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【7月1日(月)】


 遅まきながら、2002FIFAワールドカップのベストイレブンを選んでみました。といっても無制限だと変わりばえしない結果になるのが目に見えてるので、今回は23歳以下(1979年1月1日以降生まれ)に限定。システムは3バック2ボランチにワントップの3-5-1-1。控え選手(カッコの中)も入れて23人のチームを編成するとだいたいこんな感じ。

FW1:ディウフ(アガホワ、ロビー・キーン、エトオ)
MF1:アイマール(ロナウジーニョ)
MF3:ランドン・ドノヴァン、ホアキン・サンチェス、エムレ・ベレゾール
   (パクチソン、スリム・ベン・アシュール、ダミアン・ダフ)
MF2:稲本潤一、クレベルソン(小野伸二、マラト・イズマイロフ)
DF3:アシュリー・コール、ラファエル・マルケス、クリストフ・メツェルダー
   (ピエール・ウォメ、中田浩二)
GK1:イケル・カシージャス(曽ヶ端準)

 守備にやや不安はあるものの、攻撃力はかなり強そうだと思いますがどうですか。しかし全出場選手の中から23歳以下を捜してると、日本代表は若いチームだと実感。ていうか、ヨーロッパのチームは若い選手少なすぎ。
 Jリーグに(呼べそうで)呼んでほしいのは、ドノヴァン、ベン・アシュール、エムレ、ディウフあたりかな。



【7月2日(火)】



 京橋メディアボックスで『千年女優』。非常によくできた映画ですが、今敏+村井さだゆきの前作『パーフェクトブルー』同様、個人的にはあまり反応しない。ウッディ・アレン的な回想シーン処理(回想の聞き手が回想シーンの中へそのまま入っていって現場で観察する)をアニメでやったのはこの映画が初めてかも。

 ぼちぼち仕事を再開するもののエンジンがかからない。しかたがないので溜まっている未読本を消化する。




【7月3日(水)】



 集英社から8月に出る山田正紀の短篇集『渋谷一夜物語 シブヤン・ナイト』のゲラ読み。Passage第三部に着手。



【7月4日(木)】



 本の雑誌編集部@笹塚で『最強の合作』座談会。ただしいつもの最強シリーズとは別らしい。大森がエントリした4組は、
●J・K・ローリングと友成純一『ハリー・ポッターと凌辱の魔界』
●ガブリエル・ガルシア・マルケスと隆慶一郎『徳川三百年の孤独1 マコンド御免状』
 の二枚看板のほか、
●コナン・ドイルとアーサー・C・クラーク
●谷崎潤一郎と佐藤春夫
 みたいな布陣。「いしかわじゅんと石川淳」とか「メシュテルハージ・ラヨシュとギョルゲ・ササルマン」とかも考えたけど、わかりやすさを重視したラインナップに決定。

 時間を間違えた茶木さんが一時間遅刻する事件もあり、ややまとまりに欠ける内容でしたが、座談会中に企画内容のすりあわせというか打ち合わせをやってるんだからしょうがない。テーマ的にけっこう難しかったと思った。



【7月5日(金)】



 早川書房編集部で林譲治インタビュー。『ウロボロスの波動』刊行記念。原稿のまとめはS澤編集長にお任せ。しかし編集長はJコレクションに加え、『雪風マニュアル』の編集に忙殺されているらしい。岩郷重力とふたりで毎晩徹夜しながらつくってるんだそうで、「ファンジン大賞採る自信はありますね」とかいってたけど大丈夫なのか。S澤編集長への励ましはS澤わくわく伝言板へどうぞ。



【7月6日(土)〜7日(日)】



 ひたすらPassage第三部の翻訳と第二部の手直し。通行人の人から伝言板で教えてもらったところによると、Passageは2002年度のローカス賞をSF長編部門で受賞。SF性が薄いのでどうかと思ってたんですが、そこはウィリス。とりあえず無冠に終わらなくてよかった。この勢いでヒューゴー賞もひとつ。



【7月8日(月)】



 SFJapan次号SFアニメ特集用の鶴巻和哉×上遠野浩平対談の司会進行。マイシティの旧プチモンド奥の個室で食事をしながら――ってことだったんですが話が止まらずえんえん3時間余。部屋から追い出しくらってもまだしゃべってて、「ご延長ということでよろしいでしょか?」と店の人が聞きに来たとたんに終わる(笑)。



【7月9日(火)〜12日(金)】



 W杯にかまけて参加申し込みをすっかり忘れてた日本SF大会ですが、スタッフのご尽力でなんとか宿泊場所が確保してもらえたので、週末は出雲行きが決定。あわてて飛行機の予約をとり、それまでにかたづけるべき仕事をかたづける。



【7月13日(土)】



 10:55羽田発のJASで出雲へ。現地は積乱雲で大雨らしく、飛行機は20分ほど出雲上空で待機。さいわいにも、天候が回復せずに米子へ降りるとかそういう事態にはならなず、30分遅れで出雲着。ホテルの送迎バスで玉造温泉へ。
 ぎりぎり申し込みだったせいか和室はとれず、部屋は縦長のツイン。ベッドが縦に並ぶめずらしいつくりでした。
 オープニングまではまだ1時間ほどあるのでとりあえず大浴場へGO。露天風呂は半分ほど屋根があり、折からの驟雨に白く煙ってなかなかの風情。SF大会会場の温泉オールタイムベストでもおそらく1位か2位にランクされそうな風呂で、これだけでも出雲まで来た甲斐があったね。

 風呂上がりは3時からのオープニング。5秒ほどのオープニング・アニメはバカ受け。終わった瞬間に蛍光灯がばちばちとついていくタイミングが絶妙でした。去年のSF大会のオープニングもこの作戦を思いついておけば、赤井さんもこれから一生「ところでオープニングアニメはどうなったんですか」と言われずに済んだのに。
 と、あとで本人に言ったら、「そういうことは一年前に教えてください」。人間、追いつめられているとなかなかこういう発想は出ないものらしい(笑)。

 星雲賞は、海外短編部門をグレッグ・イーガン著・山岸真訳「しあわせの理由」が受賞、大森は山岸の代理で壇上に上がる。これを頼まれたおかげで出雲に来ることになったようなもんですが、オレは関東グレッグ・イーガン振興会西葛西支部事務局長だからしかたがない。山岸の受賞挨拶メールを携帯に転送し、携帯電話を見ながら代読。
 内容はこんなの。
 ありがとうございます。
 授賞式に出席できなくてすみません。
 代理受賞は、受賞作が訳載された河出文庫のアンソロジー《20世紀SF》に多大なご協力をいただき、また、つねにイーガン作品にもっとも的確な書評を書いている大森望さんにお願いしました。
 イーガンは昨年の「祈りの海」につづけての受賞ですが、星雲賞の海外短篇部門を同じ作家が連続受賞するのは、三十年前のブラッドベリ(三回連続)以来となります。イーガンにはぜひ、作風は全然別ですが、ブラッドベリ級のメジャーな作家になってほしいものです、というか、受賞作が示しているように、とくに短篇はそうなって不思議はないと思います。
 そのためにも、より多くのイーガン作品が紹介される必要があるわけですが、今回の受賞作をたぶん含むことになる日本オリジナル第二短篇集の実現に向けて動いていますので、ご期待ください。また、イーガンの次の長篇はいまこの瞬間も翻訳を進めているので、こちらももう少々お待ちください。
 最後に、《20世紀SF》にご協力いただいた翻訳者、編集者をはじめすべてのかたにお礼申しあげます。
  山岸真

 要するに、ブラッドベリは3回連続受賞したんだから、来年は「ルミナス」でイーガンの3年連続受賞をよろしく。ということでしょうと親切に真意を解説する。まあ「ルミナス」は大傑作なので3年連続受賞も当然だと思いますが、山岸も受賞挨拶にこういうわかりにくいギャグを入れるのはやめるように。

 オープニングのあと、ロビーでうだうだしているうちに夕食時間。夕食部屋は子連れグループだけが隔離されているため、SF大会というよりSF忘年会に来ているとしか思えない。ビンゴはまだですか、みたいな。
 煙草を吸いに外に出ると、小松左京御大がひとりぽつねんとロビーで煙草を吹かしている。座敷にすわってると腰がつらいので出てきたとかで、しばらく煙草のお相手をつとめ、SF大会話の流れで国際SFシンポジウムの頃のエピソードを聞く。日本碍子からも協賛金が出ていたとは知りませんでした。

 温泉旅館の宴会料理をたらふく食ってしまうともう寝るしかないという雰囲気で強烈に眠くなってしまったので、子供を寝かしつけてから横でそのままばったり。



【7月14日(月)】



 午前0時過ぎに起き出し、ロビーで遊んでいたさいとうよしこと交替で出撃。さあ風呂だ、と思ったら玉泉の風呂は閉まってたのでもう一個の会場、松の湯へ。
 松の湯の風呂も悪くはないけど総合力では玉泉の勝ちか。水鏡子が活躍していたらしい「SFとコミケット」の部屋とか「ほしのこえ」の部屋とかあちこち覗いているうちに小腹が減ったので、ロビーにいた塩澤・大野両編集長をつかまえて、一階の夜食処でラーメン。店のおばちゃんに松の湯の女将(オープニングで挨拶に立ち、SFおたくのハートを鷲掴みにした人。その後、暗黒星雲賞を受賞)のことをいろいろ取材する。旅館の従業員からは「常務」と呼ばれてるそうですが、やり手で有名で、女将が歩いてくるとみんなぴりっとするらしい。その女将の号令で、「今夜はみんな朝まで勤務なんですよ」とのこと。
 夜食のラーメンはふつうのしょうゆラーメンなんだけど、びっくりするほど美味でした。

 玉泉にひきかえし、明け方までロビーその他でうだうだ。6時過ぎにはトキオが起きてしまったので、朝飯に連れてゆく。ラーメン食べたのに旅館に来るともりもり食ってしまうのはなぜ。

 荷物をまとめて宿に預け、閉会式をパスして、宿のすぐ上にある玉造史跡公園を散歩。だだっぴろい芝生に史跡が点在し、ほかには人っ子ひとりいないという贅沢な環境。しかしドピーカンになってしまったのでめちゃくちゃ暑い。死にそうになったので、温泉街の端っこのほうのホテルからタクシーを呼んで松江に出る。タクシーの運転手に教えてもらった松江城そばの「平田屋」で昼食。蕎麦を食べようと思ったんですが、まわりの客はみんなうどんを注文してるので、割子蕎麦と一緒にためしに350円のうどんを頼んでみたところ、これが絶品。めちゃくちゃやわらかい麺ですが、ゆですぎて伸びたわけではもちろんなく、いや、こんなうどん食ったのは生まれて初めてだな。これで350円なら毎日食っちゃうだろう。割子蕎麦もうまかったんですが、このうどんには勝てない。
 さいとうよしこと感心してたら、相席になった家族連れのお父さんが「ここはうどんのほうが名物なんですよ。松江で蕎麦だったら一色庵」etc.といろいろ松江食い物事情をレクチャーしてくれました。

 うどんと蕎麦で満腹のあと、松江城までもどり、堀割遊覧船に乗る。
 松江はおなじ城下町だけあって、お城近辺の雰囲気は高知とそっくり。追手筋を歩いてるような気分なんですが、歴史的建築物の残りかたと雰囲気の優雅さでは圧倒的に松江に軍配が上がるね。高知城のお堀は遊覧船なんか通ってないし。
 45分の遊覧船は、12人乗りの平底船で、暗渠の下を通るときは屋根が傾いて低くなる仕組み。歩いてられないほど暑かったので、のんびりすわって景色を眺めてればOKの遊覧船はちょうどよかった。

 お城の前の古そうな小さい喫茶店で一服してから、教えてもらった一色庵に寄ってみたんですが(まだ食うつもりかい!)幸か不幸か日曜定休でお休み。タクシーで玉造温泉に引き返し、トキオといっしょにまたしても玉泉の大浴場(松の湯と合わせて五回目の入浴)。
 風呂から上がると、「出雲空港行きのシャトルバスが3時に出ます」のアナウンス。朝聞いたときは12:50発が最後といってたのに。
 これさいわいとバスに乗り込み、16:30出雲発のJASで羽田。大荷物を抱えてタクシーで帰宅、爆睡。



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