演奏 レスリー・ハワード      
タイトル 『リスト ピアノ独奏曲全集 VOL.56 珍しく好奇な断片集』
データ
1997/98年録音 HYPERION(輸) CDA67414/7  4枚組
ジャケット キャサリン・ウッド 『書籍』
DISC INDEX ≪DISC 1≫ ≪DISC 2≫ ≪DISC 3≫ ≪DISC 4≫
収録曲
≪DISC 1≫
1.オルフェウス    
2〜3.バッハ〜リスト 幻想曲とフーガ ト短調 第1バージョン    
4.ショパン〜リスト 私のいとしい人  第2バージョン    
5.シューマン〜リスト 献呈       短い草稿 
6.ドニゼッティ〜リスト 皇帝アブデュル・メジド・ハーンのための行進曲  簡略版 
7.ロッシーニ〜リスト ”愛” 第1バージョン
8.物思いに沈む人
9.サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ   第1バージョン
10.マクシミリアン1世を偲んで ”葬送行進曲” 第1バージョン 
11.アルバム・リーフ 変イ調 ポルトガル 
12.アルバム・リーフ  (コンソレーション 第1番)
13.Schnitterchor(パストラーレ、プロメテウス 第1バージョン)
14.芸術家の祝祭行列 
S511 b
S463
S480/5 ii
S566 a
S403 bis
S552 a
S157 b
S157 c
S162 d
S166 b
S171 b
S507 a
S520(1)
感想 1.オルフェウス                         S511 b   1879年 
交響詩“オルフェウス”のピアノ独奏曲版です。このピアノ編曲版はもともとはリストの弟子のフリードリッヒ・スピロの手によります。ただ出版の後、リスト自身によって改訂・手直しが行われたので、リストによる編曲と考えても差し支えないものです。ピアノ編曲版でもちゃんと“竪琴のアルペジオ”が奏でられます。
2〜3.バッハ〜リスト 幻想曲とフーガ ト短調 第1バージョン
     S463       1861年
最終版はVOL.13に収められています。すみません。ちょっと聴いただけでは違いが分かりません。
4.ショパン〜リスト 私のいとしい人  第2バージョン S480/5 1860年以降
原曲はショパンの“17のポーランドの歌”作品74より第12曲目です。ショパンの作曲は1837年ですが、ショパンが亡くなった後1856年に一括して出版されました。リストはその17曲の中から6曲を選択、その5曲目にあたります。ポピュラーなバージョンはVOL.5に収められています。
5.シューマン〜リスト 献呈     短い草稿   S566 a   1848年以降  
原曲はシューマンが歌曲を集中して作った1840年のものです。クララ・ヴィークとの結婚式前夜にあたる9月11日に、26曲からなる歌曲集“ミルテの花”はクララに捧げられました。その第1曲目が“献呈(君に捧ぐ)”です。

この編曲はシューマンの原曲(作品25の1)に非常に近いものです。現代になってからアメリカで出版された版です。最終版は第15巻に収められています。

Widmung
(2:34 HYPERION CDA67414/7)
6.ジュゼッペ・ドニゼッティ〜リスト 
  スルタン・アブデュル・メジド・ハーンのための行進曲 簡略版
  S403 bis 1848年
アブデュル・メジド1世は1839年に即位したオスマン・トルコの第31代スルタンです。タンジマート(恩恵改革)を推進したことで知られます。1856年に自国のキリスト教徒に対し生命・財産の補償を与え、イスラム教徒と平等なものとしたことは画期的なことでした。しかしキリスト教徒の権利が拡大されると、逆にヨーロッパ諸国の干渉を誘発してしまいます。

ウォーカーによると、アブデュル・メジドは、父親のムハンマド2世より、近代西洋的な教育を受けており、彼自身フランス語を流暢に話せたとのこと。

リストは1847年にヴォロニンツェを発った後、6月8日にコンスタンティノープル入りをします。リストはそこでアブデュル・メジドに歓迎されチラハン宮殿でも演奏をしました。アブデュル・メジドはイタリアオペラを好んでいたため、リストは演奏曲目としてガエタノ・ドニゼッティの“ランメルモールのルチア”よりアンダンテ、ロッシーニの“ウィリアム・テル”序曲、ベリーニの“ノルマ”の主題による幻想曲を演奏しました。

リストのコンスタンティノープルでの滞在時に、常に同行したのが、ガエターノ・ドニゼッティの兄弟にあたるジュゼッペ・ドニゼッティでした。ジュゼッペ・ドニゼッティは、当時のアブデュル・メジドの宮廷楽長だったのです。またジュゼッペ・ドニゼッティは、国家のためのアンセムの作曲家であったとのこと。この“スルタン・アブデュル・メジド・ハーンのための行進曲”もそのような作品でしょう。勇壮なリズムにエキゾチックな旋律、高音の装飾も魅力的な曲です。最終版はVOL.40に収められています。
※1

※1 VY P440〜441

Marche Pour Le Sultan Abdul Medjid−Khan
(6:23 HYPERION CDA67414/7)
7.ロッシーニ〜リスト 3つの宗教的合唱曲より第3番”愛” 第1バージョン
  S552 a  1847年
原曲はロッシーニの女声3部の合唱曲で、1844年にパリで初演されたものです。憶えやすい旋律が魅力的な曲です。ハワードの演奏がVOL.24に収められた最終版よりも早いせいもあるのでしょうが、最終版よりも軽く明るい感じを受けます。最終版との違いは、すみません、もっと聴きこんでみないとわかりません。
8.物思いに沈む人    S157 b       1839年?
“巡礼の年 第2年 イタリア”の2曲目です。リストは1837年に訪れたフィレンツェで、メディチ家の墓にミケランジェロによって刻まれた“朝”と“夕”の像を従えたロレンツォ・デ・メディチの像に接した時、インスピレーションを得ます。非常に沈鬱な曲です。墓地の雰囲気によるのでしょうか、それともミケランジェロの像によるのでしょうか?

属啓成さん、諸井三郎さん両者の作品解説では“考える人”と呼ばれていますが、現在は“物思いに沈む人”の方が定着しているようです。ロダンの作品と混同してしまうため、僕もこちらの呼称の方がよいと思います。
9.サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ  第1バージョン  S157 c 1849年?
“巡礼の年 第2年 イタリア”の第3曲目です。リストの“巡礼の年 第2年”は、イタリアの高名な芸術に対するリストの印象という曲集なのですが、特に第2曲目の沈鬱さと、第3曲目の陽気さ、という印象ががらりと変わる感じは、ムソルグスキーの“展覧会の絵”に通じるものがあるのではないでしょうか?1)元が他の芸術作品であること 2)それらの芸術作品に対しある芸術家が受けた印象ということ。つまり芸術家のフィルターを通すこと 3)テーマの異なる芸術に対する印象であるため作品集全体に統一性がないところ。このような点で“巡礼の年 イタリア”と“展覧会の絵”は共通すると思います。こんなところにもリストの非常な先進性というものを感じずにはいられません。

サルヴァトール・ローザは17世紀のイタリアの画家、彫刻家、詩人です。ただし、この曲の元となったカンツォネッタはローザがフランス亡命中に書いたものです。リストはローザの3行の短い詩にインスピレーションを受け、この曲を作りました。1847年にはテノールのための(のちにバリトンにも)ピアノ伴奏付き歌曲も作りました。ピアノ独奏曲の楽譜にはこの詩がそのまま5線譜の下に書かれています。

詩の簡単な大意は“住むところが変わっても、自分の情熱は変わらない”というようなもので、幼少の頃より演奏旅行を続けるリストが気に入ったのもうなずけるばかりか、“巡礼の年”という曲集にとてもぴったりです。最終版はVOL.43に収められています。
10.皇帝マクシミリアン1世を悼んで ”葬送行進曲” 第1バージョン    S162 d  
   1867年6月19日以降
  
これは“巡礼の年第3年”の第6曲目の第1バージョンです。最終版との違いは、長調で終りますが劇的なエンディングではありません。

11.アルバム・リーフ 変イ調 ポルトガル        S166 b   1844年
これはディスク2#18と同じです。バラード第1番の主旋律です。1分4秒。
12.アルバム・リーフ  (コンソレーション 第1番)  S171 b     1870年?
コンソレーション第1番の冒頭です。40秒。
13.刈入れの合唱(パストラーレ、プロメテウス 第1バージョン) S507 a 1850年
もともとは“ヘルダーの「解き放たれたプロメテウス」のための合唱”で、この中の刈入れの合唱がピアノ独奏曲に編曲されました。辞典によると、ピアノ編曲は1861年となっています。1850年は元の合唱曲の作曲年です。最初のピアノによる草稿なのかどうか、ちょっとわかりません。合唱曲のオーケストレーションは作曲家ラフによります。
14.芸術家の祝祭行列         第1バージョン  S520     1857/60年
主題は“芸術家に寄す”と交響詩“理想”によります。この曲は1859年のシラー記念祭のために作曲されました。


DISC INDEX DISC 1≫ ≪DISC 2≫ ≪DISC 3≫ ≪DISC 4≫
収録曲
≪DISC 2≫
1.祭典の響き
2.ロッシーニ〜リスト  より”愛”
3.ロッシーニ〜リスト セレナーデと宴会”音楽の夜会”のモティーフによる大幻想曲
  第1バージョン
4.ロッシーニ〜リスト  オペラ”コリントの包囲”の行進曲による変奏曲
5.Morceau en fa majieur
6.イギリスのテーマによる幻想曲
7.Anfang einer jugendsonate
8.アルバムリーフ アンダンティーノ 変ホ調
9.アルバムリーフ Ah,vous dirai-je, maman
10.アルバムリーフ ハ短調 プレスブルク
11.アルバムリーフ ホ長調 ウィーン
12.アルバムリーフ  変ホ調 ライプツィヒ
13.アルバムリーフ  Exeter Preludio
14.アルバムリーフ  ホ長調 デトモルド
15.アルバムリーフ ハンガリーの旋律
16.アルバムリーフ イ短調 ラコッツィ行進曲
17.アルバムリーフ ホ長調
18.アルバムリーフ 変イ調
19.アルバムリーフ  リヨンプレリュード
20.アルバムリーフ プレリュード・オムニトニーク
21.アルバムリーフ ホ長調 ライプツィヒ
22.アルバムリーフ ベルリン・プレルディオ
23.アルバムリーフ ブラウンシュバイク・プレルディオ
24.アルバムリーフ セレナーデ
25.アルバムリーフ アンダンテ・レリジオーソ
26.マズルカ へ短調
S511 d
S522 b
S422

S421 a
S695
S694
S692 b
S163 a
S163 b
S163 c
S164 a
S164 b
S164 c
S164 d
S164 e
S164 f
S166 a
S166 c
S166 d
S166 e
S163 d
S164 g
S166 f
S166 g
S166 h
S221 a
感想 1.祭典の響き                 S511d           1870年頃
同名の交響詩のピアノ編曲版です。交響詩は1853年に作曲され、54年にワイマールのマリア・パヴロヴナ大公妃の治世50年を祝ってのシラー『芸術への復帰』上演時の序曲として演奏されました。リストの本当の意図は、ヴィトゲンシュタイン侯爵夫人との結婚を予定していたころ、その祝いの曲にしようとしたところにあります。ポロネーズのリズムが多用されるのは、ヴィトゲンシュタイン侯爵夫人がポーランド出身であることからです。

このピアノ編曲版は、リストの弟子ルートヴィヒ・シュタルクによるものとして出版されました。ですがリストの指導、訂正、修正が多く入っているためリストによる編曲と考えてもいいようです。
2.ロッシーニ〜リスト  3つの宗教的合唱曲より第3番”愛”    簡略版 S552b
  1847年以降
 
もともとは別の人によってハーモニウム用に編曲されたらしいです。ただピアノの方が適していると判断され、この編曲が生まれたようです。原稿では聖ジョンの4/16日の書簡が引用されています。DISC.1に入っているものとの作曲過程の関連はちょっとわかりません。S番号でこちらが b なので、こちらが後になるのでしょうか?
3.ロッシーニ〜リスト  セレナーデと宴会 ”音楽の夜会”のモティーフによる大幻想曲
  第1バージョン   S422  1836年
リストは“音楽の夜会”まるまる全曲をピアノ独奏曲にしていますが、さらに10曲目と11曲目を使って大幻想曲をつくりました。この曲のテーマはどことなく“ヘクサメロン”に似ています。VOL.21に最終版が収められています。違いはいくつかの旋律と、コーダが異なります。
4.ロッシーニ〜リスト  オペラ”コリントの包囲”の行進曲による変奏曲    S421 a
  1830年
元になったオペラは1826年にパリ、オペラ座で初演されました。

このピアノ編曲版は1976年に発見されたものです。この曲の2分ちょうどのところで高音が連打される装飾が、リストの別の有名な作品を思わせるのですが、なんだか思い出せません。
5.Morceau en fa majieur                   S695    1843年
1843年の夏にノンネンヴェルトで作曲されました。この曲のテーマは“ため息”のエンディング近くに似ている気がします。主題が様々な様相でアレンジされていきます。S690番台というのは未完作品であることを意味します。
6.イギリスのテーマによる幻想曲                 S694    1841/42年
これはイギリスにゆかりのある4つの主題を合わせて幻想曲としたものです。1840年から41年にかけて行なわれたイギリス演奏旅行が作曲の契機となっています。最初はヘンデルの“メサイア”から始まります。続く曲は同じヘンデルのオラトリオ“ユダス・マカベウス”より“見よ、勇者は帰る”です。この曲は表彰式などでつかわれることで非常にポピュラーな旋律です。元々のオラトリオは、紀元前2世紀にシリアに対するユダヤ人独立運動を推進した指導者マカバイのユダを歌ったオラトリオです。次に続く主題イギリス人にとって第2の国家ともいわれる“ルール・ブリタニア”です。これは元々はトーマス・アーン(1710〜1778)作曲のオペラ“アルフレッド(1740年作)”からの曲が愛唱歌となったものです。そしてこの幻想曲はイギリスの本当の国家“ゴッド・セーブ・ザ・クィーン”につながります。この幻想曲は、特に後半がなじみのある旋律であって楽しめます。特に“ゴッド・セーブ・サ・クイーン”のアレンジはフィナーレを飾るだけあって、壮大なものです。
7.Anfang einer jugendsonate               S692 b   1825年? 
これは晩年のリストが、少年時代に書いた自分の作品を思い出して、記憶をたよりに書き残したものです。リストの伝記を書いていたリナ・ラーマンのためにリストが記憶から呼び起こしたとのこと。36秒の断片です。

メロディがしっかりしていて、バロック音楽のような様相を見せるところなど、とても幼少の作品とは思えません。続く17才の頃の断片の方が稚拙です。幼少の頃の主題による、晩年のリストの断片と考える方がよい気がします。
8.アルバムリーフ アンダンティーノ 変ホ調         S163 a   1828年
アルバムリーフの中では比較的長くて1分22秒。テーマの中で一番高い音の出る部分がリストの別の有名曲を思い出させます。なにかちょっと思い出せません。気になります。
9.アルバムリーフ “ああ、お母さん聞いて”      S163 b   1833年
これは“キラキラ星変奏曲”の主題です。22秒の断片です。ワンコーラスのみ。“キラキラ星変奏曲”の主題は、もともとはフランスの民謡とのこと。フランスのアダン(1803〜1856年)も変奏曲としています。有名なのはモーツァルト“12のピアノ変奏曲 ハ長調 K300e(265)”です。モーツァルトはパリの人々を喜ばせるために、フランスで親しみのある旋律をつかって、変奏曲をつくり、それが現在、親しまれている“キラキラ星変奏曲”です。

この変奏の断片では、主旋律を奏でる高音の装飾がリストらしいです。
10.アルバムリーフ ハ短調 プレスブルク           S163 c   1839年
これは“ワルツ・ド・ブラブーラ S214 no 1”の旋律です。ショパンを思わせる甘い旋律が印象的な15秒の断片です。
11.アルバムリーフ ホ長調 ウィーン              S164 a   1840年    
これは“憂鬱なワルツ S214 no 2”の旋律です。低音の一定のリズムが印象的な31秒の断片です。
12.アルバムリーフ  変ホ調 ライプツィヒ           S164 b   1840年
ちょっと特定のテーマらしいものが感じられず、この38秒の断片は何かの中間部として作られた感じを受けます。
13.アルバムリーフ  Exeter Preludio             S164 c   1840年  
イントロは“プティット・ワルツ・ファヴォリート S212”のものなのですが、続く和音進行はダンテソナタです。なんとも不思議な組み合わせです。というよりダンテソナタにはもともと、地獄に翻弄されるという舞踏曲の性格があったのかもしれません。20秒。
14.アルバムリーフ  ホ長調 デトモルド            S164 d   1841年
明確な旋律を持つ断片です。34秒。
15.アルバムリーフ ハンガリーの旋律第10番        S164 e   1840年
“ハンガリーの旋律”の10番目のテーマです。このテーマは“ラコッツィ行進曲”を思わせます。27秒。
16.アルバムリーフ イ短調 ラコッツィ行進曲         S164 f   1841年
これは“ラコッツィ行進曲”のワンコーラス。17秒。
17.アルバムリーフ ホ長調                     S166 a   1843年 
落着いたアルペジオの断片。29秒。
18.アルバムリーフ 変イ調                     S166 c   1844年
ディスク1#11と同じです。これは“バラード第1番 ”の主旋律です。1分4秒
19.アルバムリーフ  リヨンプレリュード              S166 d   1844年
半音階の下降する5秒の劇的効果用断片。“マゼッパ”の断片のように思えます。
20.アルバムリーフ プレリュード・オムニトニーク   S166 e    1844年
今度は半音階で“ぐゎっぐゎっぐゎっぐゎっ”と駆け上がる6秒の劇的効果用断片。こちらは“超絶技巧練習曲”の第10番“アレグロ・アジタート・モルト”(S139/10)で使用されました。“24の大練習曲”第10番(S137/10)の段階では、この装飾はありません。第10番は12曲の中でも大幅に変更が加えられたもので、リストがこの第10番に早くから改訂の意欲があったことを窺い知ることができます。

Prelude omnitonique
21.アルバムリーフ ホ長調 ライプツィヒ             S163 d   1840年
#11と同じく“憂鬱なワルツ S214 no 2”の断片です。21秒。
22.アルバムリーフ ベルリン・プレルディオ           S164 g   1842年
#20と似た8秒の劇的効果用断片です。これはハ長調で終ります。
23.アルバムリーフ ブラウンシュバイク・プレルディオ     S166 f    1844年
#22と同じなのですが、こちらは嬰ヘ長調で終ります。
24.アルバムリーフ セレナーデ                  S166 g    1840年? 
“ノンネンヴェルトの僧房”に似た25秒のセレナーデ。
25.アルバムリーフ アンダンテ・レリジオーソ          S166 h   1846年?
このアルバムリーフが1番長く2分16秒です。“詩的で宗教的な調べ”に関係があるそうですが、ちょっとわかりません。

Album-Leaf:Andante religioso
(2:16 HYPERION CDA67414/7)
26.マズルカ へ短調                         S221 a   ??年
これはリストの作品かどうかに疑問があるものです。小さな舞踏曲であるのに、力強い和音が鳴らされるところなどリストっぽいかな?とも思います。

Mazurka in F minor(spurious?)
(2:51 HYPERION CDA67414/7)


DISC INDEX DISC 1≫ ≪DISC 2≫ ≪DISC 3≫ ≪DISC 4≫
収録曲
DISC 3
1.さらば楽しまん(ガウデアームス・イギトゥール)
2.ハンガリー狂詩曲第2番 別テキスト
3.ハンガリー狂詩曲第10番 別テキスト
4.ハンガリー狂詩曲第15番 別テキスト
5.ハンガリーの旋律(ハンガリー狂詩曲16番の第1バージョン)
6.ハンガリー狂詩曲第18番 コーダ第1バージョン
7.メフィスト・ポルカ
8.ハンガリー狂詩曲第18番 コーダ第2バージョン
9.“ため息”のための2つのカデンツァ
10.アルバムリーフ ミサ・ソレムニスよりポコ・アダージョ
11.アルバムリーフ 交響詩オルフェウスより
12.アルバムリーフ  交響詩理想より
13.聖スタニスラウスの断片
14.ウィンザーコーラス プロメテウスより
15.ドリーブ〜リスト  La Mandragore オペラ ”ニヴェルのジャン” のバラード
16.グラスゴー・フラグメント
17.オペラティック・アリア 変奏のスケッチ
18.マイアベーア〜リスト  オペラ”悪魔ロベール”より地獄のワルツ の主題
19.アレグロ・マエストーソ   嬰ヘ長調の練習曲?
20.ラコッツィ行進曲 第1バージョン、簡略版
21.ロッシーニ〜リスト ”愛” 
22.マリー・ポエム
23.アンダンテ・センシビリッシモ
24.死のテーマ ディエス・イレ
25.ダンテ・フラグメント
26.ポーランド風 スケッチ
27.Korrekturblatt (悲しみのゴンドラの初期バージョン)
S240
S244/2 bis
S244/10 bis
S244/15 bis
S244/16
S244/18
S217 
S244/18
S144/3 bis
S167 c 
S167 d
S167 e
S688 a
S692 e
S698 e
S701 f
S701 h/1
S701 h/2
S692 c
S692 d
S701 j
S701 b
S701 c
S701 d
S701 e
S701 g
S701 k
感想 1.さらば楽しまん(ガウデアームス・イギトゥール) 第2バージョン S240  1853年
ドイツの学生歌によるパラフレーズです。辞典によると1843年作なのですが・・・。この第2バージョンは出版されませんでした。第1バージョンはVOL.40に収められています。式典用の曲なのでエンターテインメント性の強い曲です。エンディングは、さすがはリストともいうべき華々しさです。
2.ハンガリー狂詩曲第2番 別テキスト         S244/2 bis   1885年
1885年といったらリストが亡くなる1年前となります。ハンガリー狂詩曲は1853年までに出版された第1番〜第15番と、後から発見された1882年以降に作曲された16番から19番に大きく分けられ、現在でもCDや書籍では15番までしかカバーしていないものも見受けられます。

興味があるのは次の点です。続く#3と#4が1847年で、#5、#6、#8が1882/83年であるのは納得がいくのですが、なぜこの第2番の別テキストが1885年なのでしょうか?
3.ハンガリー狂詩曲第10番 別テキスト         S244/10 bis  1847年
#3と#4では難しいグリッサンドが別の旋律に替えられています。
4.ハンガリー狂詩曲第15番 別テキスト         S244/15 bis   1847年
ラコッツィ行進曲のテーマは、ヤーノシュ・ビハリ(1764−1827)の作曲です。ビハリはジプシー楽団のヴァイオリニストで、このテーマは1809年に作られました。ラコッツィはトルコに対する解放戦争で活躍したハンガリーの英雄です。

このバージョンは全体的にまだおとなしい感じを受けます。この頃の第15番はまだオリジナルの“行進曲”の性格を残していて、その後“狂詩曲”としての幻想性を強めていくのでしょう。
5.ハンガリーの旋律(ハンガリー狂詩曲16番の第1バージョン)S244/16 1882年
これも#2、#6、#8と同じく最晩年の改訂になります。このテキストが出版された時、リストはハンガリーでの名前で出版したとのこと。晩年のリストはハンガリー語での呼び名を好んでいたそうです。
6.ハンガリー狂詩曲第18番 コーダ第1バージョン  S244/18    1883年
エンディングの異なる第18番です。第18番は1885年にブダペストで開催されたハンガリーの作曲家の作品展覧会のために作曲されました。
7.メフィスト・ポルカ                   S217       1883年
“メフィストワルツ”にというよりも、“メフィストワルツ第4番”を目的として作曲された“無調のバガデル”を思わせます。リストの晩年の弟子であるリナ・シュマルハウゼンのために作曲されました。VOL.28に収められた版とはことなり、装飾が少ないです。
8.ハンガリー狂詩曲第18番 コーダ第2バージョン    S244/18    1883年
こちらはもう一つのエンディング違い。#6に比べてちょっとだけ華々しくなります。
9.“ため息”のための2つのカデンツァ       S144/3 bis        1880年代
“ため息”のエンディング近くで入るカデンツァです。29秒のトラックですが、13秒と12秒の二つが1トラックに録音されています。二つのカデンツァは終わり方が少し違う以外は似ています。力強い感じのするものです。第38巻にはさらに特徴のある、異なる3つのカデンツァが収録されています。この2つのカデンツァはルイーザ・コグネッティとエデュアルト・ダンロイサー(1844−1905)のために作曲されました。ダンロイサーはドイツ、イギリスのピアニスト、批評家です。

Two further Cadenzas to Un sospiro
(0:29 HYPERION CDA67414/7)
10.アルバムリーフ ミサ・ソレムニスよりポコ・アダージョ   S167 c  1860年代?
これはミサ・ソレムニス(グランのミサ)の断片です。(1分11秒)
11.アルバムリーフ 交響詩“オルフェウス”より     S167 d   1860年
愛らしい交響詩“オルフェウス”の主旋律です。和音が一部異なります。途中で終ってしまいます。交響詩“オルフェウス”は1853年に作曲されていますから、この断片はなんでしょう?オルガン版の“オルフェウス”が1860年頃の作曲(ゴットシャルクとの共同作業みたいな感じですが)ですので、それと関連があるのでしょうか?ピアノ独奏曲版(S511b)が1879年、ピアノ連弾曲(S592)が1858年、2台のピアノ版(S638)が1854−56年なので、オルガン版に関連がありそうです。

Album-Leaf(from the symphonic poem Orpheus)
(1:30 HYPERION CDA67414/7)
12.アルバムリーフ  交響詩“理想”より         S167 e     1861年
続く曲もリスティアンにとっては耳慣れた旋律です。ゆったりとした落着く美しい旋律です。これも途中で終ってしまいます。交響詩“理想”は、全体の構成がうまくいかなかったように思えるのですが、この美しい主題は交響詩“理想”が持つ、充分すぎる魅力だと思います。

S646の2台のピアノのための“理想”は、交響詩と同時期の1857〜58年の作曲ですので、この断片はどのような目的で書かれたのでしょうか?

Album-Leaf(from the symphonic poem Die Ideale)
(1:07 HYPERION CDA67414/7)
13.聖スタニスラウスの断片              S688 a   1880年代
未完成のオラトリオ“聖スタニスラウス”の断片。この断片はとても印象的なものです。たった50秒の断片でも、非常に音楽的に充実していて、“聖スタニスラウス”が完成していたら、とてつもないものになっていたのでは、と期待を持ってしまいます。この断片でもアンコールピースとして十分コンサートレパートリーに成り得るのではないでしょうか?

St.Stanislaus fragment
(0:50 HYPERION CDA67414/7)
14.ウィンザーコーラス プロメテウスより        S692 e   1850年
1−#13と同じく、“ヘルダーの「解き放たれたプロメテウス」のための合唱”からの編曲です。1−#13と同じく、合唱曲のためのスケッチでしょうか?

Winzerchor(Prometheus)
(0:48 HYPERION CDA67414/7)
15.ドリーブ〜リスト  La Mandragore オペラ ”ニヴェルのジャン” のバラード
   S698 e   1881年
レオ・ドリーブ(1836−1891)はフランスの作曲家。バレエ音楽、オペレッタで傑作を残しました。オペラ“ニヴェルのジャン”は1880年初演ですから、この編曲は19世紀の終わりに発表されたオペラに対する晩年のリストの印象という意味があります。作曲年代も近い#13に響きが似ています。

La Mandragore−Ballade de l’opera Jean de Nivelle
(1:53 HYPERION CDA67414/7)
16.グラスゴー・フラグメント               S701 f    ?年
和音伴奏に高音のメランコリックな旋律がのったもの。個性的な跳躍のある旋律はとても魅力的です。1分27秒あるのですが、30秒あたりで曲が分断しています。そこからもう一つのアレンジによるフラグメントが始まる感じです。後者のアレンジは下降する単純なスケールでエンディングとなります。リストは途中で作るのが面倒になってしまったのでしょうか?
17.オペラティック・アリア 変奏のスケッチ         S701 h/1   ?年
これも全部で4つの変奏のスケッチを一つのトラックに録音しているようです。合計して57秒ですが、最初のサロン曲風の明るいスケッチが一番長く35秒。これはシューベルトを思わせます。後の3つは全部5〜6秒の断片です。
18.マイアベーア〜リスト  オペラ“悪魔のロベール”より地獄のワルツ の主題
   S701 h/2   ?年
オペラ“悪魔のロベール”は、マイアベーアの1831年初演のオペラです。リストは“悪魔のロベールの回想”としてカヴァティーナを1846年に“地獄のワルツ”を1841年に作曲しています。これは“地獄のワルツ”の方の主題のみの断片となります。

Valse Infernale(theme)
(0:12 HYPERION CDA67414/7)
19.アレグロ・マエストーソ   嬰ヘ長調の練習曲?    S692 c   1826年頃
2コーラス目での音の広がり方に新しい感じを受けます。後半はバロック風の響きとなります。
20.ラコッツィ行進曲 第1バージョン、簡略版        S692 d  1839年頃
1分49秒の断片。明るい感じのラコッツィ行進曲で。いろいろなアレンジを試しているのが分かります。ニュアンスがそれほど豊かではなく、リズムが四角張った印象を受けます。
21.ロッシーニ〜リスト  3つの宗教的合唱曲より第3番“愛”  S701 j  1847年   
1分33秒の断片です。最終版のためのスケッチです。この頃は旋律をアルペジオで奏でています。
22.マリー・ポエム                S701 b   1837年?
Auguste Brizeux の詩にインスパイアされ、1835年に計画された“マリー・ポエムの6つの歌”のスケッチ。マリー・ポエム自体がちょっとよくわかりません。リストの他の曲に似ているのですが・・・・。(1分00秒)
23.アンダンテ・センシビリッシモ           S701 c   1880年代?
和音のない単音の旋律の断片です。(30秒)
24.死のテーマ ディエス・イレ           S701 d    1860年?
トーマス・デ・セラーノ作曲と言われる“死のテーマ”です。これはピアノと管弦楽のための作品“死の舞踏”のスケッチなのでしょうか?5番目の変奏に和声が似ていますが、協奏曲としての“死の舞踏”は1840年代の終わり頃より作曲が開始され1849年には、一旦、完成しています。音数の少ない、このスケッチはその後の1865年に出版されたピアノ独奏曲版用のものなのでしょうか?

冒頭が単音で旋律を鳴らすだけで、とても不吉です。“眠られぬ夜 問と答”にも似た効果があります。(59秒)
25.ダンテ・フラグメント          S701 e   1837年?
ダンテソナタのオープニングの断片です。“タターン”という旋律は同じなのですが、続く打撃する和音が、完成したダンテソナタと異なり、明るい響きを持っています。(57秒)
26.ポーランド風 スケッチ            S701 g  1870年代?
これはクリスマス・ツリーの第12曲目のスケッチ。(1分26秒)
27.Korrekturblatt (悲しみのゴンドラの初期バージョン)  S701 k  1882年
“悲しみのゴンドラ 第2番”のエンディング近くのスケッチ。初期バージョンといっても、悲しみのゴンドラ第1版がつくられた同じ1882年12月のものです。(54秒)

DISC INDEX DISC 1≫ ≪DISC 2≫ ≪DISC 3≫ ≪DISC 4≫
収録曲
≪DISC 4≫
1.マゼッパ 交響詩 第6番
2.ワルツ イ長調
3.レントラー ニ長調
4.ドゥムカ
5.エール・コサック
6.葬送行進曲
7.マジャールのテンポ
8.牧師の結婚
9.ラフのワルツ 変二長調 のための序奏とコーダ“
10.
11.
12.
13.
14.
15.
S240
S244/2 bis
S244/10 bis
S244/15 bis
S244/16
S244/18
S217 
S244/18
S144/3 bis
S167 c 
S167 d
S167 e
S688 a
S692 e
S698 e
感想 1.さらば楽しまん(ガウデアームス・イギトゥール) 第2バージョン S240  1853年
ドイツの学生歌によるパラフレーズです。辞典によると1843年作なのですが・・・。この第2バージョンは出版されませんでした。第1バージョンはVOL.40に収められています。式典用の曲なのでエンターテインメント性の強い曲です。エンディングは、さすがはリストともいうべき華々しさです。
2.ハンガリー狂詩曲第2番 別テキスト         S244/2 bis   1885年
1885年といったらリストが亡くなる1年前となります。ハンガリー狂詩曲は1853年までに出版された第1番〜第15番と、後から発見された1882年以降に作曲された16番から19番に大きく分けられ、現在でもCDや書籍では15番までしかカバーしていないものも見受けられます。

興味があるのは次の点です。続く#3と#4が1847年で、#5、#6、#8が1882/83年であるのは納得がいくのですが、なぜこの第2番の別テキストが1885年なのでしょうか?
3.ハンガリー狂詩曲第10番 別テキスト         S244/10 bis  1847年
#3と#4では難しいグリッサンドが別の旋律に替えられています。
4.ハンガリー狂詩曲第15番 別テキスト         S244/15 bis   1847年
ラコッツィ行進曲のテーマは、ヤーノシュ・ビハリ(1764−1827)の作曲です。ビハリはジプシー楽団のヴァイオリニストで、このテーマは1809年に作られました。ラコッツィはトルコに対する解放戦争で活躍したハンガリーの英雄です。

このバージョンは全体的にまだおとなしい感じを受けます。この頃の第15番はまだオリジナルの“行進曲”の性格を残していて、その後“狂詩曲”としての幻想性を強めていくのでしょう。
5.ハンガリーの旋律(ハンガリー狂詩曲16番の第1バージョン)S244/16 1882年
これも#2、#6、#8と同じく最晩年の改訂になります。このテキストが出版された時、リストはハンガリーでの名前で出版したとのこと。晩年のリストはハンガリー語での呼び名を好んでいたそうです。
6.ハンガリー狂詩曲第18番 コーダ第1バージョン  S244/18    1883年
エンディングの異なる第18番です。第18番は1885年にブダペストで開催されたハンガリーの作曲家の作品展覧会のために作曲されました。
7.メフィスト・ポルカ                   S217       1883年
“メフィストワルツ”にというよりも、“メフィストワルツ第4番”を目的として作曲された“無調のバガデル”を思わせます。リストの晩年の弟子であるリナ・シュマルハウゼンのために作曲されました。VOL.28に収められた版とはことなり、装飾が少ないです。
8.ハンガリー狂詩曲第18番 コーダ第2バージョン    S244/18    1883年
こちらはもう一つのエンディング違い。#6に比べてちょっとだけ華々しくなります。
9.“ため息”のための2つのカデンツァ       S144/3 bis        1880年代
“ため息”のエンディング近くで入るカデンツァです。29秒のトラックですが、13秒と12秒の二つが1トラックに録音されています。二つのカデンツァは終わり方が少し違う以外は似ています。力強い感じのするものです。第38巻にはさらに特徴のある、異なる3つのカデンツァが収録されています。この2つのカデンツァはルイーザ・コグネッティとエデュアルト・ダンロイサー(1844−1905)のために作曲されました。ダンロイサーはドイツ、イギリスのピアニスト、批評家です。

Two further Cadenzas to Un sospiro
(0:29 HYPERION CDA67414/7)
10.アルバムリーフ ミサ・ソレムニスよりポコ・アダージョ   S167 c  1860年代?
これはミサ・ソレムニス(グランのミサ)の断片です。(1分11秒)
11.アルバムリーフ 交響詩“オルフェウス”より     S167 d   1860年
愛らしい交響詩“オルフェウス”の主旋律です。和音が一部異なります。途中で終ってしまいます。交響詩“オルフェウス”は1853年に作曲されていますから、この断片はなんでしょう?オルガン版の“オルフェウス”が1860年頃の作曲(ゴットシャルクとの共同作業みたいな感じですが)ですので、それと関連があるのでしょうか?ピアノ独奏曲版(S511b)が1879年、ピアノ連弾曲(S592)が1858年、2台のピアノ版(S638)が1854−56年なので、オルガン版に関連がありそうです。

Album-Leaf(from the symphonic poem Orpheus)
(1:30 HYPERION CDA67414/7)
12.アルバムリーフ  交響詩“理想”より         S167 e     1861年
続く曲もリスティアンにとっては耳慣れた旋律です。ゆったりとした落着く美しい旋律です。これも途中で終ってしまいます。交響詩“理想”は、全体の構成がうまくいかなかったように思えるのですが、この美しい主題は交響詩“理想”が持つ、充分すぎる魅力だと思います。

S646の2台のピアノのための“理想”は、交響詩と同時期の1857〜58年の作曲ですので、この断片はどのような目的で書かれたのでしょうか?

Album-Leaf(from the symphonic poem Die Ideale)
(1:07 HYPERION CDA67414/7)
13.聖スタニスラウスの断片              S688 a   1880年代
未完成のオラトリオ“聖スタニスラウス”の断片。この断片はとても印象的なものです。たった50秒の断片でも、非常に音楽的に充実していて、“聖スタニスラウス”が完成していたら、とてつもないものになっていたのでは、と期待を持ってしまいます。この断片でもアンコールピースとして十分コンサートレパートリーに成り得るのではないでしょうか?

St.Stanislaus fragment
(0:50 HYPERION CDA67414/7)
14.ウィンザーコーラス プロメテウスより        S692 e   1850年
1−#13と同じく、“ヘルダーの「解き放たれたプロメテウス」のための合唱”からの編曲です。1−#13と同じく、合唱曲のためのスケッチでしょうか?

Winzerchor(Prometheus)
(0:48 HYPERION CDA67414/7)
15.ドリーブ〜リスト  La Mandragore オペラ ”ニヴェルのジャン” のバラード
   S698 e   1881年
レオ・ドリーブ(1836−1891)はフランスの作曲家。バレエ音楽、オペレッタで傑作を残しました。オペラ“ニヴェルのジャン”は1880年初演ですから、この編曲は19世紀の終わりに発表されたオペラに対する晩年のリストの印象という意味があります。作曲年代も近い#13に響きが似ています。

La Mandragore−Ballade de l’opera Jean de Nivelle
(1:53 HYPERION CDA67414/7)
16.グラスゴー・フラグメント               S701 f    ?年
和音伴奏に高音のメランコリックな旋律がのったもの。個性的な跳躍のある旋律はとても魅力的です。1分27秒あるのですが、30秒あたりで曲が分断しています。そこからもう一つのアレンジによるフラグメントが始まる感じです。後者のアレンジは下降する単純なスケールでエンディングとなります。リストは途中で作るのが面倒になってしまったのでしょうか?
17.オペラティック・アリア 変奏のスケッチ         S701 h/1   ?年
これも全部で4つの変奏のスケッチを一つのトラックに録音しているようです。合計して57秒ですが、最初のサロン曲風の明るいスケッチが一番長く35秒。これはシューベルトを思わせます。後の3つは全部5〜6秒の断片です。
18.マイアベーア〜リスト  オペラ“悪魔のロベール”より地獄のワルツ の主題
   S701 h/2   ?年
オペラ“悪魔のロベール”は、マイアベーアの1831年初演のオペラです。リストは“悪魔のロベールの回想”としてカヴァティーナを1846年に“地獄のワルツ”を1841年に作曲しています。これは“地獄のワルツ”の方の主題のみの断片となります。

Valse Infernale(theme)
(0:12 HYPERION CDA67414/7)
19.アレグロ・マエストーソ   嬰ヘ長調の練習曲?    S692 c   1826年頃
2コーラス目での音の広がり方に新しい感じを受けます。後半はバロック風の響きとなります。
20.ラコッツィ行進曲 第1バージョン、簡略版        S692 d  1839年頃
1分49秒の断片。明るい感じのラコッツィ行進曲で。いろいろなアレンジを試しているのが分かります。ニュアンスがそれほど豊かではなく、リズムが四角張った印象を受けます。
21.ロッシーニ〜リスト  3つの宗教的合唱曲より第3番“愛”  S701 j  1847年   
1分33秒の断片です。最終版のためのスケッチです。この頃は旋律をアルペジオで奏でています。
22.マリー・ポエム                S701 b   1837年?
Auguste Brizeux の詩にインスパイアされ、1835年に計画された“マリー・ポエムの6つの歌”のスケッチ。マリー・ポエム自体がちょっとよくわかりません。リストの他の曲に似ているのですが・・・・。(1分00秒)
23.アンダンテ・センシビリッシモ           S701 c   1880年代?
和音のない単音の旋律の断片です。(30秒)
24.死のテーマ ディエス・イレ           S701 d    1860年?
トーマス・デ・セラーノ作曲と言われる“死のテーマ”です。これはピアノと管弦楽のための作品“死の舞踏”のスケッチなのでしょうか?5番目の変奏に和声が似ていますが、協奏曲としての“死の舞踏”は1840年代の終わり頃より作曲が開始され1849年には、一旦、完成しています。音数の少ない、このスケッチはその後の1865年に出版されたピアノ独奏曲版用のものなのでしょうか?

冒頭が単音で旋律を鳴らすだけで、とても不吉です。“眠られぬ夜 問と答”にも似た効果があります。(59秒)
25.ダンテ・フラグメント          S701 e   1837年?
ダンテソナタのオープニングの断片です。“タターン”という旋律は同じなのですが、続く打撃する和音が、完成したダンテソナタと異なり、明るい響きを持っています。(57秒)
26.ポーランド風 スケッチ            S701 g  1870年代?
これはクリスマス・ツリーの第12曲目のスケッチ。(1分26秒)
27.Korrekturblatt (悲しみのゴンドラの初期バージョン)  S701 k  1882年
“悲しみのゴンドラ 第2番”のエンディング近くのスケッチ。初期バージョンといっても、悲しみのゴンドラ第1版がつくられた同じ1882年12月のものです。(54秒)


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