- 徳山港から20分足らずで大津島の馬島(うましま)港に着いた。天気は良かった。少し賑やかだった港も、船が次の港に向けて出港すると時間が止まったかのように静かになった。トイレを借りるため待合室に入ると、次の船まで時間が有るためか、係の女性が畳に座って新聞を読んでいた。待合室から外を見ると太った猫が数匹いた。「栄養状態が良さそうだな」と言うと係の女性が笑っていた。
- 最初は海岸沿いの車道歩きだった。車はほとんど通らなかった。海は穏やかだった。風は無く、岩国の工場の煙突から煙がまっすぐ上に伸びていた。登山口近くになると、これから登る大津山が見えてきた。登山口にはクサギが有り赤い実がきれいだった。
- 舗装された林道は緩い登りだった。車も人もほとんど通らないのか、落ち葉や木の枝が敷き詰められて舗装されていないかのように柔らかだった。地形図に乗っていた山頂に直登する山道は無くなっていた。
- やがて竹林になり朽ちた竹が林道にたくさん倒れていた。くぐったり乗り越えたりしながら縫うように進んだ。進むのに時間がかかった。左カーブで尾根を越えると、やがて竹林は終わり歩きやすくなった。道脇には水仙が少し咲いていた。
- 林道の終点から階段状の山道をわずかに登ると大津山山頂だった。草が生い茂っていた。草むらの中には直径7-8m深さ2mほどの高射砲台跡が有った。付近には座る所も無いので林道まで戻り、竹の倒木に5人一列に腰を下ろして昼食休憩にした。
- 帰りは往路を戻った。出発してすぐの兵舎跡は、半ば草に覆われていた。下りも竹の倒木を縫うようにして歩いた。慣れたせいか思いの外早く登山口に着いた。沖の貨物船を見ながらゆっくりと港へ向った。
- 少し時間が余ったので港から5分ほどの「回天」訓練基地跡を見学した。基地に向うトンネルの中には資料が展示されていた。トンネルを出ると基地跡で、ボランティアガイドに連れられた観光客4人が説明を聞いていた。基地跡から港まで戻る途中には「回天」乗組員の大きな慰霊碑が有った。
- 港にはすでに帰りの船が停まっていた。待合室で係の女性から帰りの切符を購入した。「もう入れますよ」と言われたので早めに船に入り、静かな港を見ながら出航を待った。