【11月25日(木)】


 12月の映画ベストテン(キネ旬と映画秘宝)に向けて、未見映画処理に着手。ビデオでデ・パルマの『スネーク・アイズ』とか、『ベイブ、都会へ行く』とか。




【11月26日(金)】


 1時、東映本社試写室で、M野さん@メディアワークスから案内メールをもらった『ブギーポップは笑わない』の試写。まだ公開が決まってないんで、試写状は回してないらしい。監督は『満月のくちづけ』の金田龍で、ちょっと心配だったんですが、原作の雰囲気はかなり生かしてある。霧間凪は最高にかっこいいし、男優陣の芝居も悪くない。吉野紗香は……まああんなもんでしょう。三輪明日美は茶髪にしたらまるでKEIKOになっちゃってやや不本意。ブギーポップのコスチュームは意外とおさまりがいい。原作を知らずにこの映画を見た人はかなり驚くのでは。これがヒットしたらシリーズ化の可能性もあるとか。
 全体的には満足のいく内容ですが、最後の特撮はちょっと。大林映画(ねら学)の呪縛はなかなか消えないのだった。

 パスタで遅い昼食のあと、日劇東宝で『シックス・センス』
 綾辻さんが、「冒頭10分でネタがわかる。あとはその確認だけ」と言ってたんだけど、まったくその通りでした。ネタがあると知らなきゃ気づかなかったかもしれないが……あまりにもあからさまなので一発。まあつくりかたは丁寧で好感は持てるが。

 つづいて、森田芳光監督の『黒い家』。貴志祐介の原作とはほとんど別物だけど、森田節爆発で楽しめる。サプライズを捨てたのは正解でしょう。

 家に帰って、来年正月公開の『ISOLA 多重人格少女』のオールラッシュをビデオで。明日の貴志祐介インタビュー用。こちらは原作にかなり忠実――というか、ダイジェスト版みたいな印象。まあラッシュなので完成品の出来はよくわからない。




【11月27日(土)】


 午前11時、九段下グランドパレスで貴志祐介インタビュー。『ISOLA』の映画パンフ用なので、そちらの話が中心。貴志さんはブレア・ウィッチ絶賛派でした。

 インタビュー終了後、日比谷シャンテでジム・ジャームッシュの新作『ゴースト・ドッグ』。サブタイトルがThe Way of Samuraiというだけあって、武士道の映画。主人公はずっと『葉隠』読んでるし、マフィアのボスの不良娘は『羅生門』を読んでいる。ペーパーバック版のカバーが凄すぎ。マフィアはみんな年寄りで貧乏。家賃が払えなくて、大家が取り立てにやってくると組の幹部たちはみんな目をそらし、知らないふりをする。殺し屋の通信手段は伝書鳩。アニメージュのプロジェクトFFNを読んでたんでしょうか。『ルー・ガルー』にとっても貴重な示唆を含む作品である。
 ちなみにマフィアのボス連中はみんなワーナーの古いアニメを観ている。ベティ・ブープとかフェリックス・ザ・キャットとか。うちひとりはPublic Enemyのファン(笑)。ヒップホップと武士道のミスマッチが最高におかしい。タランティーノ映画より趣味かな。今年の洋画ベストワンはこれでいいや。

 マリオンにまわって『トマス・クラウン・アフェアー』。こういう映画が好きなのがオレの悪癖だね。『アウト・オブ・サイト』ほどおたく色はないんだけど、大金持ちの絵画泥棒には抵抗できない。
 つづけて『梟の城』。たぶんいちばん予算がかかってる冒頭の伊賀の里の焼き打ちシーンがあまりにも最低だったのでどうなることかと思ったが、覚悟したほどダメな映画ではなかった。山本学が忍者走りで山を登ってく場面は秀逸。全体に忍者の歩き方はよくできてます。プロット的にもサプライズがあるし(いや、ふつうは脚本がひどいと言うのだろうが)。可能性としては、特撮怪獣映画における『ガメラ 大怪獣空中戦』になれた映画だが、篠田正浩だからなあ。見るべきところがあるだけに惜しかった。

 エンドクレジットの途中で飛びだして、『ワイルド・ワイルド・ウェスト』の先行オールナイト。客席は七分の入りで、あんまり盛り上がってないらしい。銀座のオールナイトはこんなもんですか?
 前半はそれなりに見られるが、メカ登場後はまったくダメ。これなら『西部二人組』をリメイクしてくれたほうが……。サム・ライミにでも撮らせればよかった企画。




【11月28日(日)】


《スターログ》80年代SF映画原稿のために『未来世紀ブラジル』をひさしぶりに再見。いや、すばらしい。しかしやっぱり後半はちょっとダレるね。シド・シャインバーグの愛は勝つ(Love Conquers All)バージョンも見てみたいものである。




【11月29日()】


 1時、新宿マイシティのプチモンドでLove&Playstationの収録。年末公開に合わせて『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』ネタでひとつ――という編集部からのリクエストだったので、今回のゲストは柳下毅一郎
 前回は仙台エリちゃんだったのに。とてもおなじコーナーとは思えません(笑)。
 まあ柳下は朝日出版社から出るらしいブレア本のために中原昌也氏と対談したばっかりで、一夜漬け的予習はばっちりなのでちょうどいいでしょう。ひと粒で二度おいしい。違うか。ま、編集担当のK島嬢も元宝島だし、同窓会みたいなもんですね。
 柳下のほうも年末に向けてダメ映画征伐中なので、前半はメジャー映画ネタ中心。これで安心だね、と思ったら後半はえんえん渡辺文樹話に(笑)。特殊伝言板系の人にしかわからないのでわ。
 ブレアがらみの話では、なぜこれがオッケーで『愛する二人、別れる二人』のヤラセがダメなのか、とか。現実と虚構が映画の中で混ざる時代は終わって、これからは映画の外で現実と虚構が混ざる時代だ、とか。で、歩くブレア・ウィッチとして渡辺文樹が登場する。フミキ映画を観るという行為自体、すでにフミキに参加して虚構を生きているのである、とかなんとか。《秘宝》向けの原稿なら一本書けるネタかも(笑)。書かないけど。

 収録終了後、東口の適当な喫茶店で柳下とサッカー話など。中野武蔵野ホールに行くつもりだったが、時間が半端なので、歌舞伎町に歩いてジャッキー・チェンの『WHO AM I?』。最近のゴールデンハーベストのジャッキー映画(007系)としてはいいほうだが、全盛期には及ばない。しかし山本未来はすばらしい。彼女の作品ではこれがベストでしょう。メインプロットがあまりにも70年代的なので評価できないが、シーン単位ではかなりがんばってます。カリ城の実写版的なアクションもマル。あとは脚本だね。

 ジャッキー映画を見てしまった勢いで、『無問題』の最終回へ雪崩れ込む。冒頭いきなり『WHO AM I?』のポスターとジャッキー人形が登場して爆笑。
 でもなあ、だから香港の監督に日本語セリフ撮らせちゃダメなんだってば。岡村は無問題ですが、佐藤康恵のセリフがダメすぎ。『不夜城』の金城のセリフと同じ問題を抱えてます。香港青春映画的には悪くないんだけど。日本人の音響監督つけてアフレコやり直しでしょう。あと、ラストの立ち回りはサモハンに出てほしかった。




【11月30日(火)】


 武田さん@GAINAXから、SWのテーマ日本語詞作詞者に関する訂正メール。赤井孝美作詞ではなく、岡田斗司夫作詞だったそうです。ちなみに、「大日本が赤井、澤村の合作ですな。ゴジラは赤井君です」とのこと。わざわざありがとうございました>武田統括本部長殿。
 ゴジラっていうのは、「ごじら、ごじら、ごじらとめかごじら、ごじら、ごじら……」ってやつですね。出だししか覚えてないぞ。愛國戰隊大日本の主題歌(太陽戦隊サンバルカンの替え歌)のほうは、若いアニソンの人々が好んで歌いたがる傾向が。
 DAICON IVのプログレスレポートがカセットテープで、「ゴジラ対ミンキー・モモ」の予告編とか、「東京人のための大阪弁講座」とか、傑作なネタがたくさんありました。スネークマン・ショウより面白かったんだけど、さすがに今CD化して売るのは著作権的にまずいのか。売れると思うんだけど。
 ちなみに都立家政にあったレンタルビデオ屋には海賊盤コーナーがあり、DAICONオープニングアニメとか「帰ってきたウルトラマ●」とか置かれてました。おたくのお兄ちゃんに「これは面白いですよ」とか講釈されていやんな思いをした記憶が(笑)。

 トーレン社長のお供で双葉社@東五軒町〜辰巳出版@新宿三丁目。商談は順調に進む。

 紀伊国屋に寄って、『未来世紀ブラジル』原稿のために、どこかに行方不明になってしまったダゲレオ出版の『バトル・オブ・ブラジル』を購入。いつのまにか最新ギリアム本の翻訳が出てたのでついでに買う。『テリー・ギリアム映像大全』(河出書房新社)。すでに原稿料の足が出そう。枚数がないので、資料買っても結局使えないんだけどなあ。
 MAG TIMEに寄って原稿を仕上げ、メール送稿。

《ユリイカ》ミステリ特集は殊能将之インタビューが傑作。いやもう声が聞こえてきそうである。小説すばるの編集部インタビューとは好対照。あと、高村薫インタビューのすれ違いぶりもけっこうおかしい。それにしても《ユリイカ》らしくない特集だね。

 ビデオで『マイティ・ジョー』。たしかに好感の持てるつくりではある。


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