一強百弱の時代に [2001.05.12]


最近、街を歩いているとなじみのお店が潰れてしまっていたり、オフィスビルの窓に貼られた「貸事務所あり」という看板があちこちに増えていることが気になります。

長引く不況、デフレで、体力のないお店や中小企業の息が続かなかったのだなと悲しく思います。地方都市の商店街の多くは、郊外の大型安売り店に圧され、歯が抜けた櫛のようにシャッターを閉めたままのお店も増えているのだとか。
土地の上に建つお店やオフィスビルの借り手が減れば、やがて地域の不活性によって土地をはじめとする不動産そのものの価値が下がり、その結果、銀行は不良債権が増え、大企業は資産が目減りする。銀行の貸し渋りによって新しい起業や投資は難しくなり、大起業の設備投資は先延ばしになる。それに連動して株価も下がる。
人間の体にたとえれば、銀行が心臓、多くの下請けを発注する大企業は動脈だと思います。そして、株価は体温。
銀行、大企業が弱れば、身体全体の血流が滞り、毛細血管である中小企業にはすぐ血流が流れなくなってしまう。身体の体温が次第に下がり、抵抗力が弱まる。

いま、日本経済そのものの抵抗力が落ちて衰弱していっていることが強く懸念されます。たとえば、緊急輸入制限をしないといけないほど、特定の業界そのものが弱っている・・・。血流が流れなくなって、壊死がはじまっているということです。

身体の弱いところから、資本や競争力のない中小企業から倒れていっています。そう、弱いものから。中小企業はもう限界という声があちこちから聞こえてきます。

政府においては、マクロな視点から構造的な改革を進めていっていただきたいと切望しています。なにしろ、政府は脳なんですから。時間はありません。超高齢化社会が進み、日本が経済面でも高齢化社会に突入しているのですから。身体そのものの活動力、抵抗力が徐々に、しかし確実に落ちてきているのです。

特に、一強百弱と呼ばれる現象を民主的な企業間競争の結果として容認するではなく、先細りデフレスパイラルの深刻な症状として捉え、対策を打つべきです。単に物の価格が下がるというという話ではなく、過当競争によって立ち行かなくなる企業の倒産による失業率の増加を最大限に考慮すべきです。失業率の増加が国民を不安に追い込み、失業を恐れたお金が貯蓄に回されて株価が冷え込んでいるのです。国際的な経済大国の地歩を失いつつあるということも忘れるべきではありません。いまや、日本が国際経済の足を引っ張っているのです。

さて、私の思うところ、デフレの対策としてITが切り札になると思います。
ぜひ、政策としてプロパテント(特許拡大)政策を進めてほしい。これからは、全面的な情報化時代です。

一強百弱の一強にあたる企業は、資本力でもって、市場を牛耳ることができます。大量生産でコストを安くというのがその戦略です。莫大な資本投資で大量生産を可能にし、コストをぎりぎりまで削り、1円でも安いものを市場に出してくる。さらに、大手はオンリー1を目指し、大手同士で合併、併合、吸収を繰り返し、さらに市場を席巻しようとする。

これに対し、百弱にあたる企業は、資本力のなさから価格面で対抗できるものではありません。原価低減で自らの体力を使い果たしやがて倒れていきます。中小企業にはアイデアとユニークさを武器にするしかないのです。いまは幸いITという1000年に1度の巨大な波が訪れています。このすべてを巻き込む激流の中で、ビジネスモデル特許を広く認めていくことがITを活性化させる本流を形づくることとなり、デフレの渦を流しさることができるのではないかと思っています。

体力がなくなったときには、知恵が必要です。そして夢が必要です。
人々の心に巣くう先行きの不安と疑いがデフレスパイラルをまわし続けているのです。

プロパテント政策は、いまの力づくで暴力的な経済を転換させる流れとなり、経済を健全に活性化していく潮流となることでしょう。アイデア次第で新しい競争分野が次々に生まれる特別な時代です。アイデアを特許で守ることができれば、起業家が増え、雇用も生まれ、中小企業も安定した経営を確保できるでしょう。
日本人の持つ細やかな工夫する知恵を活かしていくことで、ボロボロとなった日本経済を再生するきっかけとし、やがては国際的な競争力を取り戻すことができるのではないかと思っています。


[補足]
堅い話を書いてしまったので、おまけ。

郵政事業の公社化や民営化という話を聞き、ぜひ、やってほしいこと。
それは、キャラクター切手の発売。例えば、ポケモン全キャラクター切手なんか売り出したら史上空前の売上を記録すると思うな。全世界の子供たちが欲しがるよ〜。ガンダム全シリーズなんてのもいいぞ。 現在でも20世紀記念切手の中で、ガンダムキャラクターの切手とか、手塚治虫キャラクターの切手とか既に売り出されていますから、あながち荒唐無稽でもないでしょう。 キャラクター戦略で若年層をターゲットにすることで、電子メール文化に圧された手紙文化そのものの復活を目指してほしいな。
いや、まじめな話、債権を発行するより、魅力ある切手をつくり出して国民に買ってもらうことこそ、あるべき方策でしょう。

[補足の補足]
アメリカで初めてスヌーピーの切手が公式に発売されたそうです。先日、日経新聞に載っていました。




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