ミニエッセイ [生命と進化]

Written by 中原 憬
All Rights Reserved. Copyright(C) 2000, 2011, Kei Nakahara


生命と進化に関するとりとめのない日々の短い雑感です。

2011.09.04 更新


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このページに迷い込んだら、これだけは読んでみてね!という自薦ベスト3のミニエッセイに飛びます。
ベスト1:「No.10 「痛み」と知性、自己と世界」
ベスト2:「No.2 牙を隠す行為−−−好意のサイン」
ベスト3:「No.30 不安とは」

No.63 眠い

日頃の睡眠不足で眠い。
しかし、あらためて考えると「眠い」という感覚は不思議だ。

だって、「眠い」を「眠っている状態になりたい」に単純に置き換えるのなら、
「眠っている状態」を人は知らないだろう、と思うからだ。

「眠り」のことを伝えるのなら簡単だ。
意識がなくなり、感覚がゼロになる、あるいは五感と意識まで含めて偽となる。
それはブラックアウト、あるいは暴走といえばよい。
この際、夢を見ることは「眠い」とは関係ないので、別にしておく。
すなわち、「眠り」とはブラックアウト、「短い死」だ。

で、「眠い」ってなんだろう。「短い死」に陥りたいということか?
ゼロ状態を体験したことがない(ことはないけど、記憶がない)のに
そうなりたいのは不可解。

そうか、死んだことがない人が「死にたい」というのが、本当は死にたい
わけではなく「もう生きていたくない」ということと同じ理屈か。

「眠い」は、「眠っている状態になりたい」ではなく、「もう活動できない」、
「もう活動したくない」ということだ。

身体の各所からの活動停止要求アラートが、「眠い」という感覚の正体だ。
電池の残量不足サインと同じですね。

・・・さて、結論が出たから寝よ。 (o_0_)o))



No.62 スイカの不思議

スイカを食べていて思った。
なんで、スイカはまん中が甘いんだろう?

スイカを切り分けると、通常、中心部からかぶりつくことになる。
ありがたいことに、ここは種もないし、いちばん甘い。
(正確には、ちょっと食べ進んだところがいちばん甘いらしい)
食べ進むにつれ、皮に近くなるほど甘さがなくなっていく。

中心が甘いくだものは、スイカ以外に思いつかない。

リンゴや梨や柿は下の方が甘い。これは食べていればわかりますよね。
パイナップルやいちごも下の方が甘いとのこと。
ぶどうは、経験的にいえば、下の房ほど甘い。でも実際は上の方が甘いはずで、
葉っぱに隠れて光合成が不足すると、そうならないことがあるためとのこと。
メロンは、種の周りがいちばんかと思ったけど、下の方が甘いとのこと。

スイカが不思議なのは、何の理由もないところが甘い点。

甘くなる理由として、ヘタの近くが甘いというは理解できる。
ヘタから水分やら糖分やら運ばれてくるだろうから。
逆に、ヘタからいちばん遠いところが甘いというのも理解できる。
ヘタの近くは常に水分が運ばれてきて糖分が熟成しにくいだろうから。
また、日光が当たる部分が甘いというのも理解できる。
さらに、種に栄養を与えるため、種の周りが甘いというのも理解できる。

スイカは、ヘタに近いところでもなく、遠いところでもなく、
日光が当たるところでもなく、種の周りでもなく、
まん中が甘いのが不思議なのである。

それにしても、スイカって不思議な果物ですよね。
でか過ぎるし、重すぎる。水分があり過ぎ。
ビジュアルもおかしい。
緑と赤の補色の組み合わせなんて、最悪のセンス。
しかも外側は、緑に濃緑のしましま、内側は、赤に黒のつぶつぶ。
これ以上どぎつい配色の果物は考えられない。

なぜ、濃緑のラインが入るんだろう。
純粋な模様入りの果物なんてほかにあっただろうか?


[補足]
学問上は、スイカは果物ではなく、野菜だそうです。ウリ科。



No.61 頭髪の役割

暑い。少し外を歩くだけで汗だくになってしまう。
クーラーの効いた建物に入ると、汗で濡れた場所が気になるが、
意外と汗をかいているのは頭のてっぺんである。

頭髪というのは、太陽光が直接頭部に当たらないように物理的に防御する
役割を持つと共に、髪の毛の広い表面積を利用して汗を蒸発させ、
気化熱を得るための放熱板の役割を果たしているのではないだろうか。

頭部は脳を守っている重要な部位である。しかし、頭部は垂直方向から
太陽光が最も当たる場所でもあるし、構造上、頭蓋骨でくるまれていて
放熱性が悪いから、強い冷却システムが必要だったのではないだろうか。

お風呂上りにドライヤーをかけないで寝て、
風邪をひいたという話はよく聞きますよね。



No.60 眉毛の役割

暑い。少し外にいるだけで日に焼けてしまう。

鼻の筋と頬骨のあたりが赤くなってしまう。
顔の中で出っ張っているところが日焼けしている。

もし、眉毛がなかったら、眉毛の位置もかなり赤くなっていることだろう。
眉毛は、汗などが目に入らないように物理的に目を防御する役割を
持つと共に、日焼け防止のためにあると思う。

ところで、顔の中でTゾーンに皮脂が多く出るといわれているが、
これも日に焼けやすい場所を保護するために出るのだろう。
特に、鼻筋はこれで守られていますよね。
(南洋系の人たちより、北欧系の人たちの毛穴がブツブツしていない
のは皮脂腺が毛穴を広げないせいでしょうね)。



No.59 しゃっくりの原因

あるサイトに、しゃっくりの起きる理由が書いてあった。

母親の胎内にいるときに、羊水の中にあるごみを
鼻やのどから除去するためにしゃっくりをするのだという。
横隔膜の痙攣によって、ごみを吸い込み、
同時にごみが肺に行かないように声帯が閉じる。
この一連の反射運動が、しゃっくりなのだそうだ。
「ヒック」という音は、声帯が閉じるときのものだそうだ。
なるほど。

思うに、母親の胎内にいるときに、子宮内の少量の出血などで
羊水の濃度に変化があったときにも、しゃっくりで羊水を
攪拌して濃度を均一にしているんじゃないかな。

なぜそう思うかというと、一般に知られているしゃっくりを
止める方法は、水を飲むということだし、逆に、
塩辛いものを飲食したときにもしゃっくりが出るから。
(私の場合、ざるそばを食べているときにしゃっくりの発生率が高い)

生まれたあとに、クシャミやせきで気管のゴミを排除するように、
生まれる前は、しゃっくりをして気管のゴミを排除したり、
羊水の中のナトリウムバランスに異常があったときに
横隔膜の痙攣で攪拌するということなのでしょうね。



No.58 体をめぐる口にしたもの その1

ちょっと下品な話ですが
トイレで小用を足しているときに、こう思うことがあります。

あれ、今日コーヒーを飲んだかな?
…………………………………ああ。飲んだ。 (*゜▽゜)*

鼻が利くのです。

ろ過された血液である尿が香るということは、
私のすべての細胞にコーヒーの香り分子が
行き渡っているということなのでしょうね。

口に入れたものが体に吸収され、血液の成分として
全身を巡っているのだなと実感します。



No.57 体をめぐる口にしたもの その2

下品ついでに、もうひとつ鼻が利くとわかること。

TV番組で、便秘をしている人の口臭には便臭がする、と
いう内容のものがありました。

あれは本当ですよ。

下が詰まっているので、上まで臭いがあがってくるという
単純な話だけではなく、おそらく腸から吸収された
悪臭成分(アンモニア、スカトール、硫化水素など)が
血液中に混じるからだと思います。



No.56 嗅覚と味覚

鼻が利く人は、高い確率で味覚が鋭い人だと思います。
経験的に味にうるさい人が多い気がします。

そもそも、舌による認識はかなり感度の低いものらしいです。
鼻をつまんで飲み物を飲むと、何を飲んだかわからなくなるという話はよく聞きます。
(・・・やってみると、耳がうっとなりますね ) (-o-〃)ゞ

味覚には、嗅覚が大いにかかわっているということですから、
鼻が利く人は、味覚も鋭いということは理論上もあり得ることでしょう。

なお、近年の味覚センサーの技術向上は著しく、九州大学で開発された
味覚センサーの感度は人間の舌の10倍に相当するのだそうです。

鼻腔内の嗅細胞を人工的に再現し、香りを電気信号に置き換える
「嗅覚センサー」も完成に近づいているとのこと、興味深いですね。



No.55 毛生え薬

眉毛に1本だけ、長い毛が生えているので抜く。

眉毛に限らず、どこの毛でも1本だけ長いものが
生えていることがたまにありますよね?

この毛がなぜこんなに伸びるのか解明できたら、
全世界的なセールス(男性限定)を
記録する薬ができるんじゃないかな?

研究用に1本1000円ぐらいで買い取る製薬会社が現れたりして。



No.54 老化と猫背

年寄りと一緒に暮らしていて、かなり気を使うことは
転倒しないようにすることである。

年寄りの転倒は、本当に怖い。頭を打つこともあるし、
足や腰の骨を折って寝たきりになってしまうこともある。

ある日、背の高いご老人を街中で見かけた。
ああ、この方のご家族はさぞ心配だろうと思った。

背が高いと、重心が高くて転びやすい。
転んだときに、加速度が付いて頭を強く打ちやすい。

年を取ると猫背になって背が低くなるのは、
自然の摂理かも知れないと思った。

丸まっている形態は、最も怪我をしにくい。



No.53 食事と体温の上昇

冬にラーメンを食べていて思ったこと。

お風呂に入ったときの水位の上昇分の体積を見ればわかるが、
人体の体積は、およそみかん箱1.5箱ぐらいだろう。

そのサイズの箱の中にラーメンを丼ごと入れてみると想像する。
大きな熱量のある塊が結構な割合を占めることになる。

なるほど、これは体が温まるなと納得する。
そりゃー、鼻水も出ますね。( ̄ii ̄)



No.52 ナトリウムバランス その1

中華料理屋で気づいたことだけど、
中華丼をゆっくり食べていると、器の底に残ったご飯が
だんだん水っぽくなって、べにょべにょになる。

この現象が牛丼では起こらないことから類推すると
大量に水分を含む白菜の水分が浸透圧で出てきてしまうからだと思う。
キュウリを塩もみにすると水分が出てくるのと同じ原理ですね。

細胞内の塩分濃度よりも、濃い塩分に細胞をさらすと、
水分が外に移動してしまうということ。

この現象は、ナメクジに塩を掛けて退治するというやり方で
有名ですね。ナメクジは体内の水分の構成比率が高いので、
塩を掛けられると、体内の水分が奪われて縮んでしまう。

ちなみに、エステの塩もみマッサージで顔やウエストが引き締まるのも
同じ原理らしい(細胞の水分を一時的に奪われている)。

でも、すぐに戻ると思うぞ。
(老廃物は出るだろうけどね)

注※ 箸やスプーンに付いた唾液中のアミラーゼが片栗粉の
とろみをなくしてしまうという現象もあるのだそうです。
(教えてくれてありがとー)



No.51 ナトリウムバランス その2

お風呂に長時間はいると、指先とかがふやけて
しわしわになりますよね。
あれは、逆に、塩分濃度が薄い方(お風呂)から、
塩分濃度が濃い方(指先)にお湯が浸透してくるからだろう。

検索して調べてみると、長風呂で指先がしわしわになるのは、
浸透圧のせいだという人と、単に角質がふやけているだけという
意見に分かれていますね。

調べてみると、温泉の中には「等張性」と呼ばれる泉質があり、
人体の浸透圧と同じ浸透圧をお湯が持っている
(かなり塩っぱいらしい)ところがあるとのこと。
この温泉では、長風呂しても指がしわしわにならないのだそうです。

さらに調べてみると、塩分濃度が通常の海水より10倍ほど濃い
死海に長時間入ると、脱水状態になり危険なのだという。

指先がしわしわになるのは、ふやけているだけではなく、
やはり、浸透圧のせいですね。



No.50 ナトリウムバランス その3

人体は一定のナトリウムバランスを保つ必要がある。
塩分が多すぎても、少なすぎても、健康を保てない。

私の理解した範囲で説明すると(正確さは保証しません)

塩分を摂りすぎると、血液が濃くなって細胞内から血液に
水分が浸み出て、血液の総量が増えて、高血圧になる。
(血液側に流れ込んだ状態)

水分を摂りすぎると、血液が薄まって細胞外から細胞内に
水分が入り込み、細胞が膨張し、低ナトリウム血症を起こす。
(細胞側に流れ込んだ状態)

塩分の濃い側に、水分が流れ込んでしまうということですね。

水分が血液側に流れ込むと、
血液が増えて、体がパンパンになって、血管や心臓に負担を招く。
高血圧、心臓病、脳溢血・・・。

水分が細胞側に流れ込むと、
細胞内の水分が増えて、細胞がパンパンになって、各細胞の破綻を招く。
むくみ(浮腫)、疲労感、頭痛、悪心、痙攣、昏睡・・。

文字通り、バランスの問題ですね。



No.49 ナトリウムバランス その4

そもそも、人間は塩っぱい塊なので、体内に採り入れるものは
塩っぱくないといけない。

さもないと、薄くなってしまう。

一定の塩分濃度があるものをおいしいと感じるようにできている。


ただのお湯でも、動物や魚の肉の香りをつけて、塩を加減すれば、
それでおいしいということになる。

料理の基本は、塩梅(あんばい)という言葉が端的に示すように、
塩加減である。

人体のナトリウムバランスが崩れる要因の一つは、飲食物である。
舌の味覚というセンサーが塩分濃度の見張りをしている。



No.48 味覚

食品に毒がある場合に、吐き出せるように苦味を感知できる。
食品が腐敗している場合に、吐き出せるように酸味を感知できる。
食品に刺激物が含まれる場合に、吐き出せるように辛味を感知できる。

食品に高カロリーである糖分が含まれていることを感知できるように、
甘味を感知できる。

そして、
食品に適度な塩分が含まれていることを感知できるように、
塩味が感知できる。



No.47 果物と浸透圧

果実を甘くするために、水分を制限するという農法がある。

なぜ、甘くなるのかというと、単に濃縮される効果以外に、
果物自身が糖度を高くすることで、浸透圧で水分を
引き込もうとするからなのだという。

そうだったのか。



No.46 細菌と浸透圧

Wikipediaにこう書いてあった。

「極端に糖分や塩分が高い食品が腐敗しにくいのも浸透圧によるものである。
細菌が取り付いて繁殖しようとしても、自身の細胞から水分が吸いだされ、
死滅してしまったり非常に遅い速度でしか繁殖できないためである。」

(これって、ナメクジ退治と同じ原理ですね)

完全に浸透圧のバランスを崩してやれば、
生命は活動できなくなるということか。

だから梅干しも、味噌も、醤油も悪くならないんですね。
(最近のものは「減塩」になっているものもあるけど)



No.45 生物の特徴

すべての生物は、自らの体内の濃度を一定に保とうとし、
逆に、自然は、すべての濃度を均衡にしようとしますね。

そもそも、さまざまな物質の濃度の差で、
生化学反応は、惹起されるものだからか。

すると、半透膜を持つということが、生物の特徴か?(違うかな?)



No.44 人体における穴 その1

人体の口という部位が持つ役割を敢えて車と比較すると、実に多機能であることがわかる。

・車の給油口に該当する。ここから、エネルギー物質を投入する。[飲食]
・エンジンの吸入口に該当する。ここから、外気を取り込む[吸気]。
・エンジンの排気口に該当する。ここから、反応を終えた不要な気体を排出する[排気]。
・クラクションの音を出す穴に該当する。ここから、他者への音声信号を放出する[発声]。
・ハザードランプに該当する。外部に対する視覚信号を表現する[表情]。

さらに、車にはない機能として次のものが挙げられる。

・固体のエネルギー物質投入時、均質化・細分化を実施する[咀嚼]。
・不良なエネルギー物質や、過剰なエネルギー物質の投入があった場合、排出口とする[嘔吐]。
・攻撃機能−−−エネルギー物質の均質化・細分化の機能を応用して、他者に攻撃する[咬合]。
・愛情表現−−−口と口を合わせることが、快感をもたらし、生殖行動へとつながる[接吻]。

一つの穴に、これだけの機能を併せ持たせるなんて、ものすごい設計ですよね。



No.43 人体における穴 その2

雌鶏(めんどり)は、腸管、尿管、生殖管がつながっていて、
総排泄腔と呼ばれる穴が一つなんだそうです。

卵を産むところと、排泄するところがすべて一緒ということです。
(これを知って以来、私は卵をよく洗って使うようになりました・・・)

ヒトの女性の場合、穴は三つ。しかし、男性の場合、穴は二つですね。
男性の場合、一部の排泄腔と、生殖腔が兼ねられているわけです。

ところで、NHKの教育番組で男性の産婦人科医が、女性の体について
説明していたときに、その穴を「入口」と説明していたそうです。

女性の視聴者から、「入口」ではなく「出口」であると苦情が来たそうです。

そうか(笑)。

男性は、穴は二つしかないし、「出口」でしかないし、単純なのかも。



No.42 生命の時間的連続について

スイカを食べていて思ったこと。

人間から見れば、スイカの赤い実の部分とスイカのタネは、
食べる部分と食べられない部分でまったくの別物だ。
タネの部分は価値がない。

しかし、スイカから見れば、わが身の一部、ほかの部分と同質だ。
彼(?)にしてみれば、噛み砕かれたり、消化されたりする危機から
無事に逃れて、「よかった生き延びた」というところだろう。

そして、生き延びたタネが細胞分裂を再開し、発芽する。
また、スイカが出来る。
彼にしてみれば、これは自己再生に過ぎない。

こうして考えると、雌花と雄花の受粉という過程は、単に生命活動の
幅を広げるためのあやみたいなものであり、本質的ではない気がする。

細胞分裂こそ、生命活動の本質なのではないかな。



No.41 生命樹 パート1

スイカから見れば、タネというシェルターで生き延びたあと、
残った部分で細胞分裂を繰り返して自己再生しただけの話であり、
再生後のスイカも私、ということになるのではないだろうか。

そして、タネ、スイカ、タネ、スイカ、タネ、スイカ・・・と
何代も果てしなく再生を繰り返す。

時間トポロジー的(そういう用語があるのか知らないけど)
な観点からいえば、このスイカの植物というのは、ホントは
世の中にただ一つしかないといえるのではないだろうか。

このような種(しゅ)の時間トポロジー的に連続した姿を生命樹と
呼ぶと仮定してみます(スイカは樹じゃないんだけど便宜上)。

このような生命樹は、樹が陽の光に向かうように、
時間の果てに向かって生育を続けている。

時間的に伸びて広がる種(しゅ)をひとつの植物として認識してみる
ことで、生命の本質を違う角度から見られるのではないだろうか。



No.40 生命樹 パート2

スイカの生命樹は、遡れば、ほかの種(しゅ)と交わっていることだろう。

植物は、すべて1本の生命樹から派生しているのだろう。



No.39 生命樹 パート3

ヒトの生命樹も同じことですね。ミトコンドリアイブを持つ
たった一人の母親から人類は生まれている。

人間の概念だと、生殖によって人が増えるため、最初の一人から
派生していったとしても、それは「兄弟」として認識される。

でも、実体はすべて一人と考えてみるのも、面白いかも知れない。



No.38 生命樹 パート4

ヒトの生命樹における特徴は、各個体において自意識を持っている点だ。

これは、生命樹という生命観において、逆行している存在に思える。

しかし、実際の樹の葉の一枚一枚が太陽に向かって
葉を広げているようなものと考えれば、結果として、
個々の意識が一つの樹の繁栄に寄与しているともいえるかも知れない。

そして、総体においては、人の意識は一つなのかも知れない。
ユングのいうように、底ではつながっているのだろう。



No.37 獣にとっての恐怖

子どもの頃、爪は指先を守るためにあると教わったことがある。

獣にとっては、爪は歯と同列のものだろう。
それは、獲物を傷つけ、仕留める必殺の武器であるとともに、
食べるために相手の体を小さく切り刻むための実用的な道具だ。

人の爪はその退化したものの名残だろう。
夫婦喧嘩のときに、相手にダメージを与えるぐらいの威力はあるけど。

ところで、いわゆる恐怖映画で襲ってくるタイプのモンスターの共通点は、
過剰露出された歯(牙)と爪であることに気づいたことがある。

吸血鬼は、飛び出た犬歯(牙)が象徴であるし、
恐怖映画の名作、ジョーズは巨大サメの口が大きく開かれたものだし、
エイリアンは口が入れ子になっていて、歯が二重に存在する。
プレデターはナイフの爪を持つ。

逆に言えば、歯(牙)と爪がないモンスターは襲ってきても怖くない。

人は、獣の時代からずっと、歯(牙)と爪を恐れてきたのだろう。



No.36 獣にとっての安堵

獣にとって、相手に歯を見せ、口を開く行為は威嚇に通じる。

これが、笑いの原点なのかも知れない。
おそらく、自分が優位に立ったという安堵感が、すなわち笑いなのだ。

例えば、道ですべって転んだ人を見ると人は笑う。
例えば、わさび入りまんじゅうを食べさせられた人を見ると笑う。

つまり、誰かの間抜けさや、失敗を見ると人は笑う。そして愉快になる。

ここから派生して、自分より弱者や愛情を持つものを安心させる行為として
口を横に開きながらも歯を見せない所作が生まれた。

これが、微笑みなのだろう。



No.35 進化と知性 その1

お寿司屋さんに行った。

お茶に含まれるカテキンは、腸管大腸菌O157に殺菌効果があり、
細菌の細胞膜を破壊するという。
お酢に含まれる酢酸は、サルモネラ菌や腸炎ビブリオ菌などに
殺菌効果があるという。
ワサビに含まれるアリルからし油は、腸炎ビブリオ,黄色
ブドウ球菌などに殺菌効果があるという。
ガリ(生姜)に含まれるジンゲロンは、腸チフス菌やコレラ菌
などに対して強い殺菌力を持つという。

傷みやすい生魚を供する店に、このように殺菌力のあるものが揃っている
ことに対して、よく「先人の知恵」というが、果たしてそうだろうか?

例えば、ワサビを付ける寿司屋とワサビを付けない寿司屋があったときに、
食中毒を起こして客が減ったり、潰れたりする確率が後者の方が高かったため、
長い時間ふるいに掛けられた結果、前者が多数派になっただけではないだろうか?

これは、適者生存という生命の進化論とまったく同じ理屈だ。

そこには、個々の客の中り(あたり)たくないという欲望と、個々の店の
食中毒を出して店を潰したくないという欲望があっただけではないだろうか?

「先人の知恵」など幻想ではないだろうか。



No.34 進化と知性 その2

一般に、進化には「上昇」のようなイメージがあるのだけど、
そうではないだろう。要するに環境に合わせる能力に過ぎない。
環境が変わらなければ、進化は必要ない。深海魚のように。

進化とは、本質的には環境への追従であって、その目的は、
つきつめれば、生き残り、繁栄することでしかない。

「進化」こそが、人類の進歩や繁栄を約束してくれているかのように
考えてしまうものだけど、実際には、人類はここ数百年で
適者生存のレースから大きくコースを逸脱してきていると思う。

人類は、環境に合わせるどころか、環境を破壊する存在になってしまっているから。

進化論的にいえば、人類は過剰な知性のために退化としているといえると思う。
実際、人類が明日核戦争で滅びても不思議ではない。

きっと最後まで生き抜くのは深海魚だろう。



No.33 生命と環境 その1

生命の戦略は、「自分」をたくさん複製してとっておくということ。
その際に、少しずつ、バリエーションが付くようにしておくこと。

バリエーションを豊富にするために、寿命があるのだろう。

世代を区切ることで、バリエーションが生成される。
世代交代に必要なことは、途中で自己複製(性交、出産)し、死ぬこと。
単なる自己複製だけでは、生命が無制限に増えすぎてしてしまう。

つまり、寿命というものは、生命が世代交代において環境というリソースを
必要以上に浪費しないようにするためのリミッターかも知れない。
環境というリソースは新世代のために取っておかれる。

生命は、環境の上に構築される何ものかである。



No.32 生命と環境 その2

そもそも生命にとって環境とは何か?
大気の組成と温度と流れ、海水の組成と温度と流れ、地殻上層の組成と
温度と振動、太陽光、重力などの物理的な条件と、食物連鎖を形作る周囲の
生命相(動物、植物、昆虫、バクテリア・・)が挙げられると思う。

ところで、人間の体内に微生物や細菌などの小さな生命が共生して
いるのと同じように、地球そのものも一つの生命として、あらゆる
生物が地球の自己調節に関わっているとする「ガイヤ理論」がある。

地球が生きていると考えるのはひとつの美しいメタファーと考えるのが
適当でしょうが、生命が何ものもいない世界、つまり環境から生まれた
ことを考えると、環境とは、単なる器ではなく、中身と同質の連続体
と考えるのもあながち荒唐無稽な考えでないかも知れませんね。

生命とは、大地と海と空に連なるものなのでしょう。



No.31 五感と不安

お風呂で頭をシャンプーしているときに、訳もなく無性に怖くなって
早く目を開けたいと焦ったこと、誰しも一度は、ありますよね?

これは、視覚と聴覚が使えなくなることで不安が増幅してしまう
ためだと思う(目は、シャンプーが入らないようきつくつむり、
耳は、間近で使うシャワーの水音でその他の音が聞こえづらい)

生命にとって、周囲の環境をモニターできない状態はひどく
不安を増してしまう、高ストレスな状態なのだと思う。

同じ理屈で大音響や暗闇という状況は、人を不安に陥れる。
だから、精神的に参っている人を映画館には連れていかない方がよい。

駅のホームで発車ベルが鳴っているときに、別なホームに列車が
轟音と共に駅に滑り込むという状況は、飛び込み自殺を誘発しやすい
と思う。せめて発車ベルは小さな音から始まるようにすべきだと思う。

精神的に参っている人は、電話の小さなベルに吃驚したりする。
後ろから声を掛けると、驚いて跳ね上がったりする。
(人が吃驚すると飛び跳ねるのは、太古の昔、相手に襲われたとき
に相手の口や牙から逃れるための緊急回避装置なのでしょうね)

周囲の騒音に敏感になっているため、過敏に近隣の騒音に反応する。
逆に自分が大騒音を出すことで状況に対処しようとする場合もある。

不安を抱えている人は、見渡しがよく、静かな場所に行くのがよいでしょう。
例えば、水平線の見える砂浜、広い川原や野原、地平線や街並みを見渡せる丘
などがベストでしょう(よくドラマの肝心なシーンに使われますよね)。
お気に入りの場所を確保して、何も考えず息抜きをすることが大切。

あるいは、自室の布団の中も、温かい胎内のように、その人を
しっかりと守ってくれるかも知れません。

物理的な環境として、安全を保証してくれるシェル(殻)やシェルター
(避難所)を確保できない場合、人は、心理的なシェル(殻)や
シェルター(避難所)を自らの心の中に構築してしまうのでしょう。

五感の休まるところが、心の休まるところです。



No.30 不安とは

不安とは、生命にとって「敵襲の警戒モード」なのだろうなと思う。

このモードに切り替わることで、より早く敵を発見することが可能になる。
視覚、聴覚の閾値が広がり、情報処理が活発になり、より鋭敏になる。

たとえば、深夜、不安になったときに、天井の節の穴が目に見えたり、
隙間から、誰かが覗いているのではと気になったりしたことはありませんか?
人形の視線が気になったりしたことはありませんか?
怖い話を聞いたときに、背後が気になって振り向いたことはありませんか?

これは、太古の夜、暗闇の中で、敵の気配を察知したときに、周囲の闇から、
敵の姿を見つけ出さないと生き残れなかったことに由来するのだと思う。
月や星の明かりの下で、相手の存在をいち早く認識するために、
特に「自分を見つめる目」に対する感受性が非常に高くなったのだと思う。

たとえば、深夜、時計の秒針が刻むチクタクという音が気になったり、
下水のゴポッという排水音が気になったりしたことはありませんか?
隣室の微かなささやき声が気になったりしたことはありませんか?
怖い話を聞いているときに、「わっ」と驚かされたことはありませんか?

これも、太古の夜、暗闇の中で、敵の立てる微かな物音で相手の存在を
察知しないと生き残れなかったことに由来するのだと思う。
特に「静寂の中での小さな物音」に対する感受性が非常に高くなったのだと思う。

このように、不安とは、生命が生き延びるために長い進化の中で獲得した
感覚と情報処理のレベルを上げるための生体反応の一つなのだろう。



No.29 不安と統合失調症

統合失調症は不安の病と言えるだろう。

心配事が原因で、内分泌物質が出すぎてしまい「敵襲の警戒モード」が
続いてしまうことで心身の調子が乱れることが、本質的な症状だと思う。

全体的にいえば、「被害妄想」「迫害妄想」など襲われる動物の
心理と共通している部分は多いのではないだろうか。

視覚に関しては、「自分を見つめる目」に対する感受性が非常に高く
なることを主因として、「幻視」に分類されるさまざまな
病気の症状を引き起こすのではないかと思う。
「自分を見つめる目」に対する閾値を高くして情報処理をした結果、
存在しない他人の顔や奇妙な生き物が見えるということになるのだろうし、
カーテンの隙間などから「覗き見」されているという訴えや、何かの
組織に「監視されている」という不安や、他人にじろじろ見られている
のではないかという「注察妄想」もこの部類に入るだろう。

聴覚に関しては、「静寂の中での小さな物音」に対する感受性が非常に
高くなることを主因して、「幻聴」に分類されるさまざまな
病気の症状を引き起こすのではないかと思う。
閾値を上げて聞こえない音を聞こうとすることで「電波による命令」を
聞いてしまうのだろうし、考えが声になって聞こえてくる「思考化声」
になってしまうこともあるだろう。また、逆にじっと身を潜め、声を
立てないようにするための過度の注意が、自分の考えが他人に伝わって
しまうという「思考伝播」という症状を生み出すのだと思う。

昔の病名は「精神分裂症」などと大仰な病名だったが、単に過度に
心配事をするあまり、特定の内分泌物質が出過ぎるだけの話だと思う。
ちょうど、胃液が出すぎると胃潰瘍になるのと同じだろう。
結局、この病気は、心身のバランスの偏りからくるものなのだから、
心と体を養生すればそれに応じてよい方向に向かうと思う。
それに、いまはよく効く薬もたくさんあり、全快する人も多い。

そう、自分は敵襲を恐れている動物などではなく、知恵と工夫で問題を
解決できる存在なのだとイメージすることも役に立つかも知れない。

なにより、過度な心配事を止めて、問題を別な角度から捕らえ直したり、
開き直ったりして、あきらめたり、考え方を切り替えて、
くよくよしないで、気持ちを大らかに持つことが大切だと思う。

理性で「敵襲の警戒モード」を解くことが鍵となるかも知れない。



No.28 美味と油の関係

人の食事の中で、油(植物油、動物脂)は、砂糖と同様に、
快楽(美味)を得る上で重要な存在なのだろう。

植物油とは、成長のためのエネルギーを凝集した種子や果実を搾ったものであり、
動物脂とは、余剰カロリーを蓄積してできたエネルギーの塊そのものである。

油というのは、生命エネルギーのかたまりのようなものといえる。
これ以上ないほどの高カロリーを人体に供給してくれる。

このため、人体は油を舌で認識すると、脳内に麻薬用物質
ベータエンドルフィンが分泌され、「おいしい」と感じる。

たとえば、肉。
牛肉ならば、脂肪の多い霜降りステーキが美味とされる。
豚肉ならば、油で揚げたとんかつの人気は高い。
鶏肉ならば、油で揚げた鶏の唐揚げが好まれる。

たとえば、魚。
刺身ならば、脂肪の多い大トロが美味とされる。
焼き魚ならば、脂ののった秋さんまの人気は高い。うなぎは、裏返せば
分かるように、脂のこってりした皮が付いていることが美味の秘密だろう。

たとえば、麺。
麺類ならば、そばに比べ油脂の浮くラーメンの人気は圧倒的に高い。
そばにおいても、天ぷら、油揚げを乗せればワンランクアップする。
たとえ、身がなく、揚げカスだけでも、人々は余分に金を払う。

たとえば、パン。
パンならば、クロワッサンの人気は圧倒的に高い。
クロワッサンしか売っていない専門店もあちこちに増えているほどだ。
このパンをつくるときにどれだけの量のバターを練り込むかを
知ったら誰もがびっくりすると思う。

たとえば、野菜。
じゃが芋は油で揚げれば、ポテトチップスやフライドポテトとして
多くの人に愛好される食品になる。蒸かした場合は、バターが塗られる。
一般に、野菜は煮るよりも、炒めたり、天ぷらにする方が好まれやすい。
生の野菜には、油で作られるドレッシングやマヨネーズが掛けられる。

たとえば、お菓子。
生クリームというのは、脂肪分がたっぷり含まれている。
ドーナツは、油で揚げた甘い食品として、不動の人気を誇る。

たとえば、調味料。
マヨネーズを愛好するマヨラーが増えている。JAS(日本農林規格)の
規定によれば、マヨネーズには油脂分が65%以上含まれている。
バターは隠し味として万能だ(ある人は、バターは麻薬のようなもの
だと表現した)。牡蠣油、ごま油、ラー油、オリーブオイルなど、
数滴落とすだけで味を引き立てるものは多い。


もともと、油は、糖質、たんぱく質と並んで、三大栄養素として
人が生命を維持していく上で不可欠な存在なのだそうだ。

油そのものは決しておいしくないが、美味をつくり出す重要な
ファクターとして料理の立役者となっている。

それもこれも、油が生命エネルギーの凝集したものだからだろう。



No.27 油を利用した料理方法

子供の頃、サラダ油というのは、フライパンに焦げ付かない
ようにするために塗る液体だと思っていたなぁ。
ぬるぬるしているから。別になめてもおいしくなかったし。

さて、油の美味を引き出す役割というものに注目して考えると、世の中の
調理法には「オイルバージョン」とそうでないものがあります。

油に注目した調理方法の分類
通常バージョンオイルバージョン
煮る揚げる
焼く炒める
蒸す(危険なので存在しない)

例えば、海老のように油が浸透しない食品に対する料理方法として、
日本では、天ぷらという料理が開発され、
西洋では、フライという料理が開発されている。
見ようによっては、脂肪分のないたんぱく質の食材に対して、人為的に
脂肪をまとわせるがごとく、素材をくるんでいる料理ともとれる。

話は変わりますが、年寄りが油っこいものが苦手というのも、
興味深いですね。年を取ると、もう生命エネルギーを余分に
摂取する必要はないということなのでしょうか?

ダイエットするなら「油抜き」が効果的という話はよく聞きますよね。



No.26 セミの大発生と素数

大発生するセミの寿命は素数なんだそうです。
現在、アメリカで大発生しているセミは17年ゼミで、素数。
もう一種、大発生するセミは13年ゼミで、これも素数。

なぜ、素数かというと、天敵が発生する周期と
合わないように、こうなったらしい。

確かに、2年周期の天敵と、3年周期の天敵がいたら、
6年ゼミはすぐにやられてしまいますね。

あるいは、セミ同士の大発生の周期がかち合ってしまって、
その結果、生き残ったのが、素数ゼミかも知れない。

同じエサを食べるセミだったら、敵と同じですからね。

短い周期のセミから、かち合って、大発生がなくなってきて、比較的
長い周期の素数ゼミだけが大発生するようになったのかも知れない。



No.25 狂牛病と自然の摂理

高等生物は近親交配をしない。
霊長類に関しては、どのような社会であれ、
近親交配を回避する社会的な構造があるのだという。
また、近親交配を避けるような心理までもが遺伝的に
個体に組み込まれていることが明らかになっているという。

もし、近親交配をすると、劣性の遺伝子が対になったときに発現し、
心身ともに生物としての健全さが欠如しやすくなる。
すなわち、奇形率が増加し、生存率も低下する。

さらに、野性動物でさえ、本能的にインセスト回避と呼ばれる
近親交配を避ける行動を取ることが知られている。

まさしく、近親交配は生命としての最大の禁忌であるといえる。
このように、生命は、遺伝的な多様性を失わないように、
種が分化していくようにプログラムされている。

ところで、BSE(狂牛病)も、これと似た話なのではないかと感じている。
共食いをしないという禁忌を犯した結果なのでは、と。

人間は、1970年代後半に牛を牛のエサとしてやるという共食いをさせる
ことで、短時間で牛を生育させ、より多くの牛肉を得ることに成功した。
しかし、そのことが、それまでプリオン病の報告されていない
畜産用牛にBSE(狂牛病)をもたらしたのだという。

ただ、牛骨粉で共食いさせるのをやめさせればよいだけの話なのだ。
そもそも、牛に牛を食べさせるなんて、ぞっとする話だ。

個体がほかの個体と交わって種が繁殖していくのが生命の摂理だ。
個体がほかの個体を食べてしまったら、自滅する。

どうしても、BSE(狂牛病)騒ぎを聞くと、生物進化の禁忌に
触れた結果だという思いが拭いきれない。



No.24 時間の単位

時間の「単位」とは何なのだろう?
なぜ、人生80年を一般に長い時間と感じ、短い時間と感じないのだろう?

その「単位」を変えてやることができれば、同じ寿命でも
とても短く感じたり、さらに長く感じられるのだろうか?

「単位」は、個体の情報処理能力によるのかも。



No.23 野生動物と人間

野生の動物はなかなか檻(おり)に入りたがらない。
そのシーンを思い浮かべながら、朝の出勤時、満員の
電車に何がなんでも乗り込もうとする人を見ると、
なんだか可笑しい。

これが、進化さ!



No.22 生命のサイクル

もし、肉の塊を常温で放置すれば、やがて腐敗する。
ところで人間も、つまるところ、脂肪や蛋白質の塊だ。
なぜ、常温放置して、腐敗しないか。

それは、一方で腐敗しながら、一方で修復をしているからだろう。
極端に言えば、腐るスピードよりも、修復するスピードが
上回っているから、生命が維持されるのだろう。

修復をするためには、一定の間隔で、他の生命体(動植物)の
一部や水を口から摂り込む作業が必要になる。

何らかの原因で修復や補給が追いつかなくなったとき、あるいは
修復不可能なほど壊れてしまったとき、人は死に、土に還る。

人体は、さまざまなサイクルバランスの上に成立している。

それにしても、最近ホント暑いですねー。
エルニーニョが発生しているとか。



No.21 ストレスとは

最近、ストレスというのは、「闘え」という非常信号
なのだと私なりに解釈している。

非常信号を受けた体は、スロットルが開かれ、闘争体制になる。
すなわち、心臓が激しく鼓動し、血圧が上がり、骨格筋や心臓の
血管に血液がみなぎる。筋肉を動かすために血糖値も上がり、
酸素を全身に供給するため、呼吸も早くなる。

体は、ストレスによって、敵と闘う準備ができる。
ストレスとは、この状況を打ち破れという信号だ。

たとえば、オリに捕まえられたケモノを想像してほしい。
猛然とオリに体当たりし、吼え、怒る。
その行為をさせるのがストレスだ。
つまり、敵と闘わせる力を生む信号、それがストレス。

苦手な上司の前で小言をきく部下は、オリに入れられて棒で
つつかれるケモノと似ていると思いません?



No.20 ストレスによる自己攻撃性

現代人のストレスの問題点は、実際に闘う相手もないのに、
体が戦闘態勢におかれ続けてしまうことだ。

現代人は、反撃できない形のない敵襲に常にさらされている。
たとえば、リストラされる不安や、経営がうまくいかない不安。
不安により、戦闘態勢が解除されない。

交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、
ノルアドレナリンとアドレナリンが分泌され続ける。
興奮状態になっているから、歯止めが利かず、見境がなくなる。

このような状態が続けば、やがては体の変調をきたしてしまう。

さらには、攻撃の相手がいないから、それが自分自身に向いて
しまっているのでは?と思うような病気も増えている。

無害の花粉を敵襲だと誤解してIgE抗体で攻撃を仕掛けたり、
胃液を扱い損なって自分の胃壁を溶かしてしまったり、
秩序ある免疫機構の具合を狂わせて細胞を際限なく増殖させたり。

まるで、興奮した体が、力の持って行き場に困っているような。



No.19 ストレスと鬱

人は自分に対して攻撃的になるとき、鬱になることに
よって、攻撃力を落としているのではないのかな?



No.18 ストレスの解消行動と野性のケモノ

野性のケモノの闘いとは、すなわち、次の一連の動作だ。
咆え、走り、噛み、打ち負かし、食べる
実際、人のストレス解消行動の一部はこれとかなり合致している。

[咆える]
カラオケで歌いまくる(自らの声を機械で大きくする)
海に向かってバカヤローと叫ぶ
競技場の応援席やコンサートで叫び続ける
[走る]
高速道路でスピードを出す
ジェットコースターに乗る
バイクに乗って群れで暴走する(咆える代わりに爆音)
[噛む]
イライラするときにガムを噛む
不安なときに爪を噛む
悲しいとき、悔しいときにハンカチを噛む(よく漫画にある)
[打ち負かす]
アクション系TVゲームに熱中する
スポーツに熱中する(勝ち負けのないスポーツはない)
アクション映画を観る(善悪が登場し、闘う)
[食べる]
過食をする(いわゆるヤケ食い)
ストレスの溜まった人間は肉類(特に動物性脂肪の高いもの)を好む。焼肉、とんかつ、牛丼、ラーメンなど
−−−人は生まれつきに、野性を抱えている存在なのだろう。
目指すは、草食動物系の平穏さかな。



No.17 高ストレス社会と文明

そういえば、最近、高ストレス社会を反映して、擬似的な「闘い」を
提供する文化がさらに増長してきた気がします。

スポーツ −−−最近は相手をぶちのめすタイプの格闘技が増えた。
TVゲーム−−−最近は斬りまくる、撃ちまくるタイプのものが増えた。
グルメ番組−−−最近は食べて食べて食べまくるタイプのものが増えた。
TV番組−−−最近は弱いモノをイジめるタイプのお笑いが増えた。
漫画−−−最近は少年誌に格闘物、戦闘物、暴走物が増えた。

このような擬似的な「闘い」で、人々は日々のストレスを解消している。
これらは、社会的な文化とされ、人々は娯楽として受け止めている。

高ストレス社会である現代文明って何でしょうね?
現代文明を生きることが、すなわち野性の本能を満たす場を
求めさせるのだから、あまり人間は進化していない気もする。



No.16 設計図と数値

人体は、外見は左右対称だが、中身は非対称にできている。

一部の内臓は左右対象だが、心臓、肝臓、胃、小腸、大腸
などの体内での位置は、まるで立体パズルのように
複雑かつ整然と配置されている。

このような立体配置を実現するには、設計図である遺伝子上に
三次元上の位置を特定する、XYZの三つの値が
必要だと思うのだけど、どうなのだろう?

また、たとえば指の数は10本、鼻の穴は2つ、肋骨が何本と
いう数値情報も、やはり設計図上のどこかに存在すると思うの
だけど、どうなのだろう?

果たして遺伝子情報の中に数値情報はありや?



No.15 水と生命

食堂で熱いお茶をさめるの待ちながら(ちょっと猫舌)、ふと思った。
水の沸点は100度で、これ以上は基本的に熱くならない。
そして、人間が飲める水の温度の範囲は、 ほぼこの沸点に達した温度のお湯までだ。

人間はちょうど、沸かしたお湯が飲める口をしている。
もし、水の沸点が200度だったら、えらいことだ。
沸かし過ぎないように注意しないと、うかつにお湯を口にできない。

この一致はどういうことだろう?
なぜ、人間の口が、ちょうど水の沸点の温度までに耐えられるか?

進化論的に考えれば、たとえば60度までしか飲めないグループと
100度まで飲めるグループがいて、60度までしか飲めない
グループは、十分に煮沸殺菌された水を飲めなくて菌に感染したり
口内や喉をやけどして十分に栄養を補給できないきっかけを作って
しまったりして、長い長い歴史の内に淘汰されていったのだろう。

人間は火を使う動物である。
火を使い始めることでささやかな進化の淘汰があったのだろう。

きっと、猫はその淘汰がなかったんだな。



No.14 生命の共通言語−−−「痛み」

指を切った。痛い。(ToT)
「痛み」を定義すると、環境に対するセンサリングの
反応の内、強度の危険信号のことかな?

もしかしたら、すべて生物に共通の言語は
「痛み」なのではないのかな?

たとえば、雨上がり、強い日差しにさらされたミミズは
いかにも苦しそうに身をくねらせている。ああ、痛いんだな、
苦しいんだなと分かる。ミミズがどれほどの神経系統を
持っているのか知らないけれど、不思議なことに、
彼(?)の苦境はそれなりに理解できる。

すべては、個体がより危険のない安定した
環境へと移動するための仕組みか。
ミミズが日差しを避けるように、すべての生命は
「痛み」を与えるものを避けようとして、
安全で快適な環境へと移動していく。



No.13 生命の共通言語−−−「快感」

しかし、相対的に考えれば「痛み」だけではなく、
その反対のものも共通しているはず。
それを「快感」と呼ぶとして、生命が生きていく上での
環境に対するもっとも基本的な反応様式は、
「痛み−快感」なのではないかな。

ヒトにとって最大の快感は食事とセックスだ。
それは、つまり個体のエネルギーの補給と、種の繁殖行為だ。

食べなければ、動けなくなり死に至る。
食べれば、活動エネルギーとなり、動きまわれる。
セックスしなければ、子供が生まれず種が滅びる。
セックスすれば新しい子供が生まれて種が繁栄する。

どちらも、生命維持の法則に直接的に結びついている。
つまり、気持ちいいことをすればするほど、
生命が繁栄するという訳だ。

「快感」が、生命の行動を左右している。



No.12 他者の「痛み」と「快感」−−−暴力

ヒトは暴力が好きな存在だと思う。
朝から晩まで、テレビ番組には暴力シーンが満ち溢れている。
子供向けヒーロー番組は、暴力シーンが必ずクライマックスとなる。
キックとパンチで敵をやっつける。もう少し大人向けになると、
刀と手裏剣、銃とマシンガン、剣と槍、
あるいはビームとミサイルなどになったりもする。
いずれにしろ、ヒーローもののクライマックスは暴力シーンだ。
ラストシーンは、敵や敵の基地の大爆発だ。

暴力とは、すなわち他者への「痛み」にほかならない。

壁を叩いているシーンを見ても、人は反応しない。
つまり、破壊行為が好きな訳ではない。
しかし、人を殴るシーンを見ると、人は反応する。

ヒーローものは、ヒトにとって最大の娯楽だ。
正義の名の元に暴力が楽しめるからだ。

他者への「痛み」は、相対的に「快感」になるのだと思う。
「痛み」と「快感」が、直線的な比較の絶対値でしかないのなら、
自己の位置と他者の位置の比較差が、すなわち
「快感」になるからではないだろうか。

ヒトが暴力が嫌いなら、これほどTVに暴力が氾濫するはずがない。



No.11 他者の「痛み」と「快感」−−−セックス

セックスで、痛みを快感に感じる人もいる。SMと呼ばれる。
HPの品が落ちるので、深入りしない。(^^;)



No.10 「痛み」と知性、自己と世界

内側にいるからよく分からないけど,この世界の特長は
「痛み」なのではないかな?

この世界から,「痛み」を取り除けば,それは「天国」の
イメージそのものではない?
この世界から,「痛み」を増強すれば,それは「地獄」の
イメージそのものではない?

生物における「痛み」が、世界観に大きな影響を与えている。
たとえば、植物のように「痛み」を感じない生命体だったら、
この世界はどのように映るのだろうか?

なぜか、この世界では、「知性」の少しでもあるものは
「痛み」を感じるようにできている。
ああ、そうか。最もプリミティブな神経刺激である「痛み」が、
神経回路そのものの起源であり、集積された神経回路が
「知性」を生み出したからか・・・。

世界が自己と分離していることに気付いたとき、すなわち
世界を認識したときが、「痛み」の始まりということか?



No.9 「生命」とは一体?

「形有るものすべて滅びる」という命題を否定するには、
どうしたらよいのか。
その究極の答えこそ「生命」だとふと思った。

自らの存在の設計図を細胞一つ一つに組み込みながら
複製を続け、その総体が恒常性を備えるようになるまで
設計図を元に各器官を形成する。そこには外界から
エネルギーを吸収するための器官が含まれる。

その個体は己の自己複製機能を備えた時点から生殖や分裂と
いう行為で環境に適応しながらさらに種として存在を広げていく。


さて、「生命」とは一体何なのか?
存在し続けたいという盲目的な強い意志はどこからくるのか。
それは個体においては「本能」、種においては「種の保存の法則」。
では、生命に全体においては、何と呼ぶ?

外側から見ないと分からないものなのか?



No.8 人生のプログラム

蟻んこが、非フォンノイマン型コンピュータだとすると、
ヒトは、フォンノイマン型コンピュータだなと思う。

蟻んこは、生まれたときから蟻んこで、何をするか決まっているものね。
本能というプログラムだけがしっかり組み込まれている。
怠けものの蟻とかいないし。ヒトに比べれば個性なんてないも同然。

ヒトは、プログラム次第で、どのようにも動く。
本能や遺伝というOSだけではなく、その上に載るプログラムを
社会、文化、教育、家庭、友人関係などから獲得する。
だから、狼に育てられれば、狼にもなってしまう。

自分にとって有益なプログラムを取捨選択して入れる術を学ぶことは、
とても大切なことだなと思う。プログラムが一生の在り方を決める。

OS(本能)だけで、動くヒトにはなりたくないよね。



No.7 かゆみ

かゆみというのは、生体への物理的な防御反応なのだろうな。
掻くことで、次のような効果がある。

・肌の表面の異物を掻きとる。例えば、ほっぺについたケチャップはかゆい。
・肌の表面の害虫の排除。例えば、猫のノミ、虱などは掻いて追っ払っている。

いずれにしても、手足を使った肌表面の異物排除の信号がかゆみと言えるだろう。
花粉症やアトピーなど、目や肌がかゆくなるのは、
自分を取り囲む異物を排除しろという信号が出るからなのだろうな。
つまり、異物があるぞ!!という体の叫び。

もうそろそろ花粉症の季節。体の要求に従ってかゆみがないところ
(例えば、北海道)に行きたいなあー、と思う今日この頃。



No.6 想念と健康

プラスで前向きなことを考えると体に良く、マイナスで暗いことを
考えると体に悪いという。つまり、想念が体に影響すると言われるが、
それは至極当然のことだと思う。

例えば、梅干のことを考えると、口内に唾液が分泌される。
例えば、性的に興奮することを考えると、ああなってこうなる。

それと同じで、明るく前向きなことを考えることで、免疫力を高める
分泌液が出てもちっとも不思議ではない。

想念は、確実に生化学的な変化を体にもたらすだろう。



No.5 異物の侵入への防御反応

目に異物が入ると、涙が自然に流れる。

鼻に異物が入ると、鼻水で押し流そうとしたり、粘りのある鼻水で
鼻腔を閉鎖してしまったりする。
さらに、感知したものが物理的な場合、爆発的な排気、すなわち
「くしゃみ」や「せき」で押し出そうとする。呼吸の異常は即座に
生命維持にかかわるので、その排気システムは非常に強力だ。

口に異物が入ると、味覚異常を舌が感知し(その前に鼻の下を通過
することで事前にチェックをしているのだが)、自然に吐き出す。

胃に異物が入ると、嘔吐をして排出する。食中毒の時に顕著だ。
ちなみに、胃には吐き戻しがスイッチがついているようなものだろう。
喉の奥に指を深くいれると、反射的に吐くようにできている。
一般にアルコールを沢山飲んで苦しい時に、意識的に利用される。

さらに、深く消化器系に異物が入ると下痢となる。
異物が入らなくても、食べ過ぎたり、飲み過ぎたりすると、胃腸
への過度の負担を解消するため、短時間で体外へ排出される。
この場合、胃腸に無理をかけているので養生しないといけない。

−−−−ああ、今日もおかゆだ。(T-T)



No.4 薬の飲み込み方

子供の頃、風邪薬のカプセルがなかなか飲み込めなくて
四苦八苦して泣きそうになったことがある。

大人でも、未開の地の人達に薬を飲ませようとしたら、水ばかりを飲んで、
仕舞いにはゲーゲーと吐きそうになったという話を聞いたこともある。

薬を飲み込むのは結構やっかいだ。喉の奥で異物に対する防御反応が
働いてしまうからだ。食べ物なら飲み込めるのに、薬ではなかなか飲み込めない。

しかし、私は大人になって、ついに簡単に薬を飲み込むコツをつかんだ!!
そのコツとは、薬を口の中で、なるべく舌の奥に送ることである。
奥に送ると、自然と体が飲み込む準備をしてくれます。
だから、普通に水を飲むだけで、するりと、ごく自然に簡単に飲み込めます。

よく、苦い薬は舌先に置くと苦くない、と言って舌先から水で飲ませる
ケースがありますが、これは薬を飲むのが苦手な子供には逆効果です。



No.3 タッチタイプ

パソコンのキーボードをタッチタイプで叩いているときに、
声を掛けられたりすると、打ち続けた勢いで指だけがタタタタと
無意識にキーを打ち続けてしまうことがある。

あれ?今一体何を打ったんだろう、と思って画面を見ると、
不思議なことに文として完成している。

ただし、「していません。」と打とうとしていたとすると、
「しています。」という文を打っていたりする。

これが身体記憶というものかな、と思う。
文末などのごく限られたパターンなら、一連のキータイプが
無意識に処理できるらしい。不思議。



No.2 牙を隠す行為−−−好意のサイン

会社の座席の近くを可愛い女の子が通った。だらしなく鼻の下を伸ばしている自分に気付いた。
これは、本能的なものという気がする。
おそらく、ヒトが獣だった時代、牙を隠して、相手に敵意がなく、好意があるという
意思表示するための反射のなごりではないだろうか。

ウソだと思ったら、「そんな滅相もありません」という表情をしてみてほしい。
鼻の下を伸ばしているでしょう?

逆に、子供は嫌いな相手に、歯をむき出して「イーッ」としているでしょう?



No.1 敗北のサイン

そう言えば、人は何かに負けて敗北感を感じているときに、唇をかむ。
これも、牙を隠す行為に由来しているボディサインだと思う。

相手が、自分より優位であることを認め、それ以上の攻撃から身を守るという
太古から血の中に受け継がれてきた無意識なサイン。

逆に、次回は叩きのめしてやるという場合は、歯軋りをして
牙の存在を誇示したのでしょう。





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