Powered by bk1(Online Bookstore) →詳細検索

Powered by amazon.co.jp
●豊崎由美/大森望『文学賞メッタ斬り!』、発売中(→amazon | bk1 | ABC)。ISBN:4-89194-682-2
エキサイト・ブックス内に、「文学賞メッタ斬り!フォーラム」オープン。ご意見ご感想ご質問はこちらへ。
4月1日、青山ブックセンター本店で『メッタ斬り』トークショー。電話予約受付中。定員120名・入場料500円(税込・当日精算)。
『文学賞メッタ斬り!』公式サイトできました。「業界人50人に聞く文学賞アンケート」など独自コンテンツも続々増強中。
●コニー・ウィリス『犬は勘定に入れません』、4月中旬刊行予定(→amazon | bk1)。ISBN:4-15-208553-3
●シオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』(河出書房新社1900円)発売中→bk1 | amazon


【3月16日(火)】


 こないだからちょぼちょぼ大塚英志『サブカルチャー文学論』を読んでたんだけど、どうも巷では『「おたく」の精神史 一九八〇年代論」のほうが話題らしいので、ぱらぱら読む。

『ミャア官』から、《エロジェニカ》《劇画アリス》、《ペケ》《COMIC AGAIN》《漫金超》あたりの固有名詞選択には(当然のことながら)隙がない。《ウィークエンドスーパー》だけじゃなく、ちゃんと《ZOOM UP》や《ニューセルフ》にも言及されてるし。(あの文脈だと、《だっくす》系の流れにも触れてほしいと思ったが、年表には入ってました)。そういう意味ではほとんど違和感がない。

 ただし、新人類は「運動」だったって言うのは、新本格は「運動」だったという以上に違う気が。というか、オレは、「1960年前後生まれの世代を新人類と呼ぶ」という程度の理解でした。
 たしかに朝ジャの連載の「新人類の旗手たち」登場メンバーで見ると世代が一定してないけど、それは朝ジャの特殊事情で、一般的には「新人類世代」みたいな扱いだったと思った。

「おたく」と「新人類」の対立に際して「おたく」を選択し、中森明夫の《ブリッコ》連載を切った――という話は、話としてはたいへん面白いが、そういう対立にはあんまり実感がない。ひとつには、SFおたくという立場がわりと中間的だったせいかも。

 吾妻ひでおが『不条理日記』で書いてたようなSFおたくの自虐ネタっていうのは、SFの相対的な地位向上(および、それにともなう勢力範囲の相対的な縮小)とともにだんだん実情にそぐわなくなってきて、SFファンが口にする「どうせSFなんか」的な物言いに違和感を持ち始めたのが1983年頃じゃないかなあ。

 もちろん「おたく」擁護の立場ではあっていたものの、「活字の海外SFおたく」という存在は、狭義のおたく性に照らすとかなりポイントが低く(というか、最初のころ、SFファンはまだ「おたく」扱いされてなかったと思う)、「新人類」的には(相対的にいくらか)ポイントが高い。だからどっちでもあるというか、どっちでもないというか、そもそも対立を感じていなかった。本人がどう思ってたかはともかく、中森明夫だって、当時のオレ理解では、「おたく」かつ「新人類」だったし。あ、それと京大生だったせいで『構造と力』以前から浅田彰神話に洗脳され、ニューアカデミズムにちょっとだけ染まりかけたって事情もあるかも。

 もっとも大森は1983年春から就職して編集者になり、まったく新しい環境で働きはじめたので、この時期のおたく情勢にはたいへん疎い。まんがからもアニメからも関連雑誌からも一時的に離れてましたね(ゲームもまだやってない)。仕事以外ではSFをフォローするのが精一杯の状況。《リュウ》も《ブリッコ》もたまにしか読んでなかった。したがって、当時学生だった人とはずいぶん感じ方が違うと思う。

 しかし、この本の最初のほうを読んでいちばん思ったのは、「大塚英志は若い小林信彦である」ということ。嫌味の言い方がほんと小林信彦そっくり。おれよりちょっと下の人間がこの本に強く反発するのも、そのへんに原因があるんじゃないでしょうか。
 その嫌味なところが楽しいんだけどなあ。もっとも、その嫌味な部分をすっ飛ばして絶賛したり全面的に賛同したりするのもどうか。小林信彦の横山やすし論とかと同様、バイアスがかかってることを意識しつつ、にやにやしながら楽しみたい。

 この本でも週刊本の『卒業』がしばしば(じつに嫌味に)引用されてますが、そういう箇所についてほとんどまったく記憶がないのは愕然とするね。大塚英志の引用だけ読むと、めちゃくちゃいやな座談会としか見えない(笑)。これは古代史捏造か、それともオレの記憶汚染なのか? ヒマになったら書庫から『卒業』を発掘しよう。



【3月17日(水)】


《週刊文春》3月25日号に出版禁止命令。田中真紀子の長女が離婚したなんて話にたいしたニュースバリューがあるとは思えないが、発売前の出版禁止命令のおかげで軽く百倍は価値が向上。
 昨日のうちに発送されていた見本誌(毎週送られてくるやつ)は無事に届いたんで、一応真っ先に読みましたが、いつものアンチ真紀子な記事というだけ。むしろこの号をヤフオクに出せば……とか(笑)。しかし結局、ほとんどは配本済みで飛ぶように売れちゃったらしい。完全に逆効果っていうか、むしろ《週刊文春》には追い風だったのでは。

 ちなみにこの号には、こないだ書いた、中冨信夫『日本の衛星はなぜ落ちるのか』の書評が載ってます。タイミングがよかったんだか悪かったんだか。

『ホーンテッド・マンション』を嵐のようにぶっ書き、夕食の時間になったので東京會舘の日本ミステリ文学大賞へ。『メッタ斬り!』が出るとこういうパーティにも参加しにくくなったりして。出入り禁止とか(笑)。
 もっともミステリ文学大賞新人賞は受賞作なしだったので、まだよかった。

 岩井志麻子は中村うさぎといっしょに、テレビ東京で4月からはじまる深夜番組のホストになるらしい。第一回のゲストは山拓の元愛人の人だそうで。水を得た魚?
 韓国帰りの岩井さんからは(家に持って帰れないからあげるよという鈴木輝一郎経由で)コンビニ売りのエロ本を頂く。
 写真はほぼ全部日本のエロ本からの無断(推定)パクリなんですが(長瀬愛とか蒼井そらの昔の写真満載)選択眼がすばらしい。山のように日本のエロ本広げて、いちばんいいやつだけをセレクトしてるんだろうなあ。楽しそうな仕事。毎日はやりたくないが。

 角川書店S戸編集長と、新人類世代の評論家について意見交換。面白すぎて発言が引用できません。あとは横溝正史ミステリー大賞受賞作の話とか。SFらしい。



【3月18日(木)】


『文学賞メッタ斬り!』(→amazon | bk1 | ABC)、本日、取次搬入。はやい書店では午後から店頭に並んでいる模様。売れるといいなあ。だったらもっと内容を薄くしろ>自分。柳下毅一郎からは、「ふつうの人向けの本じゃないね」とかあっさり言われるし。そ、そうなのか?

 サッカー五輪アジア最終予選最終戦をTV観戦。埼玉スタジアムからの帰り道、「バーレーンの日本ラウンド3連勝はない」と柳下に力説してたんだけど、やっぱりそうでしたね。ていうか、終わってみれば、UAEが地元でバーレーンに勝ってくれてのがいちばん大きかった。
 対UAE3−0の勝利はめでたいけど、バーレーンと2戦して1分1敗だということを忘れてはいけない。10戦すれば7回勝って1回負けぐらいの相手だとしても。
 オリンピック本番なら相手が引かないからもっと理想的なサッカーができるとか監督が言ってるようだとちょっと不安。
 しかしオーバーエイジ枠は(キーパー以外に)だれが入るんでしょうか。アレックスとトゥーリオと松田の超攻撃的3バックってどうですか。冗談です。



【3月19日(金)】


 『メッタ斬り』生みの親であるところのエキサイト・ブックスで、新たに「文学賞メッタ斬り!フォーラム」がオープン。
「『文学賞メッタ斬り!』の著者、大森望・豊崎由美が、本の感想や意見やはたまた異論反論などに、日替わりで直接答えるインタラクティブコーナーです。」
 ってことなので、ご意見ご感想ご反論まちがい指摘ご相談等々はこちらへどうぞ。柴田元幸インタラクティブのピアソンBOXに負けると悔しいので(笑)じゃんじゃん投稿してください。でも、やばすぎる投稿は無視するかも。




top | link | board | articles | other days