2002年2月に読んだ本


【目覚めよ,女王戦士の翼!】 キャサリン・アサロ ハヤカワ文庫

2002.2.28読了.

【憎悪の化石】 鮎川 哲也 双葉文庫

2002.2.22読了.

【黒いトランク】 鮎川 哲也 創元推理文庫

2002.2.21読了.
これも再読.ほぼ四半世紀ぶりだろう.
昔読んだときは,読みづらくてちょっと閉口した記憶がある.しかし今回はすらすら読める.好みが変わったのだろうか.あるいは後書きで知ったのだが,著者は版が変わるごとに少しずつ変更しているらしいので,そのせいかも.また,舞台は戦後すぐのお話で,風俗的にも興味深かったこともある.いやまったく私の生まれるほんの十数年前なのだけど,現在と比べるとまるっきり別の国だよねぇ.
もちろん,メインのトリックは素晴らしい.私はもともとトリックに重きをおいていないのだけど(そのせいで記憶にないのかも),そんな私でも感心した.いや,盲点を突いてるよね.ま,不自然といえば不自然だけど,ミステリが不自然なのは当たり前だもんなぁ.A−.

【女王陛下の007】 イアン・フレミング ハヤカワ文庫

2002.2.18読了.
改訳版.当然旧訳版は何回も読んでいる.
私は以前007シリーズでは本書が一番好きだったのだが,ある時から『サンダーボール作戦』の方に好みが移った.しかし今回読み返してみると,こちらもいいよなぁ.マルコ・アンジュとのエピソードやMでの自宅での会話とか,なかなか捨てがたい味がある.メインのお話も今日的でよろしい(というより,007シリーズの中ではもっとも今日的であるかも).ささいな欠点はあるけれど(1ページの中で数十回も!マークが出てくるとか)ごひいきの作品であることは間違いない.A.

【ウィーン薔薇の騎士物語5】 高野 史緒 中央公論

2002.2.18読了.
『ウィーン…』もこれでシリーズ終了.
ストーリィはオペレッタ『メリー・ウィドゥ』そのままであるらしいのだけど,私はそういうことにはまるっきりの無知であるのでわからない.金持ちの未亡人に昔の恋人が出会うが二人は意地を張り合って,という昔のアメリカ映画にありそうなパターン.そうかあのころの映画ってのはオペレッタから結構題材をとっているのかも.
お話はさっさと進み,実質的に一晩のドタバタで終わる.今回はフランツとクリスタが出っぱなしで,メインはどちらかというとクリスタのおせっかい.ま,楽しく読み終わることができた.ま,オーストリア・ハンガリー二重帝国での良き日の最後ってところだよねぇ.B−.

【銀河パトロール隊】 E・E・スミス 創元SF文庫

2002.2.14読了.
新訳.昔読んだのは20年以上前(30年以上前か)で,何回か読み返しているはず.
しかし記憶通りだよなぁ.細かいところまで覚えていた.やはり若いときに再読している本は良く覚えている.しかしやっぱり昔の本だよねぇ.基本的にはお気楽.悪人はバンバン殺しちゃうし.でも,悪と善について相対的に見ているのも確か.ま,とにかく悪い奴らは皆殺し(少し助けるところもあるけど)ってのはいいよなぁ.『グリーン・マーズ』でかったるい思いをしただけに格別.『グレー・レンズマン』も当然出るのだろうから読もう.B.

【グリーン・マーズ】 キム・スタンリー・ロビンスン 創元SF文庫

2002.2.11読了.
『レッド・マーズ』の続編.前作の最後のカタストロフの後,火星は巨大企業グループに牛耳られていて(地球も同様),『最初の100人』を中心に革命が起きる,というお話.
前作に続き上下巻の大作で,アクションはあるのだが,どちらかというとこちらも同じく退屈な展開.『レッド…』の方は主人公の一員であっても結構ワルモノだったりして変化があったのだが,今回はその味も薄い.しかし,何といっても火星の描写がすごい.徐々に進むテラフォーミングも綿密に描かれていて,つい流して読んでしまうのだけど,背景にある情報量は半端ではない.そのあたりを味わえるかどうかでおもしろさが変わってくるだろう.で,私といえば,少しは味わえるなぁ,といったところか.また,革命小説としては『月は無慈悲な夜の女王』の頃に比べより複雑かつ苦くできていて,これもなかなか.B.

【かめくん】 北野 勇作 徳間デュアル文庫

2002.2.4読了.
日本SF大賞受賞作.
星間戦争用に開発されたカメ型ロボットが大阪に住むお話.カメの存在が特別なものではなくて,普通に社会の一員であるのがなかなか楽しい.そしてフォークリフトのオペレーターとしての職業を持ち,休みの日は図書館に通う.弁当を持って河川敷でのイベントを見物するシーンがいいよなぁ.ただ,最後の方になってちょっと飽きてしまったのも事実.雰囲気はとても良いのだが,私が好きな線とは微妙に異なる.B.

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