2001年5月に読んだ本


【陋巷に在り2】 酒見 賢一 新潮社

2001.5.27読了.
ということで第二巻を読む.まあまあといったところかなぁ.ちょっと私の好みからははずれる可能性がかいま見える.果たして続編を読むべきだろうか.B−

【サンダーボール作戦】 イァン・フレミング 早川書房

2001.5.24読了.
新訳を読む.
この本は私にとって昔からのバイブル的なものであり,何回か読み返していて細部もだいたい頭に入っている.でえ,今回読み直してみて,はやり傑作であることを確認.やはり私の読書の原点の一つだよね.またジェイムズ・ボンドシリーズは私にとっての酒の飲み方の原点でもあって,これがやはり楽しい.この作品では何といったってマティーニに関する蘊蓄(味とかレシピではなくて経済面からの)だよね.いや面白い.A

【陋巷に在り】 酒見 賢一 新潮社

2001.5.21読了.
大長編の1巻目.面白かったら先が長いので楽しみ,と思って読み始めた.
主人公は孔子と顔回.まだまだ古代的な呪術の世界であった春秋時代の中国で,孔子は変革者として行動する.顔回は孔子の弟子であるけれど,古代からの巫儒集団を嗣ぐものでもある.で,孔子はその呪術者としての儒を礼の世界へと引き上げようとするのだが,そして礼の政治をしようとして権力闘争をするのだが,当然反発をまねく.それをどうやって切り抜けていくか,というのが多分シリーズのテーマなのでしょう.
呪術合戦とかなかなか面白いのだが,物語の進め方がちょっと疑問.ま,大長編の最初としてはいいのかも.ただ,悪役とか端役を全然知らないので(私が無知であるからかもしれないけど,多分世の中の人は皆同じようだと思うぞ)ちょっとさびしい.B

【ウィーン薔薇の騎士4】 高野 史緒 中央公論

2001.5.21読了.
第4弾.今回はフランツがバイオリンを受け取りに行くところから始まる.なぜそういうことになったのかは前作の結果なのだけど,私は全然覚えていない.困ったことだよね.で,付き添いはお忍びの皇太子.半分バカンス気分だったのだが,行った先で殺人事件に巻き込まれるというお話.
思春期になってしまった(というかおくてだよね)フランツの青春小説っぽいところや,伝説の人喰いバイオリンが出てきたりして盛りだくさん.フランツ君も何か一皮むけたようで結構ですねぇ.またまた続編期待.そうそう『ムジカ・マキーナ』のエピソードが出てきたりして,これは読者サービスがよろしい.トビアスの手紙も笑っちゃうしね.B

【勝利】 ディック・フランシス 早川書房

2001.5.15読了.
今回はガラス工芸のお話.ま,前回の『烈風』よりはマシといえるが,やせ細ってしまったことは確かだよねぇ.さびしい….C

【ふわふわの泉】 野尻 抱介 ファミ通文庫

2001.5.11読了.
女子高校生が偶然新物質を発見(発明)する.そして起こるてんやわんや,というお話.
物語はトントン拍子に進む.発明の苦労とかいうものは無く,あっというまに世紀の大発明.そしてビジネスへのデビューが行われる.私はまず,この最初の成功の日の描写がとても気に入っている.『宇宙のスカイラーク』で始まって『月を売った男』に続くような展開ともいうべきか.場面は変わり,3年後,大企業となった『ふわふわ社』のCEOとしての主人公の日々.事故が起きるのだが,こいつがいいよね.で,モロモロがあって宇宙を目指すことになるのだが,ここでの建造物のスケールが素晴らしい.いいなぁ.技術系SFの醍醐味ですねぇ.
話はさらに大きくなり,ファーストコンタクトを経て,人類の存在とは?,とかの域に達するが,気分はあくまで『ふわふわ』であるのがうれしい.A

【眠れぬイヴのために】 ジェフリー・ディーヴァー 早川書房

2001.5.10読了.
嵐の夜,殺人犯が精神病院から脱獄した.彼は裁判で証言したヒロインの家に向かう.果たして…,というお話.
当然ながらディーヴァーだから一筋縄ではいかないわけで,私としても実はこいつが悪い奴ではないか,いやあいつが黒幕ではないかとか思いながら読んでしまい,純粋に楽しめないのがいかんですねぇ.それにどうも登場人物が皆腹に一物持っている印象があり,しかし最後まで読んでみるとそれも大したことはなかったりしてちょっとがっかりする.ヒロインの不眠症ってのも,タイトルに出てくるのだから何かあるのだろうと思っていたら何もない.とはいうものの,面白いことは確かであるんだよね.B

【ハード・タイム】 サラ・パレツキー 早川書房

2001.5.5読了.
ずいぶん久しぶりのヴィク.
今回はハリウッドのメディア資本がシカゴを侵略し,かかわりをちょっと持ったヴィクがそのパーティーに出かけた帰り道,瀕死の女性を轢きそうになる.彼女は刑務所から脱走したらしいのだが…,というお話.前作からだいぶ時間がたってしまったので,人物関係で忘れていることが多かったりしたけど(例えば助手がいるんだけど,どんなふうななれそめだったんだっけ),すぐに物語に入っていける.いやまったく相変わらずのヴィクではあります.少しは大人になったようなのだけど必然的に事件に巻き込まれ,最終的には刑務所入りしてしまう.でもアメリカって刑務所と拘置所を一緒にしていいのだろうか?
そういえば民間の刑務所とかいう話を聞いたことがあったよなぁ,とか思いだしたりしてなかなか結構なおなじみシリーズでありました.B

【イラハイ】 佐藤 哲也 新潮社

2001.5.1読了.
ま,ファンタジーなんでしょう.あるいは神話.
とても知的なお話で,内容はイラハイという国の滅亡とそれをめぐる主人公の冒険といったものであるけれど,まず語り口に惹かれる.しかし内容にメリハリが無い感じがして(つまり全部重要で力が入っていると感じられて),読むのがくたびれる.ということで一気には読めず,間をおいて読むと今度は前の内容を忘れちゃうという間抜けなことになってしまうわけですね.ま,多分これは私が悪いのだろうけれど.
クールな言い回しや展開があってうれしいのだけどなぁ.B

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