【4月5日(月)】


 1時に起きて、3時ごろ井の頭公園に到着。白城るた先生主催の恒例お花見会。美人になるべくSFマガジンのアルバイトをやめて仙台に旅立っていったあしかふみこ嬢がなぜか二カ月で帰ってきてしまったので、その歓迎会も兼ねてたり。
 着いてみると、小浜徹也@東京創元社(←ウェブサイトできてます)以外は全員女性(その小浜くんも途中で会社に戻ったので、大森は黒一点状態になる。SFな宴会ではありえない状態である)。
 名前をよく知らない人が多いんですが、河内実加さんによると、あさみさとるさん(カンガルー大下さん)、國居亨さん、円海山さん、島根さん、英国屋さん、米国屋さんという人たちだったそうです。ミステリ同人系の人たちが中心、ってことでいいのかな。

 例年寒くなるので重装備で行ったんだけど、今日はけっこうあたたかく、月曜日のおかげで混雑もさほどではなく(去年は桜が存在しない場所しか空いていなかった)、のんびりしたよいお花見でした。

 6時ごろ井の頭公園をあとにして、ルノワールにお茶を飲みにいく主力部隊と別れて高田馬場へ。ちなみに三村美衣・さいとうよしこコンビは中野ブロードウェイへ行きました(笑)。
 定刻にやや遅れて、福井掲示板のホラーオフ……じゃなくて第一回《恐怖の会》の会場に到着。稲門ビル4Fの居酒屋《土風炉》の個室に入ってみると、こっちは男性ばかり十数名。
 でも細田さんがなぜここに。福井掲示板では一度も見たことがないぞ(笑)。まあ東雅夫シンパだし、《幻想文学》とも因縁浅からぬ人なので、ここにいてもおかしくはないんだけど、明日だか明後日だかに自分とこの掲示板のオフをやると突如ぶちあげたんじゃなかったの? それとも「自分の掲示板のオフには出たくない」とか(笑) グルーチョ・マルクス的(いや、カール・マルクス的)ギャグを地で行く細田均。その横に、親子ほど年齢の違う松本楽志くんが神妙にすわってるのが笑えますね。
 西崎憲、赤津俊樹、フク、桜井潔、治田豪和の各氏とは初対面。ミュージシャン兼翻訳家の西崎さんはイメージと全然違っててちょっとびっくり。鈴木真仁ファンならCDにサインをもらうところである。その他、福井健太、倉阪鬼一郎、東雅夫、浅暮三文、藤元直樹、迫水由季(あとから到着)……という布陣。
 詳細は、ミーコ福井健太松本楽志赤津俊樹フクなど各氏の日記参照。
 今日は自分の掲示板のオフなんだからいくら飛ばしてもだれにも怒られる筋合いはないと判断したのか、福井健太が絶好調。あらゆる話題に口角泡を飛ばして食らいつくのでたいへんでした。まあ、最近しばらくおとなしかったからよしとしよう。
 東さんも最近の新刊をネタに熱く語ってましたが、このあたりは福井掲示板でどうぞ。

 ブロードウェイ帰りの三村・さいとうが合流しての二次会は、例によってビッグボックスのカラオケボックス。松本楽志迎撃なので中島みゆき縛り。となりの歌わないボックスでは、福井健太・細田均が暴走していた模様。まあそうだろうな。

 倉阪さんは露骨に朝までコースへの持ち込みを狙っていた模様だが、今夜はワールドユースなので毅然として帰宅する大森。しかし終電で帰った甲斐の全然ない、ひたすらフラストレーションのたまる試合でした。決定的チャンス7回に1回しか決まらないんじゃなあ。フル代表の病気がさらに悪化している感じ。前半の調子なら3−1ぐらいで楽に勝ってるゲームだったのに。




【4月6日(火)】


 小学館ヤングサンデー編集部のA氏から『月光の囁き』文庫版解説の件でエマージェンシーコール。要約すると、
 オレの原稿に引用した谷崎の文章の分量が多いので、これは著作権法上の「引用」の範囲を逸脱しているのではないかという見解が編集総務から出た。
 顧問弁護士に相談してみたところ、万一裁判になった場合、この分量では闘いにくいのではないかと言われた。
 可能なら引用箇所を少し削ってもらえないか、という内容。

 具体的にどのぐらいの分量かと言うと、総行数が40字×70行ぐらい。そのうち谷崎の短編「富美子の足」からの直接引用が14行。
 できれば、ここからあと5行ぐらい減らしてほしいってことだったので、中をとって(笑)3行減らしました。

 著作権法の引用規定は非常にあいまいで、分量とか比率の具体的な目安はない。引用した文章(この場合ならオレの書いた原稿)と引用された文章(谷崎の小説の一部)が「主と従」の関係にあることが条件。さらに、どうしてもそれを引用しなければならない正当な理由も必要とされるんですが、この場合、谷崎の本の解説じゃないから必要性に関しては弱いよね。でも、だからって、5行削ったらOKになるってもんじゃないのは明白ですが、そのあたりは現実的判断。
 すでに本文は刷了、発売日を数日後に控えた今日になってわざわざ連絡してきたのに、プロの弁護士の見解に異を唱えてつっぱねるっていうのも大人げないし。
 だいたい、すでに与えられた枚数はオーバーしてたので、「依頼の枚数を守ってください」と原稿わたした時点で言われてたら、泣く泣く削ってたはずの箇所なのである。

 しかし、この種の評論で、小説の引用が問題になったケースを寡聞にして知らないんですが、そういうことあったんでしょうか? 和歌や俳句だと原理的に全文引用になっちゃうから、問題になりやすいのはわかるんだけど(裁判になったことがあるかどうかはよく知らない)。

 編集部のA氏の説明は非常に丁寧で、向こうも困ってる様子がよくわかったんで、むっとしたり腹をたてたりすることは全然なかったんだけど、こういうことってあるんだなあとびっくり。
 無許可のパロディ同人誌と違って、無許可引用の場合は、「著作権法で認められた正当な引用かどうか」が裁判の争点になるため、「すべての引用は犯罪である」ということにはならないにしても、明確な線が引けない以上は、「すべての引用は著作権裁判の対象になりうる」ということは言えるかもしれない。
 図版の引用なんかだと、だいたい原著作権者側が勝訴してるし。書評欄で書影を勝手に使うことも、厳密に言うと著作権法の正当な引用にはあたらないらしい。出版界の慣行としては、CDのジャケットは許可をとる、書影は勝手に載せる、マンガの本文ページは会社によりけり、って感じなんですが、本来はすべて許可が必要である、と。

 ウェブサイトで書影をがんがん載せちゃったりするのも、厳密には著作権侵害の可能性がかなり高い。現実的には、裁判になる可能性は、ふつうのサラリーマンが賭け麻雀で逮捕される可能性よりはるかに小さいし、だれにも被害を与えないんだから(むしろ原著作権者にとってはプラスになる)べつに気にする必要はないと思いますが、一応、著作権侵害かもしれないってことは頭の片隅に入れておくべきかも。
《本の雑誌》やSFオンラインみたいに、カバーのアーティストと装幀者名のクレジットはきちんと入れておくとか、そういう礼儀は必要な気はしますね(クレジット入れておけば著作権侵害にならないという意味ではない)。

 ピカチュウ同人誌事件で個人的にわりと驚いたのは、「赤信号をみんなでわたっている」という意識に乏しい人が多かったこと。
「元のと似てなきゃいいんでしょ」とか。勝手に改変していいのは原著者の許諾がある場合だけでしょう。
「歌詞の引用はJASRACに申請しないといけないけど、替え歌なら勝手にやってもだいじょうぶ」みたいなことを言う人もいたり。そうじゃなくて、歌詞の引用ならJASRACに申請するだけで可 能だけど、替え歌は著作権者の同意が必要なはず。
 JASRACっていうのは、基本的には、楽曲ごとに個別にそれぞれの著作権者に許可を求めなくてもいいように、窓口を一本化したシステムなんですね。だから、JASRACに登録されてないゲーム音楽とかを使おうとすると、著作権者をさがしだして許可を求めなきゃいけなくてめんどくさいと。

 考えてみると、パロディ同人誌の問題っていうのは、ファンジン翻訳に似てるかも。SF系のファンジンだと、翻訳権なんかとらずに英米の小説を勝手に翻訳しちゃう(原作が1970年以降のものについては明らかに万国著作権条約違反)ことが慣例になってて、ほんとはダメだけどまあでもファンジンだから、とか言ってたわけ。でもきちんと原著者に手紙書いて、「学生なのでお金は払えませんが、ぜひ翻訳させてください」と許可を求める人もちゃんといたもんな。




【4月7日(水)】


 というわけで、今日は上野で細田オフ。中一日で細田さんに会うとは。
 定刻よりちょい遅れで会場の居酒屋に着いてみると、店の前のホワイトボードに宴会の予約表が。どれどれと眺めてみると、
 細田様(××社)
 不特定多数が閲覧できるこんな掲示板に社名入れていいのかっ。これって削除対象でしょ。と思いつつ中に入ると、細田さんがひとりですわっている。てっきり女性ファンに囲まれて花見してるもんだとばっかり思ってたのに。
「オレ、人望がないからさ」
 と細田さん。いや、それはそうでしょうが。
 とか言ってるうちにバーバラさんとか織さんとか女性陣が続々登場。人気あるじゃん。いや、こわいもの見たさかもしれませんが。
 前半は掲示板関連、SF関連の話題。
「え? 《銀英伝》ってSFだったんですか?」とバーバラ嬢に真顔で質問されたのは驚きました。宇宙で戦争する話はふつうSFだと思うんだけど。
「いや、だからみんなが知ってるような話はSFじゃないんですよ」と力説する小川某。「5万部越えるとSFじゃなくなる」
 いや、5万部はちょっと多いかも。オレの感覚では3万部かな(笑)。

 岩田氏登場後は、本題(?)のやおい関連にシフトして、やおい同人誌の歴史を拝聴する。サイバー・フォーミュラ全盛期はコミケから遠ざかってたのでさっぱりわかりませんが勉強になりました。

 二次会はパセラ上野店。けっきょくパセラかい。しかしほとんど歌わず、無理やり召喚されたみのうら嬢の演説を聞く。DASACON論とか。などと書くと気をまわす人がいるにちがいない。

 今日はチャンピオンズリーグ準決勝なので真面目に帰宅。そんなにサッカーばかり見てていいのか。しかしマンチェスター×ユベントス戦は最高のゲームでした。それにしてもキエフ×バイエルンが3対3ってどういうこと?



【4月8日(木)】


 起きたらなんか風邪気味。
 4時、青山一丁目のSCE。ソフトバンク《ザ・プレイステーション》の対談仕事。
 お相手は、3Dシューティング、『オメガブースト』のメカデザインを担当した河森正治氏。いやあ、大河原邦男さんちに行った次の週が河森さんと対談とは、まったく偶然とはおそろしいものである。と思いつつウェブで経歴チェックしてたら、河森さんとは誕生日がおなじという事実が判明。いや、河森さんのほうが一年上なんですけど。
 いままで一度もお目にかかったことがないので、今日はじっくりSFの話ができるのか。と楽しみにしてたんだけど、河森さんの出張が延びて東京にもどってこられないとかでドタキャン。かわりに開発チームのスタッフの方々三人と話をすることに。
 このゲーム、宇宙版パンツァー・ドラグーンみたいなタイプのよくできたSTGなんですが、背景設定がSF。コンピュータネットワーク上にαコアと呼ばれる機械知性が自然発生。人類との全面戦争に突入、αコアは過去に遡って人類を抹殺しようと企む……って大筋は「ターミネーター」だけど、過去改変手段が「自己プログラムの一部を仕込んだ真空管をENIACに紛れ込ませる」だったりして、細かいネタがけっこうおかしい。なんか大野木さんと河森さんで考えた設定だとか。
 しかし開発スタッフの人にはあんまり関係ない部分なんで、トーク的にはいまいち盛り上がらず。こういうネタのSFにはこういうのがありますね、みたいな話をして終わり。

 終了後、SCEの人と、編集部の人と四人でごはん食べて、最近のゲーム界情報を仕入れ、とっとと帰宅。
 したのはもちろんワールドユースを見るためだが、まだ時間があるので録画しておいたキエフ×バイエルン戦を見る。シェフチェンコってすごいね。いや、これも面白い試合でしたが(後半のバイエルンの怒濤の攻めが圧巻)、結果わかってると燃えない。

 なんか異様に寒い中を出歩いたのが悪かったらしくすっかり風邪を引き込んでしまい、クスリをのんだら朦朧としてきたのでちょっと寝て、アメリカ×日本。
 一点めのオウンゴールは爆笑でした。
「自分のシュートが枠に行かないなら、かわりに相手にシュートしてもらえばいい」という発想はコロンブスの卵。日本代表は相手ディフェンダーめがけてシュートするのが正解かも。しかし小野だけはあそこではずさない人だと思ってたのに。
 イングランドはもう2敗しちゃったらしい。どうしてこのアメリカに負けますか? ユースってフル代表の力と比例しないわけ? 謎すぎる。




【4月9日(金)】


 はげしく風邪が悪化しているので寝たきり状態。出かける気力がなく、ピザーラの宅配ピザで食いつなぐ。
 Men's Walkerのゲームソフト・クロスレビューをうかつに引き受けてしまい、「弟切草 蘇生編」「サガフロンティア2」「ハウス・オブ・ザ・デッド2」「ウンジャマラミー」をプレイしないといけないのだがほとんどやってない。とりあえずPS版「弟切草」をはじめてみると、シナリオがずいぶん変わってる。奈美視点へのザッピングまでついている。グラフィックはいい感じ。でも落雷した樹が倒れてくるシーンはちょっと。
 ゾンビシューティングはドリームキャストガンの照準が全然合わない。プログレッシヴスキャンのワイドTVだから? DCガンは角川から裸で送られてきたので取説がなく、設定をいろいろいじってみたがどうしても弾が真ん中に飛ばない。しょうがないのでパッドでプレイしてたら疲れました。サガフロ2は全然サガじゃない感じ。




【4月10日(土)】


 風邪が治らず、寝たり起きたりしつつ家にこもってひたすらゲーム。今日もピザーラ。寝床ではたくさん本も読んだ気がするがよく思い出せない。




【4月11日(日)】


 ようやく風邪が治った感じ。久々の外出で都知事選の投票へ。
 味噌煮込みうどん食べて、2時間仕事して帰宅。選挙番組をちらちら見つつ、WOWOWでピアチェンツァ×ペルージャ。ほとんど中田、ラパイッチの2トップですね。あれで引き分けてれば意味があったんだろうが。つまんない試合。
 勢いでミラン×パルマ。いや、こっちはめちゃめちゃ面白かった。ミランのサッカーがつまんない元凶はビアホフだと思ってるので、ガンツへの交替は大英断。そのガンツのまさしくピンポイントの爪先タッチからのゴールはみごと。いや、マルディーニのシュートも良かったけど。
 とか言ってるうちに、ワールドユースのイングランド×日本がはじまってしまう。イングランドはすでに二敗している理由がよくわかるチームでした。日本もセットプレーとループシュートなら枠に行くことが判明。ぜったい決めてやると気張っちゃいかんと。しかし一位抜けでポルトガルと当たることになったのはめでたい。


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