親父の死去


【2006年6月1日 木】

寝たことは寝たのだが,目をさますとやはり睡眠不足.
今日は午後3時過ぎに納棺をするのだが,それまでこれといってやることがないので,家に戻って式服その他を持ってくることにする.ただ,疲れているので少し混んだピークをずらせて電車に乗る.そしてどうせ23区を横切って行くのだから会社にも顔を出す.会社では総務に報告.その後,偉い人のところを回って挨拶をしておく.親父は私の会社にも若干仕事上での関係があったのだ.
会社をさっさと出て帰宅.式服と着替えその他を持ってすぐに家を出る.昼食は地下鉄の駅のそばでトンカツを食べる.糞暑いのでビールを飲むが,これがやたらとおいしい.で,再び延々と電車に乗って実家へ向かう.幸い座れたので眠って行く.
実家に到着.今日の来客はそれほどでも無い模様.3時過ぎに葬儀屋の一行が来て,まず遺体のメンテナンス.その後,納棺をする.棺桶には親父がまとめた本(同窓会の記録とか学徒動員の手記とか)その他を入れる.遺体そのものの代わりに棺桶が置かれると,少し親父の死というのが抽象化されたような感じがする.つまり葬式っていうのは具体的な死を抽象化する儀式なんだよねぇ.
夜は少しMacの雑誌を読んでからすぐに寝る.

【2006年5月31日 水】

寝たと思ったら,お袋に起こされた.
まだ夜中の12時過ぎで,付き添いをしている妹から電話があったとのこと.親父の鼓動が少なくなってきており,医者が家族を呼んだほうが良いと言っているらしい.ということで,お袋とすぐ下の妹とその亭主とでタクシーで駆けつける.病室に入ると,既に親父の呼吸は止まっている様子.すぐに医者が来て,臨終を告げる.
親父の体をきれいにしてくれるというので,一旦,面会室に移動.これからどうするかを考える.両親は死んだときのために斎場の互助会に入っており,電話帳で調べてみると24時間受け付け可能になっている.で,電話をしてみたところ,すぐに遺体を自宅に運んでくれるというので,頼むことにする.
結局,3時過ぎに葬儀屋がやってきて,私が遺体運搬車に同乗し,帰宅する.そして遺体を安置し,葬儀屋からこれからの手順について聞く.葬儀屋が帰ったのは4時過ぎで,その後,お袋に睡眠導入剤を飲ませて眠らせる.すぐ下の妹は帰り,下の妹が今日は泊まることになった.もう4時半で,そういえばこれからドイツ−日本の放送が始まるのだけど,そんなものを見てしまってはいかんので寝ることにする.
といってもすぐに目ざめる.居間に行くと妹も目をさましたところのようで,TVをつけると何とまだドイツ−日本をやっていた.もう終了間際で2-2.大黒の惜しいところがあったけれど,そのまま引き分ける.実況によると高原が点を入れたらしい.とうとう彼も覚醒したのか?.
朝食の準備.お袋が寺に電話をして,通夜と葬式の日程調整をし,今度の土日となった.朝食後少したち,坊さんがやってきてお経を上げてくれる.この坊さんと両親とは付き合いがあるので,こういう時には頼りになるよねぇ.
その後,葬儀屋が来て詳細の打ち合わせをする.主に来場人数の見積りで大体の代金が決まる模様.親父の兄弟は多いし,土日なので結構たくさん集まりそうな雰囲気.後は棺桶とか骨壷とか花とか.また,夏になりつつあるし,葬儀まで日があるので遺体の手入れに少々かかってしまう.
昼過ぎに妻がやってくる.一人で来るかと思ったら子供達を連れてきた.で,息子の方が感情を表に出していて,線香をつけると泣く.そのうちに弔問客がやって来て,対応に追われ始め,何かと忙しく時間が過ぎていく.
夜になり客も帰り,やっと落ち着き,妻と子供達は一旦帰ることになる.夕食は仕出しの弁当.妹達とビールを飲み,やっと一息ついた.で,妹夫婦が帰り,お袋を寝かせ,風呂に入って寝ようとしたところで,またまた弔問客.いや,長い一日だった.

【2006年5月30日 火】

昨日の夜は早めに寝たのだけど,結局本を読んでしまっていつもと同じくらいの時間になり,目をさますと眠い.
会社に行く.電車の中では引き続き『ミッションスクール』を読み,『銀河のワールドカップ』をバックアップとする.で,会社に到着し仕事を始めたのだが,9時半過ぎに妹からメール.親父の様子が良くないとのこと.電話をしてみると来た方がいいという事で,会社を出る.
行く途中の電車の中で『ミッションスクール』を読了.確かに田中哲弥っぽい作品なのだが,『やみなべの陰謀』とどうしても比べてしまうもんな,ちょっとイマイチ.松戸で乗り換えるときに駅ソバを食べて病院に到着.既に母親と妹二人が来ていた.
親父は意識がなく,呼吸が困難であるらしく,一呼吸ごとに頭を反り返している.顔色も悪くて,どうもこれはあまり長く持ちそうもない.午後になり,妹の亭主も来てくれる.そして親父の様子はだんだんと安定してきて,相変わらず呼吸は苦しそうだが,肌の色は回復してきたような感じがする.
ということでお袋を一旦家に戻すことにする.また,朝から立ち会っているすぐ下の妹も一旦家に帰す.で,私は明日の通勤用のYシャツその他を近所のスーパーに買いに行き,帰りに本屋で『美味しんぼ』の最新巻とMacの雑誌を買う.入れ替わりに今夜立会い予定の下の妹が弁当を買いに行く.
もう夕方で,暗くなりつつあるが,どうも親父は今日は大丈夫だろうということになり,私は実家に戻ることになった.帰宅して,先程妹が買ってくれた弁当をお袋と食べ,眠れるうちに眠っておこうということで,早めに寝る.

【2006年5月29日 月】

呆然として起きる.何か全然体が休まっていないような感じがする.
会社に行く.地下鉄の中では先週に続いて『ミッションスクール』を読む.これは学園物の短編集なのだが,出てくるのは同じ学園ではない.ま,だいたい話の結末では学園が破壊されてしまうから,同じのが出てくるわけないのだけどさ.
今日は一日中会社.夕方,秋の展示会の準備の話がある.今年もまた面倒くさい作業をやらなければいかんのだよな.
帰宅して夕食.妹からのメールでは,今日の親父は安定している模様.ただ,肺にまた水が溜まりつつあるようで,これを抜くとなると体に負担がかかり急変しかねないということで医者もどうすべきか決めかねているとのこと.それにしても5月5日には私と一緒に歩いて床屋に行けたのにねぇ….
夜は録画しておいたジロ・デ・イタリア20ステージを見始めるけれど,眠くて駄目.10分と見ていられない.ところが寝床に入り,妻が読み終えていた川端裕人『銀河のワールドカップ』を手に取ると,面白くなってしまって1時間ほど読んでしまう.

【2006年5月28日 日】

昨日の夜から親父の付き添いで病院.
朝4時頃に目をさましてしまい,トイレに行ったら,そのまま目が冴えて眠れなくなってしまった.親父は安定しているようなので,面会室に行って電気を点け,そこにあったビッグコミックオリジナルを久しぶりに読む.それにしてもこの雑誌の連載は長いねぇ.ずいぶん長い間買っていないけれど,変化をほとんど感じない.
6時前に再び眠ることができたが,7時には起床時間ということで起こされてしまう.親父は薬のために呆然としている様子.下の世話をして,その後は読書.やはり田中哲弥を読む気分ではなかったので,東海林さだおを読む.
10時過ぎにすぐ下の妹が来てくれ,引継ぎをしてお役御免.真っ直ぐに家に帰る気分でもないし,雨も降っていないことだしということで,少し寄り道をする.日暮里で降りて谷中の墓地を突っ切り,少し歩いて子供の頃に良く行っていた蕎麦屋でもり蕎麦とビール.その後,不忍池の脇を通って湯島天神を通りかかると祭りをやっていて,お神輿を少し見物.御茶ノ水から中央線で阿佐ヶ谷に行き,駅の下にあるスーパーで刺身を買って帰宅する.
家に帰ると,妻と息子は出かけており,娘が留守番をしていた.疲れているので眠っても良いのだけれど,肉体の疲れよりも精神的な疲れが大きいので,それを癒すべく走ることにする.ゆっくりと走り始めると,最初はそんなに長く走る気はなかったのだけど,だんだんと調子が出てきて,結局,13.6キロを走る.
夕食は先程買った刺身(イサキ,カツオ,サーモン)と妻が準備していた肉野菜炒めとソラマメ.ご飯がないので,急遽,この前に続いてピラフを作成する.
夜はジロ・デ・イタリアを見る.今日が最終ステージで,優勝はイヴァン・バッソにほとんど決まっている.今シーズンのジロは生放送だったので,気を入れて見ようと思っていたのだが,親父の病気で勝負どころはほとんど見逃してしまった.で,今日ぐらい最後まで見たかったけれど,さすがに眠くなってしまってダウン.

【2006年5月27日 土】

今日は土曜日だけど息子が学校に行くために早起き.近所の安全地図を作るという授業であるらしい.
朝起きたときには雨は降っていなかったが,ほどなく降り始める.午前中に走っておこうと思っていたのだけど,これで駄目になってしまった.ということで午前中はダラダラと過ごし,実家に行く準備をする.今日は親父の見舞いに皆で行くのだ.で,私は今晩は付き添いで泊まりの予定.
息子が学校から帰ってきてパンの昼食.食後すぐに出かける.雨は強くなってきており,駅まで歩かずにバスを利用する.バス停で息子の同級生と一緒になったが,彼は塾に行くとのこと.
高円寺までバスで行き,JRに乗る.新宿で乗り換え,山手線で日暮里,その後常磐線に乗る.病院には3時過ぎに到着.こちらでは雨は弱い.病室にはお袋がいた.親父は相変わらずで,ほとんどしゃべることはできないが,意識はあり,孫達のことも認識できる模様.
妻と子供達は帰宅.その後,お袋も実家に戻り,私が付き添いとなる.夕方,リハビリのお姉さんがやってきて,寝返りをうたせたり,呼吸の運動をしたりしていたのだが,喉にタンがからんでおり,苦しそうな雰囲気がする.で,看護士を呼んでタンをバキュームで吸い取ってもらおうとすると,親父はそれを嫌がり,それがきっかけとなって呼吸困難となってしまった.
その後医者が来るけれど,過呼吸のような状態になってしまっており,鎮静剤を打つしかしかたがないということでモルヒネを投入.何とか落ち着く.そして点滴にもモルヒネを入れる.ということで5時から7時過ぎまで大騒ぎとなってしまった.どうして私が付き添いをするときにこうなってしまうのだろう.
ただ,モルヒネを入れたため容態は安定し,消灯時刻まで読書.田中哲弥を読む気分じゃなかったので,東海林さだおのエッセイを面会室から持ち出してきて読む.その後寝たのだが,この前と違ってある程度眠ることができた.それでも医者が2時間おきに来るし,看護士も覗きに来るので頻繁に目をさます.やはり疲れるよな.

【2006年5月26日 金】

やはり朝走る気になれない.今月はとても100キロ走ることはできないな.
会社に行く.地下鉄の中では『ガイア』を読み,読了する.次に読むのは昨日の帰りに買った田中哲弥『ミッションスクール』.思い切り久しぶりの新作だからすごく楽しみ.とりあえずあとがきを読む.
今日も一日中会社.
帰りの電車の中で『ミッションスクール』を読み始める.短編集で,1本目は学園スパイ物とでもいうべき相当に変な展開.いやこれは一般受けしないだろうな.
帰宅して夕食.今日も息子をバス停まで迎えに行く.そして夜はジロ・デ・イタリアを見るが,今日も先頭集団とメイン集団が相当に離れており,総合上位の変動は無い模様.そしてメイン集団も先頭集団に追い付きそうもないので,最後まで見ないで寝る.明日はまた親父の付き添いなので睡眠を取っておかなければいけないのだ.

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