1998年9月に読んだ本


【世紀末パソコン日記】 アストロビスタ 新興出版社

1998.09.30読了.
これもやっと出た楽しみにしていた本.雑誌『PC WAVE』で連載している人気コラムを本にしたものだが,欄外の注(青波子が書いたもの)が漫才のやり取りのようで,これまたおもしろい.筆者のコンピュータや通信に対する熱い思いがうかがわれるのであるが,それを裏切るものへの怒りもまた大きいのでしょう.『PC WAVE』物では廃人クラブも本にしてくれないかなぁ.B+
【新世紀日米大戦5】 大石 英司 中央公論社

1998.09.23読了.
やっと出た新刊.三ヶ月遅れではないのか? さて今度はミッドウェー戦でありまして,土門はミッドウェーへ降下して陸戦,連合艦隊はB2に攻撃される,というようなところです.出来としては大石英司の水準作でしょうか.しかし今回はくすぐりがなかなかよろしい.MS製のOSを搭載した戦闘ロボットがハングするなんていいよね.B
【七百年の薔薇】 ルイス・ガネット 早川書房

1998.09.21読了.
不死の物語.ニューイングランドのある岬の大半を占める地所に男爵と従僕,そして狂暴な犬の住む館がある.付近では行方不明事件も起きている.そこに離婚した妻に引き取られていた息子が帰ってくるっていうんですから何かよくあるような怪談ですが,良くできたお話でした.
超能力と不死,ゲイをからめたのが新味かも.ただし,私はこの分野についてはまったく詳しくないので不明.おもしろかった.B
【らんぼう】 大沢 在昌 新潮社

1998.09.16読了.
『史上最悪のコンビ』である刑事,ウラとイケが活躍する連作.西原理恵子の装画が楽しい.帯と装丁で買ってしまいましたよ.『アルバイト探偵』シリーズのようなお気楽路線かと思ったら,結構シリアスであって,それは少し残念であったけれども,残念であったのは私の個人的な思い込みなのであって,この作品の良さを減じるものではない.
私はどうも『新宿鮫』シリーズに違和感を覚える.それまでの(って新宿鮫以前だから随分昔だ)大沢主人公の姿形は思い浮かぶのだが,どうも鮫島はぴんと来ない.近頃の登場人物でキャラが立っているのは『眠たい奴ら』の月岡だけじゃないかなぁ.佐久間公もなんだか分別臭くなっちゃたし.
で,この作品のウラとイケなんですけど,なかなかいけています.うっとうしくなるような街のうっとうしい犯罪者を題名通り『らんぼう』に追いかける話なんですが,ちょっとしたくすぐり,殺伐とした人間達,もっと殺伐とした街,いや大沢在昌はうまいものです.B+(A−かなぁ.結構お気に入り)
【慈悲のこころ】 フェイ・ケラーマン 創元推理文庫

1998.09.16読了.
シェイクスピアの恋と冒険の物語(実際,剣を持って戦うのだ).私はシェイクスピアには詳しくないので(読んだのは『ハムレット』と『ロミオとジュリエット』だけ),またイギリス史も良く分からないので,歴史的なことはよく分からないのであるけれど,とても面白く読めた.ただ,主人公をシェイクスピアにする必然性が無いし,殺人事件の解決もおざなりってのは欠点ですね.ガリオン船のエピソードも相当行き当たりばったりだしなぁ.B+
【幕末辰五郎伝】 半藤 一利 NHK出版

1998.09.04読了.
新門辰五郎伝だと思って借りたのだが,2/3以上は徳川慶喜についての話だった.明治維新のころの政治の話は余り好きではないので少しがっかりする.著者としても慶喜がらみじゃないエピソードは発掘できなかったのかも.C−

【死の病原体プリオン】 リチャード・ローズ 草思社

1998.09.03読了.
いやー,怖い病原体があるものですねぇ.360度で一時間熱しても死なないってんだからこれは防ぎようが無い.しかも発病すれば脳がスポンジになって100%死んでしまう.例の狂牛病やクロイツェル・ヤコブ病の話です.流行する基盤は出来ているので(ということは感染している人は数十万人のオーダーに上がっているかもしれない),20年後,世界はどうなっているのか.本書の悪い予想が当たらないことを望む.
しかし,ハンバーガーを食べずらくなったぞ.B

【沸点の街】 ミッチェル・スミス 新潮文庫

1998.09.02読了.
犯罪者が娘を殺されて復讐に立ち上がるっていえば,大藪春彦だよねぇ.最初の方を立ち読みした時は,そりゃ大藪ほどじゃないとしてもなかなか結構.買いました.
ところがところがこの主人公,銀行強盗のくせに煮え切らない奴でもたもたしている.恋人に絵葉書なんか送るんじゃないっ!アイスマンの名が泣くぞ.ということで,途中で放り投げなかったのは,ある程度面白かっただけであって,それ以上ではない.C

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