全国ネットの中央省庁への要請書提出行動
岩本 光弘 移住労働者と連帯する全国ネットワーク 共同代表

 10月24日・25日の2日間に渡って、中央省庁への要請書提出を行いました。(詳細は移住連の情報誌「M―ネット」に掲載される予定です。)
昨年までは事務局と関東圏の会員で行っていましたが、8月の全国ネットの運営会議において、事務局から「省庁側が、関東地区の団体とみなしているようなので、この組織が全国規模のものであることを示したい。そこで、今年からは共同代表と運営委員には出来るだけ参加して欲しい」という要請があったため参加しました。今回は関西地区からも参加があり、共同代表も7名中5名が参加しました。
 私は今回が初めての参加で、九州地区で行っている要請行動と雰囲気が全く違いましたので、詳細は前述の情報誌で報告されることを前提に、今回の会議の様子を報告します。
 日程は、遠方からの参加を考慮して、24日の13時から17時までと、25日9時から12時までの2日間、場所は、衆議院第二議員会館の会議室でした。

※第1日目(24日13時〜17時)※
 要請行動にあたり、紹介議員を通じて事前に要請書を提出していましたので、これに沿って会議を進めました。
 1日目は5項目の要請と質問を提出していましたが、内容が多く各項毎に45分しか取れませんでした。要請書の各項目毎に、移住連側の担当者が司会をして、細目の順番どおりに関係省庁が回答する形を取りました。
 今年の要請は以下に関するものでした。
 1.労働者の権利 2.外国人研修生、技能実習生問題 3.入管行政 4.人身売買・DV被害者保護および福祉 5.子どもの教育
 一つの省庁だけで解決できない項目が多いため、項目毎に回答する省庁の担当者が並びました。各項目の省庁の担当者数は次のとおりでした。
 1:9名、2:7名、3:4名、4:16名、5:10名

 また、同じ省庁でも項目によって担当者が異なるようで、各項目の回答時間になると会議室前に担当者が集結し、項目が終了するとぞろぞろと入れ替わるという、今まで見たことの無い光景でした。次の項目に答えるためにそのまま残る担当者もいました。
 席順は、担当者の前に司会者と紹介議員が座り、その両側に要請書の作成担当者と共同代表が座る形を取りました。
 会議の冒頭には、議員から省庁担当者に、「誠実で前向きな回答をするように」という要請がありました。

※第2日目(25日9時〜12時)※
 2日目は総合的な政策についての討議が行われました。項目は次のとおりでした。
 1.外国人の受け入れ等に関する総合政策・答申等について
 *骨太の方針2005(内閣府)
 *規制緩和・民間解放推進会議(内閣府)
 *海外交流審議会答申(外務省)
 *第三次出入国管理基本計画(法務省)
 *FTA/EPA交渉の現状(外務省・経済産業省)
 2.複数の省庁にまたがる課題
 3.「テロ対策」・在留管理に関する政策について
 2日目の項目は、多くの省庁が関連する複雑な課題の討論なので、30名の担当者が出席し、移住連の方が少ないくらいでした。
 出席した省庁は、法務省・法務省入管局・内閣府・外務省・総務省・総務省公安調査室・経済産業省・警視庁・国土交通省・海上保安庁・厚生労働省でした。
 前日に引き続き、熱の入った議論となりましたが、一つの項目に複数の省庁が違った視点から回答すると言う形で、時間が足りないほどでした。
 特に驚かされたのはテロ対策についてで、予算請求の概要と検討中の施策がその内容でした。これまで、九州にいて漠然としか考えていなかったのですが、9つの担当部局から回答がなされました。 詳細は省略しますが、「対策を進めているが、内容についてはお答えできない」という回答もありました。
 最後に、社民党の辻本議員から「支援現場にいるNGOの意見をよく聞いて施策を立て実施することを心がけてほしい」という言葉があり、時間を少し延長して終わりました。

※感想※
今回参加して感じたのは、地方と中央の感覚の違いです。例えば、子どもの語学支援について、文部科学省は十分に予算処置をしていると回答しましたが、実際には、福岡県では教員が大変な苦労をしています。地方においても、今後も私たちが政策提言を続けていくことがとても大切であることを実感しました。