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【お知らせ】
コニー・ウィリス『航路』、全国書店で発売中(大森望訳/ソニー・マガジンズ/上下各1800円
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『航路』ネタバレ感想・議論用掲示板を設置しました。あんなことやこんなことを心おきなく語りたい人はどうぞ。




【12月1日(日)〜3日(火)】


 ベストテン締切が間近なので未見映画消化中。  ワーナーマイカル妙典では『トリプルX』『ジョンQ』をはしご。ヴィン・ディーゼルの『トリプルX』は最高。007パロディなんだけど前半は本家より面白い。『ジョンQ』は『ヤマカシ』と同じ設定(心臓移植待ちリストに子供の名前を載せてもらうカネがなくて奔走)で『ハードロック・ハイジャック』をやる話。たてこもるまでの流れるような展開もうまいが、籠城後が抜群。茶木則雄とか北上次郎のためにあるような映画だと思った。

『ビューティフル・マインド』はDVD鑑賞。ジョン・ナッシュっていうとナッシュ均衡の人ってくらいの認識しかなかったんですが、ふうん、こんな映画だったのか。しかしどう考えても、<ネタバレ>あの中でいちばん妄想っぽいのはスパイの話じゃなくてジェニファー・コネリーのの存在。幻覚だと自分で認めたラッセル・クロウが、この根拠について、She's not real. She never gets young.と語るんですが、ジェニファーのこととしか思えません。歳をとらない美女に惚れられて結婚するおたく妄想。それにくらべれば国防に協力するぐらいどうってことない。</ネタバレ>

 窪塚くんの『laundry』とトヨエツの『ドッグ・スター』はまったく同じ構造の映画だったので笑ってしまった。多少の欠損を抱えた主人公が心に傷を持つ女性(小雪/井川遥)と出会い、知り合った気のいいおやじ(内藤剛志/泉谷しげる)の特殊な仕事をふたりで手伝いながら関係を深めていくが、おやじが途中退場するのでその仕事を自分たちで引き継ぐことになる――と。かたや結婚式で鳩を飛ばす仕事、かたや移動動物園の仕事。
 『ドッグ・スター』は瀬々敬久の監督・脚本。'70年代少女漫画テイストのシナリオはよくできてますが、豊川悦司が元犬に見えないのが難。井川遥がクラリス風のセリフを吐くカリ城みたいな場面があったりして、意外と30代おたく向けかも。

 その瀬々監督の新作は、SFマガジンの表4に広告が入ってて仰天した『SFホイップクリーム』。武田真二と松重豊で『キン・ザ・ザ』風に――という映画なんだけどギャグがさっぱり笑えなくて異様につらかった。higuchinskyの『TOKYO10+1』もそういうパターン(こっちは『バトルロワイアル』パロディ系)で、国産の低予算SF映画はどうしてこうなっちゃうんでしょうか。あ、『パコダテ人』もギャグは滑ってるけど、宮崎あおいがかわいいのでまだ許せる。whiteberryの曲がかかるシーンはけっこう好き。

 月野木隆監督『白い犬とワルツを』は森崎東の脚本が完全に「懐しの日本映画」を実現してて仰天。まさか同窓会じゃなくて分骨に行くとは……。ワルツを踊るシーンだけが激しく浮いてるけど、これはどうしても切れなかったんだろうな。ほとんどロングとミディアムショットしかないような映画で、仲代達矢と娘二人(若村麻由美・南果歩)の関係を中心にした日常描写はすばらしい。
 同じ設定、スタッフ/キャストで、『おじいさんの時計』という映画をつくって正月に公開すれば興行的にかなり成功したのでは。白い犬を古時計に交換するだけでも可。

 大谷健太郎監督『とらばいゆ』は女流プロ棋士姉妹(瀬戸朝香/市川実日子)とその旦那/彼氏(塚本晋也/村上淳)の話。瀬戸朝香にはほとんど興味がないんですが、姉妹喧嘩と夫婦喧嘩のダイアローグがすばらしく、気の強い奥さんモノとしてはかなりポイントが高い。将棋連盟で対局中、休憩で外に出るとそこは見慣れた(映画美学校の)片倉ビル――っていうのは笑った。

 傑作だったのは三池崇史『実録・安藤昇侠道伝 烈火』。安藤昇とはまったくなんの関係もなくて、これはほとんど『荒ぶる魂たち』のリメイクですね。おなじ武知鎮典の脚本で、話のパターンも完全に同じ。加藤雅也vs白竜を竹内力vs美木良介に変更、ヤクザ群像劇の部分を省略して、『DEAD OR ALIVE』第一作みたいな対決モノの色合いを強めた感じ。『荒ぶる魂たち』より1時間近く尺が短い分、話の焦点がふたりの対決に絞られて、ぐんとスピード感が出ている。冒頭に出てくる白髪の内田裕也もド迫力。



【12月4日(水)】


 宝島社の2002 Year End Party@全日空ホテル。赤坂泰彦アナのDJつきバンド演奏とか、恒例のカジノとかありましたが、こちらは片隅でこのミス大賞の審査員・受賞者の親睦会。半蔵門の《笑笑》に流れ、さらにそのとなりの店に移って午前1時まで。茶木則雄演説モードはまだ止まらない。



【12月5日(木)】


 渋谷・アミューズ試写室で塚本晋也監督『六月の蛇』。電話相談室の女性が相談主のカメラマンに盗撮され、写真をタネに羞恥プレイを教養される話――と要約すれば、まんまエロマンガの世界。18禁じゃないので羞恥プレイはあんまりエスカレートしませんが、雰囲気はかなり出てます。異様にきれい好きな旦那役の神足裕司は(セリフはともかく)完璧なキャスティング。

 試写のあとはオーストラリア大使館で文春文庫のオーストラリア・ミステリー刊行記念レセプションに行く――はずが、トキオ社長が気管支炎をこじらせてまたも入院になってしまったため、着替えその他を持って病院へ。前回入院時は母親がいなくてもご機嫌だったんだけど、さすがに知恵がついているので夜帰るときは泣きまくり。



【12月6日(金)〜9日(月)】


「国内SFファン度調査」。300作品中、272作品読了でした。未読はノベライズとヤングアダルトとめちゃくちゃ長いやつが中心。

 もうひとつ「ファンタジー小説ファン度調査 」は、全351冊中、「あなたのチェック合計:182」という結果。かろうじて半分クリアか。最近のハヤカワ文庫FTと非英語圏が弱め。このラインナップなら、石堂藍と中野善夫が強そう。ぜひ対決していただきたい。

 ついでにやった「偽コミックファン度調査」は、180作品のうち、既読が76作品。

 東野圭吾『ゲームの名は誘拐』。連絡手段としてインターネットを利用、フリーメールのアドレスを使い捨てにしたりしてるんですが、IPを隠す努力をしている形跡がまったくないので、あれではアクセスログからすぐに足がついてしまうのでは。

 福井晴敏の大作、『終戦のローレライ』を読み始める。これってじつは海洋冒険SF?

『このミステリーがすごい! 2003年版』発売。『航路』はぎりぎりランクインの17位。書くのを忘れてましたが、放送のはじまっているミステリチャンネル「闘うベストテン2002」では海外ミステリ編の第4位でした。



【12月10日(火)】


 めちゃめちゃ寒い中、表参道の協会事務局で日本推理作家協会賞長編・連作短編集部門の第一回予選会。またしても杉江松恋を待つことに(笑)。しかし立ち会い理事の馳星周はさらに遅刻。もっとも残す候補自体は、とくにもめることもなく30分ぐらいで決まってしまったので問題なし。



【12月11日(水)】


 ヤマハホールでスコセッシの『ギャング・オブ・ニューヨーク』。いまどき珍しい敵討ち映画だなあと思って観てると卓袱台ひっくり返し攻撃に茫然。いちばん盛り上がる対決をそんなことで台なしにしていいのか。映画の論理が現実の論理に敗北するのが9.11の衝撃だってこと? U2の主題歌がトドメを刺し、ブッシュ様に捧げるアメリカ建国映画に。ダニエル・デイ・ルイスはいいんだけどなあ。

 つづいて渋谷シネクイントで『刑務所の中』。冒頭のサバゲ描写が爆笑。心温まる小品っていうか。

 道玄坂のフォーラム8で恒例の翻訳ミステリ忘年会。若い女性翻訳者が増えたように見えるのは気のせい? 翻訳エンターテインメントの刷り部数が激減し(20年前の半分以下)、会社によっては印税率も下がったりしているので、もはや商売として成立しにくくなくなっている気も。親と同居しながら趣味で翻訳、実益も少々――とか。翻訳もリストラ時代。まあしかしデフレ時代に見合った生活を再設計すれば、食っていけないってことはないと思うんだけど。

 ふだんは届いてもろくに中を見ないで山に積んでしまうんですが、《文藝ポスト》最新号は黄金時代のラジオ深夜放送特集。オマケにCDがついてて、ナチチャコパック最終回とか、カメちゃんのオールナイトニッポンとかの録音が収録されてます。深夜放送リスナー歴のある40歳以上はマストバイかも。
 オレがもっぱら聴いてたのはオールナイトニッポン。二部の近田春夫とか一部の自切俳人とか。所ジョージの日記コーナーも好きだったなあ。なんだっけ、所さんの青春日記?
 中学校のころは吉田拓郎、泉谷しげる、高信太郎とかも聴いてました。セイ・ヤングやパックインミュージックは曜日によってたまに。マシンはSONYスカイセンサー5500Aでした。

《週刊新潮》今週号の福田和也「闘う時評」が、2002年版作家の値打ちのエンターテインメント編。点数はともかく、『ロミオとロミオが永遠に』が「サイバー・パンク」って……。まあ、恩田さんの作品が「サイバー・パンク」などと評されるのは最初で最後だろうから、一生の思い出にはなるかも。それにしても中黒の入った表記をひさしぶりに見たな(cyberpunkはワンワードです)。



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