イギリス発世界最大のムービングイメージ・フェスティバルであるonedotzero(ワンドットゼロ)2002札幌が開催。9月20日から22日までの3日間、アーバンホール(札幌市中央区南3西4、札幌アーバンビル7階)で100以上の先駆的な作品を上映した。
札幌会場だけのプログラム「l.a. stories」では、スパイク・ジョーンズの「what's up fatlip?」(31分)がインチキドキュメンタリーとして楽しめる。ハワード・シェールの「lighten up the load」(11分)は、盗みの連鎖をユーモラスに描いて最後に笑わせてくれる。リチャード・キャロル ドミニク・ブリッジズ/feltの「underdog」(20分)は、かなり手の混んだ真面目なドキュメンタリーだった。
実験的映像を集めた「wow + flutter」は、その作品数の多さに驚く。ただ、その表現の多様性、様々なジャンルからのアプローチ、混成にも感嘆させられる。作品としての出来、不出来よりも、そのアイデアとテクニックを堪能した。無機質な生活を描いたjake knightの「salaryman」は、ドラマとしてまとまっていた。honey brothersの「 to love to hate」は、ハエの悪い習性についてのグラフィックな表現が印象的。
21日は「wavelength_nippon」から。日本の新しいミュージックプロモーションビデオを紹介している。Gooddy、武藤眞志、岡田昌登、竹内スグル、伊藤佳司、井上卓、竹内鉄郎、朝比奈学、田中秀幸、内野政明、小島淳二、竹内鉄郎、生西康典&掛川康典、宇川直宏、中村剛といった名前が並ぶ。多彩なスタイルを楽しむことができる。中でも武藤眞志の「Andante」(矢井田瞳)に引き付けられた。
世界初公開の予定だったイギリスのクリエイティブシーンにスポットをあてたドキュメンタリー「departures_uk」は、残念ながら完成が間に合わず、予告編だけの公開。ただ、アンディ・マーティン(Andy Martin)、ラン・レイク(Run Wrake)から、直接話しを聞くことができて、満足。アンドリュー・トーマスの質問も的を射ていた。
「radiohead in motion」は、レディオヘッドのさまざまな年代のミュージックビデオを集めたプログラム。ファンにはたまらない企画だ。ここでも、シャイノーラが活躍している。ジョニー・ハードスタッフ(johnny hardstaff)の「push, pulk / like spinning plates / radiohead」は、硬質な映像で哲学的なテーマを生々しく見せる。
最終日の22日。「onedottv_global」は、イギリス・チャンネル4で放映されたワンドットゼロ(シェーン・ウォルターとマット・ハンソン)制作のTVシリーズ。フランス・パリの「le cabinet」は、あらゆるメディアを駆使する柔軟なセンスで、映像をつくっている。サンフランシスコの「syd garon+eric henry(シド・ガロとエリック・ヘンリー)」は、ブッ飛んでるアニメーションを製作。宇宙歯医者という秀抜な「Wave twisters」は、濃厚なアイデアが満載だった。
プレゼンテーション「the picture sounds good」は、監督たちがミュージックビデオの制作過程を話し、ライブイベントやクラブパフォーマンスの体験を語った。音楽を売るための手段だったミュージックビデオが見直されている現状を紹介し、今後音楽と一体の作品として認知される可能性とDVDの役割などが明らかにされた。そして、日本における「カラオケ」映像が、登竜門になるかもしれないという面白い話しも聞けた。
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