演奏 レスリー・ハワード       
タイトル 『リスト ピアノ独奏曲全集 VOL.29 21のハンガリーの民族旋律と狂詩曲』
データ
1993年録音 HYPERION CDA66851/2
ジャケット ペーター・ブリューゲル『婚礼の踊り』
収録曲
  DISC.1
  21のハンガリーの民族旋律と狂詩曲
1.第1番 ハ短調   レント
2.第2番 ハ長調   アンダンティーノ
3.第3番 変ニ長調 非常にゆっくり
4.第4番 嬰ハ長調 アニマート
5.第5番 変ニ長調 テンポ・ジスト
6.第6番 ト短調   レント〜アレグレット
7.第7番 変ホ長調 アンダンテ・カンタービレ
8.第8番 へ短調  レント
9.第9番 イ短調   レント〜クワジ・プレスト
10.第10番 ニ長調 アダージョ・ソステヌート・ア・カプリッチョ
11.第11番 変ロ長調 アンダンテ・ソステヌート〜アレグレット
12.第12番 ホ短調  “悲しき英雄物語” メスト
13.第13番 イ短調  “ラコッツィ行進曲” テンポ・ディ・マルシア・アニマート
14.第14番 イ短調  レント・ア・カプリッチョ
15.第15番 ニ短調 レント

   DISC.2
1.第16番 ホ長調 プレルディオ〜アンダンテ・デチーゾ
2.第17番 イ短調 アンダンテ・ソスティヌート
3.第18番 嬰ハ長調 イントロダクション〜アダージョ
4.第19番 嬰へ短調 レント・パセティコ
5.第20番 ト短調 アレグロ・ヴィヴァーチェ“ルーマニア狂詩曲”
6.第21番 ホ短調 レント

7.(第22番) 変ホ長調 モデラート・ア・カプリッチョ“ペストの謝肉祭”

S242
S242/1
S242/2
S242/3
S242/4
S242/5
S242/6
S242/7
S242/8
S242/9
S242/10
S242/11
S242/12
S242/13
S242/14
S242/15


S242/16
S242/17
S242/18
S242/19
S242/20
S242/21

S242/22
感想   21のハンガリーの民族旋律と狂詩曲           S242   1839/40,46年
この曲集は“ハンガリー狂詩曲集”(S244)の“萌芽”と言える作品集です。この中の多くが、後の“ハンガリー狂詩曲集”となります。1839年〜1840年に、リストはハンガリーへ行きます。そして6年後の1846年に再度ハンガリーを訪問します。その時にジプシー楽団の演奏などを聴いて、リストが感銘を受け、産み出したのがこの“21のハンガリーの民族旋律と狂詩曲”です。リストの“ハンガリーの”と銘打った作品は、バルトークらが後年指摘するように、本当のハンガリー、マジャールの旋律ではないそうです。ジプシー楽団が演奏していた、雑多な音楽にリストが触発された、という感じだと思います。またこのS242に収められた曲のうちのいくつかは、リストは幼少の頃から親しんでいたものもある、とのこと。

“民族旋律”と“狂詩曲”は別の曲集で、最初の第1番から第11番の11曲がまず1840年と1843年に“ハンガリーの民族旋律”として出版されます。これが最初のハンガリー訪問の影響ということになります。そして1847年に第12番から第17番の6曲が“ハンガリーの狂詩曲”として出版されます。これで“21のハンガリーの民族旋律と狂詩曲”となります。1847年に第22番の“ペストの謝肉祭”が単独で出版されます。第22番も合わせて計7曲が、2度目のハンガリー訪問の成果と考えられます。1847年に同じく作られていた18番から第21番はリストの生前には出版されませんでした
※1。そして4年後の1851年には、有名なハンガリー狂詩曲第1番、第2番、第15番が出版され、1853年には第3番から第14番までが出版されます。

※1
一般の呼称は“21のハンガリーの民族旋律と狂詩曲”で、1847年の“ペストの謝肉祭”は含めません。ですが1973年にロシアで、“ペストの謝肉祭”までを含めて全22曲として出版され、ハワードも22曲をセットとして捉えています。

この“21のハンガリーの民族旋律と狂詩曲”は、以上の作曲背景から、曲の性格にもグループ分けが出来ます。まず第1番から第11番までの“ハンガリーの民族旋律”、これは素材としての性格が強いです。リストの目的は、“ヨーロッパ文化の中心に、ハンガリーの民族旋律をスケッチ風に紹介する”ということだったのではないでしょうか。リストは、これらの“スケッチ風の素材”を使って多くの音楽家達が作品を生み出すことを期待したのでしょうか?ベートーヴェンの交響曲編曲のときもそうでしたが、結局その大役はリスト本人がかって出ることになります。次に第12番から第17番までの“ハンガリーの狂詩曲”、これは“ハンガリー狂詩曲集”(S244)のいくつかの第1バージョンと呼べるほど、S244の音世界が確立します。

リストのハンガリー訪問は、強い影響をリストに与えました。熱狂的な歓迎にリストが舞い上がったというところもあるのですが、その感銘ぶりは、1840年12月5日付けの詩人フランツ・フォン・ショーバー宛の書簡で、“ハンガリーに戻りたい。ハンガリーでの体験は自分の精神の深い根源的なところを呼び起こした”というようなことが語られていることから窺い知れます。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak
(Total 2:39:20 HYPERION CDA66851/2)
 ≪DISC.1≫
1.第1番 ハ短調   レント              S242/1   1839/40年
静かでどっしりとした、郷愁を感じさせる曲調です。ハワードの解説によると、これは聖歌を元にしているらしく、独唱に対し合唱が応えるという形をとっている、とのこと。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.1 in C minor:Lento
(2:43 HYPERION CDA66851/2)
2.第2番 ハ長調   アンダンティーノ       S242/2   1839/40年
続いてハ長調の明朗な響きとなります。1曲目の暗さから、一転して明るくなる感じが、聴く人の気分を晴れやかにします。シンプルすぎることと、あまりエキゾチックな感じでないためか、この主題はハンガリー狂詩曲集に取り入れられませんでしたが、なかなかキャッチーで魅力のある主題です。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.2 in C major:Andantino
(1:16 HYPERION CDA66851/2)
3.第3番 変ニ長調 非常にゆっくり        S242/3   1839/40年
長調の曲ですが、響きは憂いを帯びて暗い感じがします。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.3 in D♭ major:Andantino
(2:54 HYPERION CDA66851/2)
4.第4番 嬰ハ長調 アニマート          S242/4   1839/40年
リストはこの第4番と第5番、そして第11番をピックアップして“ハンガリーの民族旋律”(S243)として、出版します。S243では2曲目になります。そしてこの3曲は“ハンガリー狂詩曲第6番”(S244/6)となります。“ハンガリー狂詩曲第6番”の冒頭の次にくるテーマです。後に改編していくだけの魅力がある独特なリズムです。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.4 in C♯ major:Animato
(0:46 HYPERION CDA66851/2)
5.第5番 変ニ長調 テンポ・ジスト        S242/5   1839/40年
S243では1曲目になります。そして“ハンガリー狂詩曲第6番”(S244/6)の冒頭となります。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.5 in D♭ major:Tempo giusto
(1:13 HYPERION CDA66851/2)
6.第6番 ト短調  レント〜アレグレット     S242/6   1839/40年
これは緩やかな序章と急速な部分、ラッサンとフリシュカとも言える構成を持っています。この組み合わせを2回繰り返し、もう一度どっしりとしたレントに戻り曲は終ります。ハワードは、このレントの素材がS242の第12番に似ていると指摘しています。おそらく、第12番の序奏が終り、旋律を明確に奏でる箇所だと思います。この部分は“ハンガリー狂詩曲集第5番”(S244/5)にも使われます。S244/5には、S242/6にある特徴的なアレグレット部がないため、S244/5の母体となったのは、S242/12と考えた方がいいようです。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.6 in G minor:Lento − Allegretto
(4:49 HYPERION CDA66851/2)
7.第7番 変ホ長調 アンダンテ・カンタービレ    S242/7  1839/40年
これは“ハンガリー狂詩曲第4番”(S242/4)の母体となったものです。これもラッサンとフリシュカに似た構成をとっています。冒頭の甘い旋律は魅力があります。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.7 in E♭major:Andante cantabile
(7:01 HYPERION CDA66851/2)
8.第8番 へ短調  レント                S242/8  1839/40年
主題としてはほとんど発展を見せず、同じ主題が重くどっしりとしたリズムで通されます。後半にゆくにつれ徐々に音数を増やしていきクライマックスを迎え、終ります。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.8 in F minor:Lento
(4:15 HYPERION CDA66851/2)
9.第9番 イ短調   レント〜クワジ・プレスト    S242/9  1839/40年
ラッサンとフリシュカにた構成を持ちます。憶えやすい旋律の曲で、特にクワジ・プレストの部分は非常に魅力的です。ハンガリー狂詩曲と比べると、さすがに迫力が足りませんが、充分な魅力を兼ね備えています。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.9 in A minor:Lento − Quasi Presto
(10:11 HYPERION CDA66851/2)
10.第10番 ニ長調 アダージョ・ソステヌート・ア・カプリッチョ S242/10
   1839/40年
この素材は、S242の第13番にも使われ、“ハンガリー狂詩曲第15番”(S244/15)にも取り入れられます。主にラコッツィ行進曲の主題と主題をつなぐブロック部分に登場する旋律が集まっています。またそのうちの一つ、アレグロ・ヴィヴァーチェ部の旋律には、第56巻DISC.2に収められている、“アルバム・リーフ ハンガリーの旋律第10番”(S164 e)もあります。

またアレグロ・ヴィヴァーチェ部に移る前の主題は、続く第21番を母体としたピアノと管弦楽のための“ハンガリー幻想曲”(S123)の中間部に使われます。ですが“ハンガリー幻想曲”と同じように第21番を母体とした“ハンガリー狂詩曲第14番”(S244/14)では使われていません。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.10 in D major:Adagio sostenuto a capriccio
(5:36 HYPERION CDA66851/2)
11.第11番 変ロ長調 アンダンテ・ソステヌート〜アレグレット  S242/11
   1839/40年
前半は“ハンガリー狂詩曲第3番”(S244/3)の冒頭となります。また後半のフリシュカにあたるアレグレット部は、まず“ハンガリーの民族旋律”(S243)の3曲目となり、その後“ハンガリー狂詩曲第6番”(S244/6)のフリシュカ部となります。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.11 in B♭minor:Andante sostenuto − Allegretto
(4:07 HYPERION CDA66851/2)
12.第12番 ホ短調  “悲しき英雄物語” メスト    S242/12  1846年
第12番から第17番は“ハンガリーの狂詩曲”として出版されたもので、“ハンガリー狂詩曲”(S244)の第1バージョンと呼べるほど、S244の音世界が確立します。

この12番はかなり曲として完成しています。冒頭の次にくる旋律は先に出た、S242/6に似ています。また“ハンガリー狂詩曲第5番”(S244/5)の母体となりました。S244/5は、ハンガリー狂詩曲の中でも性格を異にする作品ですが、後半の華麗で壮大な音世界は“超絶技巧練習曲集”の“雪あらし”のような素晴らしいものです。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.12 in E minor:“Heroide elegiaque”Mesto
(10:22 HYPERION CDA66851/2)
13.第13番 イ短調  “ラコッツィ行進曲” テンポ・ディ・マルシア・アニマート
   S242/13  1846年
これは“ハンガリー狂詩曲第15番 ラコッツィ行進曲”(S244/15)になります。またブロックをつなぐ部分で、先に出たS242/10が使われます。この段階で“ハンガリー狂詩曲第15番”の構造の概観は出来上がっています。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.13 in A minor:“Rakoczi−Marsch”Tempo di Marcia.Animato
(6:20 HYPERION CDA66851/2)
14.第14番 イ短調  レント・ア・カプリッチョ  S242/14  1846年
これは“ハンガリー狂詩曲第11番”(S244/11)になります。S244/11の印象的なイントロの前に低音部の短い旋律が付いています。前半はゆるやかなラッサンとなりますが、後半でおどけたようなフリシュカになります。フリシュカ部に移る前の強い不協和音は印象的です。この不協和音は、S244/11にはありません。またフリシュカ部はS242/11の方は、シンプルな魅力があります。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.14 in A minor:Lento a capriccio
(7:35 HYPERION CDA66851/2)
15.第15番 ニ短調 レント    S242/15  1846年
これは“ハンガリー狂詩曲第7番”(S244/7)になります。音世界はほとんど確立していますが、中間部ではS244/7に比べ、リズムが明確で装飾にも、まだ繊細さが行き届いていないようです。S244/7にはない後半のラルゴの部分、もう一度前半の壮大な部分に戻って終るため、曲の長さは倍近くあります。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.15 in D minor:Lento
(10:03 HYPERION CDA66851/2)
 ≪DISC.2≫
1.第16番 ホ長調 プレルディオ〜アンダンテ・デチーゾ  S242/16  1846年
これは“ハンガリー狂詩曲第10番”(S244/10)になります。S244/10の後半で耳をひく、グリッサンドがまだありません。全体的にリズムが四角張っていること、装飾がまだ細やかでないことが、S242の曲集の特徴でしょうか。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.16 in E major:Preludio− Antande deciso
(6:45 HYPERION CDA66851/2)
2.第17番 イ短調 アンダンテ・ソスティヌート   S242/17  1846年
これは“ハンガリー狂詩曲第13番”(S244/13)になります。S244/13の音世界はすでに確立しています。フリシュカ部の有名な“ツィゴイネルワイゼン”の旋律はS244/13に比べ、まだ流麗さがありません。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.17 in A minor:Andante sostenuto
(9:04 HYPERION CDA66851/2)
3.第18番 嬰ハ長調 イントロダクション〜アダージョ  S242/18  1846年
これは“ハンガリー狂詩曲第12番”(S244/12)となります。装飾や曲の構成で異なる点は多いですが、S244/12の音世界はすでに確立しています。第18番から第21番の4曲は出版されなかったのですが、理由がちょっとわかりません。曲として第12番から第17番に劣るということはないので、単にビジネス上の問題のような気がします。そうこうしているうちにS244を作ってしまったため、これらS242/18〜19が日の目を見なくなったというところでしょうか。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.18 in C♯major:Introduction− Adagio
(12:17 HYPERION CDA66851/2)
4.第19番 嬰へ短調 レント・パセティコ         S242/19  1846年
これは“ハンガリー狂詩曲第8番”(S244/8)となります。前半はS244/8よりも、かなり長く、それだけ非常に哀愁を帯びてドラマティックとなっています。後半は他の番号には見られない、楽しげな、明るいシンプルな舞踏曲として始まりますが、進むにつれて速度感も増し、音も厚くなりフリシュカらしくなります。後半はS244/8に比べて、表情が少ないです。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.19 in F♯minor:Lento patetico
(11:21 HYPERION CDA66851/2)
5.第20番 ト短調 アレグロ・ヴィヴァーチェ“ルーマニア狂詩曲”  S242/20
  1846年
この曲の主題の1部が“ハンガリー狂詩曲第6番”(S244/6)と“第12番”(S244/12)に使われますが、S244/6/12の第1バージョンとは呼べない曲です。S244/6の原型はS242/4/5/11、S244/12の原型はS242/18と考えられます。S244/6/12と一部主題を同じくする、まったく異なる狂詩曲です。またこの曲は、“ハンガリー狂詩曲第20番”と誤って考えられてきた、とのこと※1。この曲には“シビウの旋律”“ワラキアの旋律”※2というルーマニアの旋律が用いられるため、“ルーマニア狂詩曲”と呼ばれます。この“ルーマニア狂詩曲”は1936年にバルトークが出版しました。

※1
属啓成さんの『リスト 作品篇』P.127の付記において、“もう1曲の遺稿のラプソディが発見され、いずれこれが「ハンガリアン・ラプソディー第20番」として出版されることになろう”との記載があります。
※2
シビウは現ルーマニアの中央あたり、原語では“Hermannstadt”と呼ばれるようです。また“ワラキア”はルーマニアの下部あたりの地方の昔の呼び名です。

ハンガリー狂詩曲第15番(S244/15)のようなイントロの後、S244/6のフリシュカの途中で使われる、ゆったりとした叙情的な旋律が続き、その主題は壮大な盛上がりをみせます。その後、メイジャー調のゆったりとした“シビウの旋律(Hermannstadter)”と呼ばれる箇所の後、この曲で最も耳をひく不思議で異様な美しさを持った“ワラキアの旋律(Walachische Melodie)”という箇所につながります。その後、またメイジャー調の豪快な箇所につながり、そしてS244/12のフリシュカで使われる軽やかで涼しげな装飾部分となります。曲はまたマイナーに転じ、“ワラキアの旋律”が再び登場します。最後にもう一度S244/12のパートとなり、“ワラキアの旋律”の即興のような主題も交え、この異様な大曲は終了します。

1846年12月にブカレストでリストは3回のリサイタルを行い、その最後のコンサートでこの“ルーマニア狂詩曲”を演奏しました。※3

※3
VY P.437

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.20 in G minor:Allegro vivace“Rumanian Rhapsody”
(15:41 HYPERION CDA66851/2)
6.第21番 ホ短調 レント         S242/21    1846年
これは“ハンガリー狂詩曲第14番”(S244/14)となります。またS244/14と同じように“ハンガリー幻想曲”(S123)の原型ということにもなります。すでにこの時点で、S244/14、S123の音世界は確立しています。

Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.21 in E minor:Lento
(12:28 HYPERION CDA66851/2)
7.(第22番) 変ホ長調 モデラート・ア・カプリッチョ“ペストの謝肉祭”
  S242/22  1846年 
後に“ハンガリー狂詩曲第9番”(S244/9)となるものです。この時点で音世界は完成しています。これは1847年に単独で出版されたものです。そのため“21のハンガリーの民族旋律と狂詩曲”とは一応区別されます。サールの番号表では、S244/9に“2バージョンある”と書かれているものがあたるのでしょうか?S242には組み入れられていません。ですが、この第22番は現在では、S242/22としてS242に組み入れられて考えられているようです。ハワードもそのように考えています。

ハワードによると、S242/22のバージョンは、ピアノ3重奏曲版の“ペストの謝肉祭”(S379)に似ているとのこと。

またこの曲の最後近くに登場する豪快な主題が、S242/21とくっつくことで、“ハンガリー狂詩曲第14番”(S244/14)の世界は完成します。

(Magyar dalok and Magyar rapszodiak 〜 No.22) in E♭major:Moderato a capriccio “Pester Carneval”
(11:50 HYPERION CDA66851/2)


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