- 初日は晴れだった。二軒小屋ロッジから林道を歩き始めた。登山者の足跡が少し残っていた。登山口からは急な斜面をジグザグに登った。足元には木漏れ日が差し、セミがジージー鳴いていた。尾根に出たところで一休みした。
- 岩峰を越え、細かい上り下りを繰り返して進むと、中部電力施設に着いた。暑いので建物の日影で休んだ。休憩後、建物横の急斜面につけられた階段を三基登った。一番下だけ少し揺れが大きかった。
- 道は少し不明瞭になり、テープやマークを見つけながら登った。標高1860m付近は、シラビソの森で、緩い登り坂だった。ルリビタキが鳴いていた。所々に倒れたばかりの木が有った。
- シラビソとダケカンバの森を登り、水場表示を過ぎると徳右衛門岳山頂に着いた。山頂の南5m、東3mの樹林帯の中の平坦地にテントを張った。水場を往復して水を汲んだ。水場への道は少し足場が悪かった。テントのそばにマットを敷いて外で夕食を作って食べた。18時半頃から雷雨になり、雷鳴と稲光がすさまじかった。21時頃にようやく雷は鳴り止んだ。
- 二日目の朝は晴れで少し霧がかかっていた。メボソムシクイやホシガラスが鳴いていた。シラビソの森を歩き始めた。倒木があちこちに有った。途中で雨が降り出してレインウェアを着た。森林限界を出たところで雨がやんだ。消えそうな赤ペンキのマークを探しながら霧の中を登った。蝙蝠岳山頂直下には雷鳥がいた。子供の雷鳥も3羽いた。
- 山頂は霧で展望は無かった。山頂標識の文字は薄くて消えそうになっていた。
- 山頂からの縦走路も霧だった。視界は100mほどだった。ハイマツも濡れていて体が濡れた。靴の中も濡れてしまった。
- 北俣岳付近まで登ると、ようやく日が差し始めた。ウサギギクやミヤマウスユキソウが咲いていた。北俣岳から縦走路合流点まで三点確保の岩場が続いた。
- 縦走路合流点で初めて人に会った。仕事で蛾の調査に来ていると言う4人組だった。一休み後、霧の中を塩見岳に向かった。
- 塩見岳東峰に着いた時は、日が少し差していた。濡れていたフライシートを乾かした。10分もたつと、また曇ってしまった。
- 塩見岳西峰を過ぎると急な岩場の下りになった。三点確保で慎重に下った。天狗岩の下付近は赤いチャートの岩が多かった。天狗岩下部を過ぎると、ようやく安全な道になった。
- 塩見小屋に着いた時、小屋番のO氏に「もう来ないかと思いました」と言われた。台風が近づいているとあって我々以外の塩見小屋の宿泊者は6人だけだった。
- 最終日の朝は快晴だった。小屋から展望を楽しみながら下った。やがて樹林帯に入った。樹林帯の下りで30歳位の女性単独行と、トラバース道になってから45歳位の男性単独行とすれ違った。本谷山では展望が開けた。風が気持ちよかった。三伏山手前で30歳代の女性単独行とすれ違った。結局、三伏峠小屋までで3人とすれ違っただけだった。三伏峠のお花畑では鹿ネットの中にマツムシソウがたくさん咲いていた。
- 三伏峠小屋からは雨になりレインウェアを着た。下りの桟道は滑りやすくて慎重に進んだ。「豊口山間のコル」からの下りではマルバダケブキがたくさん咲いていた。
- 鳥倉登山口のバス停に着いた時は、ずぶ濡れになっていた。三伏峠小屋からの下りでは登山者二人と会っただけだった。バスの乗客は我々だけだった。出発前のバスの車内でレインウェアを着替えた。