小さな湾にやってきた
漠然とした怒り 屈辱感に追い立てられ
脱出への手段を求めて だが
船と言っては一隻の監視船
丘の上には砲台
古い倉庫の蔭からまたもや くたびれたコートの男たち


                海中に突き出た防波堤の上から見ると
                海水の一部が緑の結晶質なのを知った
                海底から反射する光は 揺れ動く石理(いしめ)となり
                ぼくの魂を同化しようと優しく誘う
                靴を脱ぎ揃え 固形の波の上に踏み出すと
                砲台の巨砲がじっと 後ろから見守るのを
                背中に感じながら 歩いてゆく
                空と海が一線に交わる辺りを目指して・・・

end