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【6月1日(日)】


 金曜日に『キリクと魔女』の試写を見たことを書き忘れていた。ビジュアルはいいんだけど、話はかなり退屈(とくに地下に潜るあたり)。アフリカの話なのにフランス語の映画だから日本語に吹き替えるのは正しいとして、歌部分だけフランス語に戻るのは違和感ありすぎ。『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』の日本語バージョンなんてあの長い歌をぜんぶ日本語で歌ってるのに。しかも市村正親。

 土曜日の国立の日韓戦のことも書き忘れていた。が、書く気もしない。お嬢さんサッカーに戻っちゃったってるんじゃないの。ぼちぼちジーコ叩きが本格的に始まる頃かも。



【6月2日(月)】


 恵比寿ガーデンプレイスで対談の仕事があるので、ひと足早く出かけてガーデンシネマで『ボウリング・フォー・コロンバイン』。カナダの人が(トロントみたいな都市部でも)家に鍵をかけないという話がいちばん驚いた。いや、オレも大学の四年間は下宿に鍵をかけなかったし(引っ越してすぐ鍵をなくしてそれっきり)、東京に来て住んだ二軒のアパートでもろくに鍵かけてなかったけど。「突撃! となりの晩ごはん」の海外ロケはカナダで決まり。

 爽やかな初夏の風が吹き抜けるガーデンプレイスのオープンカフェでピザのランチ。混み具合も適度で快適です。

 3時からガーデンタワー20階の会議室でトヨザキ社長とexite booksの対談。「ニュースな本棚」っていう特集ページを担当するアライユキコさん@カエルブンゲイの仕切りで、お題は「文学賞で読書ガイド」(すでに公開されてます→「文学賞メッタ斬り!」)。この対談用に、最近の純文系新人賞受賞作をぱらぱら読んだけど、感心できるものはほとんどなかった。芥川賞受賞作はさすがにそれなりのレベルですが、『しょっぱいドライブ』とか『パークライフ』は別に直木賞でもおかしくないし。三島賞も、舞城王太郎に授賞するなら、津原泰水・古川日出男・打海文三あたりを候補にしてほしいと思ったり。とか言ってると『重力ピエロ』が次の候補になったりするかもなあ。森絵都『永遠の出口』は直木賞・山本賞か。



【6月4日(水)】


 13:00、メディアボックス試写室で『チャンピオン』。モデルになった韓国人ボクサーの最後の試合、ラスベガスで開かれたライト級世界タイトルマッチの模様がロビーのテレビで流れてて、三留まゆみと一緒に見てたんですが、そこにガッツ石松登場。
「この試合は日本でも衝撃だったんだよ。ふうん、サウスポーだったんだねえ。お。いまのわかった? ペナルティだね。1点減点」
 ……と、ガッツ石松ナマ解説をとなりにすわって拝聴することに。これだけでも来た甲斐があったな。映画はわりとふつう。いちばん面白かったのは、ひと目惚れした彼女が乗り込んだバスを主人公が走って追いかけるシーン。なんとバックに流れる明るい歌は、「テコンV」の主題歌。『どついたるねん』の中でとつぜん「コンバトラーV」のOPが流れたような衝撃。ていうか、韓国人にとっての「テコンV」は日本人にとっての「鉄腕アトム」みたいなもんなんでしょうか。

 15:30からは同じメディアボックスで『ナイン・ソウルズ』。脱獄物。松田龍平はひとりだけ『青い春』から抜け出してきた感じなんだけど、そのミスマッチがちょっと面白い。



【6月8日(日)】


 キリンカップのアルゼンチン戦をTV観戦。W杯からもう1年ですか。いや、5年前ぐらいの気がするけど。伝統芸の人たちをはずした若手主体のアルゼンチンは、W杯のチームよりむしろ強いかも。だから去年もサビオラ入れとけばよかったのに。日本代表は国立の韓国戦よりはちょっとましかな。後半の布陣で最初からやってれば、2−3ぐらいまでは行けたかも。



【6月9日(月)】


 満員のシネカノン試写室の補助席で、井筒和幸3年ぶりの監督作『ゲロッパ』。評判通りの秀作で、邦画各賞をさらいそうな勢い。ベタすぎるところも含めて、久々に気持ちのいい予定調和が味わえる人情コメディ。井筒作品としては『のど自慢』系列かな。蒲郡のリゾートホテルと物まねショーがベストマッチ。ただし、端役が豪華すぎて、映画の小品っぽいつくりと合ってない感じ。

 シネマ下北沢にまわって、『刑事まつり』シリーズ第4弾と第3弾を続けて見る。もうそんなに混んでないと聞いてたのに、1時間前に窓口に行ったらすでに補助席でした(大森南朋組の舞台挨拶目当てに若い女性客が押しかけた模様)。しかし整理券もらえば並ばずに入れるシステムなので楽ちん。
『新刑事まつり一発大逆転』は、役者が監督して、監督に芝居させるという趣向。監督初体験のせいか、揃ってめちゃめちゃ本気度が高く、異様に手間のかかった作品が並ぶ。10分が30分ぐらいに思えるものも混じってますが、人気投票ナンバーワンの大森南朋「リハビリ刑事」なんか、超豪華キャスティングも含めて堂々たる出来ばえ。津田寛治「子象*デカ」は日本SF大会で招待上映してほしいぐらいだし。柳ユーレイの「吉田みのる刑 事」もギャグの切れは悪くない。
 大森組のトークショー終了後、昼間『ゲロッパ』でも見たばかりの木下ほうか監督から、テアトル新宿で今月下旬公開の『17才』の前売り券を購入(笑)。いやほら、オレは三輪明日美派ですから。『ゲロッパ』を絶賛したら木下氏が複雑そうな表情だったのは、やっぱり『17才』のライバルだから?

 続いて、やはり満席の第三弾『もっとも危険な刑事まつり』。でも整理番号が早いのでちゃんとクッションつきの椅子にありつく。こっちはワンアイデア勝負の一発ネタ中心。佐藤佐吉「ウルトラマソ刑事」が典型で、噂でネタを知っててもラストは爆笑。小泉徳宏「行列のできる刑事」もアイデアは秀逸。主人公が高校時代にサッカー部をクビになった理由をさらっと言うところがいちばんツボだったんだけど、さらっとしすぎてたせいか客席の反応は鈍かった。パロディ系では、なにわ天閣 「刑事天国」がなかなか。山下敦弘「汁刑事」は、ドキュメント系アダルトビデオのフェイク。めちゃめちゃよくできてます。
 問題は、今日の主目的のファビュラス・バーカー・ボーイズ・プロダクション製作、町山智浩監督「サンフランシスコ刑事 Dr.ゼロを探せ!」。刑事まつり史上唯一の海外ロケ敢行作品なんだけど、ドキュメント的な素材(監督の英語ががんがん入ってます)をはめこむ外枠の作り込みが中途半端。「ウルトラマソ刑事」や「汁刑事」に比べると居心地の悪さが先に立ち、客席の笑いを誘いにくいという構造的な欠陥が。対決もので行くなら、ギンティ小林が闘う格闘家たちの強さをありもののビデオでインサートしておくとか、ブッシュと闘うとか、いろいろやりかたはあった気がする。それでも退屈はしないので、『もっとも危険な刑事まつり』の中では真ん中ぐらいの出来か。

 というわけで、短篇19本を続けて見たわけですが、これで合計2000円はかなりお得。どんなにつまんないやつも10分我慢すれば終わるし、覚えてるのは面白かったやつだけなのでOK。今週いっぱいの上映なので、お暇な人は是非。ただし週末ははやめに整理券もらいにいったほうがよさそう。



【6月10日(火)】


 未読消化と《本の雑誌》原稿。
 今回のメインは、ゲラで読んだ若島正編のスタージョン傑作選『海を失った男』(晶文社)★★★★★。発売がちょっとのびて、7月末ごろになる模様。bk1で予約できるようになるらしいので、決まったらまた告知します。まあしかし、同じスタージョンでも河出版とはずいぶん雰囲気が違うね。晶文社のはヘビー版、河出のがライト版。若島さんがSFファンにやや挑戦的な解説を書いてるのも、性格付けがはっきりしていい感じ。スタージョンおたく的には本邦初訳の中篇3本がポイントでしょう。「……そして私のおそれは募る……」がいちばん凄いかな。

 日本SFのイチ押しは冲方丁『マルドゥック・スクランブル The First Compression―圧縮』(ハヤカワ文庫JA)。SFM7月号の短篇版を頭にくっつけたほうが入りやすかったも。ウフコックの設定が米田淳一『プリンセス・プラスティック』とかぶってたり、ガンアクションが深見真『アフリカン・ゲーム・カートリッジズ』とかぶってたり、もうちょっと早く出てればねえと思うところはあるものの、キャラクター小説のお手本のようなと造型SFのツボを押さえた背景説明、コードウェイナー・スミスばりのハイスピードな駆け引きなど、全体としては見事な仕上がり。有里さんとこの感想リンク集を見ても評判は上々の模様。この設定ならすぐにでもアニメ化できそうなので、アニメ関係者はぜひ一読を。



【6月11日(水)】


 埼玉スタジアムのパラグアイ戦をTV観戦。中盤のプレッシャーがないと俊輔はめちゃめちゃうまく見える。でも自分から右に行っといて左で蹴ろうとするのはどうですか。相手がほぼ引きっぱなしなので、アジア予選のいいシミュレーションになりそうなんだけど、結局崩せずじまい。もっとミドルシュート打たなきゃ。
 去年から言ってた「アレックスの左サイドバック」がついに実現。相手が相手とはいえ、初戦であれなら及第点でしょう。日本のロベカルを目指してほしい。問題は右。相手がワントップなら中田英寿が右サイドバックっていうウルトラCはどうか。でもクロスはそんなによくないか。
 それにしてもジーコのやりたいことはさっぱりわからないのだった。トルシエはあんなにわかりやすかったのに。




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