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【11月27日(土)】


 品川・港南で榎本秋の結婚パーティ。新婦のご尊顔を拝するためだけに参加しました。なぜ榎本秋がこんなふつうのお嬢さんと結婚できるのか、謎としか言いようがない。
 友人代表のスピーチは一様に、「ネタだと思ってた」「脳内彼女じゃなかったんですね!」「まだ信じられません」「どうしてそんなことが!」……という感じ。独身SFおたくに夢と希望を与えたという意味で、榎本氏の功績は称えられるべきだろう。
 しかし、参加した独身おたくたちはすでに「でも僕はあんなに押しが強くないし」「なんだかんだいっても榎本さんは社交的だから」と、すでにネガティヴ思考。

 ちなみに結婚2週間前だかに会社を辞めるという言語道断の振る舞いに及んだ榎本氏は、これからライター稼業一本で食っていくらしい。
 榎本秋編『ライトノベル・データブック』は、雑草社から来年1月刊行予定。




【11月29日(月)】


 パークハイアットの会議室で鈴木光司と〈波〉の対談。お題は日本ファンタジーノベル大賞。新潮社時代は〈波〉の編集も担当してたんで、対談のまとめや司会は何回かやりましたが、まさか自分が対談に出る日が来ようとは。

 対談のあと、これから「The 呪怨」の試写にいくと言ったら、 鈴木光司いわく、
「そんなもん見なくていい! おれは幽霊の映画なんか大嫌いだ!」だって(笑)。
 呪いのビデオなんてネタで売れてしまったことを反省して、『らせん』『ループ』とひたすら科学的な説明を求めつづけた鈴木光司ならではの発言か。

 というわけで、対談終了後、ひとり歌舞伎町に移動して「The 呪怨」インターナショナル版の凱旋披露試写。別名「こわくない版」。または全米1位バージョン。こわいシーンをけっこうカットしたそうですが、恐怖度では劇場版「呪怨」より上かも。シリーズ総集編的にオカズが盛りだくさんで、じゅうぶんおなかいっぱい(ビデオ版のネタも劇場版「2」のネタも入ってます)。日本版にくらべると説明しすぎだけど、この程度なら許容範囲。ちゃんと新ネタも入ってるし、立派立派。
 最初のうちは違和感あるんだけど、サラ・ミシェル・ゲラーがだんだん奥菜恵に見えてくる不思議(笑)。あの呪怨がここまで来るとはなあ。 すばらしい。これが全米1位を獲得したっていうのは、ホラー国粋主義的には感無量ですね。

 監督の舞台挨拶では、最前列に陣どった記者のあいだから思いきり濃い質問が飛びまくって爆笑。「『The 呪怨2』はオレが撮りたいというサム・ライミに、『じゃあかわりに「スパイダーマン3」を撮らせてくれ』と言ったという話は本当ですか?」(笑)みたいな。
 あと、「音楽のクリストファー・ヤングに曲を依頼するとき、『ヘルレイザー』とかいままでの作品のことははぜんぶ忘れて、まったく新しい代表作をつくってくれ」と言ったのは本当ですか? とか。

 客席は関係者多数。終了後は、ノベライズの版元・角川書店主催のパーティとかもあったらしいけど、大森は鈴木光司組に再合流。
「いや、『呪怨』は傑作でしたよ」
「ほんと? ウソだろ!」
「まあまあ。だから「The Ring」は野茂で、「The 呪怨」はイチローなんですよ」
 と説明したが、いまいち納得していない様子。
「なに? 角川がパーティやってるの? よし、これから乗り込んでやる!」とか(笑)。この人の場合、ほんとに乗り込みそうでこわい。
 まあ、「ザ・リング2」で抜き返せるかもしれないしな。「ダーク・ウォーター」はジェニファー・コネリーだし。女優的には勝ってるじゃないですかと慰める(笑)。
 最後は神楽坂ブラッセルズ。



【11月30日(火)】


 東宝本社で『レイクサイド・マーダーケース』パンフレット用の監督・原作者対談司会。青山真治と東野圭吾の両氏。
 終了後、『ハウルの動く城』をやっと見る。こ、これは『ハウル』というより『千と千尋の神隠し2』では。前半はともかく、後半の独創的な展開はまったく理解不能。ラストはなんでこうなるんでしょう。謎すぎる。



【12月1日(水)〜2日(木)】


 橋本治『蝶のゆくえ』で小説すばるの書評。『蜀山奇傳 天空の剣』でスターログのコラム原稿。この原稿のために見てなかったリメイク版をamazonで勝ったんだけど、途中で見るのやめました。こんなの蜀山じゃない!

 『ライトノベル☆めった斬り!』の見本が到着。ほんとに1日に見本が出来上がるとは。中央精版には足を向けて寝られません。これで初版部数がもうちょっと多ければ、1300円ぐらいの定価がつけられたと思うんだけど。これで税込み1500円オーバーは高いよねえ。



【12月3日(金)】


 年末恒例の未見映画消化ウィーク。ワーナーマイカル妙典に出かけて1500円×3払って3本見る。

「誰にでも秘密がある」はオレが好きそうな映画だと思ったらやっぱりでした。チェ・ジウにも眼鏡っ娘にもそんなに思い入れはないんだけど、メガネのチェ・ジウはいいねえ。抵抗できません。

「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」は退屈で寝そうになった。というか寝た。最低。この退屈さは「英雄 HERO」とか「FINAL FANTASY」に通じるものが。

「笑の大学」は90分ならよかったのに。あの部屋の中だけでいいよ。



【12月4日(土)】


 塩澤編集長の赤裸々ワーカホリック日記が読めることで話題騒然のウェブジン、「アンシブル通信」の取材陣が西葛西に来訪。
 駅前で落ち合ってタクシーに分乗し、行船公園の江戸川区自然動物園。
 西島家ご令嬢ネリちゃんとうちのトキオのドキドキ動物園デートを観察しつつ、父親同士が対談するという企画(ちょっと違うかも)。
 西島くんちのネリちゃんはたいそう早熟で口が達者。うちのトキオもたいがい口は回るほうなのに屁理屈合戦で負け気味。しかも運動神経はまったく及ばない。
 初対面のときはテレテレで全然あいさつもできなかったのに、帰る間際はすっかり仲良しに。ふたりで手をつないで逃亡を試みたりしてました。

 取材のほうは、西島大介がインタビュアー。「勝ち組に学べ!」って趣旨らしいんですが、西島くんの定義では、「このご時世に子供が二人以上いる」っていうのが勝ち組らしい(笑)。ってことは、風間賢二と酒井昭伸が勝ち組? おお、細美遙子も勝ち組だ。
 西島くんの脳内サクセス理論が暴走して、話としてはなかなか面白かった。でも生活レベルとしては子供がいないほうが絶対優雅だと思うんだけどなあ。

 西島くんからは、『世界の終わりの魔法使い』Tシャツと宣伝ファンジンを頂く。ありがとうございました。しかしこの季節にもらっても、Tシャツ一枚でTVや写真に出るのは困難です。どうせなら西島コートか西島ジャケットください。



【12月5日(日)】


 今度は古山裕樹結婚パーティ@新宿。逆密室とミス連の古株&若手中心。どうしてここには若い女子がこんなにたくさんいるんですか? 東京女子大在学中の娘さんから、「シェクリイのファンなんです」とか言われて驚いたり。
 驚いたといえば、結婚ファンジンが三種類も出ていたのにタマげる。さすがミステリ書評業界最大勢力。

 さらにK塚さんから、杉江松恋監督・永嶋俊一郎脚本の自主映画『INSANITY IS MY BUISINESS』DVDを借り、帰宅してから視聴。おもに8ミリで撮影された正しい学生映画。
 一部はミュージカルになってて、オカマオカマオーカーマオカマオカマオーカーマのテーマ曲が耳について離れません。
 殺し屋役で登場の膳所善造はじゅうぶん変人ですが、若き日の杉江松恋が天然でへん。とくに大根一本をむしゃむしゃ貪り食うオマケショットは爆笑。あのまま役者の道に進めばよかったのに。あと、若き村上貴史、永嶋俊一郎の雄姿も拝めます。もうHDDに落としたら、どんどんDVD-Rに焼きますよ!



【12月6日(月)】


 帝国ホテルのバーラウンジで、内田勝氏と会談。
 言わずと知れた少年マガジン元編集長。現在はANIMAXのプロデューサー。
 アニメの原作になりそうなSFについて話を聞きたいっていうご指名をたまわり、ソニーマガジンズ鈴木さんのセッティングによってお目にかかったんですが、反対に昔話をたくさん聞かせていただきました。平井さんが『8マン』原作を担当することになった経緯とか。
 本日発売の『ライトノベル☆めった斬り!』を謹呈したところ、内田さんの著書『「奇」の発想』(三五館)をサイン入りで頂く。帰りの電車で読んでたけどめちゃめちゃ面白いね、これ。文庫にすればいいのに。

 さらに東映テレビ部の大プロデューサーだった渡邊亮徳氏にまで紹介される。「八手三郎は私ですよ、わっはっは」みたいな人柄。東映特撮の歴史を根掘り葉掘りインタビュー――する時間がなかったのが残念。




【12月8日(水)】


 渋谷に出たついでに、シネマライズXで『雲のむこう、約束の場所』。
 技術的にはほぼ完璧。上にパンして空映してカットが変わるのが何回も出てくるのがちょっといやだったくらいか。 よくもここまでクォリティコントロールができたと思う。
 女性キャラにドリーム入りすぎとか、やっぱり恋愛に至る過程は描かないのねとか、吉岡秀隆の声(浩紀役)はどうよとか、文句もいろいろあるけど、作品は立派としか言いようがない。
 しかし驚いたことに結末はなぜか宮崎『ハウル』と同じ。ふたりのために戦争があるのっていう話ね。『ハウル』ってセカイ系? とか冗談で言ってたんだけど、まさかここまで一緒だとは。オレの世代をすっ飛ばして、上と下がつながってる感じを強く抱いたり。

 ところでこの映画の設定はある意味イーガンと近かったりするので、新海監督にはぜひ『万物理論』をアニメ化してほしいと思いました。
 ユウとマコトは日本の高校生(モサラとワースです)。幼なじみでほのかな恋愛関係にあるんだけど、モサラは物理の天才で在学中にノーベル賞を受賞し、研究のため渡米。残されたマコトと携帯メールで連絡をとりあう。やがてユウは京都の学会で万物理論を発表するため日本に帰ってくる。新聞記者になったマコトは蔓延しはじめた奇病を取材するうち、謎の組織からコンタクトされ、ユウに関する重大な秘密を打ち明けられる。マコトとモサラが再会するとき、 世界は根本的な変化を余儀なくされる可能性があるという……。

 などと妄想の翼を広げながら渋谷ブックファースト。2階で平積みになってる『ライトノベル☆めった斬り!』を確認し、新刊売り場を眺めてたら、藤津亮太氏から声をかけられ、今年の劇場アニメはなにが一番ですか談義に花を咲かせていると、上の階から重そうな紙袋を二個持った人が下りてきて、藤津氏としゃべりはじめる。だれかと思ったら新保信長氏こと南信長氏でした。ブックファースト渋谷店は社交の広場? そのうち林さんもやってきて、さらに四方山話が続く。

 じつはこのとき、2階には羽田詩津子さんもいたらしく、ミステリ忘年会に参加すべく歩き出したところで声をかけられ、ふたり肩を並べて円山町ホテル街を歩くことに(笑)。いや、なにもわざわざここを通らなくてもいいんだけど、羽田さんの希望なんで。道々、ランダムハウス講談社から出たばかりの訳書、オードリー・ニッフェネガー『タイムトラベラーズ・ワイフ』(→bk1)の話を聞く。北上次郎銘柄?

 フォーラム8のアルトロホールで恒例のミステリ忘年会。時間が長くなって会費が延びた分、料理の質は飛躍的に向上。今年のミステリ翻訳業界は(『ダ・ヴィンチ・コード』を除いて)たいへん景気が悪かったそうですが、《このミス》ランクインのおかげで『犬は勘定に入れません』は4刷がかかったし、うちの景気はまずまずですね。

 とか言ってる最中に携帯が鳴り、太田出版KTO氏から『ライトノベル☆めった斬り!』増刷決定の連絡。出足快調らしい。しかし今回もまた、近所の書店にはどこも並んでないんですけど。
 古沢さんいわく、「関西にはないな」(断言)。
 太田出版の説明では、6日搬入の新刊が多すぎて並ぶのが遅れてるらしい。しかし無理やり12月頭に出して、発売直後に初版と同じ部数を増刷するぐらいなら、最初からこの部数を刷っといてくれよと小一時間。
 考えてみると、この1年で4つの出版社から出した4冊、『不思議のひと触れ』『文学賞メッタ斬り!』『犬は勘定に入れません』『ライトノベル☆めった斬り!』は、パッケージも内容も読者層ばらばらなんだけど、大きな共通点がひとつ。初版部数がぜんぶ一緒なのである(笑)。
『ライトノベル☆めった斬り!』2刷分は17日搬入なんで、店頭に並ぶのは20日頃でしょうか。



【12月9日(木)】


 銀座ガスホールでチャーリー・カウフマンの新作『エターナル・サンシャイン』の試写。SFマガジンでカウフマン原稿書いたとき、ウェブ上にあるシナリオを読んでたんで、なるほどこうなるのかって感じ。観る前は、ジム・キャリーはミスキャストじゃないかと思ってたけど、意外と合ってた。ケイト・ウィンスレットのクレメンタインもばっちり。途中のチャカチャカした演出も悪くない。ただし、ラストはもっと泣けるラブストーリーにしなきゃ。

 終了後、試写に来ていた柳下毅一郎と神田の早川書房に移動し、来年度版『SFが読みたい!』の翻訳者座談会。あとの二人は古沢嘉通と山岸真。ランキングの順位をばらすなと言われてるので具体的なことは書けませんが、『万物理論』と《未来の文学》と《プラチナ・ファンタジィ》と《奇想コレクション》の話。



【12月10日(金)】


 堺三保迎撃忘年会@西葛西・大将。ついでに急遽『ライトノベル☆めった斬り!』増刷謝恩忘年会も併催することにして、データ作成やチェックに協力してくれた人々を招待する。
 太田出版のほうで公式サイトをつくりたいっていうんだけど、そんなのやってるヒマが全然ないので、無理やり有里さんに頼み込んでつくってもらうことに。とりあえずほしいと思ったコンテンツは、『ライトノベル☆めった斬り!』ブックガイド登場本100タイトルの既読調査。あとはまあ適当に足していけば。
 ということで、すでにオープンしてます→『ライトノベル☆めった斬り! Official Site』。ブックガイド既読調査にどんどん投票してください。読まれてないほうの30タイトルはだいたい予想どおりだけど、まるマがこんなに低いとは。女性の投票が少ないってことですか。

 コニー・ウィリス『航路』の文庫版(ソニー・マガジンズ《ヴィレッジ・ブックス》)も無事に見本が到着。またしても中央精版に拍手。いや、中央精版に感謝すべきなのはデザインの鈴木成一さんと担当編集者のM山さんだと思いますが。白と黒で大人っぽいムード。こんな感じです。『犬』からウィリスに入った人は、年末年始のお供にぜひどうぞ。税込998円×2。ハードカバー版のおよそ半額と、お求めやすいお値段です。






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