1999年4月に読んだ本


【ザ・レッドホースマン】 スティーブン・クーンツ 講談社文庫

1999.04.30読了.
上巻はなんとか面白い.今回はロシアの核兵器流出の話であり,主人公がちゃんと動くので結構いけるなぁと思っていたのだけど,下巻になって駄目.最後,サダム・フセインが出て来るのも余計なことだよねぇ.しかし,フランカー4機に狙われた攻撃機(しかも兵器満載)が全機撃墜するってのもファンタジーだよねぇ.C.
【源氏物語に魅せられた男】 宮本 昭三郎 新潮選書

1999.04.27読了.
源氏物語を翻訳したアーサー・ウェイリーの伝記.彼は英国中流上層の人で(でもユダヤ人だ),学究そのものって人,しかも寡黙,な訳でエピソードなんかがほとんど無いんですねぇ.だからこの本を読んでも,つまりウェイリーはずっと本を読んでいたんだということが良く分かるくらいなんだけど,作者は交友関係(決して深い訳ではない)を描くことで雰囲気をうまく伝えている.
しかし『日本語の古文は文法も易しく語彙も少ないので,数ヶ月もあれば習得できる』っていうような人ってどんな人なんだろうねぇ.不思議.B
【大包囲網】 スティーブン・クーンツ 講談社文庫

1999.04.20読了.
引き続きクーンツを読む.今度は暗殺物ですね.航空関連は無しであり(スティンガーミサイル程度)その辺が少し残念.
大風呂敷を広げすぎて収束に失敗していますねぇ.誰が暗殺を依頼したのかとか,暗殺リストの詳細とか,目的とか分からないし,暗殺者を送り込みながらテロを働いたのはなぜかとかいろいろと不明.暗殺者の身元のばれ方も陳腐.どうも不満が残ります.トム・クランシーの線を狙ったんでしょうけどねぇ.ただ,このクールな暗殺者が結構.大藪春彦の主人公的なところがあってよろしい.B−
【ミノタウロス】 スティーブン・クーンツ 講談社文庫

1999.04.15読了.
こっちのクーンツってこういう本を書くんのでありましたか.なかなか結構.
前歴を考えると(攻撃機のパイロットだ)空の場面が良いのは当然だけど,特に爆撃航法士の視点からってのが珍しくて興味深い.本書はもうそれだけでマル.後のスパイ騒ぎはよくあるような話でありまして別にどうってこと無い.そうそう,攻撃機がどういう風に開発されるかという裏話もなかなかのものでありました.B+
【自立へ向かうアジア】 狭間 直樹 長崎 暢子 中央公論

1999.04.14読了.
今世紀のアジアの2大国,中国とインドの第二次大戦後までを描いている.中国については国民党と共産党そして対日本戦,インドについては対英独立闘争がメインになる.日中戦争について通して本を読むのは実は初めてなのだけど,これまでバラバラに読んでいたものが確かにつながった感じがする.やっぱりこういうことをやっちゃいけないよね.インドについては知ることが少なかったので,なるほどねぇと思う.いや,やっぱり断片は知ってたのだけど(例えば塩の行進とかさ)つながりが分からなかったので得ること大.
しかし,ガンジーって偉かったんだねぇ.周恩来って張良並の評価をされているとは知らなかった.B

【エンディミオン】 ダン・シモンズ 早川書房

1999.04.07読了.
ハイペリオンシリーズの続き.物語は盛り上がりを見せて続編に続く.う〜む,早く出て欲しい.早く出ないと内容忘れちゃうよ.
主人公三人組(アンドロイドは夢を見るか?っていうくすぐり有り)もいいけれど,敵役のデ・ソヤ神父大佐が良い味だしています.最後に出てくるおねーちゃんも結構.こいつは続編でも暴れるんだろうなぁ.楽しみ.
総じてSF的イメージが素晴らしい.いやいや,シモンズは前編はいいんだよねぇ.A

【ピアニストを笑うな!】 山下 洋輔 晶文社

1999.04.03読了.
ほんとに久しぶりの山下洋輔.色々な雑誌や新聞に書いたものの寄せ集めだから統一感が無いのと短いものが多いのが残念だけど,山下洋輔は山下洋輔であります.文章の端々に魅力がある.この本ではアントニオ・カルロス・ジョビンについて書かれたものが,やはり長くていいなぁ.しかし阿佐ヶ谷の焼鳥屋に行かなきゃね.それからジャズストリートにも行かねば.地元なんだからね.B−

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