狂乱西葛西日記96年11月16日〜23日


【11月16日(土)〜17日(日)】

 金曜日の締切だった週刊現代『絡新婦の理』書評をなんとかでっちあげてファックス。いままでいちばん書評の書きにくい本かもしれない。だいたい著者が知り合いだと書きにくいっていう一般的な傾向もあったりするので、「書評家は友だちが少ないほうがいい」というテーゼは真理かも。知り合いの本の悪口が書けないって意味じゃなくて、ふつう読者のほうを向いて書くべき書評に、著者に対する言葉が交じっちゃうのがまずい、と。
 もっとも大森の場合、SFだと「ジャンルに対する言葉」まで交じっちゃうので、さらに書きにくくなるわけですが。そういう意味でいちばん苦労するのは菅浩江のSFか(笑)

 4時高田馬場ユタ。星野富美男師範をお迎えして、M:TGカードのトレード大会。ネクロマンサーデッキ、ゾンビデッキ用のキーカードを入手してラッキー。Helm of Obedience放出はちょっと失敗だったかも。でもまあ一枚じゃ使えないしなあ。

 青白100枚デッキ(チューター入り)は柳下が対策を練ってきたのでなかなか勝てない。ううむ。速度が問題なのだ。

 日曜日は24時間爆睡。一週間分の疲れがどっと出た感じ。


【11月18日(月)】

 論座の原稿(ジングル・オール・ザ・ウェイ)と椎名誠『中国の鳥人』の解説。今年はなんだか月一本の割合で解説を書いている気がする。翻訳が進まないわけだよなあ。
 来年は映画評の連載をやめて、パソコン誌の原稿も「ざべ」だけに絞りたい。あとアニメージュと小説すばるの書評、Gamewalkerのゲーム評、SFマガジンの連載インタビューでしょ。これだけなら月に一週間ぐらい拘束されるだけだから、残った時間でばりばり翻訳ができる――はずなのだが。


【11月19日(火)】

 ミステリマガジンのスタージョン短編"Helix the Cat"に着手。明日の森岡インタビューに備えて「星界の紋章」を再読、「星界の戦旗」のゲラとSFマガジンの短編をまとめて読む。


【11月20日(水)】

 2時、早川書房。地下のレストラン、リヴィエールで「SFインターセクション」第二回の森岡浩之インタビュー。


【11月21日(木)】

 風邪を引いたせいか喘息の発作が出てWOWOWの会議をパス。午後になって多少落ち着いたのでアニメージュの原稿。明日から京都なのにだいじょうぶなのかっ。


【11月22日(金)】

 12時56分発ののぞみで小浜夫妻と京都へ。車中は三村美衣とデュエル三昧。なんかあっという間に着いてしまうことである。
 京都駅からタクシーに乗って、4時前には京大ミステリ研のボックスに到着し、我孫子さんと合流。ミステリ研のボックスに入るのはこれがはじめて。まあしかしボックスはどこもおんなじである。SF研の場合は先輩に甲斐性がなかったので、ボックスはないんだけどね。しばらくなごんでから、十一月祭のパンフを見てM:TGな企画をやってる教室を調べて、三村美衣と遠征。しかしたどりついた教室は無人だった……(あとで佐脇に聞いたら、D号館のべつの教室ではずっとギャザってる人々がいたらしい)。
 焼き鳥とか食べながらぶらぶらもどってくると法月さんがボックスに来ていた。A号館のミステリ研の企画(といっても、青鴉城の最新号を売ってるだけ(^^;))をのぞき、初期の目的(ひみつ)を果たしてから、百万遍に出てセガカラ2時間。なんかカラオケは二ヶ月ぶりくらいなので、たまっている新曲を消化し、我孫子さんが自宅に電話して入手した(笑)番号で、「檄! 帝国華撃団」を歌う。
 ごった日記既報の通り、5人で百万遍の定食屋あやとり行って食事。食べ終わったところでSFマガジンの塩澤編集長が合流し、ボックスに置いたままだった荷物をピックアップして一乗寺。綾辻さんのマンションの向かいにあるDAMのボックスで3時間。あとから麻耶雄嵩、綾辻行人合流。
 さいとうよしこはどうしたかというと、昨日の夜から北海道。天外の新作のファンブックみたいなやつをアスキーで出すんだけど、その編集兼ライターをやってる関係で、急に札幌出張が決まり、今日はハドソンの開発スタッフに取材してるんですね。
 12時でカラオケを切り上げ(小浜夫妻は三村美衣の枚方の実家に泊まるため、綾辻さんと入れ替わりで10時半ごろ去る)、綾辻氏をのぞく法月・麻耶・塩澤・大森で我孫子邸。今日ゲームウォーカーから届いたばかりの「ワイプアウトXL」とか「ベルトロガー9」とか。麻耶雄嵩のゲームプレイは凄絶で、一瞬も立ち止まらず、つねに走りつづけている。がんがんがんがん進めつづけて、ぽつりと一言。
「なんかこれ、全然面白くないなあ」
 人柄が忍ばれることである。しかし「ワイプアウト」はけっこういいかも。Fゼロ感覚のマリオカートだったり。
 そのあと「スターグラディエーター」見学してるうちに今朝も7時起きのわたしは爆発的に眠くなったので3時前にリタイアして先に寝る。


【11月23日(土)】


 10時半に起きて、塩澤編集長と京都SFフェスティバル会場の京大会館へ。11時ジャストに到着し、10分遅れくらいで開会。一応、聞き手ってことでブッキングされてたんですが、最近は「沈黙も芸のうち」(笑)という方針なので、わりと投げやりに司会。新編集長の人柄がにじんでいたので、まあよかったのでわ。しかし野崎は爆発してたな。山岸真も戦闘的なので面白い。
 お昼は京大会館地下のレストラン。そのうち久美沙織さん到着。ほかにだれがいたのかもう思い出せない。しばらくして会場にもどると森下さんが来てたのでホームページの話とか。
 午後一の企画はその森下さんの講演で、SFマガジンの連載の総括的なもの。前半はSF人生昔語りって感じで、個人的には学芸高校時代のエピソードが面白かったす。なにしろ郷土の先輩なので。しかし大森の本名ネタは、なんのことだかわからない人が多かったのでわ。
 森下さんの話の途中で我孫子さんがやってきたので、下でお茶してる久美さん菅ちゃんところに案内する。久美さんはすっかり我孫子ファンになってて、京都で会えるかもってことで全作品読破してきたらしい。うーん、やっぱり昨日から呼んでいっしょに遊んでればよかったのかも。
 最後の企画は久美・菅対談。久美さんは「SF作家」に気を使ったのか、わりとセーブ気味で(この人もしゃべりだしたら止まらない人である)聞き手にまわる場面が多かったですね。歴戦の強者コンビ(笑)だけあって安心して見てられるというか、派手に盛り上げてくれて場内爆笑大会。内容的には我孫子日記既報の通り、作家の作品に対する態度とか、わりと抽象的なテーマだったんだけど、小説書かないおれにも面白かったんだから全然オッケーでしょう。

 企画終了後、ぶらぶら宿まで歩いて荷物を置いてから熊野神社前のからふね屋でお茶――と思ったらさすが連休でみごとに満席。しょうがないので去年も入った謎のレストラン、〈十両〉になだれ込む。んで去年とおなじすき焼き風鍋を食べました。
 途中で綾辻氏が合流、一時間ほどしゃべってから、我孫子・綾辻は京大ミステリ研OB会に去る。
 ってことで、このあと狂乱のセンター試験&M:TGブースタードラフト・トーナメントの火蓋が切って落とされるわけですが、その模様は次回。

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