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【4月13日(火)】


《野性時代》に載ってた横溝正史ミステリ大賞の選評を読んで、ジャンル意識の差にちょっと愕然。受賞作はミステリ要素がいくらか混じってるSFだと思うんですけど……。
 科学的にムリがあるとSFじゃなくなると思ってる人もいるみたいですが、それはたんに「あまり科学的ではないSF」に分類されるだけじゃないかと。この選評の理屈を適用すると、ディックなんかほとんどミステリ作家では。まあ、受賞作に関して言うと、SF読者にとっては(大ネタ部分が一瞬でネタバレなので)ミステリじゃなく見えるってことかもしれない。

 さらに驚いたのが《メフィスト》。笠井潔氏が『空の境界』について書いてる文章の中で、伝奇小説の出版状況を概観してるんですが(主に《ファウスト》創刊号の『月姫』座談会で言ってたことのくりかえし)、これだと《伝奇M》とか《伝奇ノベル大賞》とかの立場はいったい……。菊地秀行・夢枕獏の膨大な作品群を伝奇小説に含めないんだとしても、大ヒットした陰陽師系の小説は? とさまざまな疑問が渦を巻く。まあ、伝奇小説の主要媒体がライトノベルに移行したという見方は(部数的には)たぶんそのとおりだろうし、『空の境界』は読んでないのでわかりませんが。



【4月15日(木)】


 第一回本屋大賞の授賞パーティがあると聞きつけ、日本出版クラブに潜入。書店員の皆様方にご挨拶してまわる営業活動の一環、みたいな。いや、たんに物見高く押しかけ参加しただけなんですが、手づくり感の横溢するなかなかいいパーティでしたね。

 出席者は、全国から集まった書店員が三分の一ぐらい? あとは各出版社の営業マンと編集者がちらほら。地元・新潮社(会場から徒歩10分)は、受賞作『博士の愛した数式』の版元ってこともあって、社長以下、各部署から大挙集合。新潮三賞のパーティかと思うほど社員率高し。
 作家、書評家関連は全然招待してなかったらしく、受賞者の小川洋子さんをべつにすると、石田衣良氏と椎名誠氏(浜本発行人が主宰者代表で挨拶するっていうんで見物に来たらしい)、あとはスピーチに立った永江朗氏と北上次郎氏ぐらいかな。

 終了後、スタッフ打ち上げに潜入し、現場の声を拝聴。メジャーなタイトルが揃ったかに見えた候補作の中でも、刷り部数が1万部に達してない本がけっこうあると聞いて驚く。そんなもんなのかー。
 本の雑誌社の新人編集者と初対面。しばらくいろいろしゃべってたんですが、彼はずっとオレが新潮社の編集者だと思ってらしい(笑)。



【4月16日(金)〜21日(水)】


 SFマガジン7月号の異色作家特集用に選んだシオドア・スタージョンAnd Now the News...の翻訳に着手。ほんとは50年代SF特集のときに訳したいと思ってた名作なんですが、ジャンル的にSFじゃないんで見送って(かわりに「墓読み」を訳した)、『不思議のひと触れ』をつくるときはすっかり忘れていたというお粗末。
 異色作家特集ならどんぴしゃりだろうと読み直したところ、前半もオチもまったく覚えていなかったことに気づいて愕然とする。覚えてたのは、「頭がおかしくなった男が山小屋に住んで絵を描いてるへんな話」ってところだけだもんなあ。記憶力の低下も極まってきた感じで、読んだ端から忘れてゆく。いちいちぜんぶメモをとるべきなのか。

 読み返してもやっぱり傑作だったのはよかったんだけど、訳しはじめたら全然進まない。一日に2ページもやると疲れ果ててもうダメです。60枚ぐらいしかない短篇なのに、『ホーンテッド・マンション』一冊分よりしんどい気が……。



【4月22日(木)】


 フィル・ティペット監督のTVムービー『スターシップ・トゥルーパーズ2』試写。『宇宙の戦士』とは(前作とも)ほぼ無関係。まあ『ゴースト・イン・マーズ』みたいな低予算超B級作品ですが、意外とよくできてます(この手の映画は「添野銘柄」と呼びたい)。すばらしくシネパトス向き。



【4月23日(金)】


 近所の人の蔵書二万冊大処分大会の模様を朝から見学。《本の雑誌》M村嬢も取材に来てたので、そのうち詳細なルポが誌面を飾るはず。
 都市部では、蔵書の保管コストは、蔵書自体が有する価値の十倍以上に達する(だから売っぱらうほうが圧倒的に正解)――ということを再確認。ある日気がつくと、書庫の本がぜんぶ消えてたらせいせいするかもなあ。持ってる本がなくなってほんとに困ることなんか、今やほとんどないのである。

 喫茶店で太田出版K氏と打ち合わせ。瓢箪からコマ的な企画が通りそうなので、なるべく自分の仕事量を減らす算段に邁進する。しかしそんなはずじゃなかったのに。



【4月24日(土)】


 早川書房で異色作家短編集座談会。若島正、中村融とオレ。ほんとは柳下毅一郎も入るはずだったのに一身上の都合(笑)でパス。レム選集のことを思えば、《未来の文学》のスタートが一カ月や二カ月遅れたところでどうってことないと思うんだけど、意外と小心者らしい。
 展開が危ぶまれた座談会は、意外となごやかに進展。若島さんが地雷を踏んでひそかにうろたえるひと幕もありましたが(その場では狼狽の色も見せなかったけど、日記によると実はかなり焦っていたらしい(笑)。いや「大暴牌」ってほどでもないと思いますが)、その地雷は爆発することもなく終了。局所的に激しく対立するところ(ライバー評価とか)もあるんだけど、紳士的な座談会でした。しかしこの話、そのまま起こしてもほとんどの読者には理解できないんじゃ……。ま、SFマガジンだからいいか。なお、この座談会では《奇想コレクション》第二期のラインナップが一部発表になってます。

 トキオの3歳の誕生日なのでとっとと帰宅し、不二家のアンパンマンケーキで誕生会。プレゼントは楽天だかの通販で買った「いきなり自転車2」。

 竹書房文庫『ホーンテッドマンション』(→amazon | bk1)が書店に並んでいるのを目撃。そうか、もう出たのか。部数も聞いてないんですけど。



【4月25日(日)】


 特捜戦隊デカレンジャー・ショウ@西葛西《湯のさと》。アリエナイザー役は、前回のアバレンジャー・ショウにも来てた人じゃないですか。部分的に番組の役者が声を当ててるんだけど(デカレッドとか)それがときどきかわるので気持ちが悪い。



【4月26日(月)】


 日本サンライズ@上井草で《ガンダムA》の富野由悠季×福井晴敏対談。  《ニュータイプ》W辺編集長から急遽頼まれた仕事なんですが、最終的に50枚ぐらいの原稿をまとめる羽目に。いや、富野さんが飛ばしまくりで、話は面白かったんですが。お題はイラク情勢をはじめとする最近の政治問題(最後にちょっとだけ『Zガンダム』劇場版の話)。富野さんはすっかりエマニュエル・トッド(とくに『帝国以後』)にハマってるらしい。  あとから読んだけど、『帝国以後』(→amazon | bk1)はたしかに面白いね。フランス人らしい嫌味が全開。身も蓋もない。

 終了後、落成したばかりの富野御殿をガンダムA組と表敬訪問。富野夫人の歓待を受けて恐縮(富野さんはサンライズのスタジオ入り)。福井さんからは『ローレライ』『亡国のイージス』『戦国自衛隊』がらみの話もいろいろ聞いたんですが、どこまで書いていいのかよくわからないのでパス。



【4月27日(火)】


 渋谷ロッキンオン本社で《SIGHT》の書評対談with北上次郎。
 大森推薦はテリー・ビッスン『ふたりジャネット』、浅暮三文『針』、梨木香歩『家守綺譚』。北上推薦は鷺沢恵『ウェルカム・ホーム!』、飯嶋和一『黄金旅風』、桂望実『ボーイズ・ビー』、編集部推薦は村上龍『十三歳のハローワーク』、酒井順子『負け犬の遠吠え』、糸井重里『イチロー』。



【4月28日(水)】


 スタージョンが全然終わらない。
『ホーンテッドマンション』の見本はまだ届かない。



【4月29日(木)】


 第3回ライトノベル・フェスティバルを見物に出かける。といっても、着いたときにはほとんど企画が終わってました。知り合いに挨拶して、三村美衣、徳間書店K氏とお茶飲んで帰宅。

 夜、髪をブリーチしようと市販の脱色剤(いつも使ってるやつ)を頭に塗りたくり、録画した大林宣彦監督『理由』(WOWOWで放送したやつ)を見ていたところ、突如強烈な痛みに襲われ、たちまち顔が腫れ上がる。鏡で見るとほとんど別人(笑)。39度を超える発熱と頭痛。激烈なアレルギー反応っていうか、アナフィラキシー・ショック状態。いったいなにが悪かったんだろう。死ぬかと思いました。

 なんとか『理由』を最後まで見てから、解熱剤を貪り食って寝る。



【4月30日(金)】


 起きてもまだ顔が腫れてるので医者に行って抗アレルギー薬の注射。

 家に帰って夕方まで寝てから、後楽園の柳下家へ。《ブルータス》の古本特集――じゃなくてブック・ハンティング特集の古本対談。
 SFマガジンの座談会はパスしてもブルータスの対談は受ける柳下毅一郎。ブルータスの読者は『ケルベロス第五の首』を待望してないので大丈夫という判断らしい。
 しかしまさか柳下とブルータスで対談するとはなあ。20年前には予想だにしなかった仕事である(笑)。
 といっても、対談の中身はほとんど無駄な昔話。パープル・ユニコーンとかポパイのSF特集とか東京泰文社とか。インタビュアーの平林享子嬢がベリカードを知らなかったので説明してたら、カメラマンの男性が異様に喜んで、「いやあ、懐しいですねえ」を連発してたのが妙におかしかった。

 終了後は近所で韓国料理。刺激物をとるなと医者で注意されていたにもかかわらず、辛い鍋を貪り食う。わりといい感じの店でした。ブルータス持ちならもっと高級店でもよかったか。

 発 売一週間にして、ようやく竹書房F氏から「見本を送りました」と連絡あり。映画は大ヒットで、発売即日重版が決まっていたらしい。日本人はみんな心底ディズニーランドが好きなんだねえ。
 しかし、当初は「5万部まで買い切りで」と言われてた条件に文句をつけて、「初版のみ買い切り、再版以降印税」に変更してもらってほんとによかった(笑)。もっともノベライズなんで(ノベライズだということを考慮してもなお)印税率は極端に低いんですが。ていうか、みんなこんな条件でやってるのか。





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