- 高島トレイルの三日目、おにゅう峠では前夜からの雨がやみ、朝から快晴だった。土曜日のせいか、朝の3時頃から人が車で集まりだした。出発時には20人ほどになっていた。暗いうちからヘッドランプをつけて三脚を構えていた人がいたので、「おはようございます」と声をかけると「今日はだめですね」との返事だった。こんな良い天気なのにと不思議に思っていると、どうやら雲海が目当てだったらしかった。あいにく、この日の雲海は谷の下の方に少し見えるだけだった。
- おにゅう峠からしばらくは広い尾根の下りだった。やがて狭い尾根になると下りの急坂になった。風が強かった。左側が植林、右側がブナ林になり、やがて「水場2分」の標識の所に来た。水は十分有ったのでそのまま進んだ。急坂を登りトレイルを少し左手に外れるとP803に着いた。風はなくなり穏やかだった。次のP709へは黄葉のミズナラの森だった。
- ナベクボ峠は左側が植林だった。荷物を置いて、登山道を数分下ると水場に着いた、水を汲んでいると、精悍な青年が登って行った。挨拶すると「百里ヶ岳まで行き、帰りは林道を自転車で下る」との話だった。水を汲んでいる間に更に2人組の男女の登山者が峠へ登って行った。
- 水を汲んで重たくなったザックを背負い、次の三国峠に向かって急登を登っていると、先ほど水場で会った青年が三国峠を往復して下ってきた。「さっきは水を汲んでいたんですね。テント泊で縦走ですか。うらやましいですね。」と言われた。
- 涸れた池の右を巻いて登ると三国峠に着いた。京都市内から来たという仲の良さそうな年配夫婦の登山者が休んでいた。
- 三国峠からは登りで見た涸れた池の反対側を通って稜線を先に進んだ。高島トレイルのテープが無くなり、道が少しわかりにくくなった。この付近はカエデの紅葉がきれいだった。
- 地蔵峠には未舗装の林道が通っていた。右手にはゲートが有った。地蔵峠からの登りは急だった。踏み跡はあまりはっきりしなかった。登り切った後は、稜線を上り下りして進む道になった。黄葉のきれいなブナ、ミズナラに加えて杉が多くなってきた。カベヨシ付近からは杉の巨木が多かった。
- 岩谷峠手前の鞍部にテントを張った。まだ明るかったのでコーヒーを飲んで休んでいると、4時15分頃になって鈴の音が聞こえてきた。小さなザックを背負った引き締まった体格のトレイルランナーの男性だった。お互いに驚いて声を交わすと、桜峠から来たとの話だった。三国岳から下山後は自転車で車を置いた道の駅に戻るとの話だった。色々な楽しみ方があるものだとあきれてしまった。やがて夕暮れになり、テントからは木の間にオレンジ色の満月がきれいに見えた。夜は時々テントに落葉が落ちてカサカサと音を立てた。
- 最終日、朝日を見ながら歩き出した。岩谷峠への下りは倒木が多く少しわかりにくかった。三国岳への登りも杉の木が多かった。
- 三国岳山頂付近はミズナラなどの黄葉がきれいだった。三国岳山頂からは琵琶湖方面の展望が良かった。北側は少し風が有ったので南寄りで休んだ。
- 三国岳からP885まで広い尾根だった。ミズナラの黄葉が多く、杉の木も多かった。高島トレイルのテープは再び増えて道がわかりやすくなった。やがて尾根は狭くなり丹波越に着いた。風は無かった。ミズナラのどんぐりがたくさん落ちていた。
- 丹波越からの下りは谷から尾根の道に変わって行った。途中でマムシが登山道を横切るのを見た。雑木林から杉植林へと変わっていった。
- 桑原橋に到着し、バス停手前のログハウス調の立派なトイレで服を着替えた。予定よりだいぶ早く下山したので、バスが来るまでの2時間近くを秋の日に当たりながらゆっくりと過ごした。