【2月11日(木)】


 朝方ようやくデイヴィッド・ウェーバー『新艦長着任!』をかたづけて(上下本だけど読みはじめたら一瞬。《シーフォート》より全然面白いと思うんだけどなあ)、書評予定の本はすべて(《チョンクォ》をのぞいて)読了。
 さあ寝よう――と思ったらさいとう宛ての電話でたたき起こされたので、《本の雑誌》の原稿を一時間でざくざく書き、七割方仕上げたところで、新潮ミステリー倶楽部賞の戸梶圭太『闇の楽園』を読みながら寝る。

 なんか昼間は大雪だったらしいが夕方まで寝てたので知りません。『闇の楽園』読了。いやあ面白いじゃん。敵役は柏原郁恵ファンクラブの元重鎮だったりとか(原稿段階では柏原芳恵だったはずなんだけど、さすがにまずいってことになったんでしょうか)、村興しのアイデアを公募してホラーテーマパークが一等賞とか、もう爆笑。資質的にはミステリよりモダンホラーの人だと思うのだがどうか。

 8時ごろ出かけて熊長ラーメンでチャーシューメン煮卵入りを食べ、ミスタードーナツで仕事。SFMのWWW特集原稿を書く。



【2月12日(金)】


 SFMのWWW原稿つづき。インターネット・アスキーの「ガメラ3」原稿。
 G3原稿はいつも調子で書いて送ったら、よく知らない編集者から「ちょっと手を入れたので見てください」と訂正原稿がメールされてきて、まあ理解できる範囲の直し(説明を増やすとか、文章を短く切るとか)ではあるものの、やっぱり自分の文章じゃなくて気持ち悪いので無署名原稿にしてもらう。
 と思ったら、週刊ポストからもG3で一本書いてくださいと言ってきたのでちょうどよかったかも。しかし週刊ポストの映画評って、唐沢俊一が「キラーコンドーム」紹介してたりするのね。ファックスで最近の回を送ってもらって仰天。あと蛭子能収の「ヴァンパイア」(カーペンターのやつ)評とか。いいのか、そんなことで。

「キラーコンドーム」と言えば、なんか大ヒットしてるらしい。アルバトロス・フィルムから封書が届いて、なにかと思ったら大ヒット御礼の大入り袋に五百円玉が一枚。世も末である。いや、映画はわりと立派なんですが。



【2月13日(土)】


 5時半、青山一丁目の中華系レストランで《異形コレクション》の大宴会。SF大賞特別賞受賞と『グランドホテル』出版記念らしい。すっかり忘れてたんですが、きのう廣済堂の人がわざわざ電話かけてきてくれたので、どうにか「気がついたら過ぎていた」という事態を免れる。
 それにしてもめちゃくちゃ寒い。凍えながら外苑前の駅に降りると改札前に佇む横田順彌氏。地図はもらってけど全然道がわからないんだよ、ということなので一緒に会場へ向かう。が、道がわからない(笑) 目的地のビルを通り過ぎ、おかしいと思って引き返したら今度は入口がわからずそのブロックを一周してしまいました。やれやれ。あとで気がついたら、これって青山ラピュタガーデンだったのか。く。

 集まったメンバーの半数以上は《異形コレクション》歴代執筆者の方々。全執筆者の八割がたが来てたんじゃないですかね。はるばる九州から参加の梶尾さんを筆頭に、田中啓文、五代ゆう、芦辺拓、牧野修など関西勢も多数。インターネット文芸新人賞のCHEROKEEさんと三上真璃さん(『架空庭園の夜』)の姿も。
 冒頭の挨拶は編者の井上雅彦、つづいてSF大賞受賞経緯を大原まり子が発表。乾杯のあいさつが菊池秀行で、シメの挨拶が皆川博子という強力布陣。
 ほかにはSF系で、岬兄悟、難波弘之、大場惑、東野司、村田基、中井紀夫、久美沙織、森岡浩之、岡本賢一、ミステリ系で奥田哲也、篠田真由美、斎藤肇、ホラー系で田中文雄、朝松健、森真沙子、倉阪鬼一郎、図子慧、津原泰水、加門七海、霜島ケイ、佐藤嗣麻子、ファンタジー系その他で、ひかわ玲子、竹河聖、高瀬美恵、森奈津子、神月摩由璃、榊原姿保美、矢崎存美、若菜等、山下定、秋月達郎、松尾未来、本間祐、山口タオ、藤水名子、飯野文彦などなど。なんか推理作家協会賞とSF大賞と《幻想文学》のパーティをおなじ場所でやってるような感じ。これだけ揃うと壮観ですね。WWWサイト開設率が高いのも特徴か。

 よく知らない人、めちゃめちゃひさしぶりの人、初対面の人もちらほら。そうそう、「ぼっけえぎょうてえ」でホラー小説大賞短編部門の最終候補に残ってる竹内志麻子さんとも初対面。噂にたがわぬパワフルな女性でした。これなら茶木さんと勝負しても勝てる道理だ。ちなみに「ぼっけえ」は一度読んだらぜったい忘れられない鬼畜話で、順当に行けば短編賞はこれでまちがいないはず。

 評論家系では牧眞司、星敬、日下三蔵、千街晶之とか。東雅夫はついに姿を見せず。いろいろ複雑な事情があるらしい。他社編集者はほとんど来てなかったので、作家率の高さは鮎川賞以上かも。

 バレンタインデー前日ってことで、帰りには新刊『グランドホテル』のほかにチョコレートケーキのお土産つき。さすがに、「××文庫で長編一本書くより《異形》に短編一本載せてもらうほうが印税がいい」と言われるだけのことはあるなあ。

 二次会は飯野文彦の迅速な仕切りで新宿。「新宿プリンスホテルロビー集合」とその場で声をかけまくり、着いてから店をさがして二十数名を一軒の居酒屋に押し込んでしまう早業は、さすがワセミス出身。
 今日は我孫子さんがいないので、名代として田中啓文・牧野修を引率してタクシーに乗り新宿へ。正面の絵画館を見て、「あれ、国会議事堂ですか?」といきなりボケる田中啓文。今日は牧野さんが主につっこむ係だったらしい。
牧野「今日はいろんな人来てはりましたねえ。なんかおそれおおいような、ねえ」
啓文「皆川博子先生にはとうとうよう挨拶せんかったなあ」
牧野「はあ。そうですか」
啓文「ミのつく人はだめなんですわ、ぼく。この前のパーティのときは、宮部みゆきさんにも声かけれへんかったし」
牧野「ミがふたつもついてるからねえ」
啓文「三上ミミミさんとか、もう顔も見れへんね」
牧野「だれやねんそれは。どこの人やて。思いついたことそのまま口にするのやめたらどう」
啓文「いや、ほんまやて。ほんまにおんねん」
牧野「ミミミさんが。ほう。どこの人?」
啓文「ほら、あの、3年前のコバルトノベル大賞の最終候補に残ってたやろ」
牧野「三上ミミミさんが」
啓文「そうそう。惜しかったねえ」
大森「でも作家しりとりやってたら、田中ヒロフミ、ミヤベみゆきで並ぶやんか」
牧野「ほんまや」
大森「宮部みゆきと隣同士」 啓文「なんや、お隣かいな、みゆきちゃんと」 大森「あ、でもヒロフミなんて読み方、みんな知らんからなあ。田中ケイブン、しもた、『ン』言うてしもた、あたしの負けや、と」
啓文「……あ。それええなあ。もうとこ」
牧野「ほら、またそうやってしょむないネタもらうやろ。でこの人、もうとくだけやのうて、ほんまに使うからね。だいじなところで」

 牧野さんはしょむないネタはもらわないらしく、せっかく「赤羽の王」というネタをあげたのにあまり喜んでいなかった模様(その後、スタジオアルタ前で別件の待ち合わせがあるとかで牧野さんは去る)。

 二次会では、主に倉阪鬼一郎からホラー業界の最近の情勢について取材。しかし倉阪さんは「いろいろ聞いてるんですけどねえ」と言いつつけっこう口がかたい。あとは芦辺さん相手にひとりで福井健太擁護の論陣を張ってました。つくづく義理がたい人である。もっとも二次会には千街晶之も日下三蔵もいなかったからな。

 三次会は靖国通りのシダックス。11時から午前2時まではえんえん雑談。残ったメンバーは、五代、高瀬、霜島、加門、佐藤、井上、菊地、倉阪、田中、倉阪、芦辺、奥田、飯野の各氏と廣済堂のS宮さん。あとから、これまた初対面の笹川吉晴氏(女性連れ)が合流。なんか専大のゼミで日下三蔵といっしょだったとかで、笹川くんは友成純一、日下三蔵は今日泊亜蘭で卒論を書いたそうである。『獣儀式』やら『光の塔』やらを卒論審査のために読まされた担当教授の苦労がしのばれることである。

 途中、飯野文彦が下ネタ全開状態となり、菊地御大が必死に押しとどめるひと幕も。「これだから早稲田は……」とか言ってると、「いや、だから早稲田とワセミスは区別してください。悪いのはみんなワセミスです」と反論するのは早稲田幻想文学界の倉阪鬼一郎である。その飯野さんの隣でずっと太股を撫でられたりしていた奥田哲也氏はすっかり悪酔いして女子トイレにこもったまま出てこなくなる事件とかが引き起こされていた模様。だいたいシダックスのこの部屋(二部屋ぶち抜きのパーティルーム)はろくなことがなくて、かつて杉江松恋泥酔事件とかがあったのもこの部屋である。いや、あのときの凶悪なカラオケにくらべれば全然平和だったな。

 2時からようやくカラオケになり、「今日は田中啓文と『イヨマンテの夜』をデュエットするのが主目的」と豪語していた倉阪鬼一郎がぐいぐい飛ばす。詳細はWEIRD WORLD参照。東雅夫と組めばもっとウケたかもしれないが、中立宣言しちゃったからな、倉阪さんは。

 結局、最大の問題は、ホラーに関する常設レビュー欄がSFマガジンぐらいしかないってことでしょう。倉阪さんは、ミステリ系の人のホラー書評に関してはかなり言いたいことがたまっているらしい。ターゲットが同じなので我孫子さんと意気投合するのも当然か(笑)

 大森は《異形コレクション》的にはまったく部外者であるにもかかわらず、結局午前4時までシダックスに居座り、赤坂のカラオケから午前2時過ぎて合流したさいとうよしことタクシー帰宅。



 追記:異形宴会で撮影した写真を整理したので、載っけておきます。そろそろ写真館のほうも大改革しなきゃいけないんだけど、とりあえず。



【2月14日(日)】


 FFVIIIは4枚目冒頭のアデル戦にどうしても勝てないので、けっきょく前のセーブデータ(ルナティック・パンドラ突入直後)までもどってやりなおし。ほっぽらかしてたG.F.のブラザーズとディアボロスをとる。しかしそれでも、セイレーンとリバイアサンとパンデモニウムがいない。後悔先に立たずである。ケルベロスはあとまわしにしようと思ってそのまま忘れちゃってたんですが、ガルバディア・ガーデンって今どこ? もうなにも思い出せないぞ。

 まあ真面目に戦ってると武器の改造が進むのでそれなりに楽しいかも。本を買う金が足りなくなったので、泥縄で昇進試験を受けて、S.E.E.D.レベルを上げたりとか。それにしてもゲームバランスが悪すぎなのでは。

 掲示板であっぱっぱ氏から情報提供を受けた「幽霊はここにいる」の芝居を横目に見ながらひたすらレベル上げをつづけ、さらにペルージャ×インテル戦を見る。いやあ、まさかインテルに勝つとはねえ。でも今のインテルは全然インテルじゃないのでちっとも怖くないんでした。ジョルカエフはともかくシメオネだめすぎでしょう。



【2月15日(月)】


 夕方起きてFF。ロイヤルホストから、誕生日記念25パーセント引きの葉書が来たので、夕食はロイホのベトナミーズ料理フェア。揚げ物がうまい。次回はシチューだな。

 昨日倉阪さんから、異形コレクションに書いてる作家のページのリンク集がほしいとリクエストされたので、さっそくつくってみる。それ以前に異形コレクションに書いてる作家の一覧が必要になり、ネットで作品一覧を漁り、適当に加工。とりあえず著者別あいうえお順のインデックスを作成してみると、なんとなく奇数巻の人と偶数巻の人がいるのがわかったり。4本以上書いてる人を異形作家と認定して占有率を出すとか、いろいろ遊べそう。
 異形作家リンクは、リンクページに入れておいたので、適当に使ってください。ここに載ってない個人ページ(ファンページはいまんとこ除外)を発見した人は伝言板かメールで教えてね。

 こんなことしてるヒマはないはずなんだが、三次会のカラオケ代まで廣済堂にもってもらっちゃったからせめてもの罪滅ぼしってことで。十巻が出たあたりで《異形コレクション》もまとめて書評しなきゃ。
 SFマガジンのWWW特集サポート用のリンクページもつくろうかと思ったけど、こっちは150リンクぐらいあってめんどくさいのであとまわし。


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