玉石混合!?美味しく飲むためのTIPS集
日頃ワインを飲んでいてちょっと気がついたことなどを自分なりにまとめてみました。上級者の方はすでにご存知のことばかりかと思いますが、少しでも初心者や一般の方の参考になれば幸いです。このコーナーを作った当初に比べると、私自身のワイン観もだいぶ変わってきたところがあるので、今回大幅に内容を書き変えました。

◆買ってきてすぐ飲まない
ワインをショップから持ち帰ってすぐ飲むのはあまりお奨めしません。年代の古いものはもちろんですが、新しいビンテージでも、買って持ち帰る間に振動を受けて、ワインの中身が「暴れた」状態になってしまうからです。せめて1週間くらい、出来れば一ヶ月は家で静かに寝かせておくとかなり違います。実際、私も買った直後と一ヶ月以上経ってから飲んでみてその違いに愕然としたことが何度となくあります。ワインの個体差という可能性も否定はできませんが、あまりに何度も同じ経験をしているので、やっぱり買ってから少し休ませるというのは大きな要素なんだ思います。

古酒であればなおさらです。 状態がデリケートになっている上に澱が舞ってしまうからです。ワイン会などで古酒を持ちこむ場合は、お店に御願いして、なるだけ事前に持ちこんでおくことをお勧めします。

外国に行ったときにワインを買いこんで来る人も多いと思いでしょう。値段が安かったり、状態もよかったり、国内では見かけないビンテージを入手できたりと、現地で買うメリットは多いですね。せっかく良い条件で買ってくるのですから、帰国してすぐに開けるなんてもったいないことはやめましょう。
どのくらい休ませればいいのかに定説はありませんが、 人によっては運搬した日数×週分休ませるのがよいという人もいます。あちらの酒屋で買って、それを飛行機で持ちかえり、家路につくとなると、3〜4日ぐらいは動かしていることになりますから、そうすると4週間
ぐらい?(古酒であればさらに長期間)なんとなく皮膚感覚的に納得できる数字ですね。
◆ワインの運搬
夏場など外の気温が高いときにワインを運搬するのはできるだけ避けたいですね。輸入業者やオークションハウスなどでも良識のあるところは夏場にはワインの仕入れや輸送を行わないそうです。
ただ、そうはいっても、夏場に友人宅に呼ばれてワインを持参するとか、夏場のセール(これが結構安くなってたりする)で購入するときなど、やむをえず、炎天下でワインを運ばざるをえないときもあります。ほんとはクーラーバッグなどを持参するのがよいのでしょうけど、さすがにそこまではできない場合が多いでしょう。私は そういう時には右図のようなワイン用のキャリングバッグで運んでいます。材質は柔らかく断熱性のある分厚いもので、中には保冷用のパックとそれをいれるポケットがついており、上の部分はマジックテープで密閉できる構造になっています。夏場にはこれに保冷パックをいくつか入れて運搬します。まあ、それでもやっぱり夏場にワインを持ち歩くのは控えるにこしたことはありませんが。
なお、この手のバッグはワインを衝撃から守る役割も果たすので、海外旅行時やワイン会の時などにも活躍します。 常備しておくと結構役立つのでオススメです。
◆クール便について
夏場にワインを購入する場合は自分で運ばずにクール便で発送する方も多いでしょう。実際私もネットのショップなどで購入するときはクール便で送ってもらってます。ただし、クール便には二つの問題があります。ひとつはクール便の温度はワインには低すぎることです。(クロネコ○マトで 3度前後とか)熱にさらされた場合ほど顕著ではありませんが、低温でもワインは劣化するといわれるので、本当はあんまり好ましいものではないのです。もうひとつの問題は温度変化です。クール便で配送されたワインが、家に着く間に急激な温度変化に見まわれるのは避けられません。 実際に高熱にさらされるのは、冷蔵車から玄関口までの数分であっても温度 変化が急激なので、ワインが「噴く」可能性は小さくないです。 ブルゴーニュの生産者などでは、瓶の口ギリギリまで液体が入っている ものも多いのでなおさらです。
対策としては、着後すぐに箱を開けずに室温にゆっくりなじませる、部屋の温度を低めにしておく。開けたらすぐセラーに保存する、といったところでしょう。
また、経験的にクール便で配送されたワインについては、状態が落ち着くまである程度の期間休ませたほうがよいようです。
◆劣化したワインの見分け方<その1>

…なんてことが完璧にわかれば、私も苦労はしないのですが、いくつかポイントはあります。
1.ラベルの汚れをチェック。
ラベルにワインのこぼれたあとがある場合、輸送中に熱のためワインが吹き出た可能性があります。
2.キャップの盛り上がり具合をチェック。
同様にワインのコルクが不自然なくらいもりあがっているものは、多くの場合、熱のためにワインの中身が膨張してコルクが押し上げられたものです。また中にはキャップシールの先端がふくれてブヨブヨになっているようなボトルもありますが、これも同様の原因と思われます。
3.キャップシールを回してみる。
キャップシールが回らないボトルは、熱でワインが吹き出て、それが乾いてボトルとキャップシールがくっついてしまっている可能性があります。(すべてがそうとは限りませんが。)

特に、3番目の項目については、意外に知られていないようなので、チェックしてみることをお奨めします。

◆劣化したワインの見分け方<その2>
買ってきてすぐに飲むようなワインについては、あんまり神経質になるのもどうかと思いますが、たとえば5年10年と長年にわたって保存熟成させるようなワインの場合は、状態に細心の注意を払ったほうがよいでしょう。というのも、若い時期に熱を浴びたワインはまっとうに熟成せず、 マディラ化する場合が多いらしいからです。古いボルドーなどで、醤油を煮詰めたような香りのものがよくありますよね。あれです。ワインも子供も、幼年期をどう過ごすかが重要なんですね。ただ、あの香りが好きだという御仁もいるようなので(笑)すべてを一元的に論ずるのも気が引けますけど。
参考までに、 熱を浴びたワインの特徴を挙げておきます。

◆若いワインなのに、やたらと熟成香(ジビエや革など)が目立つ。
◆口にふくんだ時の「触感」が、ひんやりとしていない。(温度ではなく感覚的なものです。)
◆果実味がフラットで、口の中で広がらない。
◆後味にかけて、イガイガしたような感触があったり、苦味が強めに感じられたりする。
◆抜栓後の劣化ペースが速い。
→こういうワインは、手元に渡るまでのどこかで熱を浴びた可能性が大ですが、残念ながらこの程度ではクレームの対象にはならないと思うので、対策としては、状態にひと一倍気を配っているショップで購入するとか、輸入業者をチェックすることをおすすめします。輸入業者については、「インターナショナル・ワイン・セレクション」に興味深い記事(業者の格付け)が載っています。
◆ワイン会考。

ワイン会に参加するのは楽しいものです。私も結構ワイン会に顔を出すほうですが、中には月に10回近くも行っている方もいらっしゃいます。

ワイン会のメリットはなんといっても、日ごろ飲むことのできない高価なワインやレアなワインを飲むことができること、一度にいろいろな種類を飲むことができること、それに同好の方々と知り合いになったり、情報交換ができることなどだと思います。時には本来の趣旨を外れてただの飲み会になったり合コンになったりすることもありますが、まあそれも一興でしょう。

ワイン会は同好の志やサークルなどによるものと、レストランなどが主催するものがあります。同好の志によるものはワインを持ち寄るスタイルのものと、幹事の人が1手に引き受けるもの、ある方が自慢ののコレクションを放出するもの、などさまざまです。
知り合いがいなくても、ワイン関係のHPや掲示板などに顔を出していれば、参加の機会は得られます。えっ?掲示板はどこも常連ばかりで初めての人間は発言しにくいって?まあ確かにそういう部分はありますが、私の知る限り、見知らぬ人に対して排他的なところはそんなにないと思いますよ。

ワインレストラン主催のものですと、私自身最近あまり行ってないのですが、かっては「小田島」「ドミナス」などのワイン会によく出かけまていました。他にも「タストヴァン」や「Vin Sur Vin」」などでも定期的に行われています。ワインレストランやワインバーと名のつくところではなにかしらやっているようなので、よく行く店や近所の店に問い合わせてみるとよいでしょう。

ただ、ワイン会もよいことずくめではありません。

というのも、ひとつは、ある銘柄を数人、多いときには10人以上で分けるので、どうしても一人あたりの飲む量が限られること。時の経過とともに刻々と表情を変えるワインと向き合うことこそワインの醍醐味だと考える人にとっては、物足りない面もありましょう。

もうひとつは酒量が多くなりがちなこと。
例えば、持ち寄りのワイン会においては、ひとり一本持参するのが常ですが、二本持参してくれる人がいたり、差し入れがあったりして、たいてい酒量はひとりあたり一本以上になります。
これは、せいぜいふだんボトル半分、がんばってもボトル一本が限界の私にはツライ点です。せっかく良いワインたちが集まっても、後半になると、酔っ払ってよく覚えてなかったりするので。

さらには、良いワインばかり集まると、メリハリがなくなって、一本あたりの感動が乏しくなるような気がします。 すごいワインたちが集う会に参加するといつも、「ああ、これを今日一日でなくて、何度かに分けて飲めればなあ‥」なんて思ったりしてます。

あとは、めったにないことですが、著しく非常識な輩や酒癖の悪い輩がいたりすると、それだけで楽しい会がぶちこわしになることがないでもありません。

まあ、そうは言いつつも、ワイン会にはそれを補ってあまりあるメリットを感じるので、私は参加しつづけているわけですけどね‥。

ちなみに私にとってのベストなのは、4人〜6人ぐらいの、気のおけない仲間内で、おいしい料理を食べながら、集まった人数をちょっと欠けるぐらいの控えめな本数を開けるような会です。

◆有料試飲のススメ

「Ch.ラトゥール」や「Ch.ペトリュス」、「DRC」なんて名前だけはよく聞くんだけど、値段を見ると、ウン万円。こんなワインはきっと一生のうちに何度飲む機会があるだろうかなんて最初は思ってましたが、ちょっとアンテナを張っておくと意外に飲む機会はあるもんです。

上の項に書いたように、ワイン会に参加するのもひとつの方法ですが、他に、ワインショップの有料試飲に出かけてみるのもよいと思います。
試飲といっても、よくデパートの売り場でやっているような、プラスチックの小さなコップに注いで立ち飲みするようなものではありません。
いろいろなショップで、定期的に、またはセール時に、グラス1杯いくらというような感じで有料試飲をやっています。銘柄によっては、(ボトル一本10万以上の銘柄など)一杯5000円なんてときもありますが、これを高いと思うか安いと思うかは、人それぞれでしょう。


私が利用するのは以下のようなものです。
■東急渋谷本店のワイン売り場
毎週末に奥のカウンターでやっています。値段はやや高めですが、座って飲めるし、グラスはロブマイヤー社製の一脚一万円もするものを使っています。最近はチーズも頼めるようになりましたので、居心地はよいです。
■やまや
セールの時に各店舗でやっていましたが、最近はめっきり頻度が減りました。かってはテーマ別、例えば、「ラトゥールの垂直試飲」とか「82年のボルドー」とかいった感じで、驚くほど安い価格で銘醸ワインを試飲できたんですが。ただ、ここの試飲は「立ち飲み」で、しかもグラスもあまりほめられたグラスでないということが問題ですね。
■エノテカ
なんといっても著名銘柄の垂直試飲会や企画ものの試飲会などが要チェックです。 昨年も「Ch.マルゴー」「Ch.ラフィットロトシルト」などの垂直試飲会が行われました。そのほかにも、広尾店独自で行う試飲会もあります。また、広尾店ではふだんの週末も店の奥のテイスティング用のスペースで毎週末試飲ができます。
有楽町西武店には店内にちょっとしたカウンターバースペースがあって、何種類かを飲むことができます。グラスもよいグラスですし、つまみも頼めるのでかなり条件は良いのですが、肝心のワインがあまり面白味のないものであることが多いのが難点。銀座店やその他の店舗でも、不定期に銘醸ワインの試飲をやっていますが、多くの場合、テイスティンググラスで売り場で立ち飲みという過酷な環境を覚悟しなければなりません。
■信濃屋代田店
毎週末にそれなりの銘醸ワインの試飲ができますが、ここは交通が不便なため、ほとんどの人はクルマで来ているので、試飲コーナーはあまり人気がないようです。
そのせいか、午後に行っても、その時に初めて抜栓するということが多いです。また、それとは別に月に一回、ミニ試飲会を開催していて、こちらは着席でパンチーズも出るのでオススメです。
<補足>
2006年現在
・ 信濃屋代田店は優良試飲をやめてしまいました。
・エノテカの有楽町西武店は閉店になりました