【1月27日(土)】

 きのうようやく買った島田荘司『龍臥邸事件』をえんえんと読み、読了。
「器の本格」というからには、せめてまともな解決を期待したいと思うんだけど、いまの島田荘司にそんなものを期待できるわけないので、失笑の密室トリックにもさほど腹は立たない。けっきょくこれって、『秋好事件』+『天に昇った男』を一冊にして、石岡が探偵だったばかりに後者の比重が異常に大きくなってしまったって話でしょ。
 それにしてもどうせ添え物の連続殺人をあんなに長く書いてしまうと、肩すかし感が強まるばかりだと思うんだけど。津山三十人殺しの書きっぷりにも『秋好事件』ほどの迫力はなく、事件そのもののインパクトで点を稼ぐのはちょっとずるい気がする。
 ま、『八つ墓村』とは小説化の方向性が違うし、「本格ミステリ」の中にノンフィクションを埋め込むなんて荒技が使える人は島田荘司くらいだから、これはこれでいいんですが、しかしコード型本格を書きましたって言われてもなあ。
 しかしスケベが風土病的に遺伝するといわんばかりの書き方は、現実の事件に取材した小説としてはあまりに無神経では。あの村にいまも住んでる人は(もしいるとすればだけど)いい気持ちがしないんじゃないですかね。

 その勢いで、さらに服部真澄『龍の契り』をかたづけ、天童荒太『家族狩り』まで一気読み。
『龍の契り』は、プロットはよくできてるけど文章がなー。こういうのを「人間が書けてない」っていうのでは(笑) ほとんど劇画の原作って感じなので、小説を読んだ気がしない。まあこのプロットでディテールとかキャラクターがきっちりしてるとトム・クランシーになってしまうので、新人にそこまで期待するのは無理かも。まあ超訳のシドニー・シェルダンが売れるなら、この手の波瀾万丈和製国際謀略小説は当然需要があるでしょうね。読んでるあいだは面白いし。

 これにくらべると、『家族狩り』は、おなじありがちな話でも書き込みでカバーしてて、デウスエクスマキナをあんまり感じさせないところが立派。シロアリのイメージがストレートすぎるとか、女性キャラが類型的とか、まあ欠点はありますが、年間ベストクラスの出来でしょう。


【1月28日(日)】

 堺三保から、去年の年末にやったモンドコンピュータ映画座談会のテープ起こしがやっとメールされてきたので、ざっと手を入れて刈り込み、4枚くらいのまえがきをつけてから担当者にメール。なんか締切二週間以上ばっくれて申し訳ないっす。といっても、これは堺が悪いんだからね。

 5時に飯田橋、書店のほうの深夜+1で、東北大SF研OBの佐藤紀文@富士ゼロックスおよび柳下毅一郎と待ち合わせ。本来、共通の知り合いである高橋誠@BNNが幹事で、大森と紀文さんを引き合わせるという趣旨だったのに、ゆうべ飲み過ぎたという高橋誠氏は一時間の大遅刻。どうせ携帯電話の番号知ってるからいいよねってことで、三人で近くの花のれんに入る。
 東北大、京大、東大と旧帝大SF研出身者がそろったので、「だいたいSF研出身じゃないやつは時間にルーズだよな」とか高橋誠を罵倒しながら昔話。
 柳下・紀文間では、Thinkpad220譲渡話が進行。

柳下「いくらくらいですかねえ?」
紀文「うーん。メモリも4メガ増設してるんですよ。純正品だから、それだけで5万くらいしたなあ。Win3.1も入ってるし、DOSはPC DOS7.0。充電式バッテリーパックもつけましょう」
柳下「えーと。3万8000円でどうですか?」
 
 きっぱり言うが、柳下はケチである。

 殺人専門家がいるならってことで、『龍臥邸』の津山三十人殺しの話を振ると、さすがに柳下はくわしい。
「ほかにも、ええっと、バラバラ殺人って言葉が初めて使われた……」
「あ、玉の井のやつね。ふーん」
 とかそんな感じ。殺人鬼おたくが活躍するメタ殺人鬼ミステリってできないかね。ってそれじゃ友成純一『「ホラー映画ベスト10」殺人事件』か。『「殺人鬼ベスト10」殺人事件』。売れるぞ。売れないか。


【1月29日(月)】

 ゲームウォーカーの原稿のためと称して「セガラリー」。イージーモードでようやく一位をとり、4コース目が出現。しかしノーマルモードでの全コース一位制覇の道はけわしい。攻略本買うしか。我孫子さんはいいかげん完走したころかな。思いきりネタにさせていただいたので感謝感激な感じである(笑)>我孫子様。
 デジタルボーイはやったこともない「マジック・ザ・ギャザリング」でコラムを一本。なんか原稿二本書いただけで一日終わっちゃって作業効率落ちてる感じ。新書館が今月締切なのになあ。
 といいながら家にいるとついWWWで時間が経つ。国内SF関係サイトさえもはやフォローしきれなくなっている事実にショックを受け、あらためて各所をまわって、リンクページを大改造。大野典宏さんのロシアSFページなんていったいいつのまにできたんだろう。ここは立派です。

 チャールズ・プラットから郵便。なにかと思ったら、The Dinner with the Hayakawansと題する旅行記エッセイで爆笑。これはそのうちE mailで送ってもらって、本人の了解がとれたらCharles Platt on lineに載せることにしよう。

 金子誠氏@メディアプラネッツからはプレステ&ワイルドターキー・トラディショナルのセット(笑)に2万円で入札あり。しかし三村美衣女史が2万2000円を付けてきたので、川越方面に引き取られることになりました。これでメガヘルツのカードモデムが買える。ラッキー。


【1月30日(火)】

 6時、ミストラルでActive English編集部(アルク)の下沢さんと会ってインターネットコラムの打ち合わせ。「英単語知ってるつもり」のときに一年ぐらい原稿を送ってた相手ですが、会うのはこれがはじめて。CATの宮脇さんの連載をずっと担当していた人らしい。えらいかも(笑)
 寝たのが11時くらいで、昼間がんがん電話がかかってきて起こされたせいか、打ち合わせ終わって家に帰ると眠くなり、『時は準宝石の螺旋のように』を読みながらそのまま寝てしまう。


【1月31日(水)】

 月末のせいか雑誌が大量に届く。MEDIA FRONTは今月でおしまい。E frontのあみこさんの日記コラムとか、アナテロ通信とかが読めなくなるのはちょっとさびしい。インターネットライフにはどこまで引き継がれるんでしょうかね。
 柳下の映画欄は「トイ・ストーリー」で、大森のNetWorksシネマ欄とぶつかってるんだけど、けっきょく演出だねって結論はいっしょだったり。アメリカまで行ってそれか(笑) あ、マーチャンダイズな話で落としてるから、このへんが招待旅行の成果かも。
 ちなみに今号のE frontにはさいとうよしこの「カラオケとかインターネットとか」っていう謎のエッセイも載っているのだった。いっちょまいに「GUIな商用ネット」とか書くようになっている(笑) そのエッセイでも触れられているX−55の請求書もいっしょに今日届いたんだけど、12月のカラオケデータ使用料は164曲で4920円だって。ボックス15時間分と思うと安いか。この調子なら半年で元がとれるかも(笑)
 
 金子のぶお@扶桑社が最近個人的に送ってくれているPANjA3月号は、「すぐそこにあるサイエンス・ホラー」を特集。山本弘がSFホラー映画/小説を紹介してるんだけど、『時の声』とか入ってるのがなかなか。読書いもづるガイドはいきなり『バーチャファイターマニアックス』なので驚いた。PENTHOUSEでやってた藤脇邦夫のコラムが移籍してるのはなぜなんでしょうか。
 そのPENTHOUSEの特集「コンピュータリラリラ〜ン。」(笑)はけっこうサマになっている。なんといってもトンデモ界のヒーロー、三上晃先生のインタビューがヒットでしょ。相変わらずRXの5インチFDドライブに自分の写真つっこんだりしているのは進歩がないけど、
「他の太陽系のね、生物が存在している星、私は30までつかまえてますが、それと比較すると地球はビリなんですよ。ようするに超素粒子が低位なんですね。エネルギーが非常に低い。だからお互い殺し合いをしとると。政治、経済、滅茶苦茶だと。もう最低の星なんですよ。コンピュータは私と植物さんを結んでね、そういう哀れな人間に教えを示してくれるんです。イエスだ、ノーだとね。だから、世界が平和になりますようにと念じてキーを叩くと、段々平和になるんですよ、うん」
 というこの確信には勝てない。
 便器にまたがる池松江美さんの写真がいきなり載ってるのもたまげましたが、なかなかラブリーだったな。
 
 などとのんきに書いてるところへ携帯に電話。
「講談社の関ですが。いまどちらですか?」
 げげげ、待ち合わせをすっかり忘れていたぜ。4時の約束なのにもう4時半(;_;)
 あわてて家に帰って、小浜徹也にわたすプレステ&ワイルドターキー&ソフトセットを持ち飯田橋へ。改札出たところで小浜と合流しわたすものをわたし、1時間10分遅れでホテルエドモント。に行ってからの話はまた今度ね。






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