Schoenhutのお部屋へ 明治抱き人形のお部屋へ

「お待たせしちゃいましたー」
ほら、そこの呆れて寝てる方、
ごーちゃんですよー。おきてくれー。
なぜかごーちゃんと呼ぶのがふさわしい。
以前はこの四角いお顔が苦手でしたのに。。。
人の好みはあてにならない。(^_^;)


Francois Gaultierは、1860年頃から1916年まで
フランスでお人形を作ったといわれています。
1860−1899まではドールのヘッド、パーツを作り
他のいくつかのメーカーにまで提供していたのですが、
1900年頃には、ジュモー社などと共に
SFBJの傘下に入ります。

本には、「ファッションドール、ベベドール共に
透明感のある大きな眼が特徴」。。。とあります。
ほんとに、うちのごーちゃまときたら
一般的なGaultierより、さらに大きいような。。。(^_^;)
だから大島弓子の世界なんだわ。

以前にShinobuさんから
「眼の用語がよくわからない」とメールがありましたので、
今回は、眼のことも含めて
Gaultierについて書いてみようと思います。



Gaultier のお人形のヘッドマークを語る時
よくブロックレターとか、スクロールマークとかいわれますが
それは、F.12 G.のようにブロック体で書かれているか
線で囲まれた巻紙風(スクロール)の中に、
F.G.の文字があるか。。。という事です。
そして、年代が違う。
ブロックは1863〜1888、スクロールは1888〜1899頃と
言われています。
つまり、ブロックレターのヘッドマークの方が古いわけです。

初期のころは、やはりファッションドールからスタートした工房だけあって
眉の引き方が細く、肌の色合いもとても白く
表情も硬い感じがします。
でもそこが魅力。。。と多くのファンがいます。
うちのごーちゃまは、スクロールマークですから
後期ですね。でも、唇の描き方から(2色使い)、
割と後期でも早いほうかな。。。と思います。(ややこしいな(^_^;) )
終わり頃は悲しいかな、何でも雑になっていくような。。。

さて、ごーちゃまの瞳を横から撮ってみました。
この瞳を見れば見るほど、
ペーパーウェイトアイを考えた人は
猫を飼っていたに違いない。。。と思わされます。(^o^)
夫曰く、「おー、たま。お前もペーパーウェイトアイだなぁー」
教育の成果です。。。(T_T)v 夫も、この様に巻き込むのが
お人形道のコツです。



さて、ビスクドールの眼の種類です。

1.フランスのお人形に多いペーパーウェイトアイ。瞳が目蓋から外に
  飛び出している。その形がガラスの半円球の文鎮=ペーパー
ウェイトに似ていることからその名前がつけられました。これは
イギリスで開発されたもので、1860年代はまだフランスでは
この技術は無かったそうです。ガラスですから、てっきり
イタリアかしら。。。と思っていました。現代のお人形用の眼でも
「イギリスの最高の・・・」と力説するには、訳があったんですね。

2.ドイツのお人形に多いスリーピングアイ。おめめを瞑る為には
ペーパーウェイトは無理がある。瞳が邪魔で、眼がひっこまない。
眼球全体がつるんとした球。しかも、ペーパーウェイトが、
ソリッドなガラスの上に盛り上げる様にして作っているのに対し、
スリーピングアイは吹きガラスで、中が空洞。
そのうえに、瞳を色で乗せてある。
壊れたケストナーちゃんのがそうでした。

3.ステーショナリーアイ。ステーショナリーというのは、動かない
ということなので、スリープしなければステーショナリーです。

さて、アンティークドールのオリジナリティーを語る時、
眼の付け替えがとても問題になります。
もともとの眼がちゃんとしていれば
もちろんそれが1番なのですが、
よく壊れたり、はずれたりするわけですね。
長い年月のあいだには。
だから、アメリカにはお人形のアイバンクまである。


時代的に見て、ドイツ人形でスリーピングであるはずなのに
眼が固定してあるものも多い。
また、その工房では、ペーパーウェイトを使う例が
まず無いにも拘わらず
ペーパーウェイトになっている事もある。
それが個人で楽しむぶんには良いのですが、
売り買い。。。となると、微妙になってきます。
マルセルにペーパーウェイトが付いていまして
でも、かなり可愛かったものもありました。
「正統性」から言えば、ぱーす!。。。でしょう。
でも、手に入れる人が可愛いと思ったら
それで良いと思う。

アンティークに、リスクはつきものです。
「何でも鑑定団」を見てごらんなさい。
騙し、誤解、思いこみのオンパレードじゃないですか。
それがわかって初めて、手を出すことが出来るのです。
自分の「目」を信じるかどうかだけです。
信じて買ったのなら、可愛がるだけでしょう。

ごーちゃまを作った職人さんの
確かな「手」を、私は確信したので
買う事を決めました。
ヘッドのリムに、焼いた時のクラックがあります。
説明調でいうなら、「それはこの人形の魅力をそこねるものではない」
はい。本当にその通りでございます。m(__)m


さて、Gaultierは、ヘッドと、お人形のパーツを作り
他の工房に卸していたわけですよね。
で、わたしはPG(Pintel & Godchaux)というお人形も持っているのですが
この工房は1880年から1899年まで
ほんの短い間お人形を作っていました。
このヘッドが、どうもGaultier作のようなのです。
(Gaultierのヘッドを見るたび、映画のコーンヘッドを思うのは
私だけですかぁー?)
でも、そこで疑問なのです。
ボディを他の工房から仕入れるは良いとして
ヘッドはまあ、お人形の全体の印象を決めるものですよね?
それを、他社に依頼する。。。ってどういうことなんですかね。

PGは、とても中途半端で、可愛そうな気がするんですが。
どこにも所属していないような。。。
文字通り「顔」が無い。(T_T)
めずらしいお人形のようではあるのですが。

今でこそ私達が、ヘッドマークだ、やれ目が違うだ。。。
と騒いでいるけど、当時は、何でもあり。。。だったんじゃないかねー?
。。。と、冷静に考えることもあります。
つまり、ビジネスなんですよ。売れれば良いという。
あそこで売ってるから、うちも便乗しよう。。。っていう。
Gaultier ヘッドにジュモーボディもありですから。
今なら、付替えかーーーー???
で、大騒ぎしてますけど。
「あり」だってば。




さて、ごーちゃまが来た時、
山姥のような色合いのウィッグをつけて
紫の、シルクなんだけどあちこちから接ぎ合わせたような
アンティーク素材の洋服、そして裸足でした。
色物や、柄物も似合いそうなのですが
とりあえず、「白」という基本色が決りました。

レースは、ロンドンのポートベローのリネンやさんで買ったもの。
でも、今年いそいそとまた訪ねたら、もうお店はありませんでした。
とても良心的なお値段の、欲しいもの一杯のお店だったのに。。。
ポートベローは今や、何だかエスニックだらけの、私にとっては
ちっとも面白く無いマーケットになってしまっていて、
早々にひきあげました。悲しい。。。


髪は、お人形の印象を随分と変えます。
上のモヘアの三つ編みも好きなんですが、
ま、王道のブロンドにしてみたのがこれです。

白のドレスの雰囲気がお分かり頂けると思います。
デザイン、例によっていたってシンプル。
つまり、早く縫いたいからなんですけど。
気が急くの。待ち切れない。ははは。

今は、結局このハニーブロンドは、似合わない。。。とわかっています。
同じブロンドでも、様々な色合いがあるのですよ。
そして、いちばん似合うはずの色合いがある。
下の写真と比較して、同じお人形とは思えません。

ごーちゃまは、リペイントもなく、
持ち主は安心して眺めていられるお人形です。
リペイントがあるくらいなら、剥げているほうが自然です。
Gaultierのボディのうち、わたしは足がとても好きなのです。
ボディは作らなかった会社。。。ということですから
いったい、どこがこれを作ったんでしょうね。
有名なところでは変化自在ボディのGesland 社ですが。

てーとちゃんの足も手も、ごつすぎだと思うのです。
ごーちゃま、丁度良い。可愛いです。
Jumeauさんは完璧主義だと思うんですが
あのボディだけは。。。「どーした?ジュモー。。。(T_T)」ですがなー。
バランス、美しさならだんぜんブリュですよ。
もう、よだれだー。すんばらしー。\(^o^)/

さて、現在のごーちゃまです。
お気づきでしたか?最初の写真から、
ブローチだけがやたらに変わっています。(-_-;)
洋服の替えが無いので、それぐらいしか変化させてあげられないのです。

第2弾の洋服のデザイン、生地、アクセサリー、全て決っています。
アップするのに、たったこれだけに何ヶ月もかかってしまいました。
「次の洋服はやくしてくれー(-_-メ)」という声が。。。
そのおめめで見つめられると。。。号泣(T_T)
ものには、順番があるのよ。
津軽にはね、「大きいねぶたは後から」
っていうことわざがあって
重要なものほど、最後に登場するって。。。ブツブツ。。。。(-_-)。。。



Head Mark
9
F.G. (scroll)

24inch (60cm)



Schoenhutのお部屋へ 明治抱き人形のお部屋へ
(Aug. 3, 2003)


このページのTopへ
©2001-2104 Y`s Antique Doll Museum
All rights reserved

*このホームページはWin7/IE11/解像度1280x1024で作成/動作確認をしています。