【1月7日(日)】

 西葛西の図書館に寄ってイタイイタイ病&森永砒素ミルク関連の資料をいいかげんに調べ、あとはNIFTY-Serveの新聞データベースで落とした情報をもとに、『赤い列車の悲劇』の解説をもっともらしくでっちあげる。やっぱり社会派な原稿は向いてないかも(笑)
 新書館から出る伊藤典夫編『SFベストブック201』(仮)の原稿に着手。大森担当分は800字のブックガイドが24本。締切は去年の26日(笑) 中村融はすでにぜんぶ書いてしまったらしい。迷惑なやつである。まあ伊藤さんと良平さんがいるから最後になる気づかいはあるまい。しかしこの程度ならちょろいと思ってたけど、いざ書きはじめると忘れてるし。というわけで『エンパイア・スター』とか『アザー・エデン』とか『世界の中心で愛を叫んだけもの』とか発掘して読む。で、意外とつまんなかったりするんだこれが。エリスンなんて昔はあんなにかっこよく見えたのになあ。やはり若気のいたりだったのかも。


【1月8日(月)】

 NIFTY某所の情報によると、茶木さんはPANjAの一件で関口苑生に思いきりおどされ(「おー、新本格の連中が激怒してるそうだな。しっかりやれよ、おれがついてるから」とかなんとかゆったにちがいない>関口(笑))、事情通の某Y田氏にヘルプコールした模様。けけけとか笑ってたらうちにも二、三度電話があったらしく、携帯の留守電にはぜひ連絡がほしいという伝言あり(笑)
 さっそく電話すると(ってほんとは翌日なんだけど)茶木さんはけっこう動揺している模様(笑) 活字媒体に反論が出るならきちんと対応したいってことで、
「小説すばるとかに反論書くんじゃないの?」とかゆってたけど、PANjAのあの記事って、べつにそういう性格のもんじゃないしなあ。むしろ夏来健次が創元推理で鉄槌を下すとか、笠井さんが野性時代で撲滅するとか。ちがうか(笑) まあどっちみちお笑い系のネタだと思うんだけど、冒険・ハードボイルド系vs新本格系のセクト抗争に発展させると、それはそれで不毛ながら面白いかも。
 ところでY田氏こと未読王氏と茶木さんとのあいだに交わされた会話については未読王氏が某所に発表した赤裸々な真実の記録(笑)があり、その転載許可をいただいたのでここに発表する。ってよく考えたら茶木さんを知らない人には全然おもしろくないかもしれないがそんなことは知らないのである。ふふ。


RRRRRRRRR・・・・・・・・・
未「はい、もしもし、未読ですが」
茶「ああああ、未読先ぱ〜い(;_;)!」
未「おお、馬鹿か。相変わらず元気に地雷踏みまくっているようだな(笑)?」
茶「そ、そ、それでんがな、それ(;_;)!! 先輩、「PANjA」の座談会の一件
  で何か聞いてます(;_;)? 今回のことだけは、俺、さっぱり訳がわかりません
  (;_;)! ひっくひくひく(;_;)」
未「え? 俺が聞いてるのはA辻氏がお前のことを大嫌いだとか、K極氏が毛虫を見
  る目でお前のことを見てるとか、A孫子氏がインターネットを通じて世界中に
  お前の悪口を発信しているとか、O森氏が陰で『C木抹殺指令』を出してると
  か、お前の女房が近くのコンビニの茶髪のバイト店員と不倫してるとか、せい
  ぜいそのくらいのことだよ?」
茶「そ、そ、それだけ知ってれば充分じゃないですかぁぁ(;_;)! お、お、俺なん
  てどうせほっといてもこのまま消えていくだけの吹けば飛ぶような下司野郎な
  のにぃ、どうして、みんなそっとしておいてくれないかなぁ(;_;)?」
未「そうだよなぁ(笑)。何もみんなで首吊りの足を引っ張ることもなかろうに」
茶「だいたい、あの座談会のどこが新本格系の皆さん方を怒らしたんでしょ? S口
  さんもさっき嬉しそうに電話してきてそう言ってたんだけど」
未「うん、俺もそう思う。あれのどこに新本格系の作家連中の逆鱗に触れるところ
  かあったのか、よくわからんなぁ」
茶「でしょでしょ(;_;)? それにだいたい、あの新本格系の作家を評した部分は、
  俺、ちょうどビールのお代わりを調理場まで取りに行ってて席を外してたのに
  なぁ(;_;)。だから、あのあたりはみんな、K応のミス研OBたちの意見なんで
  すぜ(;_;)! 俺、座談会の間は、みんなに冷えたビールを注いであげるのだけ
  が役目だったのにぃ(;_;)」
未「ははぁ、わかった! もしかしたら新本格系の作家はお前のことを『このミス』
  の覆面座談会のBと勘違いしてるんじゃないか? それで、みんなお前のことを
  誤解してるんだ、きっと」
茶「あ、あのBは俺ですだよお(;_;)!」
未「あぁ、それじゃしょうがないよな(笑)」
茶「S口さんは、やるなら徹底的にやれ! 俺は背面から援護するからって言ってく
  れたけど、そ、そ、それじゃ、前門の虎後門の狼じゃないですかぁ(;_;)! 敵
  に回すと怖いけど、味方に回ると頼りなさそうだしなぁ、あの人って(;_;)」
未「むむむ(^^;)。・・・・ま、『新進気鋭のミステリ評論家』ってお前の肩書きが気に
  くわなかったのではないか? 俺だって激怒したもん、あれ見た時は(^^;)」
茶「あ、それか編集部のおだてに乗ってついつい自分で書き加えた『斯界の若きご
  意見番』ってキャッチフレーズも、よくなかったかも・・・・(^^;)。だけど、今度
  は『A学卒』って学歴詐称はしなかったのになぁ、俺(;_;)」
未「それとも、先日の『週刊G代』の『私刑』の評の中で、『リーダビリティ』に
  わざわざルビを振って『読みごたえ』って書いてたのが馬鹿にされた原因では
  ないのか(笑)?」
茶「なんか英語使えば格好良く見えるかと思って・・・・(;_;)」
未「こんな時期にマンションも買ったらしいし、大変だよなー、お前も」
茶「しかも、まだ再就職先も決まってないし、えぐえぐえぐ・・・・(;_;)」
未「うん、40を目前にして、立派なプーだもんなぁ、お前・・・・金ボタンはずした
  ヤクザに世間の風は冷たいぜぇ(笑)」
茶「ああ、そんなにつくづく言わないで下さいよぅ。それでなくてもこの寒さが骨
  身に堪えているって言うのにぃ(;_;)。・・・・こ、こういう時は、未読先輩しか頼
  りになる人はいませんっ!」
未「むむむ、来たな、ついに(-_-;)」
茶「黙って、俺に1億・・・・2億五千万、貸して下さい。頼んますっ!」
未「担保はあるのか?」
茶「タンポはないけど、女房の使っているナプキンの使いさしならあります、家に」
未「ああ、お前のそういう下品な冗談には、俺、いつまでたっても慣れることが出
  来んわ。じゃあな」
茶「ああああ、ま、待ってくださ」ガチャ!

                俺、茶木の友達じゃないっす(^^;)・・・・未読王


【1月9日(火)】

 午後一で六本木、GAGAに行って「セブン」の試写――と思ったら試写状の見間違いで、今日は「怒りの逃亡者」(原題Rage)とかいうゲイリー・ダニエルズ主演の思いきりB級なアクション映画なのだった。他にまわるのもめんどくさいし、94分ならいいかと思ってそれを見て(まあテレビで見ても腹は立たないくらいの出来)、ブエナビスタにまわって「トイ・ストーリー」。柳下毅一郎が魂を売った映画として有名(笑) ジョブズがアップル追い出されたあとに株を買ってたCGの会社が一発あててめでたしめでたし的な映画ですが、出来はけっこういいっす。しかし主演おもちゃのカウボーイ人形の顔がブルース・キャンベルそっくりで、おれだったら速攻で捨てちゃうと思うな(笑)

 終わるなり試写室とびだして高田馬場。約束の時間に10分遅れでトーレン・スミスと合流、コアマガジン(白夜書房)で打ち合わせ。田沼雄一郎も末広雅里もアメコミ版は順調に売れてるし、作業も順調に流れてるので白夜関係はノープロブレム。これは担当の櫻田嬢がきわめて熱心かつ優秀であるおかげ。
 この二人につづいてもうすぐ唯登詩樹のJUNCTIONがスタートするんだけど、カバー用にカラーイラストが欲しいと申し入れてたら、唯さんはMacで描いた絵の色味をわざわざアメコミの紙用に修正、CD-ROMに焼いて入稿。気合いばりばりな感じ(家に帰ってからファイル開いたら、いちばん大きいやつは30メガ以上あって、うちのPhotoshopで開くのに3分くらいかかった(笑))

 白夜のミーティングのあとはおなじ馬場の喫茶店で、スミス夫妻とともにマンガ家の昆童虫さんと打ち合わせ。
「アボ博士の実物に会えて光栄です」とか唐突にゆわれてのけぞる(笑) べつにSF読みの人じゃないらしいけど、水玉さんのファンでたまたま『フリーゾーン大混戦』読んじゃったという。これでSF者だと判明したんならいきなりナメてかかるところだけどさ(笑)
 商談(笑)のあとは栄通りの奥の夜来香に行って四人で食事。ひとり先に帰ってNetWorksの映画の原稿を泥縄で仕上げて送る。


【1月10日(水)】

 翻訳家の木村仁良氏からホームページ開設メール。さっそく見にいくと全英語詞――じゃなくて全英語ページで仰天。正月休みをつぶしてホームページ用の原稿を書いてたっていうのも納得。出版系の個人ページでここまでインターナショナル仕様なページってはじめてかも。いやー英語が得意な翻訳家の人もいるんだなあ。おれなんか英語のメール書くのもめんどくさいのに。

 メールといえば、宮部みゆきさんからも年賀状の返信の郵政省メール。55時間費やして「タクティクス・オウガ」をクリア、現在二周めなので「キリーク2」が進まなくて困っているとか、おかげで「シレン」はまだ13階だとか(笑)
 無断で一部引用すると、
 あやつじ氏に「私も攻略本を書いてみたい」と言ったら、
「それにはまず、素のゲームを自力で攻略できないとムリじゃないかとゆわれました。

 だそうですが、だいたいサブで学生ゲーマーがつくから自力攻略ができなくてもだいじょうぶっす。というわけで攻略本メーカーの人は宮部さんに発注しよう!……とか書いてるとアスキーの宮川さんとかすぐ電話しそうでこわいな(笑)
 その節はさいとうよしこにラフを切らせて編集を担当させてやってください(笑)

 朝日新人文学賞の一次選考の締切なので、残り十数本をまとめてかたづけ、評価表を書いて荷造り。こーゆー日銭稼ぎ仕事ばっかやっててもなあと思うんだけど、人様の原稿を読むだけでお金がいただけるというのはどうも抵抗できず、ついふらふらと引き受けてしまうのは、編集者上がりの悲しい性ってやつか。でもやっぱり今年はホラーとファンタジーだけにしよう、うん。


【1月11日(木)】

 今日もプロテウス仕事で午後1時に辰巳出版@新宿三丁目。リクエスト中の新しい作品についてはペンディングになったものの、話はまずまず順調に進む。
 トーレンと鰻食ってから、目についたビデオ安売王で、松山仁監督の特撮SF大作(笑)を購入。さいとうよしこ宛の年賀状で、そういうものを撮ったらしいという情報だけは仕入れてあったんだけど、現物を見てみると主演・尾崎魔弓だった(笑) 「全裸学園」の新作は売り切れ。あと全裸スポーツシリーズもさがしてるんだけど在庫なし。ビデオ安売王オリジナル作品のカタログとかどっかで出してくれないかな。
 関係ないけど、テレ朝の月曜夜8時の連ドラ「ハンサムマン」は今関あきよし演出だそうで、設定がめちゃくちゃらしいので覚えてたら今度見よう、とここにメモしてどうする。
 4時にスタジオかつ丼@江古田。真鍋譲治氏と「中華一番」英訳プロジェクトの打ち合わせ。これから描き直して単行本3巻で3月から刊行というマンガを同時進行で英訳するという実験的試み(笑) 真鍋さんちのネコは美猫だったな、しかし。

 家に帰るとアニメージュが届いていた。どうでもいいけどこの堺三保コラムの枕をなんとかしろ〜。内輪ネタ書くのはいいけどこれじゃIQ低すぎ。ま、なにがみっともないかの感じかたは人それぞれだろうけどさ、あたしゃ思わず書く気力が失せたね。ひとつ猛省をうながしたい。あー恥ずかしい。


【1月12日(金)】

 今日は2PMに茜新社@水道橋。傭兵小僧『Punky Knight』の話。野上さん@コミックハウスのファイルを見てたら、活字倶楽部の京極夏彦インタビューページのコピーが(笑) 「いや、あんまり小説読まないんだけど、京極さんのはいいですよねえ」とか。おそるべし京極夏彦(笑) ミスパロ同人誌集成とかやんないんですかあ?ってゆったんだけど、無理か。

 コミックハウスの書店のほうに寄って町野変丸の新刊その他を買い、トーレンと別れて神保町。グランデでちょっと本買ってからさいとうよしこと合流し、クヌルプツアー用の手袋その他を購入。スノボ専門店が大量に増えてて驚く。しかしスノボウェアはなかなかかわいい。スキーウェアより街着にしやすいしね、ってことでふらふらとジャケット一枚買ってしまう。ついでにカートとセットになった巨大バッグを買ってこれで完璧さ。


【1月13日(土)】

 今日は大岡山の小川隆氏の新居で新年会。出かける前にNIFTY-ServeのFSUIRIをのぞいてて、今日の京極夏彦サイン会の会場が神田の三省堂本店だという事実を思い出し、ついでに冷やかしに立ち寄ることにする。
 3時前に到着すると、宇山さん@講談社文三部長のほか、遅塚さん@小説すばるや、Paradise Reviewでおなじみのかめちゃんと大家さんなんかも来てて立ち話。なんか写真禁止だそうで、写るんですで撮影しようとした宇山さんは三省堂の人に怒られたらしい(笑) せっかくQV-10持ってきたのに〜。並んでるのは女性ばかりかと思いきや、綾辻サイン会のときより男性率が高い。女6、男4くらいか。意外とふつうかも(笑)
 3時にサイン会が終了、6階だかの控え室と、そのあと地下のレストランで4時ごろまでお茶。
大森「あー弟がお世話になりました(笑) としまえんで撮影だったんですって?」
京極「木馬に乗せられたりしてたいへんでしたよ(笑) なんかずいぶんたくさん撮りましたねえ。お化け屋敷の前とか(笑)」
 ってことなので2月ぐらいに出るJUNEに期待だ。しかも柿沼瑛子さん担当のインタビューには、京極サークル大手(たぶん)のモーリシャスオルカンをやってる松本愛蓮さんも同席してたんだそうで、なんか狼の群れに投げ出された子羊というか(笑)
 ちなみにうちの弟はわが家から大量の京極本を借り出していったにもかかわらず、愛蓮さん本人の前で出すわけにもいかず、鞄に忍ばせたままに終わったらしい(笑)
 しかしけっきょく今日のサイン会におれが持ってって本人に見せちゃったのでおんなじだな(笑) 「この本を京極先生や講談社に、送ったり、見せたりするのは禁止です」って書いてあるけどそんなの知らないもんねー。ついでに原稿のネタにまでする極悪なおれだ(笑)
 四時に神保町出て五時過ぎに大岡山到着。都営浅草線から中延駅で東急大井町線に乗り換えたんだけどなかなか凄絶でした。
 小川家新年会のメンバーは、うちと小浜夫婦と牧夫婦と眞奈美ちゃん母子と総合社の人(名前忘れた)と星敬氏と門倉さん。あとからおなじマンションの5Fに住んでる作家の岡崎弘明さん夫妻がやってきて、いやいやどうもおひさしぶりですとか挨拶してたんだけど岡崎さんはけっこう髪の毛がでんじゃらすかも(笑)
 宴会のサカナは門倉さんが持ってきたMighty Morphin' Power Rangers: THE MOVIE。映画版はけっこう出来がよくて盛り上がる。クライマックスは3DCGのカクレンジャーだし(笑) 実写版の「ストII」なんかよりよっぽどよくできてると思いました。
 せっかく来たんだからってことで、タバコ吸いがてら岡崎さんちに遊びにいく。マンションの一室なのに三層構造になっててルーフバルコニーあんど屋根裏部屋つき。それもはしごで昇ってはねあげ戸を開けてはいる本格的なやつね。岡崎さんの仕事部屋は外に出っ張ってて三方が窓っていう理想的な環境。なんかこのマンション自体、斬新な設計が有名らしくて、つい一昨日も日経アーキテクチャが取材に来たそうなんですが、磯くんは知ってましたか? ってそりゃ知ってるだろうな、建物は。小川さんちも壁面つくりつけ本棚とか撮影されたらしい。小川隆氏の仕事部屋は、リビングの一階下で急な階段降りたところにあるコンクリート打ちっ放しのウナギの寝床風スペースで、これまた潜水艦っぽくてなんだか落ちつくのだった。へんな家っていいなあ。