- 初日、高速の渋滞に巻き込まれ、歩き出したのは普段なら行動を終える時間を回っていた。車道の横は2mほどの雪の壁だった。壁が切れていた小沢のところからスキーを履いて登り始めた。小沢を標高差40mほど登った地点で左横の小さな台地にテントを張った。暗くなる直前に設営を終了した。
- 二日目、降水確率は20%だった。テントに余分な荷物を置いてスキーを履いて出発した。小沢の谷を少し登った後、尾根に出た。少し急な登りだった。565m地点で日が差してきたのでサングラスを付けたら、しばらくしてまた曇ってきた。
- 757m地点で大井沢の桧原集落方面からの尾根と合流した。風が強くなってきた。標高830m地点への登りは少し急坂が有り苦労した。951mのピークへは幅の広いブナの尾根だった。
- 951mからの登りは急だった。風は少なめだったものの、新雪でスキーが20cmくらい潜り苦労した。1080m地点からはしばらく平坦地が続いた。風が再び強くなった。
- 1180m地点では吹雪になった。石見堂岳が横殴りの雪に霞んで見えた。天気が悪いのでここで引き返すことにした。
- シールを外して滑り始めた。行きのトレースは雪と風でほとんど消えていた。1080mまでは尾根がわかりやすかった。1080m地点で行きの休んだ跡を見つけた。
- 1080mからは尾根がわかりにくいのでコンパスを合わせて下り始めた。コンパスを出しやすいようにウエストベルトのポケットに入れようとして引っかかってうまくいかなかったのでズボンのポケットにしまった。コンパスを何度か出してチェックしながら下ったものの、標高が951mになっても目指す尾根に出なかった。一度登り返し右寄りに下ったがやはり見つけられなかった。やがて視界が開け、かなり左側に目指す951mピークが見えた。やむなく1080m地点まで登り返すことにした。途中でコンパスをチェックしたら角度が45度ずれていた。どうやらウエストベルトのポケットにしまおうとしたときに中央の回転部が回ってしまったようだった。
- 改めて1080m地点から下り始めた。最初の出だしの方角は合っていた事が分かった。しばらく進むと下の方に951mピークが見えた。行きのトレースも所々残っていた。830mの尾根の屈曲点、757mの尾根の分岐と慎重にコンパスで確認しながら下った。665mの尾根の屈曲点で少し早く曲がりすぎて間違った尾根に標高差20mほど下ってしまった。暗くなったので、ここでビバークすることにした。尾根の下にスコップで椅子を作りザックを敷いて腰を下ろし、ツエルトをかぶった。
- 夜間は1時間ごとにチョコレートを食べて過ごした。風はほとんど無かったが、雪は降ったりやんだりした。風が吹くと時々上から雪つぶてが落ちてきた。
- まだ暗い4時40分に準備を始めた。スキーで尾根を横歩きしながら10分ほど登り返し、正しいルートに出た。薄暗い中、コンパスを確認しながら下り始めた。標高565m付近には行きのトレースが残っていた。最後は一つ右手のやや広い谷に下りてしまい、尾根を乗り越えてテントに着いた。テントを回収して狭い谷を滑り降り、車道を少し歩いて車のところに着いた。10cmほどの新雪が積もっていたので車に乗り込むためには車の周囲を除雪しなければならなかった。