- 渋ノ湯でバスを下りた登山者は4人だけで、冬山シーズンに比べると少なかった。苔むした岩を見ながらコメツガの森を登って行った。
- 黒百合ヒュッテには、まだ早い時間に着いたが、霧が出ていたので天狗岳まで行くのはやめにして、ベンチに横になって昼寝した。そのうち、後から来た登山者がスリバチ池に行くと言うので、一緒に着いて行ってみた。ガスの中に池がかろうじて見えた。この日のヒュッテの宿泊者は30数人だった。
- 翌朝、小屋の外の温度計は11度を差していた。濃い霧が立ちこめていた。暗い気持ちで出発した。中山峠まで来ると少し明るくなり、朝日が霧の中で差し始めた。東天狗への登り途中で霧が晴れて、稲子岳が見えた。東天狗の手前は岩場になっていた。東天狗山頂まで登ると再び霧におおわれてしまった。太陽が霞んで見えた。西天狗への方角が分からず、磁石で確認した。
- 西天狗への登りにかかると霧が晴れ始めた。西天狗に着くと霧がすっかり晴れ、八ヶ岳連峰や南アルプスが見えた。東天狗を振り返ると他の登山者が登っていく影が見えた。
- 東天狗に戻り、黒百合ヒュッテへはスリバチ池を経由することにした。途中で再び霧が出てきた。スリバチ池に着いたときには山頂は再び霧の中に見えなくなっていた。