夢のもつれ” 作品12の7 - 2:22
8. ショパン マズルカ 第27番 ホ長調作品41の2 - 2:23
9. ショパン マズルカ 大32番 嬰ハ短調 作品50の3 - 4:13
10. ショパン 練習曲 嬰ハ短調 作品10の4 - 2:01
11. ショパン 練習曲 “黒鍵”変ト長調 作品10の5 - 1:33
12. ドビュッシー 12の練習曲11番 組み合わされたアルペジオのための - 3:34
13. プーランク “ジャンヌの扇”8番 パストラール - 2:13
14. プーランク 3つの小品より第2番 トッカータ - 1:51
15. リムスキー=コルサコフ〜ラフマニノフ 熊蜂の飛行  - 1:10
16. ストラヴィンスキー ロシア舞曲 “ぺトルーシュカ”より - 2:15
17〜21. リスト ピアノソナタロ短調 S178 26:29
 
感想
ピアノソナタロ短調は1932年の録音です。ホロヴィッツが29歳のとき、また30代前半の録音が収録されています。収録された小品は、繊細な表現が魅力です。この頃のホロヴィッツのソナタは、1977年の録音で強く感じる、悪魔的な印象があまり感じません。クライマックス部の推進力はすごいです。旋律を歌うように弾く、構成するスタイルが魅力です。


演奏 クラウディオ・アラウ
タイトル 『ピアノソナタロ短調』
データ
1985/1989年録音 PHILIPS 422-060-2 PH
収録曲
  1〜4.ピアノソナタ ロ短調                     S178  32:03
  5.メフィストワルツ 第1番                    S514   12:39
  6.愛の夢 第3番                         S541/3  4:57
  7.ウィリアム・テルの礼拝堂                  S160/1  6:58
  
感想
ブレンデル盤を聴き慣れていた僕にとって、アラウのピアノソナタロ短調は苦手だったのですが、これがアラウの解釈だ、と考えて聴くようにしています。アラウによるソナタロ短調はやはりクラウゼの弟子としての、19世紀スタイルの側面が強調されているのでしょう。構成感よりも感情を優先しています。ボレットの演奏に、音の重みを加えたような解釈です。#6のような小品を重厚な響きで聴かせてくれるところもアラウの魅力です。


演奏 クラウディオ・アラウ
タイトル 『ピアノソナタロ短調』
データ
1970/74/75/76年録音 PHILIPS UCCP-9348 470 154-2
国内盤(在庫なし)
収録曲
1. ピアノソナタロ短調 S178 32:13
2. 孤独の中の神の祝福 S173/3 19:08
3つの演奏会用練習曲 S144
3. 第1番 “悲しみ” S144/1 10:42
4. 第2番 “軽やかさ” S144/2 5:29
5. 第3番 “ため息” S144/3 6:01
感想
録音年代が少し前になることもあり音質が他の2枚よりも落ちます。ソナタの解釈は基本的に同じです。演奏会用練習曲はすばらしい演奏です。“悲しみ”にいたってはアラウの演奏によってソナタから受ける感動に近い印象を受けました。


演奏 クラウディオ・アラウ
タイトル 『ピアノソナタロ短調 ザルツブルグ・コンサート』
データ
1982年録音 ORFEO C611 031B
収録曲
1. リスト ピアノソナタロ短調 S178 30:09
2. ベートーヴェン ピアノソナタ 第23番“熱情 25:57
3. ソナタ風幻想曲“ダンテを読みて” S161/7 18:00
感想
これはザルツブルグでのコンサートを収録したもの。基本的にアラウの解釈は、上記の2枚と同じですが、ライブであることもあり高揚感があるのか、少し速い演奏です。僕にとってはアラウの演奏ではこれぐらいの速度が一番しっくりします。


演奏 スビャトスラフ・リヒテル
タイトル 『ピアノソナタロ短調』
データ
1961/66年録音 AS DISC AS 345
収録曲
  1.ピアノソナタ ロ短調            S178    29:40
  2〜4.ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調  S124     17:50
  5.葬送曲                   S173/7   11:10
   
感想
ソナタは1966年の録音です。リヒテルの演奏の印象は、とにかく“若々しい”ということ。誰よりも若々しいリストを演奏してくれます。特に単音のシンプルな旋律を鳴らせるところは、非常に説得力があり感動的です。


演奏 スビャトスラフ・リヒテル       
タイトル 『BBC レジェンド ピアノソナタロ短調』
データ
1964/66年録音 BBC BBCL 4146-2
輸入盤
収録曲
シューベルト 楽興の時 D780
1. 第1番 ハ短調 6:10
2. 第3番 ヘ短調 1:47
3. 第6番 変イ長調 12:48
4. シューベルト ピアノソナタ ホ短調 D566 20:10
7. ショパン 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60 8:25
8〜18. リスト ピアノソナタロ短調 S178 29:30
 
感想
これは、AS DISCのCDと同じオールドバラでのライブ録音なのですが、音質が全く違います。ステレオ録音となり、よりリアルでクリアな音で、リヒテルのライブ演奏がよみがえります。見事な構築感に、激しさや荒々しさが加わる素晴らしい演奏です。


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