リスト関連書籍の紹介
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タイトル 『リスト 生涯篇』
著者名 属 啓成 
出版社 音楽之友社
出版年 1991年
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読みやすく、写真も豊富。著者は資料を調べることだけでなく、実際にリストの足跡を著者自らが辿ることでリアルなリスト像を伝えてくれます。この本は版を重ねていないのでしょうか?装丁も品がよく、普通にリストを楽しむファンにはこの本は非常にお勧めなんですけど。リストをかなり理想化していますが、別にそれでいいと思います。なおこのホームページの“生涯”についての記述では、この本を非常に参考にしました。


タイトル 『リスト 作品篇』  
著者名 属 啓成 
出版社 音楽之友社
出版年 1993年初版/1993年初版
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こちらは作品篇です。リストの作品のごく一部ではありますが、著名なピアノ曲はフォローされています。譜例を多く盛り込んで解説されており、書籍としての品の良さが素晴らしいです。『生涯篇』とあわせて、リスティアンにとって宝物となること間違いありません。   


タイトル 『愛の使徒 リストの生涯 (上下巻)』 
著者名 原田 光子
訳者
出版社 協立書店
出版年 1951年初版/1951年初版
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小説風のリストの伝記です。フィクションだと思うのですが、興味深いセリフがたくさんでてきます。リストを非常に理想的に描いた書籍です。


タイトル 『フランツ・リストの生涯』 
著者名 原田 光子
訳者
出版社 第一書房
出版年 1944年初版/1944年1刷
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これは『愛の使徒 リストの生涯』と同じものです。最初にこちらの『フランツ・リストの生涯』というタイトルで出版されて、次に『愛の使徒』という形で出版しなおしたようです。


タイトル 『愛の人 フランツ・リスト』 
著者名 ギイ・ド・プールタレス
訳者 野村 千枝
出版社 音楽之友社
出版年 1967年初版/1977年4刷
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図書館から借りてきました。原書は仏語で1925年出版、英訳が1927年です。プールタレスは伝記文学作家で、他にもショパン、ベルリオーズの伝記を書いています。詳細はわかりませんが、ワーグナーが関連する人物にプールタレス伯爵という人物がいます。おそらくギイ・ド・プールタレスも同じ家系ではないでしょうか?原田光子さんの「愛の使徒」が小説風ならば、こちらは極力フィクション性は抑えられているような感じです。プールタレスはこの伝記を書くにあたり、コージマ・ワーグナー、コージマの娘達、を始めリストの親類縁者と直接面談して、その内容を盛りこんでいます。邦訳はそれほど古い書籍ではないので古書店などで見つかると思います。


タイトル 『リスト』 
著者名 アルフレッド・ルロワ
訳者 泉 敏夫
出版社 音楽之友社
出版年 1971年初版
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不滅の大作曲家シリーズの1冊。前半は生涯、後半は作品解説ということになっています。内容は少し古めかしいです。


タイトル 『LISZT』
著者名 Claude Rostand
出版社 CALDER & BOYARS(洋)
初版 1960年(フランス)、1972年(イギリス)
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この書籍は、洋書版の諸井三郎さんの『リスト』みたいな感じです。前半に生涯を簡略に説明、後半は各ジャンルに分けてリストの作品を紹介しています。


タイトル 『Letters of Franz Liszt volume 1』 
著者名 La Mara(編) Constance Bache(訳)
出版社 Indy publish(米)
初版
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有名なラ・マーラ編の書簡集です。第1巻では1828年から1861年までの書簡が収録されています。この書簡集では出版社あてのビジネスライクな書簡も多く取り上げられています。


タイトル 『Correspondence of Wagner and Liszt volume 1』 
著者名 リヒャルト・ワーグナー、フランツ・リスト、 Francis Hueffer(訳)
出版社 Indy publish(米)
初版 1889?
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ワーグナーとリストの往復書簡集です。初めはワーグナーからリスト宛の一方通行的な書簡で、リストのタンホイザー初演に向けて、往復書簡が頻繁に交わされていきます。第1巻では最も古いものが1841年ワーグナーからリスト、そして1853年のリストからワーグナー宛書簡までが収められています。ワーグナーのオペラ上演に向けての内容が中心となります。


タイトル 『Liszt Sonata in B minor』 
著者名 Kenneth Hamilton
出版社 Cambridge University Press
初版 1996年
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“ピアノソナタ ロ短調”のみの解説書。ケンブリッジ・ミュージック・ハンドブック・シリーズの中の1冊。数多の名曲の中から、“ピアノソナタ ロ短調”がピックアップされていることに感激します。


タイトル 『リストからの招待状 大作曲家の知られざる横顔U』 
著者名 渡辺 學而
訳者
出版社 丸善 《丸善ライブラリー 新書062》
出版年 1刷1992年/1刷1992年
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リスト以降の作曲家を興味深いエピソードで紹介。リストはその中のトップの章。1824年13才時のロンドンデビューのプログラムを詳細に知ることができます。オーケストラ曲、歌曲、にリスト少年のピアノ独奏曲が混じった当時の“ごった煮”プログラム。その後、初めから最後までピアノ単独だけで演奏会を行い“リサイタル”という名を産み出したフランツ・リストのスタート地点を見ます。全体でもブルックナー、グリーグ、バルトークのところでリストの名は登場し、そのため全体としてタイトルの雰囲気を保つことに成功しています。特にグリーグの章では、ノルウェーの駆け出しの作曲家グリーグの手元へ、突然巨匠リストから招待状が届き、グリーグは政府お墨付きでリストを訪れ指導を受ける...というエピソードを紹介。このHPのカウンターの文章は、この書籍のタイトルからいただきました。


タイトル 『ベルリオーズとその時代』 
著者名 ヴォルフガング・デームリング
訳者 池上 純一
出版社 西村書店
初版 1993年
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リストと同時代の作曲家ベルリオーズについての書籍です。当然、リストについての言及も多いです。入門書というより論文色が強い本です。次回配本は『リストとその時代』のはずなのですが、8年経過した現在でも、出版される気配がありません。このシリーズ打ち切りなのでしょうか?


タイトル 『音楽のなかの言葉』 
著者名 アルフレッド・ブレンデル
訳者 木村 博江
出版社 音楽之友社
初版 1992年
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僕が演奏家の中で最も尊敬するブレンデルの著作です。この本にはブレンデルのリストに関する4つのエッセイが収録されています。『高潔なるリスト』『リストの《巡礼の年》第一年・第二年』『リストのロ短調ソナタ』『リストの心の悩み』の4つ。中でもソナタについては、詳細に解析されていて学術論文に近いものです。ソナタの真価を世に知らしめる名演を残したブレンデルならでは。僕はブレンデルを見るとウッディ・アレンを思い出すのですが、文章からもブレンデルのユーモア感が伝わってきて楽しい本です。


タイトル 『ホロヴィッツの夕べ』 
著者名 デヴィッド・デュバル
訳者 小藤 隆志
出版社 青土社
初版 1995年
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晩年のホロヴィッツと著者デュバルとがプライベートで交わした貴重な対話。とにかくホロヴィッツもデュバルも、ことのほかリストを尊敬していて、いたるところでリストの事が絶賛され語られます。ホロヴィッツはラフマニノフを“自分よりも非常に高い位置にいる”といった後、リストは“高すぎて頂上が見えない”と言います。僕はホロヴィッツが弾くリストを、あまりの悪魔的な演奏ゆえにあまり聴かないのですが、ブレンデル、ボレットのほかにもう一人、リスト演奏家をあげるならば、ぼくは迷わずホロヴィッツにします。なぜなら、この3人は完全に表情の異なるリストを演奏するからです。僕がこれからチャレンジすべき演奏家はホロヴィッツだと思っています。なぜか最近この書籍が大手書店で平積みになっていて、入手しやすくなっています。ぜひ皆さんも読んでみてください。


タイトル 『ピアノの誕生』 
著者名 西原 稔
訳者
出版社 講談社 (講談社選書メチエ)
初版 1995年
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楽器ピアノの社会史です。楽器としてのピアノをとりまく様々な社会を紹介。リストについてまとまった章はもうけられていないのですが、リストがピアノ販売に推薦文を寄せている話など興味は尽きません。“芸術作品は芸術家の内面事情から生まれてくるもの”と理想視して誤解しがちですが、この本は必ずしもそればかりでなく、芸術家を取り巻く俗世間に非常に影響を受けていることを説明してくれます。特に『ピアノという夢』『ピアノ狂騒曲』の章が面白いです。


タイトル 『ピアニストという蛮族がいる』 
著者名 中村 紘子
訳者
出版社 文藝春秋
初版 1992年
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とにかく本当に面白い本です。文春の読者賞受賞がそれを証明しています。ぜひこの本はハードカバーを見つけてください、巻末にショパンの実物大の手が載っている上に、ラフマニノフが鍵盤上でやってのける離れ業を体験できます。女流ピアニスト中村紘子さんの興味は、当然、歴史上の女流ピアニストに向けられ、幸田延、久野久、アイリーン・ジョイスの数奇な生涯を紹介してくれる。特に久野久には非常な感慨をおぼえずに入られません。日本のベエトオヴェン弾きとして世界へ挑戦した久野は、エミール・ザウアーから演奏を根本から否定され、滞在中のウィーンのホテルで投身自殺をしてしまう。この悲劇がいかにして生じたのかを、当時の世相とともに語ることで、解明してくれます。
リストについては伊藤博文がワイマールの祭典に出掛けた時、リストの演奏に接し“この男を日本に連れて帰るのだ”と駄々をこねた話が載っています。うけます。


タイトル 『新しい女』 
著者名 ドミニク・デサンティ
訳者 持田 明子
出版社 藤原書店
初版 1991年
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リストの恋人マリー・ダグーに関する書籍。まだちゃんと読んでいませんが紹介します。マリー・ダグーは筆名をダニエル・ステルンとし“1848年革命”に関する貴重な証言を残すほどの才女。ジョルジュ・サンドとは友人で、共に“新しい”時代の女性としてのライバルでもありました。この書籍は“リストの恋人”という枠に収められるだけで、顧みられることのないマリー・ダグーの素顔を教えてくれます。僕はリストとマリー・ダグーの関係というのが、なかなか理解できなかったのですが(僕がまとめているリストの生涯が、マリーと出会った時点からなかなか先に進まないのもこの理由)、この本がその迷路を解き明かすガイドとなってくれそうです。この本では音楽家としてのリストはほとんどふれられず、マリーから見たリスト、家庭におけるリスト像を伝えてくれます。ただしこの本は、エヴェレット・ヘルムが非難した“どちらか一方の極端な崇拝・美化”の類(つまりマリー・ダグー側の)でもあります。


タイトル 『音楽と音楽家』   
著者名 ロベルト・シューマン
訳者 吉田 秀和
出版社 岩波文庫 《青帯》
出版年 1958年
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シューマンの音楽エッセイを集めたものです。シューマンが自身の音楽についての考えを、主に同時代の作曲家達に対する論評というかたちをとって、軽妙に語ってくれます。取り上げる、どの本も褒めてしまって申し訳ないのですが、面白いのだから仕方がありません。リストについては、そのまま“フランツ・リスト”というエッセイ、“超絶技巧練習曲”をとりあげたエッセイが掲載されています。リストと同じく大作曲家であるシューマンは、どんな絵画よりも、ヴィルトゥオーゾ時代のリストをリアルに伝えてくれます。この本はシューマンのエッセイを年代順にとりあげくれているので、最後のエッセイが“新しき道”という、シューマンがブラームスを世に紹介する文章で締めくくられます。感動です。岩波文庫はすぐに版を重ねなくなるから心配ですが、常に書店に置き続けてもらいたい1冊!


タイトル 『音楽と病』   
著者名 ジョン・オシエー
訳者 菅野 弘久
出版社 法政大学出版局
出版年 1996年初版/1996年初版
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図書館で借りました。音楽家達の死因、生前の病歴についての書籍です。著者は医学史研究家で、音楽家達の死、病気を科学の立場で解明しようと試みています。リストについては晩年、視力がほとんど失われていたことや、心不全に悩まされていたこと、喫煙僻、“天才の粒”と呼ばれたほくろのことまで、詳細に考察されています。芸術家の死は、とかく人々の興味をひき、非現実的なエピソードが数多く産み出されてきました。著者はそのような数多のゴシップに埋もれてしまった芸術家達の死・病気を明確にすべく、写真、絵画、ゴシップ記事、証言、すべてを慎重に扱い、“どこまでが事実で、どこからが誇張なのか”を見極めようとしています。その姿勢に感服します。


タイトル 『バルトーク物語』   
著者名 セーケイ・ユーリア
訳者 羽仁 協子  大熊 進子
出版社 音楽之友社  音楽選書62  
出版年 1992年初版/1992年初版
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図書館で借りました。バルトークの弟子である著者による師バルトークの伝記です。小説のように書かれているためとても読みやすいです。バルトークがピアノを師事したのはトマーン・イシュトヴァーン。イシュトヴァーンが師事したのがフランツ・リストです。そのためリストの名前は全体に渡って登場しますが、特に“リストへの献身”の章が設けられています。フランツ・リスト音楽院の学生であったバルトークは、リストの名を冠した音楽院においてですらリストの評価が低いことに疑問を持ち、リストの音楽を理解すべく長期にわたってロ短調ソナタに取り組みます。僕はワーグナーやビューローが、ロ短調ソナタを当時において理解したとは思っていないのですが、バルトークの“リストへの献身”がそれを裏付けている気がします。全篇に渡ってバルトークへの敬意に溢れたお薦めの書籍です。


タイトル 『音楽の悪魔』  
著者名 喜多尾 道冬
訳者 − 
出版社 音楽之友社
出版年 2001年初版/2001年初版
コメント
図書館で借りました。この書籍は音楽作品に登場する“悪魔的なもの”をテーマとしてとりあげたものです。正直、特殊なテーマを取り上げると、事実をテーマに合わせて都合よく使ってしまうことが多くなるのが常で、読んでて“あれ?”と思うこともしばしば。読み物としてはおもしろいかもしれないけど...。この著者の意見に賛成できるのはリストの音楽に“ニヒリズム”が見られると言及している点です。僕もリストの音楽には“ニヒリズム”あるいはもっと分かりやすくいうと“シニカル”さを感じ、そこに強くひきつけられます。あと言及されているのは、リストのヤヌス神のような二面性。リストのカサノヴァ的性格といったところ。


タイトル 『リストとムンカーチ ロマン・リアリズムの流れ 燦然たるロマン』  
著者名
訳者 − 
出版社 三越? 現代ハンガリー絵画
出版年 1977年初版
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書籍として体裁は整っていますが、これは書籍ではなく、美術展のカタログのようなものです。この『リストとムンカーチ展』は、1977年に三越で開かれました。5才の僕は行っていません(笑)。『リストとムンカーチ』展といっても、ムンカーチの絵は『婦人像』1点のみの出品、あとはハンガリーの現役画家の作品の展示です。リストの絵は1点もありません。この展示会はハンガリー芸術を日本に紹介することが一番の目的であったらしく、カタログにはムンカーチはもちろんリストのことも多く解説されています。美術展を成功させるためにリストの知名度をちょっと拝借したような感じでしょうか(笑)。ムンカーチはハンガリーで高名な画家で、晩年リストとも交友がありました。ムンカーチの筆致は非常に重厚で、僕にはエスニックな筆致が、エゴン・シーレを写実的にしたように思いました。他に作曲家としても知られるイドラーニの絵画も出品されています。僕はチコーシュという人の絵が気に入りました。この美術展は販売会でもあって、それぞれの絵に値段がついています。1点だけ出品されたムンカーチの『婦人像』は、50cm四方の小さい絵であるにも関わらず、1200万の値段がついています。他の画家の同サイズの絵が数十万ぐらいであるのと比較すると、いかにムンカーチがハンガリーで大切にされているかがわかります。


タイトル 『19世紀ヨーロッパ音楽(増補版) 作曲家たちの書簡・手記』  
著者名 徳永 叡春
訳者 − 
出版社 慶応義塾大学出版会
出版年 1993年初版/1998年増補版
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これは日本語訳された一次文献です。新刊書店でも手に入ります。リストについての資料は次のものが収録されています。

1.チェルニーの自叙伝的回想録より、リストについて
2.サリエリのエステルハージ侯宛書簡
   ・・・少年リストに対しての教育の必要性を訴えた書簡。
3.リストの、ジョルジュ・サンド宛て、ウォルフ宛て書簡
4.リストの“旅人のアルバム”の序文。
5.スタンフォード卿の報告。
6.リストのレッスンを受けた、ヴァレリー・ボアシエの日記、書簡。
7.マリー・ダグーのリストの印象。
8.リストの弟子たちの回想。ケラーマン、ジロティ、フェイ、


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