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2.特種用途自動車のボディ形状について

このページでは、8ナンバー車として登録される「特種用途自動車」の
ボディ形状について、法律の条文をもとに紹介してみます。

    ●1999-04-28 : 新設、 ●2001-10-25 : デザイン&レイアウト他 変更

■ 特種用途自動車のボディ形状 ■
自動車の用途(法的な区分) については前ページで述べましたが、このページでは特種用途自動車の用途と車体形状について、もっと詳しく述べてみます。車体形状についていろいろと条文を調べてみると、「自動車検査業務等実施要領について(依命通達)」 という条文で触れられていることが分かりました。

これはその名に示される通り、自動車の検査(車検)などについて制定したものです。昭和36年11月25日に初めてその原型が制定・施行されましたが、今日までの改正回数はおびただしく、私(HP管理人)が確認できただけでも60回以上にわたっています。ほぼ毎年、いや、それ以上の頻度で改正されていることになります。

その理由は、この条文が単に車検に関することだけではなく、例えばナンバープレートの字体や大きさ、車検証の記載事項、あるいは車体の傾斜安定角度やタイヤ接地部の荷重といった保安基準など、非常に広範囲にわたる条文であることが考えられます。ではこの 「自動車検査業務等実施要領について(依命通達)」 という条文について、詳しく見てみましょう。特種用途自動車(8ナンバー)に関係のある部分を抜粋します。


『自動車検査業務等実施要領について(依命通達)』

陸運局長殿←自動車局長
自車第880号(昭和36.11.25)→平成7年「自技第102号・自環第116号」

(※この間の改正履歴については、いちばん下の付録にまとめました)

第1章.総則                  (※省略します)
第2章.職権による打刻等         
(※省略します)
第3章.自動車の検査・事務関係     
(※下記参照)
第4章.自動車の検査・技術関係     
(※省略します)
第5章.削除      
 (注:原本に「削除」と記載されている)
第6章.雑則                 
(※省略します)

第3章・自動車の検査(事務関係)
3−1 (省略します)
3−2 (省略します)
3−3 (省略します)
3−4 (省略します)
3−5 (検査証等の記載事項等)
     「3−5−1」〜「3−5−7」   (省略します)
     
「3−5−8」  用途欄は、次によるものとする。
 
       (1)用途欄は、「貨物」、「乗合」、「乗用」、「特種」 又は 「−」(大型特殊自動車
          又は二輪自動車に限る。)のいずれかを記載するものとし、「貸渡」、「幼児
          専用」 又は 「建設機械」については、備考欄に記載するものとする。
       (2)用途の定義は次のとおりである。
         (イ)「貨物」、「乗合」、「乗用」、「特種」
            「自動車の用途等の区分について」(昭和35年9月3日自車第452号)
            による区分による。
          (ロ)「貸渡」
            道路運送法施行規則(昭和26年運輸省令第75号)第52条の規定に
            より許可を受けた自家用自動車をいう。
          (ハ)「幼児専用」
            幼児専用車をいう。
          (ニ)「建設機械」
            建設機械抵当法施行令(昭和29年政令第294号)
            別表に掲げる建設機械に該当する大型自家用車をいう。

(注1)特種用途自動車で2輪又は3輪のものにあっては、
   その旨(例△△二輪、△△三輪)を附記すること。
(注2)特種用途自動車でセミトレーラ、○○フルトレーラ、
ドリー付○○トレーラ)を附記すること。   
 

■ ボディ形状について(私的に)考える ■
上記 第3章5の8項 に示されている通り、法律の条文に定められている特種用途自動車のボディ形状は、平成7年現在で合計85形状にも及ぶことが分かります。前ページで述べたように、自動車の用途が初めて定められた昭和35年当時からみると、実に様々なボディ形式(つまりは用途)が追加されています。

クルマの社会的な役割は、将来にわたって変化していくことが考えられますから、今後もその用途を反映したボディ形状は、少しずつではありますがさらに増加していくと考えられます。 ちなみに、このページで述べている 「ボディ形式」 とは、車検証の「車体の形状欄」 に記載されるものと同一です。したがって、過去には(法的に)存在しなかったボディ形状が、これらの法律の条文の改正に伴って新規に現れる、といったことも起こり得ます。例えば 「事務室車」 という概念は、そのよい例だと言えるでしょう。

さて、それでは次に、これら85形式のボディ形式を便宜上、次のように分類してみたいと思います。「1.名前からある程度のボディ形状が類推できるもの」、「2.名前になじみが無く、ボディ形状が類推できないもの」、「3.過去には存在したが現在はあまり見られなくなったもの」、「4.言葉はわかるが、何じゃこれ? というもの」、の4つです(注:私、KAZの主観が少々入っておりますが、ご了承下さい)。

1.名前からある程度のボディ形状が類推できるもの
医療・介護関係
医療防疫車、患者輸送車、血液輸送車、採血車、消毒車、身体障害者輸送車、腎臓等移植用緊急輸送車、救急車
サービス関係(含む:公共事業)
給水車、消防車、図書館車、郵便車、散水車、塵芥車、清掃車、給油車、タンク車、冷蔵冷凍車、活魚運搬車、保温車、現金輸送車
保守・作業関係(含む:公共事業)
保線作業車、穴堀建柱車、道路作業車、公共応急作業車、空港作業車、アスファルト運搬車、梯子車、ポンプ車、電源車、照明車、架線修理車、高所作業車、放送中継車
建設関係
クレーン車、くい打車、コンクリートミキサー車、クレーン用台車
個人の趣味関係
キャンピング車、ボートトレーラ、キャンピングトレーラ、オートバイトレーラ、スノーモービルトレーラ
必ずお世話になるもの、たいていお世話になるもの
霊柩車、教習車、路上試験車
お世話になりたくない(?)もの
警察車、レッカー車、護送車
 
2.名前になじみが無く、ボディ形状が類推しにくいもの
液化ガス蒸発器車、検察庁車、緊急警備車、電波監視車、ボイラー車、検査測定車、コンプレッサー車、農業作業車、構内作業車、工作車、移動スターティングゲート車、工業作業車、軌道兼用車、ヒータープレーナ
 
3.過去には存在したが、現在はあまり見られなくなったもの
糞尿車
 
4.言葉は分かるが、なじみが無く何じゃこれ? というもの
寝具乾燥車、入浴車、入浴・寝具乾燥車、粉粒体運搬車(トラクタ)、コンクリート作業車、コンベアー車、移動電話車、販売車、写真撮影車、事務室車、理容車、加工車、冷蔵冷凍車(トラクタ)、広報車、放送宣伝車、電気作業車、取材車、消防庁車、粉粒体運搬車、食堂車、ウインチ車
 

・・・すみません、上表による分類は、やっぱり”少々”ではなくて”かなり”私(HP管理人)の主観が入っておりますことを、再度お知らせしておきます。私は実際には見たことはないのですが、「寝具乾燥車」ってあるのですねぇ。「入浴車」も見たことはありませんが、やっぱり介護関係の車両で、寝たきりの老人宅にお風呂の宅配サービスでもするのでしょうか? 電動リフトなんかを備えて・・・。で、それらが合体した?「入浴・寝具乾燥車」 なるものまで存在するのですね。う〜ん、世の中、広いです。

このように、多くの方々にとっては(多分)無味乾燥な法律の条文であっても、自分なりに言葉を拾い読みして、その意味をあれこれと考えていけば、少しずつですが次第に興味がわいてくるというものです。私の書いたこれら一連のページ(拙文)が、読者の皆さんにとって「特種用途自動車(8ナンバー車)」 に対する理解を深めることに、多少なりともお役立ちできれば幸いに思います。
 

■ 付録:検査業務等実施要領の改正履歴 ■

<付録/「自動車検査業務等実施要領について(依命通達)」の改正履歴>

※こんなに(↓)頻繁に改正されているんですね。ちょっとした驚きです。
 
昭和37年 自車第515号 昭和48年 自車第821号 昭和61年 地技第 50号
昭和37年 自車第739号 昭和49年 自車第610号 昭和62年 地技第 14号
昭和37年 自車第897号 昭和50年 自車第 37号 昭和62年 地技第203号
昭和39年 自車第309号
        自管第 45号
昭和50年 自車第746号 昭和62年 地技第314号
昭和39年 自車第380号
        自管第 59号
昭和51年 自車第 49号 昭和63年 地技第 21号
昭和40年 自車第 81号 昭和51年 自車第459号 昭和63年 地技第 57号
昭和40年 自車第554号 昭和52年 自車第102号
        自公第 27号
昭和63年 地技第188号
昭和41年 自車第350号 昭和53年 自車第218号
        自公第 55号
昭和63年 地技第249号
昭和42年 自車第256号 昭和53年 自車第1225号
        自管第 254号
平成元年  地技第 57号
昭和42年 自車第349号
        自管第 52号
昭和54年 自車第243号 平成元年  地技第137号
昭和42年 自車第684号 昭和54年 自車第716号
        自安第 81号
平成2年  地技第 15号
昭和43年 自車第324号
        自管第 44号
昭和55年 自管第 15号
        自安第 27号
平成3年  地技第 50号
昭和44年 自車第 99号 昭和56年 自車第930号 平成3年  地技第160号
昭和44年 自車第1451号
        自管第 509号
昭和57年 自車第373号
        自公第155号
平成4年  自技第 85号
昭和45年 自車第166号
        自管第 23号
昭和58年 自安第 99号 平成5年  自技第142号
       自管第287号
昭和45年 自車第375号
        自整第 86号
昭和58年 自車第186号 平成5年  自技第164号
昭和45年 自車第763号 昭和58年 自車第895号
        自安第117号
        自公第377号
平成6年  自技第 39号
昭和45年 自車第1145号 昭和60年 地技第396号 平成6年  自技第141号
昭和46年 自車第148号 昭和60年 地技第398号 平成7年  自技第 11号
昭和46年 自車第780号
        自管第185号
昭和60年 地技第434号 平成7年  自技第 62号
昭和47年 自車第360号
        自管第 81号
昭和60年 地技第 433号
        地審第1161号
平成7年  自技第102号
       自環第116号

(中段上に続く→↑)

(右段上に続く→↑)

 
     

さて、次のページは 「メーカー別 8ナンバー登録台数」です。年度ごとに登録台数の推移が分かりますので、こちらも、ぜひご覧下さい。
 

 
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