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【お知らせ】

 北上次郎との書評対談集、読むのが怖い! 2000年代のエンタメ本200冊徹底ガイド』(ロッキング・オン)の発売が決まりました。配本は3月31日、定価1600円(税込)、四六判ソフトカバー(ISBN4-86052-050-5)。
 amazonで予約受付中。「よむこわ」と読んでください。


 中身は、ロッキング・オンの雑誌《SIGHT》に連載中の対談14回分(2001年のはじめから2004年夏まで。8号〜21号)をもとに、掲載時から倍ぐらいに増量したもの。分量は増えてますが注とか索引とかはつきません。語り下ろしのあとがき対談はあります。ま、ブックガイドっていうよりお笑い本ですね。北上次郎の新しい芸風が楽しめるんじゃないかと。本文の総枚数は四百字換算で520枚。

 ちなみに書評タイトルは、抜けもありますが、黒い仏 模倣犯 チーズはどこへ消えた? 邪魔 ハドリアヌスの長城 きのうの空 楯 翼はいつまでも なぎら☆ツイスター ルー=ガルー 超・殺人事件 13階段 天国の階段 ミスティック・リバー 黒祠の島 肩ごしの恋人 天を衝く 眩暈を愛して夢を見よ 鳥類学者のファンタジア 煙か土か食い物 オンリー・フォワード 祈りの海 世界がもし100人の村だったら ルネッサンス 東京タワー 都立水商! 本棚探偵の冒険 さらば、愛しき鉤爪 危険な道 影法師夢幻 アラビアの夜の種族 ダイヤモンド・エイジ ベルゼブブ 官能小説家 生きかた上手 溝鼠 リトルターン 飛蝗の農場 ウイニング・ラン 著者略歴 どーなつ 失踪HOLIDAY ルール サティスファクション 究極の愛の芸術 ベラベラブック 青空のむこう トキオ コンビニ・ララバイ グッドラックららばい 石の中の蜘蛛 壜の中の手記 クリプトノミコン 天国の本屋 あかんべえ GOTH イン・ザ・プール 魔岩伝説 流星ワゴン 雨に祈りを 航路 ハルビン・カフェ グラン・ヴァカンス 半落ち お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 しばわんこの和のこころ 花狂い 拳よ、闇を払え 今夜誰のとなりで眠る ねじの回転 終戦のローレライ 七王国の玉座 ブレイブ・ストーリー キャッチャー・イン・ザ・ライ 質問力 サイレント・ゲーム 永遠の出口 枝豆そら豆 イエスのビデオ さみしさの周波数 \(ノウェム) ZOO ハリガネムシ ユダヤ人大富豪の教え 十兵衛両断 1985年の奇跡 シービスケット 海を失った男 吾妹子哀し 瞳の中の大河 4TEEN グロテスク Deep love ヨットクラブ クライマーズ・ハイ マルドゥック・スクランブル 博士の愛した数式 蹴りたい背中 神は沈黙せず 号泣する準備はできていた アヒルと鴨のコインロッカー 幻夜 ツ、イ、ラ、ク 真夜中の金魚 太陽の塔 不思議のひと触れ 13歳のハローワーク キャッチボール 負け犬の遠吠え 黄金旅風 ウエルカム・ホーム! ふたりジャネット 針 家守綺譚 ダ・ヴィンチ・コード 青い空 荊の城 空中ブランコ ぼくは悪党になりたい 太陽と毒ぐも カタブツ 剣と薔薇の夏 空の境界 蹴りたい田中みたいな感じ。

 どっちも頑として譲らないので、基本は「すれ違い」。いつまでたっても平行線。

北上「涙のない男だな、おまえは」
大森「泣ける話だとは思いますよ、泣きはしないけど(笑)」

 ……というような調子で進みます。

 編集部推薦のベストセラーを罵倒しまくる北上次郎の雄姿は、なかなかよそでは見られないかも。『ブック・オブ・ザ・イヤー』のときよりは時間かけて原稿つくってるので、
だらだら読むのにちょうどいい感じのだらだらした本に仕上がってると思います。ABC採点つき。
 これが売れなかったら、「北上次郎の神通力ももはやこの程度か!」と罵倒する予定なので、北上ファンはぜひお買い求めください。



 太田出版の『現代SF1500冊 乱闘編(仮)』のほうは、3月15日にようやく本文の原稿をアップ。こっちの中身は、1975〜1989の翻訳SF出版史(小説奇想天外連載に加筆)+1990〜1995の新刊SF時評(日本・海外/本の雑誌連載に加筆)。データをがんがん増やしたのですでに800枚越えてます。ページあたりの情報量は書評集有数かも。
 さらに、1975〜1995の翻訳SFをだいたい全部網羅した年表を、三村美衣と林哲矢に手伝ってもらって作成中。こっちは有里さんに索引をつくってもらう予定なんだけど、このままだと膨大になりすぎるので縮小プランを考え中。




【2月16日(水)】

●『バタフライ・エフェクト』試写。
 反則気味ながらけっこう出来がいい。 エリック・ブレスとJ・マッキーグルーバー(プレスはグラバーだけど、Gruberをグラバーとは読まないと思う)のデビュー作。 しかしそれはバタフライ効果じゃなくてただの因果関係。

以下、ネタバレにつき文字色変更。
記憶サスペンスと見せて実は現実改変SF。昔のことを思い出すとその時点に時間遡行できて、過去を変えることで現在を操作できるんだけど、なかなかうまくいかないという。効果としては時間SFですね。個人の特殊能力なので、主人公の脳に様々な人生の記憶が降り積もっていくものの、タイムパラドックスは回避される。というか、外からは妄想と区別できません。
しかもその能力は遺伝するらしい――というのがミソ。

細部は辻褄が合ってないんだけど、小説のSFでまったく同じパターンのものは思いつかないので、この設定を考えただけでもえらい。SF映画的にはかなり優秀。しかしSF映画
だと言うことがネタバレになってしまう罠。困った。


●『彼女を信じないでください』
 プレスに宇田川幸洋が「(この映画の)キム・ハヌルは青木さやかみたい」と書いてるのをうっかり先に読んじゃったせいで、ずっと青木さやかに見えて困った。責任とってほしい。 プロット的にはぼろぼろなんだけど、韓国映画だとなんとなく楽しく見られちゃうなあ。不思議。

●『ハイド・アンド・シーク』
 そのネタはバレバレですよ! ダコタ・ファニング鑑賞映画?



【2月17日(木)】


 讀賣新聞からマンガの思い出話コラムを頼まれてたのを思い出し、倉多江美の逸郎くんシリーズにしようかと思ったら、新刊書店で買える倉多江美の少女漫画は一冊もないのだった。なんてことだ! 早川書房か本の雑誌社で倉多江美選集をぜひ!  「一万十秒」はわりと早川向きだと思う。
(ジュンク堂池袋本店で検索すると「お父さんは急がない」がヒットするけど、これはもともとビッグコミック・ゴールドかなんかで始まった連載)。
 調べてみたら、立派なリストがありました→「倉多江美 書籍リスト」。逸郎くんシリーズはもちろんだけど、『ドーバー越えて』はめちゃめちゃ好きだったな。『スプリング・ボード』もいいです。
(讀賣新聞のコラムは、結局、清原なつの「私の保健室へおいで…」で書いた。解説とネタかぶりだけど)。

 さらにHDを検索してたら、12年前に作成した少女マンガベストテンを発見。どこの媒体に送ったやつなのかもすでにわからない。書きかけのファイルみたいだけど、めんどくさいのでそのままコピペ。

@「花岡ちゃんの夏休み」(りぼん)清原なつの
 男の子は基本的にこういう少女マンガがいちばん好きなんだと思う(おたく系の子だけかもしれないけど)。この世界はほとんどユートピアですね。
A〈逸郎くんシリーズ〉(別冊少女コミック?)倉多江美
 少女マンガにハマるきっかけになったシリーズ。一作だけは選びきれず、シリーズ全体ということで。『ダックス』に載った橋本治の倉多江美論「失われた水分を求めて」が当時のぼくのバイブルでした。
B「はるかな天使たちの群れ」(プチフラワー)吉田秋生
 現代の少女をリアルに描きだした記念碑的作品。吉田秋生はこのころがいちばん好き。
C「連れていって…」(花とゆめ)三原順 *はみだしっ子シリーズ
 屈折した少女マンガの最長到達距離を示す空前絶後の作品。ネーム量の多さも圧倒的。
D「ライトブルーページ」(奇想天外社・単行本)さべあのま
 愛着のある短篇集なんで、これはバラしようがない。
E「空の色ににている」(ぶ〜け)内田善美
 なんということのない話ばかりが並びますが、少女マンガの基本は日常を神話化することだと思う。
F「緑茶夢」(プチコミック)森脇真末味
G「小鳥の巣」(別冊少女コミック)萩尾望都
H「さようなら女たち」大島弓子
I「メタモルフォシス伝」山岸涼子
「ポケットの中の季節」樹村みのり
「おしゃべり階段」くらもちふさこ

 少女マンガに関しては時が止まってるので、まあこんな感じかな。
 本の雑誌社は、清原なつの『千利休』ががんがん増刷したのに気をよくして、清原なつの単行本未収録作品集『清原なつの忘れ物BOX』全2巻(1巻タイトル=サボテン姫とイグアナ王子、2巻タイトル=二十歳のバースディ・プレート)を5月出すそうです。すばらしい。
 しかしどうしてどこも『花岡ちゃんの夏休み』を再刊しないのか謎。



【2月18日(金)】


 三省堂「万物理論」トーク無事終了。
 あんなんでよかったのか謎。
 二次会のあとは和民で午前5時まで。喫茶店よりカラオケより安上がり。

 盛り上がったネタ:「名作にうまいものなし」アンソロジー。または「終極のSF」。日本三大がっかり名所のSF版みたいなコンセプトですね。
「夜来る」「冷たい方程式」「地球の緑の丘」「太陽系最後の日」「世界の中心で愛を叫んだけもの」みたいなラインナップ。解説は水鏡子。

〈未来の文学〉と〈奇想コレクション〉の刊行候補を勝手にどんどん挙げたり。まあしかしあまり意外な名前は出てこない。



【2月19日(土)】


 友成純一氏からはいつも唐突に電話がかかってくるんですが、今夜は:
「いやーウチもBBフォンにしたんだよ。タダだからさー。電話しないと損だと思って。最近どうなの?」
 あした(ってもう昨日だけど)から沖縄に行くらしい。普天間基地移転がらみの反対運動で全国から終結するダイバーを束ねているらしい。
 あと、「人間・廃業・宣言」小説版を講談社から出すとか。ドキドキ。



【2月20日(日)】


 今期の『仮面ライダー響鬼』がめちゃくちゃ面白い。アクション場面は弱いし、うちの子には不評なんですが、本編の出来は歴代ベストかも。『クウガ』より面白いと言いたい気もちょっとする。すばらしいのでみんなで見よう。ハリポタパロディの『マジレンジャー』は……まあ……たまに見ればいいかな。ナイとメアは好き。



【2月21日(月)】


 《ジャーロ》の順番がまわってきたのでアンケートに回答。「私の愛する本格ミステリ」みたいな企画。
 ふつうと違うほうがいいだろうと思って、『アクロイド殺害事件』『夏と冬の奏鳴曲』に加えて、グレッグ・イーガン『宇宙消失』をチョイス。『宇宙消失』はバカミスだと思います。そうは書かなかったけど。

 週刊ブックレビュー、楳津かずおの推薦が成美堂の「今がわかる時代がわかる世界地図」。 飛び道具だなあと思ったらめちゃめちゃ話が盛り上がり、これは売れるだろう。と思ったらamazonではいきなり2位に。ちなみに昭文社の同傾向の本は794位。地図帳ってもともと売れてるのかな。



【2月22日(火)】


『re:キューティーハニー 人の巻』を視聴。最終巻はちゃんと面白かった。天と地は合わせて一本でよかった気もするなあ。
『トップをねらえ!2』は2本目も快調。

 映画版「ZOO」、お薦めは古屋兎丸脚本・CD・絵コンテの「陽だまりの詩」。
 最近、『H2』で市川由衣にハマり傾向のわたしとしては、「SEVEN ROOMS」もよかった。安藤尋の「ZOO」はなに考えてるんだかよくわからん。と思ったら、原作者はけっこう気に入ってるらしい。原作と違えば違うほどいいのか。
「ロスト・ハイウェイ」+「バーナム博物館」みたいなことになってますが、じつは書いてるときにイメージしてたのが「ロスト・ハイウェイ」だったとか。

 というわけで、今日は映画秘宝の乙一インタビューでした。
 去年撮ってた自主映画は宝塚映画祭の映像コンクールに入選したとか。
 調べたら、安達寛高「ゴーストは小説家が好き」ってやつですね。元ネタは「しあわせは仔猫のかたち」らしい。応募196作品から8本選ばれた中に入ってるので立派。
このコンクール、よく見たら木内一裕も入選してますよ。



【2月23日(水)】


 amazonで予約購入した下妻物語スペシャルエディションのオマケをやっと見る。
 未公開シーン&NG集とメイキングは思ったほどでもなかったけど、映像特典の阿部サダヲ主演オマケ短編がおかしい。一角獣の竜二誕生秘話。高校時代のエピソードって設定。鞄に詰め込まれて首だけ出した阿部サダヲがたいへんキュートなのでファン必見。



【2月24日(木)】


 大沢在昌『ニッポン泥棒』。ひょっとしてSFかなと思って読んだ。
 見知らぬ男女の組み合わせが(本人も知らないうちに)暗号鍵にされていた(具体的にどうやって解錠するかは終盤まで伏せられている)という発想は面白い。巻き込まれ型サスペンスとしては上々の導入だし、チームのメンバーがだんだん増えていく展開も異色。

 しかし致命的なのは、現代ミステリの枠組なのに、コンピュータ関係のメインのネタが(SFじゃなくて)ファンタジーになってること。未来予測プログラム「ヒミコ」を追いかける話なんですが、存在自体が永久機関みたいなもんなので、誰もその実在を疑わないのがめちゃめちゃ不自然。「あるわけないじゃん!」と突っ込む人がいてほしい。
 チューリングテストに楽々パスしそうな超優秀な人格シミュレーションとかも出てきて、そんな技術が実現してるならもっと早い段階で世の中が一変してるのでは。
 とはいえ、じゃあどうすればいいのかっていうのは難しい問題なんで、まあ大沢作品としてはこれでいいのかも。SFならヒミコが人格持つ話になるとこだけど。



【2月25日(金)】


 京フェスでいつも晩飯食べてる和食屋 「十両」が、週刊文春3/3号巻末グラビア見開きに登場。
「東西食遊記」って連載で、おなじみ「沖めばる京野菜炊き合わせ」の写真も載ってます。メインの京みそ鍋は新メニュー?  今年の京フェスではこれを食べよう。




【2月26日(土)】


「談話室・滝沢」の全店閉店を惜しむ――って趣旨で、週刊文春からグラビアページに出てくれという電話。ウェブで検索したらオレの日記がヒットして、滝沢ファンだと思われたらしい。
 滝沢の独自路線にとくに強い思い入れがあるわけじゃないので――と丁重にお断りしました。 滝沢で作家とかとしゃべってるところを撮影し、滝沢の思い出話座談会で文章を埋めたいらしい。
「文春の文芸編集部で聞けば、いくらでも滝沢のヘビーユーザーがいるんじゃないですか?」と言ったら、
「聞いたんですけど、うちでも最近はほとんど使ってないみたいで……」
 閉店の理由はそれか。

*この企画、翌週号を見たら、唐沢俊一氏と辛酸なめ子さんが出演してました。なるほど。
 なお、さいとうよしこに言われるまで、島本和彦の滝沢キックがあの滝沢から来てると気づいてなかったのは内緒だ。



【2月27日(日)】


 日本映画専門チャンネルで「八岐之大蛇の逆襲」。
 田中啓文「UMAハンター馬子」完結記念。 じゃなくて樋口真嗣特集です。
 この映画を見るのは20年ぶり。庵野さんがめちゃめちゃ若くて笑えます。お、武田さん登場。全然変わってない(笑)。
「不親切な人に当たってしまったなあ」はやはり名セリフですね。
 DVDはこちら。→http://www.gainax.co.jp/soft/oroti/



【2月28日(月)】


 ポプラ社SFセレクション(赤木かん子編の児童向けSFアンソロジー全7巻)がbk1から届いたので、ひと晩で一気読み。薄いし(各巻200ページ前後)、漫画もけっこう入ってるのですぐ読める。1冊1000円なんで、全部あわせて税込み7,350円。
 初出・発表年のデータがついてないし、解説に首を傾げる部分もあるけど、まあ児童向けなので。
 作品一覧は、「ざぼんの本のメモ」参照。
 翻訳作品のセレクションは、岩崎書店版「時間と空間の冒険」、ハヤカワ文庫「90年代SF傑作選」、創元の古い短編集あたりが中心。大人向きの翻訳と児童向きの翻訳(「ベティアンよ帰れ」短篇版→「宙少女アン」、「新加速剤」→「スピードのでる薬」とか)が混じってるのがちょっと気持ち悪い。
 大人向けの(子供が出てくる)SFと児童向けのSFをあえて区別しないって方針みたいですね。
 未読が多かった巻は国内作品でかためた『地球最後の日』。一冊だけ買うなら『宇宙の孤独』かな。子供に読ませたいかどうかはともかく(笑)。
 巻によってはテーマを絞りすぎて似たような話が並んでしまうのが難点。とくに「地球最後の日」とか。いっそこれなら、赤川次郎を抜いて「ススムちゃん大ショック!」を入れてほしかった。
 とまあ、作品選択に関しては文句がいろいろあるんですが(オレならもうちょっとまともなものを選んでやる。とジュブナイルSF育ちのSFおたくはみんな思うだろう)、とりあえずジュブナイルSFアンソロジーが全7巻で出たことは高く評価したい。
 しかしこのラインナップ見ると、赤木かん子って、中高生ぐらいのときに創元推理文庫SFマークを読み漁ってた人みたいね。で、「この20年のSFはぱっとしなかった」説の信奉者と。



【3月1日(火)】


 実写・劇場版「鉄人28号」を試写で見た。
 実写デビルマンよりひどいって噂もありましたが、そんなことはなくて全然大丈夫。川原亜矢子はちょっと勘弁してほしいと思ったけど、セリフはぜんぶちゃんと聞きとれるし、主演の男の子もいい感じ。ドラマ部分はだいたい安心して観られる。とくにブラックオックス登場シーンあたりまでは快調。
 後半はボクシング映画になっちゃうので、プロボクサーのコーチ(丹下段平とか)を出してほしかった。あと、自衛隊が出動しない理由をワンカットでも入れておけば、話としては納得できるレベル。
 この手の特撮には珍しく、カットを細かく割らず長めに回すので、アクション場面も間延びした印象になるのが難点か。あと、原作の漫画的なキャラを中途半端に再現しようとして失敗してるのもマイナス。ま、蒼井優が出てる時点で「デビルマン」には勝ってるので。こないだの実写「ULTRAMAN」よりは好きかな。

 つづけて『クライシス・オブ・アメリカ』。ジョナサン・デミの新作。というか、リチャード・コンドン「影なき狙撃者」の映画化。というか、フランケンハイマー版のリメイク。それがなぜこんな邦題に。
 湾岸戦争の話になって、一応、現代映画として違和感のない仕上がり。でもただの地味なサスペンスになっちゃった気が。

 カン・ドンウォンの『彼女を信じないでください』も見た。ヒロインの天才詐欺師ぶりをもっと見せてくれなきゃ。韓流的には、あのカン・ドンウォンがこんなお笑いに挑戦した! って感じなんですかね。韓国製ロマコメはだいたい何を見てもOKなので、この映画もダメだけどOKなのだった。『オオカミの誘惑』も見なきゃ。




【3月2日(水)】


 こないだ風呂に入ってたら、父親の下半身をじっと見ながらトキオいわく、
「きょうねえ、ほいくえんでねえ、『トキオのおとうさんのちんちん、おっきいんだよ』ってナギ先生に教えてあげたの」
「……先生はなんて言ってた?」
「わらってた」
 巨根伝説。




【3月4日(金)】


SF大賞二次会は救急車が駆けつける大騒ぎ。臨場感あふれる写真を撮ってたら山田正紀会長から鬼畜と罵られました。そんなうれしそうに言わなくても。
 酔っ払ってこけて担架で救急車に乗せられて病院に運ばれた人はすでに無事帰宅。今後十年はSF大賞のたびに「救急車で運ばれた人」と指を指されることでしょう。ぱちぱちぱち。子供が生まれたばっかりやのになあ。親としての自覚が……。

 一方、六月にパパになるという人は、SFパパをつかまえては、「父親になる前の心構えとかアドバイスはありませんか」と聞いて回ってました。いまそんなこと聞いて回ってる時点で親ばかコース一直線。

 三次会は謎の居酒屋の和室で「有線懐メロポップスで流れる次の曲は?」クイズ大会。なぜか異様に盛り上がる。SFは同世代の山ですか。




【3月7日(月)】


 太田出版の時評集のために1970年代の翻訳SF出版状況を概説中。そこで思いついたSFクイズ。
 SFM1974年5月号で創刊予告された「早川版世界SF全集第二弾」は、その後、海外SFノヴェルズに模様替えして、ほとんどの作品はめでたく刊行されたんですが、このときラインナップに上がってる18冊のうち、いまだに出てない本が3冊あります。さて、なんでしょう。
 1冊はすごく簡単。もう1冊も、そう言えば――と思い出す人がいるだろうが、あと1冊はめちゃくちゃ難問。中村融なら即答できるだろうか。
 ちなみに広告は原題表記で、そのスペルが間違ってるというオマケつき。




【3月10日(木)】


 NHKで「週刊ブックレビュー」の収録。オレの推薦作は『万物理論』。
 スタッフ並びに出演者のみなさまに平身低頭、たいへんな本を読ませちゃってすみませんとひたすら謝る。
 でも、あと二人の書評ゲスト、中条省平さんと東直子さんはそれなりに楽しんで読んでくれたみたいでよかったよかった。

 わたしは中江有里嬢とお話できただけで満足です。スムスのCFの頃からファンだったり。十数年前には巨大ポスターを壁に貼ってました。

 しかしオンエアを見たら、流れを無視して途中をつまんでるので、「しあわせの理由」の説明をしてるところが『万物理論』の話みたいになってました。自閉症って単語は使わないようにしたのになあ。ラマント野切除の話はわかりにくかったんだろうか。
 『科学する麻雀』の説明で、「東風荘っていうインターネット麻雀のサイトで……」ってところから「東風荘っていう」が細かくカットされるところがさすがNHKだと思った。

1月分の日記もついでに更新しました。mixi日記リライト版なのでトーンが違いますが、めんどくさいのでそのまま。



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