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『文学賞メッタ斬り!』bk1出張版、公開
●豊崎由美/大森望『文学賞メッタ斬り!』、3月19日刊行予定(→amazon | bk1 | ABC)。ISBN:4-89194-682-2
4月1日、青山ブックセンター本店で『メッタ斬り』トークショー。電話予約受付中。定員120名・入場料500円(税込・当日精算)。
『文学賞メッタ斬り!』公式サイトできました。「業界人50人に聞く文学賞アンケート」など独自コンテンツも続々増強中。
●コニー・ウィリス『犬は勘定に入れません』、4月中旬刊行予定(→amazon | bk1)。ISBN:4-15-208553-3
●シオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』(河出書房新社1900円)発売中→bk1 | amazon


【3月23日(火)】


『メッタ斬り』の間違い指摘が続々。
 山岸真チェックで判明した明らかな間違いは、

●(ヒューゴー賞は)全十二部門→全十三部門
●《氷の炎の歌》→《氷と炎の歌》
●(ハヤカワSFコンテスト)上限が五十枚→上限が百枚
●SFマガジン一九六〇年十二月に創刊→一九五九年十二月に創刊
●眉村卓だけで百点近く出ていた→眉村卓だけで五十点近く出ていた
●『我が赴くは蒼き大地』→『わが赴くは蒼き大地』
●星雲賞の受賞、P2は29回、AIBOは31回、『グッドラック』31回

 ……など。このほか版元名表記等の不統一に関する指摘多数。なんとか間に合ったのでこのへんは2刷で訂正されたはず。
 気がつかなくて間に合わなかったのは、序文の『何がなんでも作家になりたい!』エクスクラメーション・マーク脱落。たいへん失礼しました。次で訂正します。
 そういえば、amazonでタイトルがずっと『文学賞メッタ斬り』になってることにも一週間ぐらいだれも気づかなかったのだった(こちらは訂正された模様)。



【3月24日(水)】


 五反田イマジカで『CASSHERN』完成披露試写。CASSHANがCASSHERNになるぐらいの違いはありますが、思ったよりキャシャーンだった。話はともかく、これを6億でつくったんなら相当りっぱだと思う。画面は豪華です。実写とアニメの融合ってことではかなりうまく行ってると思う。柳下はアクションがいかんとテーブル叩いて怒ってたが、アニメのアクションがよく再現されてると思った。これなら『十兵衛ちゃん』も実写でやれるかも、みたいな。一見の価値はある。長いけど。
 終了後、eiga.comのH井さんと柳下で駅前の妙にしゃれた居酒屋。でも客層は五反田。



【3月25日(木)】


 《ポンツーン》の北上次郎による宮部みゆきインタビュー「プロットの作り方」編のまとめ。前回の『新宿鮫』80枚にくらべれば楽勝――と思ってたら、やはり50枚をひと晩でまとめるのは無理でした。結局まる二日がかり。

 タニグチリウイチじゃなくて谷口隆一が一面の原稿を書いてる新聞がファミマで売ってたので購入。意外と読むところが多いかも。ネタはアニメフェア。會川さん、おめでとうございます。



【3月26日(金)】


 SFマガジン発売とともに、さっそく中村融と山岸真から、コニー・ウィリス邦訳リストの間違い指摘が。河出文庫《20世紀SF》収録バージョンの「リアルト・ホテルで」の訳者は安野玲でした。編者ふたりと安野さんと読者諸氏にお詫びして訂正します。昔のことは覚えてるのに最近のことはすぐ忘れる症例のひとつだな。『犬は勘定に入れません』巻末にもリストを入れることになってるので、そちらでは訂正しておきます。

 あと、「最後のウィネベーゴ」の特集解説に書き忘れたんですが、この作品は、《ローカス》誌が1999年に実施したオールタイムベストSF投票で、ノヴェラ部門の第9位にランクインしてます。ベスト20のうちで未訳だったのは、これとThe Fifth Head of Cerberus の2本だけ。後者は柳下毅一郎がいま泣きながら訳してるはずなので、もうすぐ国書刊行会から出るはず。
 ちなみにベスト20のラインナップは以下の通り。

1) 「ヴィンテージ・シーズン」C・L・ムーア&ヘンリー・カットナー (1946)
2) 「タイムマシーン」H・G・ウェルズ (1895)
3) 「残像」ジョン・ヴァーリイ (1978)
4) 「少年と犬」ハーラン・エリスン (1969)
5) 「月を売った男」ロバート・A・ハインライン (1950)
6*)「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア (1976)
6*)「影が行く」ジョン・W・キャンベル (1938)
8) 「最後のウィネベーゴ」コニー・ウィリス (1988)
9) 「時の門」ロバート・A・ハインライン (1941)
10) The Fifth Head of Cerberus ジーン・ウルフ (1972) *国書刊行会近刊予定(柳下毅一郎訳)
11)「エネミー・マイン」バリー・B・ロングイヤー (1979)
12)「死せる過去」アイザック・アシモフ (1956)
13)「大きな前庭」クリフォード・D・シマック (1958)
14) He Who Shapes ロジャー・ゼラズニイ (1965) *『ドリーム・マスター』の原型となった中篇
15)「喪の山」ロイス・マクマスター・ビジョルド (1989)
16*)「ハングマンの帰還」ロジャー・ゼラズニイ (1975)
16*)「月の蛾」ジャック・ヴァンス (1961)
18)「戦時休暇」ルーシャス・シェパード (1986)
19) 「世界の合言葉は森」アーシュラ・K・ル・グィン (1972)
20) 「この人を見よ」マイクル・ムアコック (1966)

 あとはリンク先のリストを見てほしいんですが、めんどくさい人のためにつけ加えると、ノヴェレットの1位は「アルジャーノンに花束を」、ショートストーリーの1位はエリスン「ジェフティは五つ」(このほかエリスンは、2位に「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった」、4位に「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」と、ベスト5のうち3席を占有する人気ぶり)。
 短編集のオールタイムベストでもエリスンが強く、ブラッドベリ『火星年代記』、ハインラインの《未来史》短編集(『デリラと宇宙野郎たち』『地球の緑の丘』『動乱2100』の合本)についで、The Essential Ellison (再編集版短篇全集)が3位。Deathbird Storiesが6位、『世界の中心で愛を叫んだけもの』が10位に入ってますね。
 未訳では、ジーン・ウルフの「デス博士の島その他の物語その他の物語」(The Island of Doctor Death and Other Stories and Other Stories,1980)が7位、コニー・ウィリスの第二短編集Impossible Thingsが『世界の中心…』と並んで10位タイ。
 エリスンのDeathbird Storiesは扶桑社が版権持ってて、まあ気長に待てばいつか出るでしょう。
 というわけで、ウルフとウィリスの短編集もぼちぼち邦訳刊行の潮時。というか、いま出さないでいつ出すよ。どっちもまるまる全訳だと長すぎるので、再編集版でいいでしょう。ウルフはデス博士もの3作+Seven American Nightsに、「頭のない男」「ユニコーンが愛した女」「ツリー会戦」ぐらいで一冊とか。
 この手の短編集はハヤカワ文庫SFや創元SF文庫ではなんとなく出しにくい状況が10年ぐらい続いてたんだけど、晶文社ミステリや奇想コレクションみたいなパッケージがまずまず成功したおかげで、別の道も拓けてきたような。


 夜は冲方丁のすごい宴会。ドラァグクイーンのショウとか中西圭三のアカペラ生唄つき。中西圭三はすっかりふつうのおっさんになっちゃてると思ったけど、歌いはじめるとすごいぞ。あたりまえか。すみません。

 二次会はパスして西葛西に戻り、『犬は勘定に入れません』の訳者あとがき。



【3月27日(土)〜28日(日)】


『犬』のゲラ直し。
 編集担当K池氏と校閲担当T内氏の鉄壁コンビ(たぶん訳文チェックに関しては早川書房最強)による綿密なチェックで提出された疑問点をどんどん解決してゆく作業。大森もザルですが、ウィリスもけっこうザルで、唖然とするような間違いが残ってたりしますね、いつもながら。しかし訳注は入れすぎかもなあ。
 それと並行してあとがきを書く。10ページ埋めてくれと言われて、じゃあ短篇まで含めたリストを入れようと思ったら、あとがきのスペースが全然足りなくなってしまう本末転倒の罠。

 ゲラに飽きるとbk1用の『メッタ斬り!』対談をでっちあげたり。そのうちbk1で公開される模様(4/3に公開されました→『文学賞メッタ斬り!』bk1出張版。あ、「でっちあげた」というのは、エキサイトブックスのインタビューで原稿化されなかった部分のデータを加工したという意味で、大森がゼロから書いたって意味じゃないですよ、念のため)。4月末までにbk1で買った人(すでに買ってる人も含む)にはあとからメールプレゼントが届きます(4/3追記:いや、もらってうれしいものかどうかは知りませんけど。これでまたすごくたくさん売れたらトヨザキ社長が張り切ってオマケ対談が実現するかも。)
 どこの書店でも買える本じゃないせいか、bk1では怒濤の売れ行きで、週間総合ベストテンにまでランクイン。デイリーランキングでは総合2位とか3位とか。amazonのほうでは瞬間最大風速で37位だっけ。
 google検索のヒット数もすごい勢いで増え続け、とうとう2000超えました。本が出る前は300件ぐらいだったんで、ネット上ではたいへんな認知度。感想を書いてくださるみなさまのおかげです。とうとう「文学賞」で検索すると、エキサイトブックス「ニュースな本棚」の「メッタ斬り」がトップに表示されるまでになってます。いいのかそんなことで。



【3月29日(月)】


 『犬』のゲラ持参でひさしぶりに早川書房。金曜にもどすはずが週明けにずれこんでしまったのでせめてもの罪滅ぼしというか。T内嬢がシリル(犬)とプリンセス・アージュマンド(猫)をたいそう気に入ってくれたみたいで、よかったよかった。直してるときはしんどかったけど、ゲラで読むとマジ面白いっす。『ドゥームズデイ・ブック』の四六判が税抜き3495円だったことを思うと、それよりちょい短いぐらいの『犬』が税抜き2800円はお得。どうせ文庫になっても上下巻合計で2000円ぐらいになっちゃうだろうから、そんなに高くないと思いますがどうですか奥さん。

 というわけで、販促につとめるべく週末にいろいろと材料を送ったところ(書影は岩郷重力に電話してメールしてもらった)、なぜかいきなりコニー・ウィリス特集が。でもこれ、なんだかSFマガジンの宣伝ページみたいなんですけど。まあ豊崎さんのマガジン原稿を使わせてもらったお代だと思えばいいのか。というわけでbk1のSFマガジン5月号に特集監修者コメントを書きました。
 カバーは大森案が通って、《奇想コレクション》でおなじみの松尾たいこさん。カバーの左右ぶち抜きなんで、岩郷重力からオマケで送ってもらった見本(表4はβ版)をお目にかけましょう。


 これが海外SFノヴェルズとは、お釈迦様でも気がつくめえ(笑)。



【3月30日(火)】


 もう落ち着いたかと思われたキンタマ・ウイルスは京都に飛び火してたいへんなことに。しかし京都府警とは(爆笑)。

 だらだらしつつ読書。

 kashiba@猟奇の鉄人『あなたは古本がやめられる』(→amazon | bk1)なんか、ほとんどぜんぶ読んだことあるのについまた読んじゃった。自分が出てくるとちょっとうれしい(笑)。しかしこんな本を市販していいのかっ。一般読者向きに200枚ぐらい注釈を書きたくなりますね。奥さんの言ってることがいちばん正しい。これを読むと、『未読王購書日記』はまだ一般書だったような気がしてくるもんなあ。見た目はkashibaさんのほうがまだふつうっぽいのに。ごくたまに混じる悪口がめちゃくちゃおかしい。
 ま、でも、こういう本を見ると、『文学賞メッタ斬り!』なんてまだまだですね。そらもう、これにくらべたら、どなたさまでも楽しめる万人向けの本ですわ。『あなたは古本がやめられる』の適正初版部数は大目に見積もって28部ぐらいでしょう。そうすると将来かなり高値がつくと思われるので、買うならいまのうちだっ。

『ER IX』の1話を見た勢いで、amazonから届いた樫原辰郎監督・脚本の「美女濡れ酒場」。2002年度ピンク大賞/新人監督賞・脚本賞(樫原辰郎)/男優賞(竹本泰志)、女優賞(山咲小春)、新人女優賞(若宮弥咲)/技術賞(長谷川卓也*撮影)全7部門受賞、2002年度映画秘宝誌上ピンク映画ベスト10 第1位という名作です。しかも原作はジェイムズ・ジョイス(笑)。心はアイルランド人、みたいな監督ですね。個人的には野上正義がめちゃめちゃ懐しかった。昔はこういうタイプのピンクってあんまり好きじゃなかったのになあ。柳下毅一郎の樫原監督インタビューは大笑い。フラン・オブライエンとかの話で盛り上がってもねえ。あまりのことに早送りも忘れて特典映像ぜんぶ見ちゃったよ。柳下美恵伴奏の短篇写真映画もあります。おすすめ。ラファティ・ファンとかも一応見とかないとね。



【3月31日(水)】


 ゲラを2本読んでなんとなく完徹。
 一本は横溝正史ミステリ大賞の受賞作。SF設定のミステリのつもりで読んだら、ただのSFだったのでびっくり。いや、大トリックはあるんですけど、そのためにものすごく無理な設定になってて、しかもSF読者には一瞬でバレます。小説的にはそこはどうでもいい話だからべつにかまわないんだけど。しかし横溝賞受賞作をロマンチックSFとして売るわけにもいかないだろうしなあ。編集者の苦労がしのばれる。これ、ほんとはセカイ系で売るのがいちばん正解だと思うけど。カバーは新海誠ね。突っ込みどころは満載ですが、好感度は非常に高い不思議な小説。天然ボケのセカイ系という新ジャンルが開拓できそう。

 朝方ちょっと寝てから、小説すばるとメンズ・エキストラの原稿。

 『メッタ斬り!』トークショーはいよいよ明日開催。席数にはまだ若干の余裕があるみたいなので(たぶん)、電話予約はお早めにね。関係者は適当に声をかけてください。





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