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●豊崎由美/大森望『文学賞メッタ斬り!』、3月19日刊(→amazon | bk1 | ABC楽天)。ISBN:4-89194-682-2
4月1日、青山ブックセンター本店で『メッタ斬り』トークショー。電話予約受付中。定員120名・入場料500円(税込・当日精算)。
『文学賞メッタ斬り!』公式サイトできました。「業界人50人に聞く文学賞アンケート」など独自コンテンツも続々増強中。
●コニー・ウィリス『犬は勘定に入れません』、4月中旬刊行予定(→amazon | bk1)。ISBN:4-15-208553-3
●シオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』(河出書房新社1900円)発売中→bk1 | amazon


【3月20日(土)】


 箱根山@戸山公園で花見――の予定だったが大雨&寒波襲来につき明日に順延。
 花見なんて冗談としか思えない天候。明日もまだ無理なんじゃないかなあ。と思いつつ、ほうほうのていで『ホーンテッド・マンション』のラストまでたどりつき、週明け完成の目処が立ったところで高田馬場。
 芳林堂と未来堂書店を覗いたけど、『文学賞メッタ斬り!』は見当たらない。綿矢りさの準地元なのに(笑)。
 ちなみにアライさんから教えてもらった「綿矢カレー」の記事

 肩を落としつつSF者の例会@ルノワール。追加で届いた著者分の見本を配ると早速追加のK浜チェック。
 『太陽風交点』について、「堀晃のハードSF長編」と発言していることを指摘され愕然とする。頭の中で一瞬、『バビロニア・ウェーヴ』といっしょになっていた模様。もちろん「ハードSF短編集」が正解ですね。どうもすみません。増刷の機会があれば訂正します。
 というわけで、まちがいを見つけた人は電話またはメールまたは掲示板でどんどん教えてください。

 まちがいと言えばもう一カ所、うろ覚えのまましゃべってるところで、
大森 でも、こんな話もあるよ。ほんとかウソか知りませんが、以前、推理作家協会のだれかが、都筑道夫のところに協会賞の選考委員を頼みに行ったんだって。「今回、実は推理作家協会賞の……」とまで言ったところで、都筑さんが「はい、いただけるものでしたら」って。賞をもらうつもりになっちゃった(笑)。で、結局、選考委員の件は言い出せなくて帰ってきたという。
と発言してるんですが、これは「都筑さんを偲ぶ会」における大沢在昌氏のスピーチを聞いて、正しい事実関係が判明しました。
 都筑さんに協会賞選考委員をお願いするという役割を与えられたのは(当時、協会の理事になったばかりの)大沢さんだったそうで、理事会にやってきた都筑さんに、大沢さんがおそるおそる、「折り入ってお話がありまして。今回、実は推理作家協会賞の……」と声をかけた。そしたら都筑さんが、「はい、いただけるものでしたら」と答えたので、大沢さんは頭の中が真っ白になり、どうしていいかわからなくてうろたえた、ということらしい。もちろんそのあとちゃんと説明して、協会賞選考委員就任の快諾をもらったんだそうです。
 いちばん重要な部分はまちがってなかったんですが、そうか、頼んだのは大沢さんだったのか。小耳にはさんだような話でも、ちゃんとウラをとらなきゃダメだという見本。
 大沢さんには、「すみません、まちがえました」と謝ったんだけど、ここでも謝罪して訂正しておきます。

 しかし、例会での話題は、大塚英志『「おたく」の精神史』と、《本の雑誌》最新号の「古本極道の妻たち」座談会(タイトル違ったかも)と、柳下毅一郎に教えられたキンタマウイルス。それにプライバシー流出の流れで草津温泉の盗撮ビデオ(最近、近所のレンタルビデオ屋に例のやつのパッケージDVDが入っててめちゃめちゃ驚いた)。
 キンタマウイルスはすごいね、しかし。あまりに面白いので仕事そっちのけで関連スレとサイトを読みふけってしまいましたよ。やるならとことん最後まで。

 古本極妻座談会(違います)はたいへんすばらしい企画だと思いますが、妻が《本の雑誌》座談会に出てる時点で、大多数の妻子持ち古本極道からは、「あんたんとこは恵まれてるよ。めちゃめちゃ理解があるじゃん!」と言われること必定。というか、すでに結婚している時点で以下略。

 23時半ごろ帰宅し、徹夜カラオケに出かけるさいとうよしこと交替し、自宅のマッサージ椅子で『ホーンテッド・マンション』の直し。



【3月21日(日)】


 晴れたので花見。
 高田馬場に集合し、タクシーに分乗して箱根山。戸山公園ってこんなに広かったのか。
 しかも箱根山は山の手線内(および新宿区内)の最高峰らしい。標高44.6メートル。
 満開だと、山の頂上から四方がぐるりと桜に囲まれるらしいんだけど、あまりにも標高が高いので桜はまだ全然咲いてません。咲いてる桜は三本ぐらいかな。
 もっとも、堺三保が撮った写真を見ると、一応、花見をしているように見える罠。
 中村融とは《奇想コレクション》の今後について相談。ベスターの作品選択は難航しているらしい。出せるものはいくらでもありそうな気がするんだけど、諸事情を勘案すると意外にタマがない。《奇想コレクション》でぜひ出してほしい作家がいたら伝言板とかでリクエストしてください。
 しかし中村融は、自分が編んだ短編集を百人に誉められても、一人から文句を言われるとその文句がずっと心の傷になるらしい。大森は天の邪鬼な性格なので、けなしてる人がいるとむしろほっとするんですが。

 花見宴会は開花率に反比例してそれなりに盛り上がり、気温のほうもぎりぎり耐えられるレベル。どう考えても企画倒れだと思った、「コンロを持参して山頂でうどんを煮る」という三村美衣の暴挙も、蓋を開けると大成功。いやあ、高いところで食ううどんはうましね。沸点が低くなるのが難点だけど。
 とか言い続けてるから堺三保に「そのギャグ、いつまで続ける気ですか?」とか文句を言われるんだな。

 終了後は早稲田まで歩き、駅前のシャノアールでお茶。となりの書店にも『メッタ斬り!』は並んでませんでした(泣)。
 柳下毅一郎によると、キンタマウイルスのせいでWinny人口は激減してるらしい。そりゃおそろしいよねえ。
 しかし、早稲田とはいえ、大混雑しているシャノワールのテーブルで、「キンタマがさあ」とか大声でしゃべっている三村美衣は人としてどうかと思った。「キンタマっておもしろいよね」とか。せめて人前では「ウイルス」をつけていきたい。

 すっかり忘れてたけど、晩飯は綿矢カレーにすればよかったかも。

 西葛西までもどり、『ホーンテッド・マンション』の直し。とりえあず予定枚数をクリアして終了。ほんとはぜんぶ娘の視点で書きたい話なんですが、そうすると映画と違っちゃうからなあ。こういう素材なら、角田光代『キッドナップ・ツアー』みたいな小説にするのがたぶんいちばん正しい。ダメ父親としっかり者の娘ね。
 映画見てるときは、筋が通ってる話だと思ったのに、いざ書いてみるとあちこちに謎が。小さい謎にはつっこめるんだけど、致命的な謎にはさすがにつっこめない。人種問題とか。

 あとは浦安ディズニーランドへ行って、ホーンテッド・マンション(本物)見てくるかな。



【3月22日(月)】


 週が明けたと思ったら、『文学賞メッタ斬り!』増刷決定のメールが!

 購入/紹介してくださったみなさま、ありがとうございました。

 みすらぼさんのところでは、書評リンク集までつくってくれて感謝することしきり。
 ありがたい感想が多いですね。とくに「やたらに男前な豊崎由美と見た目はオバハンくさい大森望」と的確に書いてくださりやがったスズキトモユのことは一生忘れないようにしたい。「心の中ではきっと酷いこと思ってる悪者」ってだれよ。

 しかし、そもそもこの本の企画は(あとがきでトヨザキさんが書いてるとおり)アライユキコさんが考えたもの。著者二人はまったく関与してないというか、天から降ってきた企画に乗っかって適当にしゃべったらそれがエキサイトブックスに載っかり、それを見たPARCO出版のM川さんが「これ、単行本にしましょう」というので、はいはいありがとうございますと乗っかっただけなので、正直、アライさんとM川さんがつくった本に協力しましたという感じ。少しは仕事しなきゃと思って註と値うちは必死に書いたんだけど。
 というわけで、アライさん、M川さん、おめでとうございました。大森がよけいなことをいろいろ思いついたせいで地獄の苦しみを味わうことになったトヨザキ社長はご苦労様でした。

 初版部数はそんなに多くなかったんで、4月はじめに増刷分が出回るまでは、入荷しない書店が多いと思うんですが(というか、オレはいまだに書店で見てません。5軒ぐらいまわったのに)、近所で見つからないという人は、ネット書店でどうぞ(→amazon | bk1 | ABC楽天)。bk1とamazonは送料無料、ABC楽天は5000円以上購入で無料になります。

 あと、23日夕方までは二刷の訂正が間に合うそうなので、まちがいを見つけた人はお早めにご連絡をぜひ。

 書評仕事で、4月に出る成田良悟の新作『デュラララ!!』(電撃文庫)の青焼きを読む。なるほど、これだけイラストが入る媒体の場合、ゲラっていうと青焼きになるわけですね。
 デビュー作の『バッカーノ!』は、やりたいことにストーリーテリングがついてってない感じだったんだけど、飛躍的にうまくなってます。内容は、死神レーサー……じゃなくて処刑ライダーmeets池袋ウエストゲートパーク。
 いや、若い人は「処刑ライダー」って言っても知らないか。でも正確には首なしライダーなので「スリーピー・ホロウ」。と思ってるとじつは×××で、へーと思ったらこれが×××××で――と、ミステリ的などんでん返しが連続する。途中、一カ所だけ「説明の羅列」になっちゃってるとこがあるのと、表記不統一およびルビ誤植が目立つのが惜しい。「〜の様(よう)に」はやめたほうがいいでしょう。
 死神レーサーがらみの部分を抜くと、現代の池袋を舞台にした青春(思春期)小説としても成立する仕上がり。電撃文庫じゃ、わりと珍しいタイプかも。それを補完するためか、電撃文庫ネタも出てきます(笑)。
 問題は主人公(視点人物)のファーストネームが、「帝人」と書いて「みかど」と読ませること。オレ世代だと、何回ルビ振られてもやっぱり「ていじん」と読んじゃうのよ。アニメ化したときTEIJINがスポンサーに着くと、ナショナルキッドみたいでちょっといいかも。先年亡くなったうちの伯父さんは帝人勤務でした。ふと気になって、社名がなんで帝人になったのかと思って調べたら、帝国人造絹絲だったのね。人造絹糸は人絹で、人絹といえばスフ(ちょっと違うけど)。つまり帝人はもともと帝国SFだったわけで、そう考えると主人公の名前になってもおかしくないか。

『サブカルチャー文学論』も読書再開。この本にも「隘路」という言葉が頻出するんだけど、どうもいまいちぴんと来ない。隘路って「せまい道」のことだよねえ(「障害」「難点」の意味もあるけど)。
 そう思って検索すると、《新現実vol.2》にも「アメリカが望む「日本」の姿が「日本国憲法」の成立時と違ったから、それに合わせましょう、というのが軍事的貢献即ち一人前の国家論の持つ隘路である。」と書いてて、やっぱりよくわからないのだった。こういう文脈で「隘路」を使うのが最近のはやりなんでしょうか。致命的問題? 欠陥? その道がどこにも通じてないんなら「袋小路」とか言えばいいのにとちょっと思った。

 bk1で注文しなきゃと思ってた神林長平『麦撃機の飛ぶ空』が版元のヒヨコ舎から送られてきてラッキー。たいへんキュートな本です。でも、いま初めてこの本の存在を知ったうかつな人は、まず『文学賞メッタ斬り!』を買うこと(笑)。




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