実用鶏(じつようけい)が誕生するまで


 卵用鶏(らんようけい)、または肉用鶏(にくようけい)と言われる実用鶏(じつようけい)[コマーシャル鶏]が
 誕生するまでの模式図を作成してみました。

 実用鶏とは、ボリスブラウン、ソニア、ジュリア、イサ・ブラウン、ブロイラーなどの鶏です。
 採卵目的で飼われている、名古屋種、横斑プリマスロック、ロードアイランドレッドは
 在来種と呼ばれる鶏で実用鶏とは違います。(この3種は卵肉兼用の鶏とされています。)

 図の原種鶏(げんしゅけい)以降は雑種強勢(ヘテローシス)を利用した交雑種(F1種)となります。
 エリートストック(ES)と原々種鶏(げんげんしゅけい)だけが固定種(固定品種)の鶏と言えます。


 実用鶏が誕生するまでの模式図(卵用鶏の場合)

エリートストック
(ES)
× × × ×
原々種鶏
(げんげんしゅけい)
× × × ×
系統A 系統B 系統C 系統D
原種鶏
(げんしゅけい)
× ×
系統A+B 系統C+D
種鶏
(しゅけい)
×
系統A+B+C+D
実用鶏
(じつようけい)
鶏卵
(けいらん)



 エリートストック(ES)は実用鶏を作る基礎となる優れた特性を持った鶏たちです。
 エリートストックは基礎鶏(きそけい)、育種鶏(いくしゅけい)などとも呼ばれています。

 原々種鶏(げんげんしゅけい)はエリートストックから生まれた鶏です。
 また、原々種鶏は次の世代のエリートストックを繁殖させるための親鶏、つまりエリートストックにもなります。

 原々種鶏は、例えば産卵率の優れた鶏、飼料要求率の良い鶏、良い卵を産む鶏、体の丈夫な鶏、
 などの優れた特性を持った選別された鶏たちです。

 原種鶏(げんしゅけい)は原々種鶏から生まれた交雑種(F1種)です。
 雑種強勢(ヘテローシス)の利用により、両親の原々種鶏の優れた特性を合わせ持っています。

 種鶏(しゅけい)は原種鶏から生まれた交雑種(F1種)です。
 雑種強勢(ヘテローシス)の利用により、両親の原種鶏の優れた特性を合わせ持っています。

 日本では、実用鶏を生産するための種鶏を外国から毎年数多く輸入しています。
 これらは孵化場に搬入され実用鶏の卵が産まれ雛(ヒヨコ)が孵化して、やがて養鶏場へと配送されます。

 実用鶏(じつようけい)は種鶏から生まれた交雑種(F1種)です。
 雑種強勢(ヘテローシス)の利用により、両親の種鶏の優れた特性を合わせ持っています。

 実用鶏は原々種鶏の全ての優れた特性を合わせ持った高性能な素晴らしい鶏と言えます。
 しかし、実用鶏は交雑種(F1種)であるため次の世代では雑種強勢も減少し、実用鶏の親と同じ
 優れた特性を持った雛(ヒヨコ)が生まれることはありません。
 そのため、養鶏場などでは一年毎に実用鶏の雛(ヒヨコ)を仕入れ育て採卵するのが一般的です。

 ※実用鶏から生まれた鶏は実用鶏とは別種の交雑種(雑種鶏)となります。(実用鶏とは呼べない。)
  遺伝子も分離するため想定外の雛が生まれることもあります。

 雑種強勢(ヘテローシス)
  F1種(雑種第一代)に多く現れる現象で、両親よりも優れていること。

 ※固定種: 固定品種とも表現されます。
 ※F1種: F1品種、F1雑種、雑種第一代などと表現されます。