2002年3月に読んだ本


【カインの娘たち】 コリン・デクスター 早川書房

2002.3.31読了.

【黒い白鳥】 鮎川 哲也 

2002.3.27読了.

【江戸のまかない】 石川 英輔 

2002.3.24読了.

【ダーウィンの使者】 グレッグ・ベア ソニーマガジン

2002.3.19読了.
アルプスの山中でネアンデルタール人とみられる遺体が発見される.同じ頃,グルジアでは妊婦の大量殺戮事件が判明.分子生物学者,考古学者,ウィルスハンターの三人が主役で,各々の視点から物語が語られていくが,奇形児を作るウィルス性の風邪と人間の進化というところに収斂されていく…,というお話.
話の先は見え見えなのだけど,細部がうまく描かれているので面白い.また,プログラムされていてある条件になると発現する進化っていうテーマもなかなか魅力的.ただそのあたりの理論がかったるいことも確かだ.ゲノムの中に取り込まれていた内在性のレトロウィルスがある日急に活性化する,とか言われて,ちゃんとイメージできるか?.ま,議論を読んでいて面白いからいいけどさ.
マイクル・クライトンみたいな語り口だけど,クライトンのようにずっこけることはなかった.B.

【死は我が隣人】 コリン・デクスター 早川書房

2002.3.13読了.
引き続きモース警部を読む.
相変わらずペダンチックなところが楽しい.今回,モースは糖尿病で入院するハメに陥るが,ああいう食生活(というか飲生活)をするとこうなっちゃうのだよね.自戒しなければ….
物語は殺人事件があって,その家ってのが建売(あるいは長屋みたいなものなのか?)の一軒で,隣人達がちょっと怪しげ….というお話.アイディアは簡単なものだけど結構効果的で,なかなかよろしい.しかしまあ語り口とモース警部の魅力がメインではあるけれど.B.

【森を抜ける道】 コリン・デクスター 早川書房

2002.3.8読了.
コリン・デクスターの本は多分昔読んだことがあったと思うが,内容は全然覚えていない.
ということでほとんど初めて読む感じだったのだが,ペダンチックな雰囲気がなかなか楽しい.モース主任警部が主人公で,名前はかねがね知っていたけれどこういう人だったのか….結構魅力的.特に何かというとビールとウィスキーを飲むところが親しめる.しかしイギリスってのはこういう風に気楽にビールを一杯飲むことができる国なんだなぁ.ちょっとうらやましい.いや,日本でも飲めるのだけど,昼間ちょっと飲むってのが少しやりにくいところがあるよね.
お話は行方不明の女の子の消息を暗示する詩が新聞に投稿され,事件に発展するというもので,気取りがあって悪くない.解決に至る展開もなかなかよろしくて,デクスターはひいきにすべき作家であるようだ.B.

【死のある風景】 鮎川 哲也 角川文庫

2002.3.3読了.
鮎川哲也再読シリーズ3冊目.長編の中では一番面白かったように記憶していた.
冒頭,結婚直前の女性が阿蘇山に身を投げて自殺する.その後,内灘で女性が殺される.二つの死の関連は?.そして犯人は?.というお話.例によって,犯人は別に意外でも何でもなくて,アリバイ崩しがメイン.私は特にアリバイ崩しが好きというわけではないけれど,この作品でのトリックのほころび方が気に入った.前に読んだときにはどこが気に入ったのかなぁ.今では記憶にない.
解説に書誌データが全然無いのが欠点.それから作品中に永福町と浜金谷が出てきてびっくり.描写を読むと月日の流れを感じるよね.B.

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