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ビスクドールと言えばフランス、ドイツなのですが、
第一次世界大戦後のほんの短い期間
日本でもビスクドールが作られました。
「和製ビスク」として人形愛好家に
知られているものです。

1840年代まずフランスで花開いた
ビスクドール文化ですが、
ドイツでの大量生産を可能にする焼成法の考案により
次第に価格での競争で太刀打ち出来なくなります。
一部の特権階級の物であったビスクドールが
勿論それでも高価であったとは思われますが、
一般の人たちの手にも入る物となったわけです。

しかし、ドイツビスクは第一次大戦に
ドイツが負けたため、
一時市場から撤退せざるを得ませんでした。
ドイツ経済の復興によりすぐに再進出するのですが
そのほんの短い間日本製のビスクがアメリカで
その価値を認められ輸出されました。
その日本製ビスクのメーカーのうち、
最も有名なのが後の製陶メーカー、ノリタケの前身の
モリムラ・ブラザース社製ビスクです。
日本製ビスクはドイツビスクにひけをとらない
素晴らしいレベルのものから
未熟。。。というレベルのものまで
クオリティーにばらつきがあります。
私のビスクドールは他に数社あったと思われる
日本のビスクドールメーカーのうち、
FYNipponというヘッドマークを持つお人形です。
詳しくはよくわかっていないメーカーですが
アメリカのサイトではヤマト。。。といわれていました。
ですから、やまとちゃんですね。
ご覧のようにやまとちゃんは
本場ドイツのシモン&ハルビックなどにも
負けない可愛いらしさでしょう?
その当時の日本の職人が頑張った証です。
ただ
技術的に、歴史が無い為、今一歩。。。
の感があります。
ボディーは洋服で隠れますから気にならないとして、
お顔の描き方でしょうか。
これは、
ジュモー、ブリュー大先輩と比べてしまうと
「生まれて済みません」と言う
有る作家の有名な言葉になってしまいます。
私でさえ、うちのやまとちゃんを見るたび
ちょっと、この眉、この口、このまつげの筆使い
なんとかならない?と思いますよ。
自信なさそう。。。というか。和人形感覚。
ジュモーなんか、ザッ、ザッ、ザッですもの。
自信満々。やまとちゃんを思うと憎らしいくらい。
やまとちゃんはふらふら、へろへろ。。。
ふがいない。力がない。
思わず「私にやらせてくれーたのむ!」
といいたくなる。
毎日のお化粧で鍛えてますから。
それと瞳が絶対もう一回り大きいほうがいい。
三白眼は運勢上もよろしくありません!
また手術しちゃおうかと思いたくもなります。
良い人形というのは、
きっとどの角度からみても良いはずで
それは例えばデッサンの狂いが無いとか
各部分の比率が良いとかいうことだと思います。
やまとちゃんは、おおー!という角度もあれば、
なんだ?という角度もある。不憫だ。。。

和製ビスクは基本的に輸出用であった為、
国内にはあまり現存していません。
また、もしあったとしてもアメリカからの里帰り。。。
といわれています。
やまとちゃんは、日本の方から購入しました。
その方が、FY Nippon のボロボロのものは
見たことが有るけれど、
こんなに良い状態は無いので、
ひょっとするとオリジナルでは無いかも知れない
とのことでした。
確かにボディーは新しいものです。
が、ヘッドはオリジナルでしょう。
アメリカのオークションサイトで
時々FYのお人形をみかけます。
ああ、やまとちゃんのきょうだいだ。。。
と思います。
質的には決して完璧とはいえませんが
きょうだい達を見るたびにいい人のところへ
縁があるといいな、頑張れニッポン
と思います。

85年ほど前に日本を出発してアメリカへ行き
またはるばる海を渡り里帰りした子です。
西洋のビスクにも増して、愛しい。
特別な子なのです。
特別な子の為の特別なドレス。
ビンテージの懐かしいような黒いレースです。
白いバラ模様のレースで縁取りました。
帽子には華やかに、とりどりのお花を付けました。
髪の毛はアメリカからの取り寄せ。
本当に綺麗なハニーブロンドのモヘアーで
この子にぴったりです。
購入時の洋服やウイッグはあまり質の良いものでは
ありませんでした。
もともとインパクトの薄いお人形なのに
粗末なお洋服はさらに寂しくなります。
良い質のシックなお洋服が似合うと思いました。

抱っこしているのは、
アンティークではありませんが
グリズリー社のテディーベアーです。
ベアーはあまり興味無いのですが、
怖いような、甘くないこのベアーは
持っているたった2つのうちの1つです。
小粒ながら主張があってとても可愛い。
やまとちゃん真剣です。
くまちゃんこわい。。。って言ってるみたいですね。
お写真とるため、初めてくまちゃん
抱っこしたものですから。
襟に換え襟風に、パリのクリニャンクールで見つけた
きっとこれは人間の赤ちゃんの為のだと思うのですが、
あぶちゃんをつけてみました。
うーん、小公女ふうではありませんか?
その時2枚買ったのですが、それは単に
その手仕事に惹かれるものがあったからでした。
やまとちゃんのはカットワークで大きく
すずらんのお花が刺繍されています。
かなり根気の要るしごとです。
愛する子の為でなければ、ちょっと出来ない仕事かな?
もう一枚も偶然すずらんのもので
ちいさなすずらんの株がちりばめてあります。
深く考えず買ったようなのですが
すずらんはだいすきなパターンです。
何年も経ってこんな風に役立つなんて
だから無駄かな。。。と思う買い物もやめられません。

小公女といえば、HPでいろいろな方のページを
読みましたが、多くの人の記憶に
ビスクドールと結びつく物語として残っているんですね。
エミリーちゃんです。
どうもジュモーらしいとか、本当にビスクだったのかとか。
小学生の頃を思い出しました。ビスクドールの
実物など見たこともなかった頃です。
この世に贅沢なお人形と言うものがあることすら
理解出来ていませんでしたが
エミリーは特別誂えの下着や洋服まである事に
うっとり。私もうちのお針子(母)に
オーダーしてましたけど。

とにかくとてもとても好きなお話でした。
いまでもまだ皆読むのでしょうか?
娘が小さい頃ちょうどアニメの「小公女セーラ」
がオンエアーされてテレビも一緒に
懐かしく見ましたし、本(テレビ版のもの)も
せがまれて買い、繰り返し読んであげました。
母の願い空しく、セーラの様には。。。

子育ては理想的にはいかないものです。
でも娘のなかにも大好きなお話として
残っているはずです。
大人になった今も、お人形だいすきですから。
ジャンルちがいますけど。
天野可淡さんですか、あとチェコの
シュヴアンクマイエル。人形を使う映像作家です。
母のプリティー系とは違う路線ですね。。。
私が育てたんですけどね。。。
おっと、感慨に浸っている場合じゃない!
やまとちゃんですよ。やまとちゃん。

さて
2着目のお洋服です。
シルクの上にレースを重ねてあります。
オーガンディーのリボンは複雑な色合い。
MOKUBAのりぼんがとにかくすきです。
パリにもお店があります。
パリオートクチュール界でも
大きな存在と聞きました。
日本人のアイデアや細やかな感覚が
生きている製品だと思っています。
靴も靴下も懲りずにつくりました。
帽子は20年ぐらい前に渋谷で買いました。
大人のものより高かったことを覚えています。
ちょっと小公女セーラしてますね。

お仕事を頂いて、昔であれば夢であったお人形が、
勿論好きなだけ買える訳ではないにしろ、
節約すれば手に入れることも出来る様になりました。
つくづく日本は物が買える…と言うことでは
豊かになりました。

やまとちゃんの故郷は瀬戸のはずです。
お肌はとても美しく、ジュモーにも負けません。
私ほどの年齢になると日本がとても大切になります。
外国の友人達のほうがより高く
日本を評価することが気になることもあります。
今の若い人達も私の年齢になれば
同じ気持ちになるのでしょうか?
やまとちゃんを見ているとそんな
日本の過去や行く末まで少し考えてしまいます。

HEAD MARK

FY
No.70018
NIPPON
405
Armand Marseilleのお部屋へ Composition Dollsのお部屋へ
  (Sep. 19. 2001)


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